いつも読みに来ていただきありがとうございます!このブログも11年と18日目です。今作は、あの利根川が主役です!簡単なあらすじを紹介します。会社を退職した利根川はフリーターとして真っ先にしたことは部屋探し。そこから高瀬探しをするのかと思いきや、なんとニューヨークへ観光しに行くこと!無事にニューヨークへ着くのでしょうか。しかし、飛行機は利根川の思いとはうらはらに赤道直下にある島に漂着してしまった。利根川は...
オリジナルBL&MLを毎週月・水・金の夜21時に更新!※アスリートCP/医者CP/リーマンCP/学生CP/短編も有ります。
妄想&空想が好きです(*≧m≦*) 浸るのも大好きです。 プロフのイラストは自動生成AIに描いてもらいました。 オリジナルでBL小説を書いてます。 他のジャンルも多少あります。 性的表現がございますので、苦手な方はご遠慮ください。
そのニールの問いにネイサンの返事はこれだ。「ニールを中心にした親的な存在だが、飛び道具を持たせれば天下一品のアサミと頼りがいのあるヨシ。遊び相手にもなるユーゴとスポーツマンのヒカル。目つきの悪いデビルマモル」その言葉の途中から笑っていた。もう、笑い転げて苦しくなりそうだ。ニールも大笑いしている。勉強ばかりで他のことには見向きもしなかったはずのネイサンに、そんな風に見られていたんだねと思うと、なんだ...
10時にニールと待ち合わせ、結婚相手を紹介してくれた。結婚相手が男性だとは思ってもなかったボスとヒカルは絶句している。「嘘……」「結婚相手って……」だが、その相手はキョロキョロしている。ニールは口を挟んでいた。「何をキョロキョロしているんだよ」「いや、別に。あの、もう1人は?」その言葉で、ネイサンはしっかり覚えているんだなと思うと嬉しくなり、アサミは応じる。「今日はこれだけだよ。マモルは何処に行ったのか...
ニールは嬉しそうに言ってくる。『明日、アサミと遊ぶんだ。ヒカルも一緒に遊ぼ』『いいよ。そっちに行けば良い?』『うん♪ 僕の結婚相手にも会わせてあげるね』『楽しみにしとく』途端に輝とボスの、2つの声が重なる。『結婚相手ぇ?』『そうだよ。3年前に結婚したんだ。明日、楽しみにしてるね』そう言うと、ニールは電話を返してくれると、メモ用紙に何かを書き渡してくれる。『アサミ。これ、僕のナンバーだよ。入れてて』...
この⑤には本店ボスがいるので、そこに行くと言うと、ニールは付いてきてくれた。ボスは顔を見るなり分かったみたいだ。「まさか……、おチビの、ニール?」その日本語に対し、ニールは米語だ。『ヨシだー! 久しぶりぃ~』ニールはヨシと自分になついていたので、本当に嬉しそうだ。そんなニールにヨシは米語で話す。『ヒカルとマモルもいるよ』『ほんと?』『明後日、いや3日後には久しぶりに顔を見ることが出来るよ』口を挟んで...
ニールは呆れた表情でポツリと呟く。「さすが歴代一位のシューティングマスター。足だからね。目を瞑る代わりに」雄吾がチャチャを入れる。「ハグだけだ」「ユーゴに言ってない」「おチビちゃん、ハグなら許してやる」「見れば分かるだろ。もう、チビじゃない」「そういや、伸びたな……」「成長期だったからな」「あのなぁ、人間20歳を過ぎたら身長は止まるんだよ」すると、ニールは爆弾宣言してきた。「そうだけど、今やっと34歳に...
ニールは昔を思い出す。でも、僕の目の前で殺しはやめて欲しいと思い口を挟む。「アサミ、僕の」だが、遮られる。「私だって、学生時代はマスターと呼ばれていたんだ。ブランクあるが大丈夫だ」見てろと思い、狙いを定め撃つ。ズキューンッ!標的であるベッド脇に置いてあるランプの真上にぶら下がっている球がパリンッと割れた。雄吾が口笛を吹く。「ヒュー! 綺麗に割れるということは?」その問いに、ニールは安心した声で返す...
「で、何発やったって?」「まだ」「あ?」「気を失ってた時は2回したけど、食後はまだ」「の野郎ー」ハワードが何か言ってくるが、俺は許さない。誰が手加減するもんか。俺の朝巳を、こいつは!声が入り交じる。「ストップ、ストップ!」「雄吾、ここだよ!」誰かに腕を摑まれる。「離せっ!」「雄吾、ダメだよ」「お前が」朝巳に腕を摑まれては何も出来ないので、ストーカー野郎を蹴りまくってやる。「蹴るのもダメ! 元ボクシ...
「ハワード、作戦通りやるぞ」「ok」先にハワードが玄関ポーチに立ち、ベルを押す。ドアの向こうから声が聞こえてくる。「はいはい。今度はなに?」ドアを開けてくれたので、ハワードはすかさず投げかける。『アロー。アサミ出して』「へ?」『アサミはどこ?』「え、なに?」『アサミ、ここにいるんだろ。見た人が居るんだ。アサミはどこ?』「ちょ……、何を言っているのかさっぱりだ」『アサミを出せ、返せ。殴るぞ。早く出せ』雄...
眩しい。そのライトの眩しさに顔を背ける。「ああ良かった。朝巳だ、安心した。ハワード大丈夫か?」ニールの声が聞こえてくる。『ユーゴ?』『誰だ?』雄吾の声は尖ったものになったので助け船を出してやる。「ニールだよ。ほら、エンジェルの」少し考えていたが、すぐに分かったみたいだ。「あー! 朝巳の後ろにへばりついていたチビか」「そうそう。で、ネイサンと結婚したんだって」「ネイサン?」「ほら、主席で大学卒業した...
「ゴースト!」え、え、どこ?どこに、ゴーストがいるの?やっぱり、夏場の海って出るのかな。誰かと一緒にいる方が心強いや。そう思い、その声のする方に近づいていく。「ヒィッ!」「顔だけ……」え、顔だけの奴なの?冗談じゃない。あ、もしかしてニールはゴーストも連れてきたのかな。そう思っていたら近くで何か動作をしているみたいだ。「あ、悪霊退散っ」この声は日本語だ。しかも、雄吾なのか?で、悪霊って誰のこと?そう思...
ニールの日本語力が分かったので、自分で取りに行くことにする。「自分で取りに行く」「かん、で分かるの?」「ドライマシーンだよ」「なるほど」「ネイサンに日本語を教えて貰ったら?」「あいつはストイックだからなあ」乾燥機という物は風呂場かなと当たりを付けて行くと、その途中にあった。自分の服に着替え、靴も履く。ポカポカと温かく、しかも乾ききってるので着やすい。だけど、あいつは許せない。「お待たせ。ニール、上...
誰かが勝手に入ってきた。それだけでも嫌なのに、あろうことか、ソイツと話している清水さんは嬉しそうだ。しかもハグされ微笑んでいる。憎らしい。本当に憎たらしい。2人して何を話しているのか分からないのも輪を掛けている。しかも、トドメはこれだ。抱きついていた奴は自分の上着を脱ぐと清水さんに羽織らせている。2人して笑い、清水さんは苦笑している。俺に通じる言葉で話してくれ。こんなのないよ。すると、清水さんは冷...
ニールは抱きついてくると耳元で囁いてくる。ニールの囁き声はパニクり頭を不思議と落ち着かせてくれる。しかも、この発言だ。「僕、結婚したんだ」この言葉しか浮かんでこなかった。「おめでとう」「サンクス」「可愛い子?」「うん。抱くとね、エロ可愛くなるんだ」「まさか、ニールに惚気られるとは……」しかも、今度はこれだ。「結婚相手はネイサンだよ」「は? 誰だって? もう一度」「ネイサン」嬉しそうに、また幸せそうに...
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いつも読みに来ていただきありがとうございます!このブログも11年と18日目です。今作は、あの利根川が主役です!簡単なあらすじを紹介します。会社を退職した利根川はフリーターとして真っ先にしたことは部屋探し。そこから高瀬探しをするのかと思いきや、なんとニューヨークへ観光しに行くこと!無事にニューヨークへ着くのでしょうか。しかし、飛行機は利根川の思いとはうらはらに赤道直下にある島に漂着してしまった。利根川は...
「それでは、経済学部の松井です。ニューヨークで双子を育てています」「新田敏夫です。世界を飛び回っています」「元宗です。子どもはカナダに行っていて夫婦2人でレストランしています」「宮田です。今はフリーとして仕事をしています」「桑田耕平です。会社を興して30年ですが、軌道に乗っています」それでは、そのほかの方たちよろしく。「田宮俊平です。そのほかの方たちで紹介されて良かった。忘れられてるかと思ったよ。し...
うちの子紹介のページです。当ブログにお越しいただきありがとうございます。このブログも、先月の6月27日で丸々11年を迎えることができました。本日で11年と16日です。そう、12年目に突入しました~!記念として、うちの子の紹介をさせていただきます。まず、医学部卒業生から。「ボスである福山友明です。ドイツに行って、正式にメスドクとなりました。パースでクリニックを経営していますが、これからはメスドクとしてオペを...
いつもお越しいただきありがとうございます。11周年に突入しての作品です。『挑戦するのに年齢は関係ない』はいかがでしたでしょうか?本当に5年ぶりに登場しました、博人と友明。あれから、本当に5年の月日が経ちました。やっとパースに帰ってきた友明。そして、その息子のジュン。ジュンが信頼を寄せているジュンヤ。この3人がメインの話になりました。各々が、自分のやりたいことを模索しながら生きていく。この5年間、どのよう...
そのタロットをテーブルの上に置き、心の中で占いたいことを呟く。 10枚なんて置けないから、5枚引きにする。過去、現在、近未来に、結果。その結果として出たのは、カップⅣの逆位置。このカードは、腕を組んだ若者が目を閉じていて、カップを持った雲が若者に近づいている絵だ。しかし、正位置では、若者はそのカップに気が付いていない。なにしろ目を閉じているからだ。でも、今、出たのは逆位置。若者は、そのカップに気が付き...
ニューヨーク行きの飛行機に乗る。隣の席は、先ほどの人が既に座っている。「パードン」「ぷ、プリーズ」「サンキュ」離陸後、お決まりのスナックタイムがくる。「ミスター」私はフランス人だ。ドイツ語でもいいが、フランス語で応じる。 「テナチュール(紅茶をストレートで)」国際線のCAらしく、すぐフランス語で応じてくる。「ウィ、ムッシュ(どうぞ)」いよいよ、私の第5人生の始まりだ。どくろマークに、いや違った。マ...
ジュンヤはジュンの未来を知っている。あのいじめっ子と一緒にいるだろう。何度占っても、ジュンの傍にいるのが現れるからだ。ジュン。逃げ場所は一つだけではないよ。新しく作っていくものだ。10年間、私を逃げ場所に指名してくれてありがとう。君の未来に幸あれ。声がかかる。「前、通ります」「どうぞ」通りやすくシートと足の間を開けてやる。その人はたどたどしい英語だけど意味が通じたのが嬉しかったのか、安心顔をしてシー...
ジュンヤとジュンのパース出発日は同じ日だった。ジュンヤは飛行機でシンガポールへ行き、そこからアメリカへ。ジュンはエドのジェットで、庭から直接ドイツのフォン・パトリッシュ家へ。ジュンはジュンヤがどこに行ったのかは知らない。でも、また会えるだろう。そんな気がする。鞄の中にはジュンヤ先生から貰った2通の手紙が入っている。手紙とはいえ、サークルの皆と同じものだ。「2年後、自分はいなくなるだろう。自分の可能...
ジュンヤは机上勉強ならどんとこいの執念で合格した。実技及び研修先は、あの人が迎えてくれたので安心してアメリカに発てる。そのジュンヤに、一緒に暮らしているAは言いにくそうだ。「A、今までありがとう。待たなくていいからね」「あのさ……」「なに? 思い切って言ってみて」「アンディなんだけど」その名前に気持ちはグラつく。「う、うん……」「バツイチだって知ってた?」「知らない」「一緒になっても怒らない?」「Aはア...
何かを挑戦するのに、きっかけはなんでもいい。ただ、必要なのは、やる気ではなく、行動することだ。その行動力で、3人は自分の道を決めていく。友明は5年間という年月をかけて、再びメスドクに。ジュンは勇気を持つことができ、目出度くトニーから逃れることができた。そして、ジュンヤは自分の気持ちに気が付く。それから、2年後。ジュンはものの見事にドイツの高校の留学テストに受かった。住む所は、待ち人が住んでいる所。...
一方、ジュンに体当たりを食らい倒れこんでしまったトニーは呆然としていた。負けたのがショックだからではない。その後のジュンの行動だった。「うるさい、黙れ。黙って言うことを聞いてればいいんだよ」そう言うとキスされた。できるなら、抱きしめたかったのだが、すでにジュンは走り去っていた。柔らかかったジュンの唇。自分の唇に指をあてなぞる。「ジュン……」虐めないでと約束をさせられたが、俺はお前を追いかけるからな。...
途端にトニーは黙ってしまった。あれ、ほっぺたってこんなにも柔らかかったっけ。なんかグニュグニュしてるし。恐る恐る目を開けると、トニーの驚いた眼があった。まさか、これはほっぺたでなく、トニーの……、く、ち?思わず走っていた。やっちゃった。やっちゃった、やっちゃったよ。ほっぺたにするつもりが、口にしてしまった。うー……。でも、口って、あんなにも柔らかいんだね。トニーも驚いていたし。僕も驚いて走って逃げてし...
「ハッ!」「なんの」「トウッ!」「へぇ、本当に合気道やってるみたいだな」全然、当たらないし、掠りもしない。しかも、トニーも合気道ができるみたいだ。「くそぉ……」「おら、どうした。かかってこい!」こうなると、アレしかない。「これは喧嘩じゃないからなっ」「分かってらあ」1年前のドイツで、ヒロがダディを負かした。あの時に見たアレをトニーにする。低くかがむと、トニーめがけてタックルしてやる。「ってやー」しか...
ジュンヤ先生に言われ納得したジュンは、意気揚々と夏休みを過ごす。そんなジュンに、今日もトニーは振り向かせようと手を企てている。バッタリと出会い、目がかち合う。「トニー……」「いい所で会ったな」しかし、逃げ腰になってしまうのは条件反射だ。回れ右して走ると、向こうも走って追いかけてくる。あの時、皆はなんて言ってたっけ?ほっぺたにキス。ハグする。えーと、それから、それから……と頭の中が真っ白になる。そんなこ...
全く歯が立たずに、僕は聞いていた。「いじめっ子に勝つにはどうすればいいですか?」「喧嘩ではなく、言い含める言い方にするとか、相手にしないとかかな」誰かの声が聞こえてくる。「キスしたら黙るよ」「いじめっ子は男の子なんだけど」「だから効果てきめんだよ」「そうなの?」「ほっぺたにキスをすると大丈夫」「ほっぺたかあ。なるほどね」「うん、いじめは止まるな」「たしかに、止まりそうかも……」いや、本当に止まるのか...
大学のドイツ語の講師として働くことが決まったと、ジュンヤ先生に話している。フランスとドイツ旅行に行ったことを卒業論文にして提出したら、雇ってくれたらしい。ジュンヤ先生に話しているのを見ていると、羨ましかった。「おめでとう、良かったね」「フランスとドイツに行けたからです。ジュンヤ先生、ありがとう」「君が行きたいと思って行動したからだよ。礼を言うのなら、君自身にだよ」「大学に、ここの語学サークルのこと...
当の本人に聞けばいいのだけれど、どのように聞けばいいのか分からない。あれから1年経っても、まだ残像は残っている。ジュンヤ先生は、あの人とキスをしていた。覗いてはいけなかったかもしれない。でも、真後ろだったから気になって見てしまったんだ。他の大学生と高校生の2人も一緒になって、3人で上から覗いていた。見終わると、その2人はトイレに行ってしまった。僕はどうすることもできなかった。2人はトイレから戻ってくる...
ジュンはダディである友明に同じことを聞いている。途端にトモは怒り出す。「なんで、そういうことを聞くの!」「どんなものなのかなと思って」「ジュンは女の子と結婚するんだろ」「そうだよ。マミィのような可愛い女の子とするんだよ」「それなら、そんなことは知らなくてもいいことだろ」「そうなんだけど……」「なんだよ、モジモジして」そこでハッと気が付いたのか、こんなことを言う。「お前、女の子でなく男の方が好きなのか...
ジュンの言葉。「男同士でキスするのは、気持ちいいの?」あまりにもストレートな言葉にショックで言葉が出なかった。やっと頭が動き、言葉が出てくる。「よくテレビで見るハグして頬にする、あれは挨拶だよ」「ほっぺたでなく、ここだよ。口なの」そう言って、自分の口に指を置く。その仕草に、これはどこかで男同士のを見たなと気が付くと言っていた。「ジュンは男相手に、そこにキスをしたいのか?」「え? い、いや、どんなも...
ヒロは頭を優しくポンポンと叩いてくれると、ハグしてくれる。だから、この言葉を添えてハグをし返す。「ありがとう」ヒロにハグをされたまま聞いていた。「ねえ、ヒロ」「ん?」「あのね、僕、ずっと考えていたのだけど分からなくて。聞いても良いかな?」「何? 言ってごらん」その優しい口調と言葉に勇気を貰い、聞いていた。「男同士でキスするのは、気持ちいいの?」すると、ヒロは黙ってしまった。優しく頭や肩を叩いてくれ...
高校時代の友人と会って、その場で色々と愚痴っていた。「なるほど。でも、マルは俺の兄貴の所にいるよ」「八木の兄貴ってペットホテルか。あいつ等はぁ、マルで癒されようと思っていたのに」「たまには人間同士で付き合おうよ」「そうだな。八木ん所にお邪魔しようかな」「いいよ。一人暮らしだから気が楽なんだ」駅構内にあるスーパーに入ろうとしたら声がかかる。「あれ? 八木と新田か?」振り返り見るが誰なのか分からないが...
教育学部の5人は関内駅の構内へと向かう。「高橋。あれ、あいつどこ行った?」「後ろ」「後ろか」そう言うと、くるっと後ろを向く。「たか、あ!」「んじゃ、16日までバイなら」「裏切り者ぉー」彼女となった武田と連れ立って、高橋は一緒に歩いていく。その高橋に向かって吠えている海堂を置いて、他の3人もサッサと構内を歩いていく。それを見ていた経済学4人は呟いていた。「バイト先で彼女を見つけるとは」「さすが高橋」「し...
「結婚するって言った?」その声で、皆は一斉にざわつく。「ボスが?」「誰と?」「嘘だろ」「そんな気配なんて」そんな言葉にボスは戸惑う。「ん? 私が? いや、違う。私でなく……、違うから!」「違うって、なにが?」「いつ結婚するんだ?」「もしかして、遠距離恋愛してたとか?」その遠距離で思い出す。「あ、主語がなかったか」その言葉に皆は頷くと、素直に主語を口にする。「ナツだよ」「なつ?」「夏って何? 誰かのあ...
キッチンも掃除が終わり一息ついた頃、社長が食堂へやってきた。「お疲れ。皆には迷惑かけたね」バイト料を一人ずつ手渡してくれる。ありがとうございましたとお礼を言って、奥の和室に入る。布団は、いつの間にか押し入れに畳み込まれていた。現金でもらい、皆の懐と表情は明るい。荷物を持ち、21人の集団は関内駅へと向かう。駅前には2台のロールスロイスが停まっている。医学部のサトルとユタカは、その2台に近づく。「お迎え...
翌日はアルバイト最終日だ。ワンから買い物リストをもらい、買い物をして帰ってくると人数が増えている。「なんで2人がいるの?」「有志だから」「いつも2人でいるんだね。なんか羨ましいな」「いや、そうい」「新田、こいつはここで彼女をゲットしてるんだぞ。どう思う?」高橋は叫ぶ。「カイド―!」その叫びに対し海堂は両手をグーにしてガッツポーズする。「GO!」新田は驚いている。「彼女って……」「2階の女性スタッフ。片...
こちらは経済5人と松井の嫁。「ほら、これで食べるからな。欲しくない奴は食べなくていい」「新田、そういう言い方はよせ」「私は自分の気持ちをこの3人に話した。あとはお前たちの出方次第だ」そう言うと、餅をまな板に置くと包丁で切っていく。「おお、スパスパと切れる。やっぱり包丁で切る方が早いな」大変な思いをして餅を割った昼間を思い出すと、水でふやけさせた餅を切る方が効率がよいと気づく。「焼くか、煮るか。どっち...
教育学5人はスタンダードに餅を焼く。焼きノリがあるので、それをぐるぐる巻きにして醤油を付けて食べる。「美味いっ」「2つだなんて取りすぎたかなと思ったけど、食べきったな」「あー、満腹」「満足だ」もう一つ声が足りない事に気が付く。「高橋は?」「そういえば、どこ行ったんだろう」ジャジャジャジャーンッと効果音が聞こえてくると高橋が何かを持ってきた。「高橋、どこに」「これ見て」そう言って、持ってきた物を4人に...
サトルはタカに言う。「餅は夕食に食べるって」「何個?」「3個」3個をサトルに手渡す。すると、新田と海堂も言ってくる。「こっちにも2つ」「だって、さっき3個」だが新田は強気だ。「10人で3つだよと言ってるんだから。経済は2つ」同じく海堂も強気に出る。「教育も2つ。夕食まで時間あるから水に浸しておこうかな」その言葉に新田はすかさず応じる。「それ、いい考え。包丁で切りやすくなってるかもね」サトルはボスに聞...
キッチンに入ると、ボスは包丁の柄の部分を握り持っている。「ボス、今の音はなに?」「餅が割れた音」「は?」餅ではなく、どこかの台を壊したのではないかとキッチン台を見ていく。そんなサトルに声をかける。「乾燥しきってないからレンジで30分焼いたらパリパリになって、包丁のこの部分で叩き割っただけ」だけどサトルは目ざとく見つける。「ググっていたのか」「バレたか」サトルと一緒にキッチンに入ってきた新田はこう言う...
新田と海堂とタカとワンの4人は餅を割っていく。が、3分もしないうちにお手上げ状態だ。「らちが明かない」「時短できないかなあ」「パッカーンって割りたいね」タカは、その3人に言ってやる。「レンガみたいに固くなっていれば割れるけど、そこまで固くないから無理」3人は考え込むと、ワンは何かがひらめいたみたいだ。そんなワンの表情に気づいたタカは、ワンに声をかける。「何を思いついた?」「工具でやればどうだろう?...
皆が具材をカットし終えると、タカは新田と海堂を伴って上がってきた。「重かったー」その言葉に、サトルは聞く。「なにをそんなに持ってきたんだ?」「はい、これ」そう言ってタカはビニール袋を差し出すので、サトルは中を見ると言っていた。「お前ね、限度というものを知らないのか?」「雑煮を作るって言ったら、皆が入れるんだよ」そう言うと、新田と海堂の方を指さす。「餅を貰った。あの2人に手伝ってもらったんだ」その餅...
翌日の1月1日は、経済6人は1階、教育5人は2階、医学部5人は2階、残り5人は3階食堂に分かれる。「今日は何人だって?」「100人越え」「最高人数だな」「買い物……。店、開いてるかな」「そういう場合は」皆して拝む。「サトル様」「やめろ。そういうのは、ここ横浜では効かないから」「都内だけか……」皆は色々とメニューを口にするが、それをヒントにタカはあるメニューを口にする。「雑煮は? ここ魚屋だからアラや骨は十分に...
その夜、医学部の10人の夕食はサトル持参のプロテインとジュンヤ持参のゆで卵、残り物の野菜で簡単に作った野菜炒め、味噌汁だ。それらを和室で食べながら、ユタカが勝手に取り付けた盗聴器を聞いていた。ボスは考え込む。「うーん、こうなるとはな」スズメはこれだ。「そっかあ、あの金魚の糞はそう思っていたのか。ってことは、年上か」サトルは簡潔だ。「二浪したのか」マサは素直に気持ちを口にしていた。「経済を一発合格した...
コンシェルジュを2時間もやっていると薄暗くなってくる。客足も途絶え気味になってきたのでジュンヤも店内に入り模様替えを手伝う。「明日もしますか?」「いや。明日は正月用に海鮮と寿司と造りの販売だけ」チーフは声をかけてくる。「専務、その量ですが……」「なんだ、歯切れ悪いな」「実はお造り384と、寿司が248入っています……」「えらく多いな。ジュンヤ様効果か?」「それもありますが、解体ショーの時の注文で、130ずつ。今...
一方、こちらは1階に下りたジュンヤは一人だけ店先に設置されたブースにいた。当然のことながら黄色い声援付きだ。離れている店内にまで、それが聞こえてくる。「うーむ、離しているとはいえジュンヤ様ビームは凄いな」「余波がここまで響いてくる……」「あの時は何が起きたのか分からなかったが、これか……」「彼一人で大丈夫かな」「店内に誘導してとは言ったけど。あ、でも大丈夫そうだ」数人が入ってくる。「いらっしゃいませ」...
洗面スペースに寄り顔を洗うとキッチンに出る。「代わるよ。お疲れ様ー」「お疲れ。話し合い、終わった?」「うん、終わった」松井は聞いていた。「新田、あの3人は」「今はパス! ほら、来るよ」途端に、威勢よくドアが開く。「お疲れ様ですー」「お疲れ様。一人一皿ね」「はーい! お、ハンバーグだ」「こっちのスープ美味しそう」「ご馳走様でした」「このサラダ、ビールが欲しくなりそうだ」「松井、グラス足りないから先に...
たったそれだけの事なのに、桑田は目くじらを立てる。松井は、桑田の怒りを収めようと声をかける。「お前の気持ちも分かるが、我慢しろ。それにやることは」「松井はあんなことを言われて悔しくないのか。腹立たないのか」「なんの事だ? さっきのは単なる社交辞令だろ」「どこがだ」新田は我慢していた。「今は仕事中だ。怒りは夜まで待ってろ」元宗も言ってくる。「新田はいいよな」宮田はこれだ。「そうそう。自分だけ良いよう...
13時前にはドドンッとやってくる。食洗器をフル稼働させながら、3人は焼いたりサラダを盛ったり、食器類を取り出したりしていく。「そろそろ、こっちを出すかな」ユウマは呟くと鍋を持ち表に出る。ガラッとドアが開き、声が聞こえてくる。「お疲れ様です」「お疲、あ、サトル」「大変だった?」「これからが一番大変だと思う」「食べたのか?」「3人とも食べたよ。あと、経済との関係が悪くなってる。アフターよろしく」「仕方ない...
12時になったが誰も来ないので3人は一番乗りで食べる。「たまにはいいな」「ゆっくり気分で食べれるだなんて久しぶりだな」「出来立て美味しい。あのきゅうりがこうなるとは思いもしなかったな」2人の声は重なる。「見事に酒の肴だ」「たく、二人そろって」「いい味出してるよ」 「それはありがとう」12時半を過ぎると5人が入ってくる。「お疲れ様です」「お疲れ様」「ハンバーグだ!」「嬉しい、2個もある」「1つがドンとあ...
3人そろって20分後にはハンバーグのタネだけでなく、サラダのきゅうりとスープの材料もカットし終わる。「味はコンソメでいいかな?」「任せる」ピーと音が鳴る。「何の音?」「米が炊けた音だな。サラダはレタスではなくキャベツか。千切りにでもするか」「赤みがないな」「スープに人参入れるから大丈夫」「カレーの時に買った人参か」「誰かさんが大量に買ったから」「タカだろ」ユウマは手際よく米をジャーに移していく。「う...