月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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月夜の猫-BL小説です 上弦の月8 BL小説 鴻池が鴻池物産に戻った際には、工藤は自分の出自や性格を考えて、さっさとあとを追うようにMBCを辞めて会社を興した。 工藤がプロダクションを興すのに後押ししてくれたのも鴻池で、工藤の会社のスポンサーとして以後つかず離れずの関係を保っている。 唯一、良太にちょっか
月夜の猫-BL小説です 上弦の月7 BL小説 二月に良太も一度下柳とともに知床に足を運んだ。 ほとんどとんぼ返りだったが、あの究極の自然にほんの少し触れただけでも身体が震えた。 「ありのままの状態で撮りたいからな」 下柳の意気込みにもままならぬものがある。 「絶対、カッコいい作品になりますよ」 思わず
月夜の猫-BL小説です 上弦の月6 BL小説 修習内容には一切触れないが、ベストセラー作家ということは知れていたし、しかもあの風体は検察庁でも大いに話題を振りまいたようだ。 良太も努めて荒木に合わせて相槌を打ち、笑った。 笑いがひきつりかけたところで、お開きになって良太はようやく肩の力を抜いた。
月夜の猫-BL小説です 上弦の月5 BL小説 「後輩だったよね?」 荒木はそんな良太に笑みを浮かべて聞いた。 「いや、後輩なんて、口にするのもおこがましいです、俺、野球バカだったから」 良太は謙遜というより正直に言った。 「工藤のお守りは大変だろう?」 「ええ、まあ……そこそこには」 「何だ、その言い草は
月夜の猫-BL小説です 上弦の月4 BL小説 「そんなの、死んじゃったら何にもなんないじゃない! 要は、高広はその社会正義とやらに負けたわけね」 荒木と小田の話に対して、ひとみが言い切った。 「まあ、置いていかれた工藤が荒れたのはわからないもないさな……」 それまで黙って聞いていた下柳がボソリと口にして間
月夜の猫-BL小説です 橘月2025更新しています BL小説 心地よい季節になりました。 世の中も心地よくなってほしいものです。 橘月2025 季節のエピソードアップしてまいります。 上弦の月(工藤×良太19)、春の終わりからのエピソードです。 よろしくお願いいたします。
月夜の猫-BL小説です 上弦の月3 BL小説 「はじめまして。こんな美人にお目にかかれるとはラッキーだな。ひょっとして、工藤とは?」 荒木と紹介された検事は低い深みのある声で言葉を促した。 「ええ、昔ね。ワンクールで振ってやったけど。今はフリー」 「おや、奇遇ですね。実は私もつい最近フリーに。バツイチですが
月夜の猫-BL小説です 上弦の月2 BL小説 ひとみは笑いながら、下柳の背中をバシと叩く。 「バッカ言え! 俺はただ名前が名前だし………おい、……までってことは、つまり……」 確かに千雪の美貌にあてられた感もないではない下柳はがらにもなくうろたえた。 世間で知られている推理作家小林千雪のぬーぼーとしたダサ
月夜の猫-BL小説です 上弦の月1 BL小説 西麻布にある『庭』は表側から見ると無愛想なコンクリートの壁だが、数段の階段を降り、黒塗りのドアを開けると、一階は緑鮮やかなパティオを囲む吹き抜けのレストラン、地下にシックな大人の隠れ家的バーがある。 「いたいた、ヤギちゃん」 聞き覚えのある通りのいい声に、カ
月夜の猫-BL小説です 上弦の月(工藤×良太19) BL小説 そろそろ桜も終わりに近づいた頃、アスカがお花見をやろうと言い出した。それも会社の裏庭でだ。というのも、会社のビルが建った頃から平造が丹精した桜の木が育って、なかなかの花を咲かせているのだ。良太もこれなら人混みの中に出かけなくても充分花を堪能できると思いつつ
■上弦の月(工藤×良太19) boys love novel 橘月2025 以前のエピソードに少し手を加えたり
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき20(ラスト) BL小説 「起きろ! 良太!」 耳元で怒鳴られて、良太はようやくからだを起こした。 「れ、ライオンのお手……」 「何を寝ぼけてるんだ」 見回すと自分のベッドの上で、傍らに立つ工藤は、とっくにスーツで決めて仕事モードに入っている。 「ちぇ、何だ、夢か……」 「とっとと
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき19 BL小説 寒っ! 肩にひんやりとした風を感じて、良太は目を覚ました。 「あれ…」 ベッドの中だ。 そういえば確か工藤が酔っ払って帰ってきて、じゅうたんの上に倒れ込んで…… 俺も寝ちゃったのか。 「……ああ、そうしてくれ。相田、カミさん一人で大丈夫か? 小田が今朝
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき18 BL小説 部屋のドアを開けた途端、二匹の猫たちがわらわらと良太目掛けて飛んでくる。 「遅くなったねー、ごめんよー」 足にまとわりつく猫たちに触れると、こわばっていた身体の力が抜ける。 二匹とも待ってましたとばかりにご飯を平らげてしまう。 その食べっぷりはいつみて
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき17 BL小説 オフィスのドアを開けると、よう、と下柳が手を上げた。 「えらい目にあったって? 有吉のヤツに聞いたよ」 「ヤギさん。お疲れ様です」 思いがけない下柳の顔に、良太はちょっと息を抜いた。 「どうしたんだ? まだ何かあったか?」 下柳に無愛想に言うと、工藤はコ
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき16 BL小説 「ちょっとそこで待ってろ」 返ってきたのは有無を言わせぬという感じの工藤の命令だった。 「でも、俺、早いとこ帰っていろいろやることが……」 「待ってろと言ってる!」 良太を振り返りもせず、工藤は強い口調で言い放つ。 これは相当怒ってるぞ、と良太は思う。
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき15 BL小説 一旦地下に降り、長い通路を抜けると先に事務所のドアがあり、その向こうに地上へ出る階段があった。 「お疲れ様です。こちらです」 階段の中ほどで中井が呼んだ。 地上に出ると、日が落ち始めた小さな庭の木陰から白のレクサスの後ろが見えた。 「良太、もう帰っていい
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき14 BL小説 そんな芽久と工藤を見て、良太としては面白くないのは山々だが、芽久の怯えようはただならぬものがあり、岸の脅しにかなり参っているのだろうと見てみぬ振りをすることにした。 芽久が落ち着くまでと、工藤、良太とマネージャーの中井の四人は控え室にいた。 誰もほとんど
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください40(ラスト) BL小説 高橋に触られた時は怖気が走るほど嫌だったのに、七海の指が少し触れるだけで志央の肌は反応し、発熱した。 「ごめん、ほんともう、とまんねーっ…」 結局のところでかい男に合体されて尚、若い情の迸りは留まることを知らず、大きな波にさらわれるように志央
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき13 BL小説 下柳と葛西の熱弁に、たまに口を挟む工藤とほんのたまーにボソッと的を得た言葉を口にするのが有吉だ。 もともと彫りの深い顔立ちは日焼けて無精ひげも手伝い、日本人と言われなければわからない。 精悍な鋭い目つきはそれだけで何者かと周りのものを振り返らせる。 そ
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください39 BL小説 ボロボロボロ、と志央の目から熱いものが溢れ出て落ちた。 「俺なんか、見るのも嫌なんだろ?」 もう一度、あの笑顔を取り戻せたらよかったのに。 「行けよ! 行っちまえ! バカやろ…」 顔を涙でぐしゃぐしゃにして、志央は精一杯の虚勢を張る。 すっと、そ
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき12 BL小説 『花の終わり』がクランクアップし、ホテル赤坂で制作発表が行われる当日も、どんよりと雲の多い空が東京の街を見下ろしていた。 良太が控え室を訪ねると、山之辺芽久がいつにも増して不機嫌だった。 というより、何かを気にして心ここにあらずという感じである。 彼女の
back next top Novels 「その岸賢次郎がどうかした?」 こっちもさすがに鋭い秋山だ。
back next top Novels 怯えて唇を噛む志央に興奮した高橋の荒い息がかかる。 犯られ
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき10 BL小説 想像をたくましくして、電話の相手が先日芽久が口走った賢次郎という人物であり、おそらくいつぞやの夜、工藤を訪ねてきた男ではないかと良太は考えた。 「十分渡したって、何、金……? 工藤、…脅されてるわけ?」 おそらく直接問いただしたところで口を割るような男では
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください37 BL小説 ニヤニヤ笑いながらその男は志央の目の前にナイフをちらつかせた。 「わざと俺を挑発したのはきみだろ? さんざん俺の邪魔してくれてさぁ」 志央がきっと睨みつけるとさらに男は口をゆがめて笑う。 「近藤が俺にたてついて、もうイヤだなんて言い始めてさ。屋上であい
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき9 BL小説 良太がついぼそりとそんなことを口にすると、すっかり出来上がった下柳が笑った。 「そりゃ、良太ちゃんがかわいいから、ついからかいたくなるんだろ」 「何ゆってんですか、こっちは真剣に…」 いずれにしても、スタッフの中で有吉とうまくやっていけるかどうか、ちょっと自
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください36 BL小説 階段を駆け下りる途中、また幸也のポケットで携帯がなる。 『本校舎探してますがいません。そっちは?』 勝浩だ。 「いない。あとは体育館か、ホールの屋根とか…」 その頃東棟を飛び出し、グラウンドから校舎を見回し、本校舎の時計塔に目をやった七海は動きを止
back next top Novels 先週の木曜に喧嘩ごしで別れて以来、良太も工藤と顔を合わせるの
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください35 BL小説 やがて終業のチャイムが鳴り、六時間目の英語が終わると、志央はぐんとのびをした。 「志央、生徒会室、行くか?」 教室を覗いて幸也が呼んだ。 「あ、俺、今日日直。日誌出してくるから先行っててくれ」 「わかった」 日誌を書き終え、担任に提出して職員室を出た
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき7 BL小説 お願いしてやってもらうような代物ではないのだ。 未だに坂口なんかまでが良太に役者をやらないかなどと言っていたが、良太ならやらせればそこそこやっただろうことは、工藤にはよくわかっている。 さらにこのぽっとでの役者の下手糞さを見せられた日には、坂口でなくとも良
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください34 BL小説 松永はとっくに帰り、生徒会室には勝浩とぼんやりたたずむばかりの七海と二人だけだ。 「帰る? 七海」 「あ、ああ」 七海は力なく返事を返す。 勝浩は七海を促して生徒会室を出ると、鍵をかけ、顧問に鍵を返すために職員室に向かった。 「七海はまだあの人のこと
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき6 BL小説 ANAの最終便は札幌には何とか着いたものの、すぐに吹雪になった。 「まったく、三月だぞ! 気象庁は何してるんだ!」 ついこの間もイラつきながらこの空港を歩いた記憶までが蘇えり、この際、工藤もどうしようもないことだとわかってはいても、どこかに怒りをぶつけたくも
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください33 BL小説 様々な問題を抱えたまま、二日後、陵雲学園では次期生徒会役員選挙が行われた。 もともと今期生徒会に置いても、華やかな会長と副会長の傍らで際立って目立つというわけではないものの、二年生ではありながら例え相手が三年生であろうと言うべきことは言う、するべきことは
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき5 BL小説 「やたら、そのキーワードを繰り返すからさ。俺に言わせると、そいつは君のことを上っ面だけしか知らないんだ」 藤堂はしれっと言った。 「てことは、上っ面は能天気にみえると」 「賢そうに見えるバカより、バカっぽく見える賢者の方がいいに決まってる」 藤堂得意のわかる
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください32 BL小説 可愛い顔をして勝気な勝浩は、傍らで苦笑いする幸也にジロリと一瞥をくれると、プリンターから打ち出された資料を持ってきてそろえ始めた。 「おい、志央」 唐突に幸也の緊迫した声。 「どうした?」 幸也は持っていた携帯を黙って見せた。 何気なく覗き込んだ
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき4 BL小説 大体、『プラグイン』にしたって、ちょっとくらい仕事がなくたって、どうにかなるような会社じゃないのだ。 代表の河崎にせよ藤堂にせよ、別に働かなくても十分暮らしていける身分である。 なのに、みんな仕事人間だから、仕事に対する姿勢は半端じゃないけれど。 しかし
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください31 BL小説 「すごいじゃん、七海、カッコいい! ピアニストになれば?」 興奮した声で勝浩が賞賛する。 「バカ言え。あんなの譜面どおりに弾いただけだ。専門家が聴けばすぐ化けの皮がはがれるさ」 「でもすごい」 二人のやりとりを後ろに聞きながら、握り締めていた自分の拳が
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき3 BL小説 「業界では鬼が走り出したって、どこでも戦々恐々だって話だよ」 今日もまた、夕方、良太の好きなシュークリームを手土産にふらりと現れた藤堂が言った。 代理店プラグインのスタッフで、元は大手代理店英報堂のエリートだ。 「はあ??」 怪訝な顔で聞き返す良太に、
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください30 BL小説 「小学生の時な。発表会で、俺のポケットから飛び出したかえるが演奏してたやつのピアノに乗っかって大騒ぎになったんで、先生が俺にもう来なくていい、ってんでやめたよ」 志央は肩を竦める。 「ああ、それ! お前が発表会滅茶苦茶にしたってやつ? お前って昔っからい
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき2 BL小説 良太が振り返ると、立ったまま受話器を握り締めていた工藤は一瞬絶句していた。 下柳が知らせてきたのは、青山プロダクションの仕事には起業当初から携わってきた映像制作会社社長の訃報で、自殺だったという。 従業員十数名、外部要員も数十人くらいいただろう、良太が覚え
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください29 BL小説 目の色が違うだけで、雰囲気までがクールに見えてしまう。 女の子たちが手のひらを返したように、七海がカッコよくなった、と騒いでいた。 ふん、何を言ってるんだ、あいつのカッコよさはそんな、外見だけじゃないんだ。 俺は知ってるんだからな。 トカゲを踏
月夜の猫-BL小説です 月夜の猫-BL小説です BL小説 明け方から強風を伴って降り出した雨が通勤客を悩ませていた。 気まぐれな春の嵐は八時を過ぎても衰えを知らず、都心へと大挙して向かう人々の足を阻んでいる。 幸か不幸か通勤距離数十メートル、徒歩数分という環境にある広瀬良太には暴風雨もあまり関係がない。
月夜の猫-創作BL小説です お立ち寄りありがとうございます。
月夜の猫-オリジナルBL小説、創作BLです。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブ、業界、クリエイター、アスリート、バンド、社会人、学生、海外等。捻くれ度高、ハピエン必須、R18。小説:あきつ、イラスト:alyosha、松本悠莉。
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき(工藤×良太33) BL小説 夢のつづき(工藤と良太33) 「月の光が静かにそそぐ」のあとになります。(R18) ただでさえ仕事中毒のように国内国外飛び回っている工藤が、ここのところ一段と忙しない。その上、山野辺がまた妙に工藤に絡むのだが、どうも様子が普通ではないし、工藤もこそこそ誰かに会
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください28 BL小説 翌日から登下校を一緒にする七海と勝浩の姿が人目を引いていた。 勝浩の自宅に遠回りをして、七海は彼をバイクの後ろに乗せる。 帰りも、勝浩の生徒会の仕事が終わるまで、生徒会室の外で七海はじっと待っている。 「中に入ればいいじゃないか」 志央は声をかけた
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ15(ラスト) BL小説 一方、気持ちが悪くなって目を覚ました良太は、つい工藤と久しぶりなのに浮かれて飲みすぎたと後悔しつつ、何もかももどしてやっとラクになった。 「ったく、俺って、もったいないことばっかしてるよな」 自己嫌悪を引きずったまま、ちょっと汚してし
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください27 BL小説 二度と行きたくないと思っていた生徒会室だが、勝浩の仕事がまだ終わらないかと、七海は足を向けた。 だがドアの前に立ち、ノックをしても返事がない。 ドアを開けようとすると鍵がかかっている。 「あれ、帰っちゃったのか? 堺」 ポツリと口にした、その時だ。
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ14 BL小説 まあ、工藤がブランドもんなんか似合ってるなんてのは、今に始まったことじゃないし。 沢山のモデルやタレントがいたが、このダークグレイのスーツは工藤が一番似合って見えたとか。 年輪と渋みを重ねた分、きっとこの隣に座る男の魅力になっているんだろう、な
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください26 BL小説 勝浩が教室のドアを開けると、放課後の教室にぽつねんと一人、大きな体をかがめて七海が机に向かっていた。 「藤原、居残りだっけ? 政経?」 七海の手元のレポート用紙は真っ白なままだ。 「ああ…」 七海は間延びした返事を勝浩に返す。 「政経の岡田、食えないジ
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ13 BL小説 最近、飲酒運転の目に余る報道が多くなってから、工藤はこういったレセプションでも極力タクシーを使うか、グラスの酒には一切手をつけないようになった。 良太も、工藤が口をつけていたらと考えて、シャンパングラスも形だけ手に持っていただけだ。 「うわーで
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください25 BL小説 夕方の生徒会室では、創立祭の準備のために各クラス委員を招集し、生徒会総動員で冊子やPOPを作ったり、SNSなどで広報する作業が行われていた。 志央はここ数日機械的に体を動かしていた。 もう何もかもがどうでもいい。 頭は空虚で、考えるのを拒否していた
back next top Novels その時、良太のポケットで携帯が振動し始めた。 取り出すと案
back next top Novels 「……ああ。そう…だ………」 絞り出すような志央の言葉を耳に
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった51 BL小説 「すみません、後ろの人、静かにしてください」 響が説明をいったん切ったところで、最前列に座っていた青山という女生徒がきりりとした声で後ろでふざけ合っている男子生徒を注意した。 一瞬シーンと静まり返ったあと、響は何ごともなかったかのように黒板に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった50 BL小説 元気は鮎をつつきながら、「パーティは俺の店でやるんだが」と付け加えた。 「元気の店でか? またライブやる?」 井原は俄然目を輝かせた。 「お前は! まあ、やる予定だけどまだ詳細は未定だ。今度みんなで話すことになってる」 「わかった、俺も混ぜろ
月夜の猫-BL小説です 夢見月31 BL小説 「真岡が?」 工藤は聞き返した。 「前回の誓約を破らはったいうことですわな」 厳しい顔をしている工藤に、千雪は軽い口調で言った。 「偽のスクープで、沢村とアスカさんのことすっかり信じ込まはったんやな、沢村の父親も真岡弁護士も」 「だからあんなバカげたマネをした
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった49 BL小説 「響さんは何か隠してる」 井原はまた唐突に口にする。 「響さんがどうかしたんですか?」 「おい、お前、響さん、響さんて気安そうに! どういう了見だ?」 何気なく聞いた豪に、井原が突っかかる。 「いや別にどういう了見も何も………」 わけが分か
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった48 BL小説 「なあ、あの人、向こうで付き合ってたとかそういう話、聞いてるか?」 井原は必死な顔で元気に聞いた。 「響さんがそんなこと俺に話すと思うか?」 「だよな……」 元気の冷ややかな口調に井原はまた一つ溜息をついた。 「響さんを訪ねてきた金髪碧眼の色
月夜の猫-BL小説です ぶなの森4 BL小説 「良太ちゃん、お弁当食べよ」 菜摘が弁当を手に良太に声をかけた。 「あ、はい。ちょっと待ってください」 良太が手配したロケ弁をスタッフが配ってくれて、みんな各々アウトドア用のストーブの周りに陣取っている。 夏とはいえ、東京の暑さとはうって変わってここは別世界のよう
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に145 BL小説 「え、でもオフとかに帰ってくるんでしょ?」 浩輔が思い切り端折って佐々木に聞いた。 「俺にはオフとか、ないで?」 すかさず佐々木がシャープに返答する。 「あ、いや、そのう、盆暮れ正月?」 暗に沢村のオフの時には一緒に帰るのだろうという質問を、浩輔は言い直した
月夜の猫-BL小説です ぶなの森3 BL小説 小林千雪といえば、時折警察にも知恵を貸して解決した事件も多々あるミステリー作家として巷では知られているが、助教としてT大法学部に在籍している。 その彼を一躍有名にしたのが、分厚い黒渕メガネとぼさぼさの髪、超ダサダサのファッションセンスで、学内の女子学生の間では、ダサ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に144 BL小説 良太の周りで、何か大きな波がやってきて全てを流してしまうような、そんな思いが徐々に大きくなっていくような気がしていた。 そして良太自身もまたその波にのまれようとしている。 その波は工藤やこの青山プロダクションにとっても何かしら変化をもたらすのだろうと思われ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森2 BL小説 良太も業界内では彼女の不倫の噂は耳にしていたが、今のところ噂どまりなのは、相手の父親である代議士からの圧力と局側による彼女の所属する大手事務所Aプロへの忖度もあり、マスコミやスポンサー側へはもらさぬよう関係者に厳重に緘口令がしかれている所以だった。 昨今、不倫には
月夜の猫-BL小説です ぶなの森1 BL小説 青森県と秋田県にまたがって数千年前から存在しているぶなの原生林は、世界最大級といわれている。 世界遺産に登録されたこの白神山地には、貴重な動植物が生息しており、手つかずの自然が広がっており、真夏というのにひんやりとした空気は動きを止めていた。 数日前からこの地で
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月夜の猫-BL小説です 2024Summer BL小説 2024夏始■夏が来る(井原×響&元気)■Blue Moon(工藤×良太)boys love novel初夏にちなんだエピソードを順次アップしています 以前のエピソードに少し手を加えたり、新しいエピソードもアップする予定です。
back next top Novels 「ちょっと羨ましいかなと」 「え、天野さん、ひょっとしたら直ち
月夜の猫-BL小説です 夏が来る42 BL小説 江藤先生と秀喜のウエディングパーティは、集まったみんなが暖かく二人を祝福し、大盛況といえるうちに、最後みんなに送り出された二人は終始笑顔だった。 「幸せそうだったな、江藤先生」 パーティのあと、にゃー助の世話をしてから井原の家に来た響はぼそりと言った。 「先生
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月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ86 BL小説 「やつらって?」 アスカが聞いた。 「ああ、こないだ捕まえたやつら」 「捕まえた? ユキが?」 アスカが妙に突っ込んでくる。 「やから、情報提供して、警察が捕まえよったやつらのことや」 千雪の適当な説明にちょっと怪訝そうな顔をしたが、「とにかく、工藤さんも工藤さ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に141 BL小説 「俺、たまたま一人でおった時に、黒人の軍団に取り囲まれてもて、向こうは何かぎゃあすか言っとんやけど、俺、何ゆうてるかちっともわかれへんし、小突きよるし、怖うなってもて、にいちゃあーん、助けてやあ、て、でかい声あげたんや」 「え、それで?」 良太もその展開には
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos18 BL小説 工藤は会場からずっと紫紀と何やら話し込んでいたため、その後ろにくっついていた良太も、必然的に小夜子の相手をしていた。 「そうなの。うちにいる子達も原の家にいる子もみんな千雪ちゃんが拾ってきた子なのよ」 確かに千雪とよく似ているのだが、言葉ははん
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos17 BL小説 シャツ一枚でのろのろとじゅうたんから身体を起こし、上着のポケットに携帯を戻してから、良太は散らばったズボンやタイなどを見回して苦笑した。 あーあ、あんなに絶対許さないって思ってたのに、簡単に悪党の手に落ちてる自分が笑えるぜ…。 「んで、その悪党
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に140 BL小説 「いや、浩輔、知らん間に営業しよることあるし、案ずるよりっていうやろ?」 佐々木が慰めるでもなく言った。 「佐々木さんまで、適当なこと」 「大丈夫だって。まあ、何かあったら、河崎に行ってプライベートジェットで飛んでくればいいよ」 藤堂が笑う。 「またそういう
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos16 BL小説 大きな腕に抱き込まれ、わずかに目を開けた途端飛び込んできた工藤の色めいた視線の熱さに貫かれるともう、脳髄まで蕩けていく。 思わず目線を落としたつもりが、工藤の胸に顔をうずめると、フレグランスに混じった工藤の汗の匂いがシャツを通して鼻腔をくすぐり
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ85 BL小説 千雪が良太を見つけてから結構もたついたので、二十分ほど経ったろうか。 工藤はドアをガンガンノックした。 その間に秋山と井上も駆け付けた。 「良太!!」 工藤が叫んだ。 「……工藤……さん!」 良太の声が中から聞こえ、やがてドアが開くなり、みんなが中へとなだ