月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった68 BL小説 完全に酔っぱらって口にしている言葉が理解できていないのが元気にもわかった。 「こんな田舎で、男同士で、教員同士で、リスクが高いって、まあ、そりゃそうだなって」 響はハハハと笑う。 笑うのだが涙がぽろぽろ零れるのを拭いもせずまた酒をマグカップに
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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back next top Novels 「佐野さん、もてるからな」 宇都宮もそんなことを言った。
back next top Novels 「だから、何しに来たんだよ、沢村。言っとくけど今超忙しいから、
back next top Novels あたかも二人の蜜月の終わりを暗示しているかのように。 それ
back next top Novels 「お前さ、もちっと佑人くんに優しくしねぇと、坂本っちゃんに持っ
back next top Novels ところがそんな感慨にふける暇はなかった。 「とぼけないでよ!
back next top Novels と、また工藤限定着メロが鳴りだした。 「言い忘れたが、明日、
back next top Novels 「どうよ、うちのサイッコーにイケてるスイーツのお味は?」 テ
back next top Novels 歩いていないと足元から崩れそうな気がした。 自己喪失、自己
back next top Novels ACT 6
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)114までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)114までアップしました ■エピソード秋の陽 が長々と続いてしまい、もう初冬に入ってしまいましたので、■Xmas2023 を設定いたしました。 クリスマスエピソードをアップしてまいりますので、よろしくお願い
月夜の猫-BL小説です 霞に月の114 BL小説 「彼、前々からちょっと短気なところがありまして、以前の彼女に暴力を振った的なことが噂になりましたね。訴えようとしていた女性を事務所が金で片を付けたらしいです。ここのところ、どこからか今付き合っている女性と夜中に悶着を起こして隣人が警察を呼んだという噂があって、
back next top Novels 先日、いろいろ話をしてから、良太の前ではなのかもしれないが、
back next top Novels 新年まであと数日を残すだけとなった年の瀬だが、ここオフィスサ
next top Novels 十二月に入ると街は色とりどりのイルミネーションに彩られ、世の中は何となく
力と佑人 Novels ★クリスマスの空 空は遠くの後のssです。 高校最後のクリスマス、相変わらず口げんか
■クリスマスの空(力×佑人) ■好きだから(沢村×佐々木) boys love novel Xmas 2023
back next top Novels 「ええ~? せっかくやる気になってたのにぃ」 二村の言葉があ
back next top Novels 「自信家で傲慢な、天才スラッガーのお前にここまで言わせるって、
back next top Novels 「くっそ! デタラメなこと書き立てやがって、あんな女とこれっぽ
back next top Novels シティホテルの一室では贅沢な空間を持て余している人間がひとり
back next top Novels 「だからだめなのよ! 高広は! はいそうですか、でいいわけ?
月夜の猫-BL小説です 残月32 BL小説 「二村さん、どこか怪我したんですか?」 マネージャーの下山も驚いてあたふたしている。 「二村さん、石畳につまづいたみたいです」 良太ははっきりと周りにも聞こえるようにマネージャーに説明した。 「うそ、あの人に転ばされたって言ったでしょ!」 二村はまだ明らかなウソを口
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!71 BL小説 馴染みの居酒屋の暖簾をくぐると、カウンターもテーブルも、一年の労を労い合う会社員の赤い顔で満杯だった。 二階から聞こえてくる賑やかさは一段とテンションが高そうで、佐々木は一瞬上に上がるのを躊躇したほどだ。 ジャスト・エージェンシーの忘年会は毎年、この
back next top Novels コンコンと窓を叩く音に腕組みをして目を閉じていた沢村は顔をあ
back next top Novels 「自慢やないけど、小中高とストーカーには悩まされたんですよ。そ
back next top Novels 「そうだ、広瀬くん、また連れて来いよ。彼、一生懸命って感じでお
月夜の猫-BL小説です 残月31 BL小説 確かに竹野は自分の要求をはっきり口にするので我儘と言われるし、下手な役者にはっきりボロクソに言うしだが、それも彼女のキャリアに裏打ちされたものでもあり、ただきついだけ、というやつだった。 ところが今回の撮り直しは、誰もが二村の振る舞いのせいだとはわかっていても、
back next top Novels 沢村はと言えば、ただ何も言わず、待っていた。 佐々木には沢
back next top Novels 「すみません、何か、スタッフがご迷惑をおかけしたみたいで」
back next top Novels 日曜はといえば、佐々木はまた母親のお供でトモのことどころでは
back next top Novels MBC本社の会議室を出ると、紺野が昼を取ろうというので工藤は
back next top Novels 「そうだね、それと………」 良太は匠を呼びつけた本題に入った
back next top Novels 体が弱かったくせに遊び人だった父親はその時点で既に他界してい
back next top Novels 八時半くらいに出てタクシー拾おう。 携帯を見ながら良太は、
月夜の猫-BL小説です 残月28 BL小説 檜山は怒ったりしたことはないし、女子にも優しいようだが、さすがにライン交換まで言い出した時は口を噤んだ。 良太はその様子を見ていて、彼女のマネージャーはと探すのだが、隅の方で電話をしている。 二村は中堅大手のドリームエージェンシー所属女優で、所長の縁戚関係で事務所側も
back next top Novels 「もしかしてナオちゃんなら、あの母親ともうまくやっていけるかも
月夜の猫-BL小説です 残月27 BL小説 秋晴れの京都は観光客で賑わっていた。 いや、よくもこれだけこの街に集まったよな、と良太が呆気にとられるくらい、ごった返していた。 もちろんアイドルや超人気俳優がいるわけではないから、本谷の時のようなファンで溢れかえるようなことはないだろうと思われたが、それでも南澤奈
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!64 BL小説 母親を安心させたい……か。 うちが家庭崩壊しているから、そんなこと考えもしなかった。 空のグラスに注がれたバーボンを、沢村はまた一気に飲み干した。 「大丈夫? 何かあったの? そういう時は言葉にしちゃった方が楽になるわよ」 マリオンに声をかけられて、そ
霞に月の(工藤×良太)109 恋ってウソだろ?!63 残月26 までアップしました
back next top Novels 「あ、ええ、業務報告です」 「じゃあ、ちょっと河岸を変えますか
back next top Novels 「忙しそうやな、相変わらず」 良太がお茶の後片付けをしている
back next top Novels グラスを握る手に力が入り、沢村は一気に飲み干した。 そう、
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!63 BL小説 グラスを握る手に力が入り、沢村は一気に飲み干した。 そう、あのハロウインの夜、あの人、最初、すんげー美人って思ったんだ。 近づいて話しかけたら、男だった。 あの人は既に結構酔っていたし、どうやら振られたような話で意気投合して、部屋にあの人を連れて行った
back next top Novels 「天野さんは、何かありました? 急に飲みって」 すると天野は
back next top Novels 「和菓子職人? っていうより、アスリートってか、何かやってるだ
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!62 BL小説 古谷にもギャップが激しいと言われたことがある。 ただ、良太の付き合っている相手が工藤と知らなければ、良太をずっと自分の手元に置いておきたいという思いが、良太を恋愛対象としているのだと気づくことはなかったかもしれない。 良太が工藤にメタ惚れなだけでなく、
back next top Novels そういえば、和菓子処『やさか』のスタッフも、しゃきっとした面
back next top Novels 志村クラスの役者だからこそで、これが人気だけの俳優なら檜山の
back next top Novels それこそ、大勢の人間が楽しんでいる中で、佐々木を問い詰めるわ
back next top Novels 「あら、これからお出かけ? 楽しそうね」 帰り支度をした鈴木
月夜の猫-BL小説です 残月23 BL小説 翌日は朝から檜山邸で撮影が行われた。 今回は奈々も出演しているので、谷川と小杉が顔を合わせると何やら真面目な顔をして話をしていた。 良太は離れていたので内容はわからなかったが、ひょっとして小杉が母親を施設に入れたこととかだろうか、と気になった。 小杉は、母親のこ
back next top Novels ACT 5
back next top Novels 「命運とかって脅すし」 良太は良太で、閉まったドアに目を向け
back next top Novels 俺にはわからないな。 もちろん、俺なんかよりいろいろあった
back next top Novels 途端、佐々木は、さっき沢村が横に立った時の自分の感情がひどく
back next top Novels 実際、工藤や千雪の後輩と名乗ることすらおこがましいような気が
back next top Novels 何、やってんね……だらしないで、俺………。 どうしても、沢
back next top Novels 「結論から言うと、工藤さんに香坂准教授くっつけよう作戦、完敗や
back next top Novels 「気になって東京に戻ったら、刑事が研究室まで押しかけて来よって
back next top Novels ったく、この程度のことで、しゃんとしろよ、俺! 佐々木は自
月夜の猫-BL小説です 霞に月の103 BL小説 「昨日みたいなことってよくあるわけ? まあ、良太ちゃんを危険にさらしたくないって気持ちはわからないでもないわよ」 腕組みをしながら香坂は続けた。 「でもさ、だからって、良太ちゃんの気持ちをおろそかにしたらあかんでしょう、って千雪ちゃんのお言葉」 ふっと笑いなが
月夜の猫-BL小説です 残月19 BL小説 「千雪さん、こないだ工藤さんが捕まった時、警察に対してメチャ辛らつだったでしょ。俺ももちろんふざけるなって思ってたけど。でも前に容疑者扱いされたって聞いたからきっとそのせいもあるなって」 九月に工藤が冤罪で犯人にされるところを千雪が真犯人を突き止めた事件の時のことを
back next top Novels 「何か飲み物もろてくるわ。直ちゃん何がええ?」 佐々木は立ち
back next top Novels 「急にたくさんお願いしてすみません」 「どうもおおきに。けど、
back next top Novels 情報はもちろん直子の受け売りだが、世の中の情勢を見るのにたま
back top Novels 「このやろ……」 怯えを湛えた眼差しが自分だけに注がれている。 キチク
back next top Novels 香坂はパンツスーツだが、いつもよりは気合が入っていたものの、
霞に月の(工藤×良太)101 Tea Time30 恋ってウソだろ?!54 残月17 までアップしました 月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)101までアップしました
back next top Novels 翌朝起きた時は十分寝たはずが断片的だが夢を思い出すと、どっと
back next top Novels 佐々木は「熱いなぁ」と溜息混じりに言った。 「ああいう情熱、
back next top Novels 「とにかく、タケさん、七海に今度会ったら、ちゃんとおごってやっ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の101 BL小説 みんなが良太を大切にしているのはよくわかっているし、そこのうるさいお嬢さんの言葉を借りた秋山の言いたいことも工藤には痛み入るほどだが、正直工藤には大切と思えば思うほど、このまま良太を傍に置いていいものかと考えてしまうのだ。 コーヒーをすすっているとまた携帯が鳴
back next top Novels 檜山は笑った。 「良太はすごく、幸せに育ったんだなってわかる
back next top Novels 「先生はやめてほしいわ。高津って、東美大で大賞取った人やろ?
back next top Novels 夜七時になる前に、ユウと勝浩はいつものようにゆっくりと散歩か
back next top Novels 工藤は千雪のことを好きなのだと、そう思いながらも良太は工藤の
back next top Novels 「メリークリスマス! これはこれは、どこのモデルさんかと思いま
back next top Novels えっというその目が勝浩を捕らえ、次にはスーツに身を包み、セカ
back next top Novels 工藤にとって誰が大切かなど、拉致された香坂を人任せにして意識
月夜の猫-BL小説です 残月14 BL小説 「ってか、あの………」 千雪には京助という背後霊のように千雪に付きまとう存在がいて、しかも超ヤキモチ妬きなあの京助のことを、檜山が知っているのかどうか計りかねたので、言葉が続かない。 「どうしてあの、そんなことを………」 「だから、研二を好きになっても無駄だよって
back next top Novels テレビの前のテーブルに弁当とお茶を用意して、直子は佐々木を呼
back next top Novels ショックではあったけれど、あの頃は半分諦めていたことだからと
月夜の猫-BL小説です 霞に月の99 BL小説 朝から雨が降りつづいていた。 「お帰りなさい、お疲れ様です。今日は一日雨みたいですね」 四時頃オフィスに戻ってきた工藤を鈴木さんが出迎えて外に目をやった。 「コーヒーになさいます?」 「お願いします」 工藤が奥の自分のデスクに落ち着いた途端、携帯が鳴った。 鈴木
月夜の猫-BL小説です 残月13 BL小説 病院の女性看護師陣には、イケオジとかって受けてたみたいだけどさあ。 「匠って、研二さんのお知り合い、でしたっけ?」 良太は前から聞いてみたかったことを口にした。 「ああ、兄と一緒に何かの茶会に出席した時、茶会が終わってから亭主が出席していた研二に紹介してくれたんだ。美味
back next top Novels 病院の女性看護師陣には、イケオジとかって受けてたみたいだけど
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!50 BL小説 「………ええ加減にせぇや! あとになって野球やめたんは俺のせいやなんて言われても、俺には責任取られへん!」 「俺にとって何が大切かは俺が決めることだ。今までも、これからも」 トモは語気を強めて言い切った。 「……強いんやな。俺はあかん。すぐいろいろ
back next top Novels ACT 4 あくる朝のことである。 バイクで第三京浜
back next top Novels 立派な和風建築の横に明治あたりに建てられた和洋折衷が母屋で、
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!49 BL小説 「はい、やっぱ、あかんかった? 直ちゃん」 「トモです」 てっきり直子だと思って取った受話器の向こうから聞こえてきた声に、佐々木は絶句する。 「今晩、会えませんか?」 低い、静かな声だった。 おいおい、こんだけ電話無視されたら、会いたくないんやと思うや
月夜の猫-BL小説です Tea Time25 BL小説 「このまま勝っちゃんのこと放っといていいのかよ」 「気になるんなら、お前がかまってやれば」 「何で俺が?」 あくまでも他人事のように言う幸也に、武人はイラっとして声を上げた。 「だから!」 幸也はくるりと武人を振り返る。 「勝浩が車が欲しいとか、ゼミ合宿
back next top Novels そんなことを考えながら、スケジュールを確認した工藤は、「明後
back next top Novels 長野の農家の息子が東京の美人OLに一目ぼれして猛アタックし、
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!48 BL小説 クリスマスイブ、東京の空は朝からぐずついていて、せっかくのイリュミネーションも雨に煙っている。 直子はジャスト・エージェンシーに出かけたので、佐々木は一人でパソコンに向かっていた。 仕事がもたついている。 昨日の休日も一人オフィスに出てきてやっていたの
back next top Novels 「おう、幸也か。俺も電話しようと思ってたところだ。あ? 何だっ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)97までアップしました BL小説霞に月の(工藤×良太)97 Tea Time23 残月10 恋ってウソだろ?!47 までアップしました
月夜の猫-BL小説です 残月10 BL小説 「そうですね、やはり事故の時工藤さんが良太につきっきりだったとか、そういうことで、何か悟ったのかも知れませんね」 「ああ、そうね。SNSで流れてた工藤さんの必死怖い表情、あれ見たらね~、好きな人の行動だったら、やっぱわかっちゃうかもね」 「まあ、推測ですが。今回のド
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!47 BL小説 『あいつ何か失礼なこと言いませんでしたか? マスコミとかにメチャ無愛想で、上から目線だし。一応、ちゃんと礼儀正しくしろよとは言っておいたんですけど』 「いや、……そんなことは。良太ちゃん、随分親しいんやね? 沢村選手と」 『親しいってか、ガキの頃からリ
月夜の猫-BL小説です Tea Time23 BL小説 「勝っちゃん、ちょっといいか?」 検診のあと動物たちを落ち着かせると、当番をのぞいてみんなそれぞれ散っていき、最後にユウを連れてボロいクラブハウスを出た勝浩に武人が声をかけた。 「レポートありますから、そんな時間ないですけど」 勝浩は硬い表情のまま武人を
月夜の猫-BL小説です 残月9 BL小説 そういうきっかけとか、あったんだろうか。 でも、やっぱ、俺なら、簡単に思いきれないだろうな。 「田園の方も、チェックしておけよ」 仕事の鬼が隣で言い放った。 「はい」 ちぇ、ちょっとは本谷の心を思いやるとか、ないのかよ。 「檜山の家の撮影はうまくいきそうか?」 良太の心
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!46 BL小説 シャンパンゴールドの煌きに通りは彩られていた。 仕事で丸の内に来て、外に出てみたら既に日は暮れていたが、豪奢な光の渦に佐々木は目を細めた。 クリスマスまであと数日、あちこちのイリュミネーション・スポットでは今年最後の輝きを競っているようだ。 それはい
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった68 BL小説 完全に酔っぱらって口にしている言葉が理解できていないのが元気にもわかった。 「こんな田舎で、男同士で、教員同士で、リスクが高いって、まあ、そりゃそうだなって」 響はハハハと笑う。 笑うのだが涙がぽろぽろ零れるのを拭いもせずまた酒をマグカップに
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった67 BL小説 ふと手にしていた携帯に気づいた響は、誰かの言葉が聞きたくなった。 酔っているのでためらいもなく、一つの番号を押した。 五回目のコールで、声が聞こえた。 「響さん? どうしたんですか? こんな時間に」 「なんかさ……深淵の底から俺が呼ばれて
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった66 BL小説 女性の方が結構年上でというだけで結婚なんてあり得ないとするようなこの街で、高校教師が、しかも男同士がつきあうとか、考えも及ばないに違いない。 先生なんて呼ばれるような人間じゃないと思っていた響だが、いつの間にかそう呼ばれることに慣れてしまった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった65 BL小説 放課後は理科系の会議があるらしいし、今日は井原の顔を見ないで終わりそうだ。 もっとも響こそ、井原とどんな顔をして会えばいいかわらからなかったから、少し胸を撫でおろしていた。 ぼんやりしていたので、ドア口に人がいるのに気づかなかった。 「和田
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった51 BL小説 「すみません、後ろの人、静かにしてください」 響が説明をいったん切ったところで、最前列に座っていた青山という女生徒がきりりとした声で後ろでふざけ合っている男子生徒を注意した。 一瞬シーンと静まり返ったあと、響は何ごともなかったかのように黒板に
back next top Novels 「よかったに決まってるだろ。さっきの見たろうが。ここについたの
月夜の猫-BL小説です 夏が来る43(ラスト) BL小説 「だから、何で去年より人数が増えてるんだ!」 元気が溜め込んでいた鬱憤を晴らすかのように声を上げたのは、中央道をしばらく走ったところの諏訪湖サービスエリアでのことだった。 「まあまあ、俺ら車別なんだからいいじゃん」 井原が頭が沸騰しそうな元気を宥め
月夜の猫-BL小説です ぶなの森9 BL小説 良太の心にわだかまりを残したまま、工藤は東京に戻ってしまった。 だが良太は最後のパーティが終わるまでここにいなくてはならなかった。 海棠役の流とヒロインを慕う青年佐原が森でヒロインを探すシーン、ヒロインが池に浮かんでいるのを見つけるシーンの撮影が終わり、ロケ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に149 BL小説 そしてどうも工藤としても鈴木さんには頭が上がらないらしいことも良太は知っている。 「でもさ、あのオフィスで、平然としていられる鈴木さんこそ、人格者だと思わない?」 「それ、俺も昔思たわ。鈴木さん、何があっても動じないって感じで、美味しいお茶とか出してくれ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森8 BL小説 現れたのは工藤だった。 監督と話をしながら、良太と菜摘がこちらに歩いてくるのを工藤は見ていたのである。 そこへ、男が現れた。 「へえ、あんたが噂の工藤か。なるほど、社長が社長だからな、その大事な部下に女優のコマシ方でも教え込んでいるわけだ」 「あいにく忙し
back next top Novels 「京助ってば、ちょっとマジ過ぎない?」 香坂が肩をすくめる。
月夜の猫-BL小説です ぶなの森7 BL小説 どうせ良太がイタリアにいくことは当分ないのだから、余計なことを考えなくて済むだろう、と。 だが、よもや案外早く良太にそれが知れることになろうとは、工藤も思っていなかった。 「嫌だ…いやだってば! バカやろ…」 「何が、嫌だって?」 そんな工藤の言葉が合図のように
back next top Novels 「研修は四月からやろ? スキーは行けるな」 千雪が良太に聞い
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)146まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)146、夏が来る42 まで更新しました 2024Summer、 夏にちなんだエピソードを順次アップしています ぶなの森(工藤×良太22)6 夏のエピソードです。 かぜをいたみ87(ラスト) 最後までお
月夜の猫-BL小説です ぶなの森6 BL小説 「あいつ……、よほど、お前がキモイといっていた小林千雪だって言いたかったですよ」 戻ってきた千雪に思わず良太はぶちまける。 「あの子、工藤さんにベッタリなんやて? 良太、それで面白くないわけや」 「誰に聞いたんですか~そんなこと。わかった、アスカさんだな」
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に146 BL小説 「そうだ、良太さん、ニューヨーク行く前、壮行会やりましょうよ」 天野が語気を強めて言った。 「そんな大げさな。たかだか三か月なのに」 「壮行会という名を借りた飲み会」 真面目にそんなことを言う天野に、良太はまた笑った。 「わかりました」 「約束ですよ」 「そ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森5 BL小説 「あの女とは何でもない」 工藤は言うのだが、どうやら今はそうだとしても昔はよろしくやっていたらしい。 まだほかにもあちこちに工藤の女がいるに決まっている、と言ったのは、青山プロダクション所属のイケメン俳優、小笠原だ。 そんなことをいわれると、良太としては工藤がイタ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森4 BL小説 「良太ちゃん、お弁当食べよ」 菜摘が弁当を手に良太に声をかけた。 「あ、はい。ちょっと待ってください」 良太が手配したロケ弁をスタッフが配ってくれて、みんな各々アウトドア用のストーブの周りに陣取っている。 夏とはいえ、東京の暑さとはうって変わってここは別世界のよう
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に145 BL小説 「え、でもオフとかに帰ってくるんでしょ?」 浩輔が思い切り端折って佐々木に聞いた。 「俺にはオフとか、ないで?」 すかさず佐々木がシャープに返答する。 「あ、いや、そのう、盆暮れ正月?」 暗に沢村のオフの時には一緒に帰るのだろうという質問を、浩輔は言い直した
月夜の猫-BL小説です ぶなの森3 BL小説 小林千雪といえば、時折警察にも知恵を貸して解決した事件も多々あるミステリー作家として巷では知られているが、助教としてT大法学部に在籍している。 その彼を一躍有名にしたのが、分厚い黒渕メガネとぼさぼさの髪、超ダサダサのファッションセンスで、学内の女子学生の間では、ダサ
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月夜の猫-BL小説です ぶなの森1 BL小説 青森県と秋田県にまたがって数千年前から存在しているぶなの原生林は、世界最大級といわれている。 世界遺産に登録されたこの白神山地には、貴重な動植物が生息しており、手つかずの自然が広がっており、真夏というのにひんやりとした空気は動きを止めていた。 数日前からこの地で
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月夜の猫-BL小説です 2024Summer BL小説 2024夏始■夏が来る(井原×響&元気)■Blue Moon(工藤×良太)boys love novel初夏にちなんだエピソードを順次アップしています 以前のエピソードに少し手を加えたり、新しいエピソードもアップする予定です。