優しくなりたいと思った。特に身近な人達に対して、優しくありたいと思っていた。でも、なぜか身近であればある程、それらの人達の些細な言動にイライラし、時には怒りをおぼえ、そっぽを向いた。それらに対するなぜだろう?の問いかけは、無意識の中でいつしか、なぜわかってくれないのだろうというという相手への不満となり、自己正当化になっていった。そんなおもいを抱きながら、外を眺めていたとき、一匹の黒い野良猫がテクテクと窓の外を横切っていった。その時不意に思った。僕は期待をしている。こんなに身近な存在なんだからもっと僕を分かって欲しいと。気にかけて欲しいと。気にかけるとそっぽを向くくせに。かってな期待にかってに裏…