月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった69 BL小説 「今度は、少しずつ間を詰めて、絶対ポカしないつもりだったんだ。でも、あの金髪野郎が現れて、俺、頭に血が昇っちまって、つい、告るの早まったのかも」 井原はやはり響しか見えていないらしい。 「お前さ、外野のことも少しは考えた方がいいんじゃね?」 「外
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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back next top Novels 「脛に傷っていうと」 「あ、いや、何ていうか、前の会社で濡れ衣
月夜の猫-BL小説です 幻月29 BL小説 木戸は千雪の言った通り、女が殺されたとされる時間の一時間ほど前に大きなスーツケースを引いてチェックインし、翌朝チェックアウトし、駐車場から車でホテルを出たようだ。 木戸は西早稲田のボロアパートに住んでいて、誰かと一緒でもなく一泊数万円ものホテルに泊まるには何らかの理由
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!7 BL小説 「ちょ、ちょっと春日さん、またそうやって、たったか一人で決めるし。営業なんか、そこまで面倒見る余裕ないよって。ナオちゃん、一緒に来てくれるだけで十分……」 その時、ドアがノックされて、たった今話題に上がった当の池山直子が顔を覗かせた。 「ああ、やっぱりここ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ28 BL小説 「何だよ、いつのまにそこの二人、できちゃってんの?」 「えー、知らなかった、美利と勝浩くんって、そうなのぉ?」 酒が入っているから、みんな勝手なことを言う。 「あの子が勝浩に告ってたって?」 犬たちにおすそ分けをしながら、幸也はへらへらやってきた検見崎を掴まえ
back next top Novels 二人は少し歩いて、目にした看板を見て地下にあるバーへと降りて
月夜の猫-BL小説です 幻月28 BL小説 麻布警察署の留置所でまた浅い眠りのまま朝を迎えた工藤は接見に来た小田を見て苦笑した。 「毎日ご苦労なことだな」 「他人事のように言うな」 小田は生真面目な顔で年季の入った鞄から手帳を取り出した。 「皆がお前のために動いている。しばらくの我慢だ。会社の方は問題なく動いて
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!6 BL小説 「隣いうても、あちらさんはうちなんかと比べ物にならんでかいお屋敷やから、あの高い塀の中の人間とちゃんと顔合わすなんて、あんまりないからな。けど、確かに美人でしたよ。今時珍しい天然て感じの」 淡々と、佐々木は説明した。 「フン、お前に聞いたのが間違いだったよ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ27 BL小説 「うん、動物園とかでも面倒見切れなくなったからって、人間の都合であちこちやられて。動物の心をもっと考えろって、思いませんか?」 「全く人間は勝手な動物だよな」 「俺ね、小さい頃、動物園に連れて行ってもらうでしょ? なんでみんな檻の中にいるのかな、って思ってた。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)64までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)64、恋ってウソだろ?!5、月で逢おうよ26、幻月27までアップしました。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の64 BL小説 「身体休めないとダメだよ? モリー、頑張ってくれてるし。そうそう、さっきなんか、通りがかりの金髪人種が困ってたんで道案内までやってくれてたよ。英語、できる人は尊敬に値するね~」 宇都宮に持ち上げられた森村は「や、向こうで育ったというだけで」とちょっと笑う。 最近、
月夜の猫-BL小説です 幻月27 BL小説 「ありがとうございます。よろしくお願いします」 まさか谷川がそこまでやってくれるとは、良太も思っていなかった。 「へえ、そうなん? 確か奈々ちゃんのマネージャーやろ?」 千雪がちょっと目を丸くして聞いた。 「ええ、ボディガードとしても力を発揮しててくれますし、きっちり
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!5 BL小説 「よう、あのしまりやのおかあちゃんにOK言わせたもんや」 父親が他界した後、一番町の財産は税金にかなり持っていかれたが、それでも尚広い屋敷や庭、それ以外に近辺に土地建物のいくつかを母の淑子と佐々木が相続した。 そのひとつ、かつて父親が事務所として使っていた
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ26 BL小説 さすがに空気が違っていた。 山々の連なりにさえ、手が届きそうだ。 「ひゃっほうっ!!」 「ぜっけーだー!!」 九月も終わりのよく晴れた日の早朝、『動物愛護研究会』の一行を乗せた数台の車は、八ヶ岳の麓にある検見崎の山荘に向かって、ひた走っているところだ。 窓から
back next top Novels 午前中はデスクワークをこなし、午後からヤザキ製菓の東京本社で
月夜の猫-BL小説です 幻月26 BL小説 二人が小田の事務所を訪れると、所長室に通され、調査員の遠野譲がコーヒーを出してくれた。 「工藤は元気だったよ。まあ面白くないのは当然だが、あの強靭な精神力の男だからな、今のところ否認と黙秘を続けている」 小田は言った。 「ところで一緒に行動していたのかい?」 「いえ
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!4 BL小説 「もう俺はいらん言うんか?」 「そんなわけないだろ? 落ち着いて話を聞いてくれ」 ジャスト・エージェンシーの社長室で、まるで痴話喧嘩のようなやりとりがあったのは、八月も末の夜。 そろそろ独り立ちしたほうがいいだろう、と春日が切り出したのだ。 「実は、もうオ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ25 BL小説 「なんか勝浩、とってもいい抱きゴコチぃ」 「長谷川さ……!」 ちょっといい人だと思ったらすぐこれだ。 そんなことしないでほしい。 俺が、どんなに好きだったかなんて、知らないくせに! 今だって、また…………。 その時、勝浩の耳に聞き覚えのある声が聞こえた気がした
back next top Novels 「それよりさ、小林くん」 急に香坂は千雪に顔を寄せた。 「え
月夜の猫-BL小説です 幻月25 BL小説 いざとなれば最終手段とも言っていた。 最終手段っていったい……… 知る必要のないことって……… いや、やっぱ考えない方がいい。 それにしてもガチで暴力団の抗争? そんな工藤の存在が関係してるなんて……。 いや、向こうが勝手に引っ張り込もうとしてるだけじゃん! けど何?
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!3 BL小説 佐々木は自分を笑い、だる重い身体をようやく起こすと、シャワーでも浴びて会社に顔を出すべく、バスルームに向かった。 湯を止めて何気なく鏡の中の自分を見た佐々木はぎょっとした。 首の付け根にくっきりと残る痕に、思わず赤面する。 「あいつ、えろ、情熱家やってんな
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ24 BL小説 「あ、どうも…すみません……」 二人してブランコに腰を降ろし、ポカリスエットの蓋を取る。 ポカリを一気に半分ほど飲み干して、勝浩はようやく人心地ついた。 あたりはすっかり暗くなってしまった。 どこにいる、ユウ! 迷子になって寂しい思いをしているのではないだろうか
back next top Novels 昼休みに学食の隅の方できつねうどんを食べていた千雪は、「やっ
月夜の猫-BL小説です 幻月24 BL小説 「小田さんの方から、今の仕事の状況と同時にMEC電機のCMが入ったことを、工藤さんに伝えるように言ってください」 おそらくそれで工藤は、波多野が動いていることを知るわけか。 「わかりました」 良太は神妙な顔で言った。 「ではプラグインの藤堂さんがいらっしゃるまで、し
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!2 BL小説 モデルや俳優を使ってCMや雑誌広告を創ったりする仕事の中で、下手をすると佐々木自身が誰よりその画像の中に納まるのが似合っていたりするわけで。 特に冬など、ゆったりしたセーターでも着て、バーでグラスを傾けていたりすれば異様に画面にはまる。 ちょっと長めのウエ
back next top Novels 「すみません、垪和さん、ちょっと俺、見てきていいですか?」
霞に月の(工藤×良太)60 月で逢おうよ(幸也×勝浩)22 秋の陽(工藤×良太)ラスト 幻月(工藤×良太)23
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!1 BL小説 瞼に走った光の帯が眩しくて、佐々木は寝返りをうった。 朝か………何時やろ…… 気分は悪くないが、身体が重い。 やっぱ夕べちょっと飲みすぎたかも………。 できればもう少し眠りたいと枕に頬をうずめた佐々木は、ふと額に暖かいものを感じて目を開けたのだが、超絶な違
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!-Tricky Night- BL小説 「誰にもやらない」などで登場した佐々木周平のエピソードです。 「好きなのに」へと続きます。工藤と良太にもリンク。 ■酔ってハロウインの夜に出会った男の腕の中で目が覚めた?! あり得ない出来事に混乱して佐々木は逃げ出したが、
月夜の猫-BL小説です 霞に月の60 BL小説 武蔵野市にある書道家三宅雄一郎の自宅では朝から撮影が行われ、ようやく終わってクルーが引き上げたのは夜の十一時を回った頃だった。 心身ともに疲れ切った良太が車を乃木坂にある会社の駐車場に止めた時には既に真夜中を回っていた。 こだわりのディレクター下柳とこちらも自分の
月夜の猫-BL小説です 幻月23 BL小説 「とにかく、今は女を殺した真犯人を見つけない限り、工藤さんはまずい状況にあります。もし仮に真犯人を見つけられなかった場合、工藤さんが起訴される前に、すなわち工藤さんが容疑者として名前が出る前に、最終手段を行使します」 「最終手段……って……」 波多野はぞっとするような笑
月夜の猫-BL小説です 秋の陽10 BL小説 結局ベッドに雪崩れ込んでからも歯止めが効かずに工藤は良太を喘がせる。 いつか良太を離してやるなどと言っていた自分を思い出して工藤は己を嗤う。 息も整えきれない良太の胸を工藤の指が掠めただけで、全身が敏感になってしまっている良太は悲鳴のような声を上げて身体を捩った。
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ22 BL小説 「こういう車で、サイドシートが犬と男、って面白くない図ですよね」 沈黙に耐え切れず、勝浩は口を開いた。 美利と大杉は猫を連れて垪和のワゴン車に乗り込み、ロクは後部座席に陣取った。 幸也の運転するアウディのサイドシートにおさまったのは、後ろにずらしたシートの前にキ
月夜の猫-BL小説です 幻月22 BL小説 「どういう………」 良太は息をのむ。 「工藤さんは表に出てはいけないんです。表に出るのならむしろ人気俳優にでもなって大々的に顔を知られるような存在であれば、ああいう連中も担ぎ上げようとか思わなかったかもしれませんし、狙われることもなかったかもしれませんが…………」
月夜の猫-BL小説です 秋の陽9 BL小説 鈴木さんをはじめとして社員たちはもうあの事件のことにはもう触れたくもないのだろう。 が、時折、平穏無事って何よりね、などと呟いている鈴木さんを見ると、工藤自身も心の内では確かに、と頷いていた。 勾留されている間には、世の中を冷ややかに見降ろしていたかつてのギスギスして
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ21 BL小説 何やら狐につままれたような面持ちで、勝浩は大学の片隅にある古いクラブハウスで待っているだろう犬や猫たちのもとへと向かう。 でも、机の上にあった見慣れぬ銀のライターといい、やはり夢ではないらしい。 誰のだろう? 検見崎さんって、いつも百円ライターの人だしな。 そ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の59 BL小説 「絶対あの准教授のせいよ」 アスカは断言した。 「准教授?」 「わかってるくせに。交流会の時にいたじゃない、香坂准教授。工藤さんの高校のクラスメイトよ」 もちろん秋山もわかっていた。 「工藤さん彼女と会ったんだって。ユキから聞いたのよ。良太はだから反旗を翻してるの
月夜の猫-BL小説です 幻月21 BL小説 千雪が良太にこっそりそう思わせておけと言ったのは、その時、千雪を襲った連中が千雪のことを工藤のイロと口にしていたところを見ると、千雪を工藤の女だと思い込んでいて、工藤の女を拉致するのが目的だったらしいからだ。 波多野は良太を小会議室といった部屋に案内し、やがて女性が良
月夜の猫-BL小説です 秋の陽8 BL小説 良太もちょっと可哀そうに思うのだが、何と言って声をかけていいかわからない。 「ちょっと、良太、万里ちゃんに振られた可哀そうなあたしに、俺でよければ、とかくらい言えないの?!」 とんだトバッチリだ。 「え、ああ、じゃあ、俺でよければ」 良太は棒読みのように口にした。
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ20 BL小説 勝浩が、いつ、何を言うか、幸也も志央も戦々恐々として、ようすを伺っていたに違いない。 思えば、その頃からこの二人は何人女を落とすか、なんてことを競争して、しかも賭けなんかをしていたのだろう。 人の心をもてあそぶなんて、ほんとに許せないやつらだ! そう思う傍から
月夜の猫-BL小説です 霞に月の58 BL小説 「話ならいつでも聞くから、連絡しなさいよ? 当分はまだ東京にいるから」 タクシーのドアを閉める前に、香坂は言った。 「おう、またな」 工藤はそう言ってタクシーを見送った。 聡明でさばけていて美人で、あんないい女、とんといないな。 だからこそ、加絵と遊んだ時のような
月夜の猫-BL小説です 幻月20 bl小説 もう行っちゃうの、今度飲み行こうよ、という坂口の名残惜し気なセリフを後にして、良太は二時過ぎにスタジオを出ると、三時まで二十分ほどもある時間にMEC電機本社の駐車場にいた。 「しっかりしろよ、俺」 三時まで十分となったところで、良太はもう一度声に出して言うと、車を降り
月夜の猫-BL小説です 秋の陽7 bl小説 「あー、やっぱり万里ちゃんだ」 オフィスのドアを開けるなり、中川アスカは声を上げた。 青山プロダクション所属の看板美人俳優である。 「アスカさん、お疲れ様です」 良太がパソコンから顔を上げた。 「アスカちゃん、久しぶり!」 万里子とアスカはハグすると、大テーブルのソフ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ19 bl小説 忘れもしない、小学生の時、城島志央と一緒に勝浩に散々悪ふざけをした上級生。 子供のくせにやけに大人びて見えた。 「近頃の先生は何を教えてる、だって、笑わせるよ。いじめっ子はお前じゃないか!」 だが、その日のことが、何故か心に残った。 それから時折、塾への道すが
月夜の猫-BL小説です 霞に月の57 bl小説 中学でも工藤の伯父がヤクザだという噂はあっという間に広まっていたから、曽祖父は後見人の顧問弁護士を通じて工藤を私立の高校に行かせるように手はずを整えていた。 生徒のほとんどを海外からの赴任組の子どもや帰国子女が占めていた高校では、相変わらず工藤の出自は知られていた
月夜の猫-BL小説です 幻月19 bl小説 そんな顔をしていたのだろうか。 「まあ、いろいろ、夕方の打ち合わせのこととか」 「新しいドラマ?」 「いえ、CMなんですけどね」 そう、港区芝にあるMEC電機の広報部で四時からCMの打ち合わせが入っていた。 昔から家電のMEC電機として親しまれてきたが、今の正式名称は
月夜の猫-BL小説です 秋の陽6 bl小説 「何か、でも、いいよねぇ、高校生とかに戻りたいなあ」 万里子がため息交じりに言った。 「万里子さん、高校生の時からドラマに出てらしたわね」 鈴木さんが言った。 「そうなんだ。一年の時だけよ、高校生活満喫できたの、二年からこの世界に入っちゃったから。今でも思うのよ、あの
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ18 bl小説 迷惑を被ったのは勝浩だけではなかったし、乱暴したりするわけではなかったけれど。 勝浩は三年生の終わりに転校してしまったので、きっと幸也はそんなこともすっかり忘れているに違いない。 中学二年の時、父親が東京本社に栄転になると聞いて勝浩も喜んだが、当時人に貸して
back next top Novels JR新橋駅と有楽町駅を繋ぐ線路の高架下は今夜も行き交う人で賑
月夜の猫-BL小説です 幻月18 bl小説 翌日は朝から良太は出ずっぱりだった。 工藤が顔を出すはずだったスタジオでは『田園』の撮影が行われていた。 朝『レッドデータ』のスタジオに顔を出し、昼からはこちらに向かったのだ。 「おや、良太ちゃん」 久々に見た脚本家の坂口は、景気のいい声で良太ににっこり笑った。 「何
月夜の猫-BL小説です 秋の陽5 bl小説 って、俺、野球、当然、やってたよな。 いや、まさかね~。 そんな、都合のいい、ってか、偶然、ってか……… 「ハハハ………まさかね………」 良太は窓に向かって首を横に振った。 「透明人間と話してるのか?」 唐突に後ろから低いドスの聞いた声がした。 「わっ!」 後ろを振り
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ17 bl小説 ユウが検見崎を急かしたので、検見崎はもう何も言わず、ユウと一緒に外に飛び出した。 しんと静まり返った部屋のベッドで眠る勝浩の、すうすうという寝息が幸也の耳にも聞こえてきた。 「無防備に可愛い顔して寝てるんじゃないよ」 勝浩の頬を指でちょんとつつき、幸也はボソ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)55までアップしました bl小説 霞に月の(工藤×良太)55、月で逢おうよ(幸也×勝浩)16、幻月(工藤×良太)17、秋の陽(工藤×良太)4までアップしました。
back next top Novels いずれは離してやらなくてはならないだろうとも覚悟はできていた
月夜の猫-BL小説です 幻月17 bl小説 「だよな。俺も社長には世話になってっからよ。こんなとこで、工藤に引導を渡されてたまるかよ」 小笠原が声高に言った。 「そうですよね! ありがとうございます!」 良太はまた皆に深々と頭を下げた。 「チラッと話にもあったように、警察より早く、千雪さんらが動いてくれて、情報
月夜の猫-BL小説です 秋の陽4 bl小説 「そうそう。工藤さんに急に原作者に会わせるって言われて、このオフィスに来たら、千雪さんがいて、あたし、初めはてっきり俳優さんかモデルさんだと思ったんだ。そしたら原作者だって言うでしょ? もうびっくりよ」 万里子は明るく笑う。 「ですよね~、あれは詐欺だ」 良太もうんう
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ16 bl小説 二十歳になってから、クラスの友人に誘われたり、研究会のみんなと飲む機会は何度もあって、勝浩も少しはたしなむようになっていたものの、酒が入ると眠くなってしまうようで、部屋で高校からの友人である七海と飲んだりした時は気がつくと朝だったことがあった。 「あぶないなぁ
back next top Novels 「そっか、やっぱねえ。じゃあ、申し訳ない、明日の夜、銀座の『リ
月夜の猫-BL小説です 幻月16 bl小説 小笠原のCF撮影の立ち会いで、一度仕事上でも良太は波多野と顔を合わせたことがあった。 だが、千雪の言うように、今こちらから波多野に近づくのは双方にとってまずいことになりかねない。 特にこんな時だからこそ。 確かにもし裏であっちの輩が関係しているとしたら、とっくに波多野
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ15 bl小説 「ふーん、子どもじゃないってことは、もう、あーんなことも、こーんなことも済ませちゃったってこと?」 幸也に顔を覗き込まれて、勝浩は耳まで真っ赤になる。 「いやーん、素直な反応。そっか、俺のいない間に、勝浩ってばいろいろ経験しちゃったんだ」 幸也はにやにやとグラ
月夜の猫-BL小説です 秋の陽3 bl小説 ただし、志村と同じ劇団にいた小杉が志村のマネジメントをやってくれることになったので、工藤の負担がさほど増えたわけではないが、制作関係が忙しくなり、工藤は飽和状態だった。 その頃の万里子は徐々に仕事も増え、順調に人気も取り戻し始めていた。 あまりに忙しそうな工藤を見て
back next top Novels 乃木坂に着くと、良太は三軒茶屋までのタクシー料金を上乗せして
月夜の猫-BL小説です 幻月15 bl小説 「わしは、上の部屋を片付けて、しばらくおりますんで、いつでも呼んでください」 平造は七階にある工藤の部屋へと向かった。 千雪と京助も何やら話し込んでいたが、また連絡を入れると言い、オフィスを出て行った。 良太は今のうちにやっておくことはやっておこうとキーボードを叩いて
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ14 bl小説 シーリングファンが高い天井で回っている。 大型のテーブルは黒く磨かれ、背もたれが大きい椅子は凝ったデザインだ。 パッと見はそんな洋風居酒屋だが、メニューは和洋何でもありで、気取りはない。 「何、勝っちゃんも負けちゃいられねーってか?」 「そんなんじゃありません
月夜の猫-BL小説です 秋の陽2 bl小説 「でもほら、他のみなさんはそそくさとお帰りになって、高校生かしらって思った良太ちゃんが残ったでしょ? 頑張り屋さんなのねって感心したのよ」 がんばりやさん……… 良太は思わず反芻する。 「でもほんと、ご縁って不思議よね。その可愛いかった良太ちゃんが、今ではこの会社の司令
月夜の猫-BL小説です 霞に月の52 bl小説 「今はとにかく何でも吸収している時でしょ。あーあ、俺も天野くんくらいの年までもタイムリープしたいよ」 宇都宮がぼやくと、「やめてよ。トシちゃんまで。これからじゃない!」とあくまでも強気のひとみが言い切った。 そのうち竹野は良太にもたれて眠り始めた。 スケジュールが
月夜の猫-BL小説です 秋の陽1 bl小説 久しぶりに出掛ける用もなく、広瀬良太は朝からデスクワークに没頭していた。 ここ青山プロダクションのある乃木坂も通りはすっかり色を変えた街路樹が秋の陽を浴びている。 主な業務はテレビドラマや映画の制作、タレントのマネジメント等、良太の肩書は、社長秘書兼プロデューサーだが
月夜の猫-BL小説です 幻月14 bl小説 「久々、高速なんか走ったからちょっと疲れたくらいだ。どうなっとるのか、話してくれ」 老体に鞭打つとはこのことだ。 良太は今までの経緯とこれからどうするかをかいつまんで平造に話した。 「平さん、お久しぶりです」 京助と二人、先ほどからひそひそと話し込んでいた千雪が平造を
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ13 bl小説 「え………」 勝浩は絶句した。 女の子二人を従えるようにして入ってきた長身の男は、白いシャツを無造作にはおり、緩やかに流れる柔らかい髪が少し首にかかっている。 「おっせーぞ! 幸也」 「このやろー、どこに雲隠れしてやがったんだ、今まで」 スーツの男たちからもヤジ
■秋の陽(工藤と良太26) 「幻月」のあとのエピソードになります。(R18) ある時、俳優の小野万里子と昔の
月夜の猫-BL小説です 幻月13 bl小説 何者が何のためにこんな茶番を仕組んだのか。 仕事上でも確かに敵は多いだろうが、よもや工藤に濡れ衣を着せて殺人犯に仕立てるような面倒な真似をするものだろうか。 まあ、鴻池あたりならやろうと思えばやれるだろうが、実在の人間を駒に使ってドラマでも創りそうな男だし。 ただし
back next top Novels ACT 2 &nb
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)51までアップしました bl小説 霞に月の(工藤×良太)51、月で逢おうよ11、幻月(工藤×良太)12 までアップしました 霞に月の(工藤×良太)51 月で逢おうよ11 幻月(工藤×良太)12 までアップしました
月夜の猫-BL小説です 霞に月の51 bl小説 まあ、わからないでもない。 交流会でもちょっとアイドル気味に女の子に囲まれてたもんな。 良太は一人頷いた。 あれだけの人数だからまだよかったようなものの、直子がオフィスにかかってくるマスコミ関係者の佐々木への取材申し込みの対応に追われていると、ラインしてきた。
月夜の猫-BL小説です 幻月12 bl小説 「そら、あんなアホな連中に任せとったら日本は冤罪天国になってまいますわ」 さらにきつい千雪の言葉に、そういえば昔、千雪は冤罪で逮捕されかけたと聞いたのを良太は思い出した。 時々千雪はあの綺麗な顔で、恐ろしいことを平気で口にすることも、良太は知っている。 その時、オフィスの
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ11 bl小説 「あ、勝っちゃん、明日の飲み会七時に新宿だから、六時半にここでね」 出て行こうとして、検見崎が振り返る。 「それ、お断りしましたよね?」 勝浩は聞き返す。 「だってな、二人のこと見ちゃったしな」 「ずるいですよ」 眉をひそめて勝浩は抗議するが、「ほら、俺ってろ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の50 bl小説 「あれ、良太?」 玄関に続く応接間の前で紫紀と仕事の話をしていた工藤は、玄関に向かうひとみや宇都宮、天野や下柳らから一人離れてあたりを見回している紗英に気づいた。 「紗英さん、お迎え待ってるん?」 すると京助と一緒にやってきた千雪が聞いた。 「ううん。六本木行くん
月夜の猫-BL小説です 幻月11 bl小説 「工藤はその通りのことを取り調べでも話したが、端から工藤を犯人と決めつけている警察は耳を貸さないようだ。なので黙秘している」 「六本木のクラブ『ベア』も松下美帆も工藤さんの周りに記憶にありませんね。少なくともチーママの証言というのは勘違いか、偽証でしょう」 ややあって秋
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ10 bl小説 「で? 勝っちゃんは誰に片思いなのかな?」 面倒な相手に聞かれたな、と勝浩は眉根を寄せて検見崎を見た。 「そんなこと、あなたに言う必要ないでしょ」 「いやあ、実は美利ちゃん、多分勝っちゃん狙いだろうってわかってたんだ。ついにって思ったのにな。勝っちゃんがそんな
月夜の猫-BL小説です 霞に月の49 bl小説 佐々木は公一が連れてきた女性陣にアイドルのように囲まれていろいろ聞かれているようだ。 藤堂や直子、三田村とバルツァーは、佐々木軍団の傍でそれぞれ笑いあっている。 アスカは秋山と宇都宮や天野、ひとみや下柳、須永らと飲みかわしているが、秋山と一緒にいられれば落ち着いて
月夜の猫-BL小説です 幻月10 bl小説 「八時に下柳さんと『ブラン』で待ち合わせたが、携帯を忘れた下柳さんの伝言だと言って制作スタッフからセントラルハイアットホテルの『スマイル』に変更したという連絡が入った。『スマイル』で待っていると店に工藤さん宛の電話が入ったので移動したが、何も言わずに電話は切れた。カウ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ9 bl小説 夕方になっても気温が三十度までしか下がらない中を散歩するのは、人間も犬たちもなかなか大変だ。 一人でハスキーとラブラドールを散歩させるのは尚のこと。さらに三匹を連れてとなると、かなりな肉体労働になる。 二人は犬たちを三十分ほど運動させ、ぐるりと学内をまわってクー
月夜の猫-BL小説です 幻月9 bl小説 「俺はどうなろうとかまうものか。それを認めたら俺は自分の嫌悪するヤクザと変わらないことになる」 Tはどう片をつけたかは言わないが、それに対して工藤がそう言ったことがある。 「あなた自身ではなくあなたの大切な者に災いが降りかかるとしても、そんなことを言っていられますか?」
back next top Novels 築何十年だかわからないようなこのクラブハウスは、五年ほど前、
back next top Novels 「ひとみさんだって来てるじゃない!」 このちょっとしたハプニ
月夜の猫-BL小説です 幻月8 bl小説 それじゃ、到底真犯人に辿り着けるわけがない。 「証拠は挙がっているんだぞ!」 今度は威嚇か。 まるで三流ドラマで使い古された科白じゃないか。 あの時、酒がまずいような気がして飲み干していなかったからか、朦朧とはしていたが、比較的早く目が覚めた。 俺にご丁寧に血の付いたナ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ7 bl小説 「さっき編集部の人たちと話してたやつでしょ? お断りします」 そう言い合っている間に、車は勝浩が借りている部屋の前に停まった。 「たまには、融通を利かせようよ」 「ユウの散歩があるから、ダメ。じゃあ、どうもありがとうございました」 にこやかに車から降りる勝浩を見
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)47までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)47までアップしました。高校時代勝浩が密かに思いを寄せていた先輩幸也は好きな相手に振られていた。東京で充実した学生生活を送っている勝浩の前に、いきなり幸也が現れるー月で逢おうよ アップしています。幻月(工藤×良
月夜の猫-BL小説です 幻月7 BL小説 「小田さんも警察に行ってるそうです」 良太は淡々と口にした。 「そうか。だったら、とにかく、何があったのか、はっきりしたところを聞かないことにはな」 小田は工藤の大学の同期で、青山プロダクションの顧問弁護士でもある。 良太は工藤が連行されたということに愕然としていたが、
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ6 BL小説 「勝浩、そろそろ終わる? 俺、この辺で切り上げるけど」 後ろの席で煙草をいじっていた検見崎が声をかけてきた。 最近自分の部屋以外喫煙可能な場所を探すのすら困難になってきたのだが、癖でつい手にしてしまうのだ。 時計の針は午後九時を少しまわろうとしているところだった。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の47 BL小説 工藤も良太の方に顔を向けた。 すっかり良太に気を許したヨハンナと笑いながらたどたどしいドイツ語で懸命に会話をしている良太に、工藤は苦笑する。 だが、ちょっとは良太のことを心配したらどうなんだという藤堂の思惑まで気づくはずもない。 「良太ちゃんって、やっぱすごいんだ
月夜の猫-BL小説です 幻月6 BL小説 下柳を待ってグラスを傾けていると、「工藤様いらっしゃいますか?」と店のスタッフが言った。 工藤が立ち上がると、電話が入っているという。 携帯を忘れたといっていたから、下柳がまた遅れるとかいう電話だろうと思い、工藤は店の受話器を持って人のいないレストルーム近くへ移動した
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ5 BL小説 おそらくほんのきまぐれだったのだろう、あの人からもらったマフラーは、あの日の、たった数十分の時間と一緒に引き出しの中にしまってある。 学園を卒業するまで、勝浩にとってはずっと昔から苛めっ子でしかなかった幸也だ。 だけどいつの間にか、長谷川幸也という存在は、それこ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の46 BL小説 「良太ちゃん、大丈夫かしら」 良太の背中を見送ってから、ひとみが工藤の方に視線を向けた。 「ただの高校の同級生だろ?」 宇都宮も工藤と香坂が談笑しているのをチラリと見た。 「誰? 工藤さんと話してる人」 小声だがはっきりした声で秋山が良太に尋ねた。 秋山も意外に思
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ4 BL小説 「そうね。ぐーたら、飲み会ばっかやってる場合じゃないと、常々思ってはいたのよ」 垪和もうんうんと頷いた。 「やってみるか。だがちょっとやそっとじゃできないぞ。こいつら、てんで躾がなってないし」 「ああ、俺、心当たりある。躾の達人に。ちょっと頼んでみるよ」 当時
月夜の猫-BL小説です 幻月5 BL小説 「何せ、局時代はすごかったからな。いや、今も彼女の一人や二人、いるんだろうが、身を固めたりする気はないのか?」 紺野はからかい半分、そんなことを聞いてくる。 「俺はムリですよ」 「それだ。お前は自分からシャットアウトしてしまってる。血縁といってもほぼ無関係なんだし、お前
月夜の猫-BL小説です 霞に月の45 BL小説 「だれ? 高広、とか言っちゃって」 早速ひとみが良太に聞いてきた。 「高校のクラスメイトだそうです。法医学の香坂准教授」 「ふーん? やけに馴れ馴れしいわね」 ひとみはチラリと香坂に視線を飛ばして言った。 「ま、でも大丈夫よ、良太ちゃん。高広はあんな女に屈するよう
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ3 BL小説 「ええ、橋爪さんには明日来いって言われてます。あさってはここの当番俺ひとりだし、ちょっと無理かも」 検見崎に聞かれて勝浩はそう答えた。 「んじゃ、明日ね」 賑やかな検見崎が背中を向けたまま、ひらひらと手を振ってクラブハウスを出て行くと、部屋の中はやがて和やかな静け
月夜の猫-BL小説です 幻月4 BL小説 どうも前田には実際よりかなり若いと思われているのかもしれない。 この店では特に工藤はあまりしゃべらない。 良太も黙ってマティーニを飲む、つもりなのだが、酔ってくるとつい良太の口は滑らかになる。 工藤はそんな良太に苦笑しながら答えている。 今夜はカランという氷の音が響くほ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ2 BL小説 この研究会が学内で一躍注目を浴びた理由は、昨年から、老人ホームや養護施設に犬や猫を連れて行き、一緒に過ごしてもらうという活動を始めたことだ。 「でもせっかくホームのおばあちゃんたち喜んでたのに、雨降ってきちゃってさー」 「また、行けばいいさ、な、ラブ」 「ちょっ
月夜の猫-BL小説です 幻月3 BL小説 「あら、ありがとうございます。でも、今夜は娘と約束がありますの。どうぞ、良太ちゃんとゆっくりなさってくださいな」 「そうですか。ではまたの機会に」 工藤も無理にとは言えないのだが、何となく鈴木さんが遠慮したのではないかと思った。 そういう人の心の機微をさりげなく読むよう
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月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった69 BL小説 「今度は、少しずつ間を詰めて、絶対ポカしないつもりだったんだ。でも、あの金髪野郎が現れて、俺、頭に血が昇っちまって、つい、告るの早まったのかも」 井原はやはり響しか見えていないらしい。 「お前さ、外野のことも少しは考えた方がいいんじゃね?」 「外
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった68 BL小説 完全に酔っぱらって口にしている言葉が理解できていないのが元気にもわかった。 「こんな田舎で、男同士で、教員同士で、リスクが高いって、まあ、そりゃそうだなって」 響はハハハと笑う。 笑うのだが涙がぽろぽろ零れるのを拭いもせずまた酒をマグカップに
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった67 BL小説 ふと手にしていた携帯に気づいた響は、誰かの言葉が聞きたくなった。 酔っているのでためらいもなく、一つの番号を押した。 五回目のコールで、声が聞こえた。 「響さん? どうしたんですか? こんな時間に」 「なんかさ……深淵の底から俺が呼ばれて
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった66 BL小説 女性の方が結構年上でというだけで結婚なんてあり得ないとするようなこの街で、高校教師が、しかも男同士がつきあうとか、考えも及ばないに違いない。 先生なんて呼ばれるような人間じゃないと思っていた響だが、いつの間にかそう呼ばれることに慣れてしまった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった65 BL小説 放課後は理科系の会議があるらしいし、今日は井原の顔を見ないで終わりそうだ。 もっとも響こそ、井原とどんな顔をして会えばいいかわらからなかったから、少し胸を撫でおろしていた。 ぼんやりしていたので、ドア口に人がいるのに気づかなかった。 「和田
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
back next top Novels 「よかったに決まってるだろ。さっきの見たろうが。ここについたの
月夜の猫-BL小説です 夏が来る43(ラスト) BL小説 「だから、何で去年より人数が増えてるんだ!」 元気が溜め込んでいた鬱憤を晴らすかのように声を上げたのは、中央道をしばらく走ったところの諏訪湖サービスエリアでのことだった。 「まあまあ、俺ら車別なんだからいいじゃん」 井原が頭が沸騰しそうな元気を宥め
月夜の猫-BL小説です ぶなの森9 BL小説 良太の心にわだかまりを残したまま、工藤は東京に戻ってしまった。 だが良太は最後のパーティが終わるまでここにいなくてはならなかった。 海棠役の流とヒロインを慕う青年佐原が森でヒロインを探すシーン、ヒロインが池に浮かんでいるのを見つけるシーンの撮影が終わり、ロケ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に149 BL小説 そしてどうも工藤としても鈴木さんには頭が上がらないらしいことも良太は知っている。 「でもさ、あのオフィスで、平然としていられる鈴木さんこそ、人格者だと思わない?」 「それ、俺も昔思たわ。鈴木さん、何があっても動じないって感じで、美味しいお茶とか出してくれ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森8 BL小説 現れたのは工藤だった。 監督と話をしながら、良太と菜摘がこちらに歩いてくるのを工藤は見ていたのである。 そこへ、男が現れた。 「へえ、あんたが噂の工藤か。なるほど、社長が社長だからな、その大事な部下に女優のコマシ方でも教え込んでいるわけだ」 「あいにく忙し
back next top Novels 「京助ってば、ちょっとマジ過ぎない?」 香坂が肩をすくめる。
月夜の猫-BL小説です ぶなの森7 BL小説 どうせ良太がイタリアにいくことは当分ないのだから、余計なことを考えなくて済むだろう、と。 だが、よもや案外早く良太にそれが知れることになろうとは、工藤も思っていなかった。 「嫌だ…いやだってば! バカやろ…」 「何が、嫌だって?」 そんな工藤の言葉が合図のように
back next top Novels 「研修は四月からやろ? スキーは行けるな」 千雪が良太に聞い
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)146まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)146、夏が来る42 まで更新しました 2024Summer、 夏にちなんだエピソードを順次アップしています ぶなの森(工藤×良太22)6 夏のエピソードです。 かぜをいたみ87(ラスト) 最後までお
月夜の猫-BL小説です ぶなの森6 BL小説 「あいつ……、よほど、お前がキモイといっていた小林千雪だって言いたかったですよ」 戻ってきた千雪に思わず良太はぶちまける。 「あの子、工藤さんにベッタリなんやて? 良太、それで面白くないわけや」 「誰に聞いたんですか~そんなこと。わかった、アスカさんだな」
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に146 BL小説 「そうだ、良太さん、ニューヨーク行く前、壮行会やりましょうよ」 天野が語気を強めて言った。 「そんな大げさな。たかだか三か月なのに」 「壮行会という名を借りた飲み会」 真面目にそんなことを言う天野に、良太はまた笑った。 「わかりました」 「約束ですよ」 「そ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森5 BL小説 「あの女とは何でもない」 工藤は言うのだが、どうやら今はそうだとしても昔はよろしくやっていたらしい。 まだほかにもあちこちに工藤の女がいるに決まっている、と言ったのは、青山プロダクション所属のイケメン俳優、小笠原だ。 そんなことをいわれると、良太としては工藤がイタ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森4 BL小説 「良太ちゃん、お弁当食べよ」 菜摘が弁当を手に良太に声をかけた。 「あ、はい。ちょっと待ってください」 良太が手配したロケ弁をスタッフが配ってくれて、みんな各々アウトドア用のストーブの周りに陣取っている。 夏とはいえ、東京の暑さとはうって変わってここは別世界のよう
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に145 BL小説 「え、でもオフとかに帰ってくるんでしょ?」 浩輔が思い切り端折って佐々木に聞いた。 「俺にはオフとか、ないで?」 すかさず佐々木がシャープに返答する。 「あ、いや、そのう、盆暮れ正月?」 暗に沢村のオフの時には一緒に帰るのだろうという質問を、浩輔は言い直した
月夜の猫-BL小説です ぶなの森3 BL小説 小林千雪といえば、時折警察にも知恵を貸して解決した事件も多々あるミステリー作家として巷では知られているが、助教としてT大法学部に在籍している。 その彼を一躍有名にしたのが、分厚い黒渕メガネとぼさぼさの髪、超ダサダサのファッションセンスで、学内の女子学生の間では、ダサ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に144 BL小説 良太の周りで、何か大きな波がやってきて全てを流してしまうような、そんな思いが徐々に大きくなっていくような気がしていた。 そして良太自身もまたその波にのまれようとしている。 その波は工藤やこの青山プロダクションにとっても何かしら変化をもたらすのだろうと思われ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森2 BL小説 良太も業界内では彼女の不倫の噂は耳にしていたが、今のところ噂どまりなのは、相手の父親である代議士からの圧力と局側による彼女の所属する大手事務所Aプロへの忖度もあり、マスコミやスポンサー側へはもらさぬよう関係者に厳重に緘口令がしかれている所以だった。 昨今、不倫には
月夜の猫-BL小説です ぶなの森1 BL小説 青森県と秋田県にまたがって数千年前から存在しているぶなの原生林は、世界最大級といわれている。 世界遺産に登録されたこの白神山地には、貴重な動植物が生息しており、手つかずの自然が広がっており、真夏というのにひんやりとした空気は動きを止めていた。 数日前からこの地で
月夜の猫-BL小説です ぶなの森(工藤×良太22) BL小説 良太は海外出張中の青山プロダクション社長工藤の命により、小林千雪原作のドラマ『ぶなの森』のロケで青森にいた。ロケの間中、良太はヒロイン役の人気俳優田辺菜摘に懐かれて、不倫話の相談を受けたりしているうちに、スタッフの間で二人のことを邪推した噂が広
月夜の猫-BL小説です 2024Summer BL小説 2024夏始■夏が来る(井原×響&元気)■Blue Moon(工藤×良太)boys love novel初夏にちなんだエピソードを順次アップしています 以前のエピソードに少し手を加えたり、新しいエピソードもアップする予定です。