月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった69 BL小説 「今度は、少しずつ間を詰めて、絶対ポカしないつもりだったんだ。でも、あの金髪野郎が現れて、俺、頭に血が昇っちまって、つい、告るの早まったのかも」 井原はやはり響しか見えていないらしい。 「お前さ、外野のことも少しは考えた方がいいんじゃね?」 「外
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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月夜の猫-BL小説です 幻月39 BL小説 グラスに酒を注いだり、氷を入れたりというような仕事も、卒なくこなし、言葉遣いも控えめで丁寧な上、色々なお稽古事を子供の頃からこなしている直子は姿勢もよくきれいな仕草が一層エレガントに見せている。 だが、その紳士の手が身体に伸びた時、内心直子はぞっとした。 そして藤堂が
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!17 BL小説 「この際、新調しちゃったら? 天才クリエイターですってやつ」 「新調なぁ」 他愛ないおしゃべりをして、直子が企画書のデータをPCに打ち込み終わる頃には六時を過ぎていた。 「今日はこれで上がってもいいかなぁ?」 カップや皿を片付けてキッチンから出てきた直
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ38 BL小説 優しさをまともに受け取る方がバカなんだと言い聞かせながらも、ユウの後から現れた幸也の顔を見た時、ひどく嬉しいと思ってしまった自分を、勝浩は嗤った。 「勝っちゃん!」 山荘の前で待っていた検見崎は、幸也の後ろにユウを従えて戻ってきた勝浩を見ると駆け寄ってぎゅっと
月夜の猫-BL小説です 霞に月の75 BL小説 「ああ、工藤の同級生とかって言ってたな。T大の香坂准教授」 「そうだ、インテリ軍団の」 「そういえば、モリー、彼女とどうなんだよ」 良太は香坂と工藤のことをあれこれ森村が詮索する前に話題をずらした。 「ソフィ? あれから一回会った。休みがなかなか合わないからな。で
月夜の猫-BL小説です 幻月38 BL小説 「おお、名探偵コナン氏とその仲間たちか」 中のメンツを見回すと、今一つ張りのない声で藤堂は言った。 「すみません、お呼びたてして。店に戻られるのならこれをお願いしたいんですが」 良太は加藤から渡された小さな盗聴器二つを何も言わずに手に取った。 「テープはがせばくっつきます
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!16 BL小説 今までの佐々木周平は誰かに必要とされたから、それに応えてきただけだ。 春日の庇護の下だからこそ、いかにもデキるクリエイターですというような顔をしていられた。 俺は河崎さんらと違ごて、デキる男なんかやない。 仕事に対する自信すらここにきてグラついた。 そ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ37 BL小説 ユウの声が聞こえた気がして、ふっと勝浩は顔を上げた。 闇に目が慣れてくるとどちらを向いても木立しかない。 夜の林の中は何か言い知れぬ澱みを含んでいる。 ぐんと冷えてきたし、Tシャツに長袖のシャツをはおっているが、じっとしていたから余計に寒くなってきた。 立ち上
back next top Novels 最近、良太もようやく自分が仕事をやっているという実感を持てる
月夜の猫-BL小説です 幻月37 BL小説 「やから、プラグインの藤堂さんとか入ってったやろ?」 「あ、それ! 何でって思ったんです。まさか藤堂さん、どこかから工藤のこと」 「まあ、あり得ないことやないけど。それより、佐々木さんとこの直ちゃん、その前にえらいバッチリなメイクで店入ってったで」 「うそ!」 それは
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!15 BL小説 五時か。 日が落ちるの早よなったな。 佐々木は藤堂が運転する車の後部座席から街路灯がともり始めた通りをぼんやりと見つめていた。 近づいてくる夜が佐々木の心を重くする。 何や、いややなぁ。 このままばっくれてまおか。 「冬でも雷、ビシバシ落ちるからね、
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ36 BL小説 また、だましたんだ…! 優しさも嘘っぱちだったんだ! 何で…… ひどいよ! いくら俺でも、 そんなの、耐えられないよ! バカヤロー! どこを走っているのかわからなかった。 ただ、走った。 哀しすぎて、涙も出てこない。 どれだけ走ったろう。 スニーカーがもつれ
月夜の猫-BL小説です 幻月36 BL小説 どう見ても人相がいいとは言えない、ブランド物のスーツが浮いている雰囲気の男は、クソと舌打ちしてまた中に戻っていった。 「………もろ、下っ端ヤクザって感じだな………」 この手の店はバックに反社会的勢力がついていることが多いとはよく聞く話だ。 「あ、あれって確か、出水とか
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!14 BL小説 「そう、ほら、美しいモデルさんに着物を着てもらうことはいくらでもできるけど、茶道のプロで美しいモデルさん、っての探すのはなかなか難しいんですよ。だから、このプロジェクトはあれもこれも佐々木さんにかかってるといっても過言ではない」 藤堂の言葉には妙な説得力が
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ35 BL小説 寒い、と感じて勝浩は目を覚ました。 まだ夜は明けていないようだ。 リビングの大時計は夜中の二時過ぎを示している。 辺りを見回すと、美利も垪和も、隣のソファで眠りこけている。 大杉や春山たちも死屍累々といったありさまだ。 かろうじて部屋に戻った者も、まずベッドに
back next top Novels 薬が効いてきたのか、昼前には頭痛が消えていた。 午後からは
月夜の猫-BL小説です 霞に月の72 BL小説 早朝福岡から羽田に着いた工藤は、会社の前でタクシーを降りると、オフィスに続く階段を上がっていた。 十時まではあと十五分ほどというところで、工藤はちょうどタクシーが会社の前に止まるのを見下ろした。 すると良太が慌てて車を降りてエレベーターへと走っていくのが見えた。
月夜の猫-BL小説です 幻月35 BL小説 鈴木さんが帰ると、良太は自分の部屋にそそくさと上がり、猫たちのお世話をしてから、クローゼットを覗き込んだ。 以前工藤の命で誂えたブランド物のスーツを着ると、髪形も滅多にやらないがジェルで前髪をかきあげるように整え、いつものリュックではなくかっちりしたブリーフケース
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!13 BL小説 「ほい、いいところへきたね、佐々木さんのお土産だよ」 藤堂が良太に器に盛った菓子をすすめる。 「わ、きんつばだ。いただきます」 「一番町の有名な菓子処らしいよ」 「ほんと、美味しいです。佐々木さん、よかったらこのお店、教えてください。今度大和屋さんに伺う
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ34 BL小説 「そう……ですね、一寸の虫にも五分の魂、って言いますもんね」 勝浩は言った。 「またまた、悟りきった仙人みたいな例え」 「祖父がよく言ってたんです」 幸也の微笑みが妙に優しく見える。 「まあ、ミクロはミクロなりに、近場から開発を進めていくのさ。さしあたっ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)71までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)71、幻月(工藤×良太)34、月で逢おうよ(幸也×勝浩)33、恋ってウソだろ?!12、までアップしました
月夜の猫-BL小説です 霞に月の71 BL小説 「第一俺なんか、てんでそんな力もないし、あれは俺の黒歴史なんで、ほんと」 すると天野は、「すみません」と頭を下げる。 「わかってます。広瀬さんのせいだとかではないって。ほんと今は、こうやって話が出来て嬉しいです」 「え、いや、こちらこそです。ドラマではお世話になり
月夜の猫-BL小説です 幻月34 BL小説 「それと今さっき谷川さんからまた連絡が入ってね。彼の昔の情報屋経由でわかったんだが、木戸が近々金が入るみたいなことを言いふらしていたらしいが、どうやら木戸をこの事件に引っ張り込んだのは刑務所で知り合ったらしい出水という男で、傷害で三回ほど刑務所を出たり入ったりのヤツ
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!12 BL小説 名刺………やっぱり、知らんうちにあの男に名刺渡したんやろか……… またしても佐々木の思考は昨夜の男へと向かう。 実際酔うとったし、顔もおぼろげ、何をやったかもおぼろげ、俺、あの男に何をしゃべったんや? まさか仕事上の機密っぽいことはしゃべってないよな。
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ33 BL小説 何せ、カラオケをやるもの、踊りだすもの、はじけきった夜が深まると、度をこえた酔っ払いが、リビングのあちこちで死屍累々と倒れ込む姿が見られた。 「最後のモエ、開けるよー。美利ちゃん、飲む?」 垪和が言った。 「わ、飲むー。勝浩くんは?」 「俺はいいよ」 見かけに
back next top Novels 「や、最近、ダチと飲む機会もなくて、久しぶりなんですよ、肩の凝
月夜の猫-BL小説です 幻月33 BL小説 「わかった。何かおかしなことがあったらすぐに俺のところにくるんだよ」 「ラジャ!」 パーキングから車で出ていく直子を見送って、のんびりと歩いていた藤堂だが、通りかかったタクシーを拾った。 ワンメーターほどの距離に嫌そうな顔をした運転手に、「悪いね、急ぐんで、釣りはいら
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!11 BL小説 俺て、恋愛運とことん悪い思てたけど、ここまできたらお祓いでもしてもろた方がええんちゃう? 南青山にある広告代理店プラグインは、二年前、大手広告代理店英報堂のエリートだった河崎、藤堂の二人が興した会社で、河崎の元部下である三浦と浩輔を加えた四人がこのオフィ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ32 BL小説 「知らなかったの? ほら、二人のおじいちゃま、元政治家の」 ひかりが言った。 「ああ、長谷川元外相?」 「幸也のパパとタケのパパが、その息子だから。タケのパパは婿養子に入ったから、検見崎だけど」 「え、そうなんだ………じゃあ、似てても当然ですね」 ごく普通
back next top Novels 「ほんとは、竹野さんと付き合ってることをマスコミに嗅ぎつけられ
月夜の猫-BL小説です 幻月32 BL小説 「いやもちろんもちろん。それにその二人の話からも、完全に工藤さんをクロにできない何かがあるんだろう。当然、否認しているだろうし」 藤堂は一人頷く。 「うーん、とっくに名探偵コナン氏も動いているだろうけどね。小田弁護士もついているから」 「そうなんだけど、やっぱりさっき
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!10 BL小説 心臓がドキリと跳ね上がる。 あの男だろうか。 何故佐々木の電話番号を知っているのか、一応そのあたりのことは確かめなくてはならないだろう。 「…………はい」 「切らなくてもいいでしょ? 今朝だって、何も言わずに帰っちゃうし」 背筋にすっと悪寒が走る。 「す
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ31 BL小説 「あいつら学生じゃねーだろ」 幸也が怪訝な顔をする。 「だから、女の子ならいいの」 「少なくともしょっちゅう仕事でいなくなるタケより俺のが役に立つよな、勝浩」 今度は勝浩を巻き込むつもりらしい。 「ちょっと手伝ったくらいで、口だけ男のお前に懐柔されるわけないだ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)68までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)68、恋ってウソだろ?!9、月で逢おうよ(幸也×勝浩)30、幻月(工藤×良太)31までアップしました
back next top Novels と、その時、天野がむっくりと起き上った。 「天野さん、三軒茶
back next top Novels 「あ、藤堂ちゃん、今、オフィス? うん、ちょっと聞きたいことが
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!9 BL小説 「そやね、キッチングッズとか一所帯いるよねぇ。悪いけど直ちゃん、買い物行って来てくれるかなあ」 佐々木はオフィス用に作った法人カードを直子に渡した。 「例えばグレードは? 食器類とかの。あと、佐々木ちゃんのご要望は? 欲しいものある?」 「ナオちゃんの判断
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ30 BL小説 午前中いっぱいは、ハイキングコースを走ったり、二ヵ所にあるテニスコートのうち山荘の裏手のアンツーカーの方を臨時ドッグランにして犬たちを自由に走らせ、一緒にフリスビーをやったりして、犬も人間も思い切り楽しんだ。 その間中、幸也はなんだかんだと勝浩に絡んできて気がつ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の67 BL小説 「それはまた……」 天野は気の毒そうな顔で良太を見た。 「いやいや、もう、いい思い出ってだけで、意気消沈してるわけじゃないですよ?」 「そうですか? さっき歩いてた時、かなり思いつめたような顔をしてたみたいだったから」 「え………」 ひょっとして、だから誘ってくれ
月夜の猫-BL小説です 幻月30 BL小説 滅多なことでは狼狽えることもない鈴木さんだが、彼女にしては怒り心頭といった目を二人の粗暴なやり方の刑事に向けていた。 「何か、出ましたか?」 年配の刑事と若手の刑事の二人組はやってきた小田の顔を見るとあからさまにムッとしたような顔をで頭だけ下げた。 「ちゃんと元通り
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!8 BL小説 ええご縁が、ごっつい男やなんてことになったら、おかあちゃん、怒るやろな。 いきなり昨夜の男を母親に紹介するシーンが頭に浮かんで、佐々木は慌ててそれを打ち消した。 「おかあちゃんの、ええ加減、耳タコやし。ほな、俺もオフィス行ってみますわ。ナオちゃんだけに押
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ29 BL小説 幸也が部屋に戻ってきたのは、十二時になろうという時間だった。 「……ん……長谷川さん…」 ややあって、傍らに誰がが立っている気配に、寝ぼけ眼で勝浩は幸也を見上げた。 「悪い、起こしちまったか。いいから寝てろ。ちょっと煙草吸ってくるから」 くしゃっと勝浩の髪を撫
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった69 BL小説 「今度は、少しずつ間を詰めて、絶対ポカしないつもりだったんだ。でも、あの金髪野郎が現れて、俺、頭に血が昇っちまって、つい、告るの早まったのかも」 井原はやはり響しか見えていないらしい。 「お前さ、外野のことも少しは考えた方がいいんじゃね?」 「外
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった68 BL小説 完全に酔っぱらって口にしている言葉が理解できていないのが元気にもわかった。 「こんな田舎で、男同士で、教員同士で、リスクが高いって、まあ、そりゃそうだなって」 響はハハハと笑う。 笑うのだが涙がぽろぽろ零れるのを拭いもせずまた酒をマグカップに
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった67 BL小説 ふと手にしていた携帯に気づいた響は、誰かの言葉が聞きたくなった。 酔っているのでためらいもなく、一つの番号を押した。 五回目のコールで、声が聞こえた。 「響さん? どうしたんですか? こんな時間に」 「なんかさ……深淵の底から俺が呼ばれて
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった66 BL小説 女性の方が結構年上でというだけで結婚なんてあり得ないとするようなこの街で、高校教師が、しかも男同士がつきあうとか、考えも及ばないに違いない。 先生なんて呼ばれるような人間じゃないと思っていた響だが、いつの間にかそう呼ばれることに慣れてしまった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった65 BL小説 放課後は理科系の会議があるらしいし、今日は井原の顔を見ないで終わりそうだ。 もっとも響こそ、井原とどんな顔をして会えばいいかわらからなかったから、少し胸を撫でおろしていた。 ぼんやりしていたので、ドア口に人がいるのに気づかなかった。 「和田
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
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月夜の猫-BL小説です 月澄む空に149 BL小説 そしてどうも工藤としても鈴木さんには頭が上がらないらしいことも良太は知っている。 「でもさ、あのオフィスで、平然としていられる鈴木さんこそ、人格者だと思わない?」 「それ、俺も昔思たわ。鈴木さん、何があっても動じないって感じで、美味しいお茶とか出してくれ
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