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今日の国際社会ではNPT体制が成立しております。このため、現在、核を保有している国は、国連安保理の常任理事国をはじめとしたごく少数に過ぎません。このNPT体制下における核兵器保有国と非保有国との間の非対称性が、今日、国際の平和と安全を脅かす様々なリスクをもたらしているのですが、核保有国による同兵器の使用はあり得るだけに事態は深刻です。ところが、昨日の11月30日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの核兵器使用について否定的な見解を示しています。同大統領の楽観的な発言は、一体、何を意味しているのでしょうか。ロシアの核戦略を見ますと、2020年6月2日にプーチン大統領は「核抑止の分野におけるロシア連邦国家政策の基礎について」を公表し、核使用条件を明らかにしています。回使用の条件とは、(1)ロシア及びその...ゼレンスキー大統領のロシア核不使用発言を考える
本日、ポーランドにミサイルが着弾し、二人が犠牲となったとするニュースが飛び込んできました。報道に依りますと、同国に対してミサイルを発射したのはロシアらしいのですが、ウクライナ情勢の現状に鑑みますと、ロシア軍攻撃説には疑問もあります。仮にロシアによる攻撃であるとすれば、ポーランドはNATOの加盟国ですので、一国への攻撃を全加盟国への攻撃と見して集団的自衛権が発動されることとなります。当然に、第三次世界大戦へと一気に戦火が拡大する事態に直面しますので、この問題は深刻です。このため、NATOの盟主とも言えるアメリカも、一先ずは慎重な態度を示しています。米国防総省のライダー報道官は、記者会見の席で「現時点では、これらの報道を裏付けるような情報はなく、調査中だ」とのみ述べるに留めているのです。ポーランドのドゥダ大統...誰がポーランドを攻撃したのか?―戦火の拡大を望んでいるのは
今年の2月18日に始まるロシア軍のウクライナへの進軍は、ウクライナのみならず自由主義諸国によって国際法に違反する‘侵略’と認定されています。このため、大半のマスメディアは、ロシアを強く批判し、同軍事行動に対しても侵略や軍事侵攻、即ち、‘侵’の一文字を用いてその違法性を強調しています。国連憲章では、紛争の平和的解決を加盟国に義務づけると共に内政不干渉を定めていますので、ロシアの軍事行動は、人道的介入であったことが証明されない限り、手段としては国際法に反していると言えましょう。また、同軍行動に伴ってブチャ等で住民虐殺などが行なわれたのが事実であるならば、戦争法にも違反することになります。もっとも、ウクライナ紛争の本質が、ロシア系住民が多数を占める東部の分離・独立問題である点を考慮しますと、ロシアの軍事行動を領...ウクライナ紛争は局外中立を宣言すべきでは
西欧では、19世紀末に‘力は正義なり(MightisRight)’という言葉が登場し、日本国でも、ほぼ同時期に戊辰戦争を背景に‘勝てば官軍、負ければ賊軍’という言葉が広がるようになりました。何れも、強い者に正義がある、あるいは、戦争に勝った側に正義があるという意味として理解されております。勝者の側が自らを誇り、敗者を黙らせたい時に使われることもありますが、どちらかと申しますと反道徳、あるいは、没倫理的な意味合いを含みます。‘力は正義なり’という言葉は、昔から語り継がれてきた諺と思われがちですが、1896年に出版されたアーサー・デスモンドの著書『力は正義なり』に初見されるそうです(ペンネームはラグナー・レッドビアード)。同書の特徴は、反道徳、反民主主義、反キリスト教、反ユダヤ主義(反十戒?)にあり、人には自...NATO参戦を考える-戦争は必ずしも善が勝つとは限らない