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青森の夜が明けた。もしかすると第三振興街は無くなっているのではないか、そんな想いで来た青森だった。僕の行動範囲内ではベストの光景を持つ飲屋街である。かつての栄華を見たことはないが、急速に衰退する姿は見てきた。今回は夕方の姿を撮り、夜の姿も撮った。これで思い残すことは・・・、ある。思い切りある。やはり夕方の光景は、光が強すぎてうまく撮れなかった。第三振興街の持つ、時が停まったような静かな佇まい。それを朝の光の下で撮りたくなった。僕は三度、ここに来た。希望したものが撮れたのかどうかは分からない。次に来たとき、もうこの飲屋街は存在しないかもしれない。それは別にここに限ったことではなく、全ての森羅万象も同様である。そのことに改めて気づいただけでも、三度も撮った価値はある。ここには時と共に消えた名もなき人々、彼らの...青森編最終回・最後の第三振興街(終)〜惜別の刻
青森のアイコン的存在である「第三振興街」。異論はあるだろうが、僕にとっては青森の象徴だ。考えてみれば青森新幹線が開通した時に、このバラック飲屋街が解体されても不思議ではなかった。そうならなかったのは、最早この路地がかつてのような毒気を抜かれ、その存在が問題視されなくなったことの証左かもしれない。放って置いて良い。遅かれ早かれ消えていくのだから・・・。そして案の定、他の昭和路地と同様に第三振興街は終焉の時を迎えようとしている。まだ終わってはいないけど、終わったも同然の姿となっている。この後にどういう展開が待っているのかは分からない。確実にいえるのは、元の姿を取り戻すことは100%ないことだ。この路地の最後の姿を記憶する為に青森まで来た。まだまだ続きます。X-PRO3/XF23mmF1.4R最後の第三振興街①〜斜陽の光
まだ空には明るさが残る。時刻は19時30分頃だった。一応20時以降は立ち入らないようにと考えていた。杞憂だったようだ。見た限り営業しているのは、入り口にある赤提灯の店だけである。第三振興街には二つの通路(奥で繋がる)がある。赤提灯の店は大通り側に面し、その横にある狭い通路は通行禁止となっている。事実上の廃墟ゾーンだ。もう一つの通路は比較的状態が良いが、営業している店は見当たらない。誰も通らない通りの入口と出口、そこには「第三振興街」と描かれた看板がある。その看板は煌々と紅い明かりを灯していた。奥側には割と新しいトイレもある。照明も点灯していて使用できる状態にある。一体誰が管理して、誰が費用を分担しているのか疑問にもなる。20時になれば営業する店があるのだろうか。否、そんな気配は感じない。この紅い照明が消え...最後の第三振興街②〜そこに赤い灯が点る
これは僕の独断なので間違っているかもしれないが、他の街、例えば新潟なんかだと美味しそうな店は地元の人で込み合っている。それがホームタウンの利なので仕方がない。でも青森の場合、いかにも美味しそうな店はガラガラに空いていて、どこにでもありそうな店とか、どうでも良さそうな店に限って地元の人で込んでいるような気がする。それは僕にとっては有り難いことでもあるので文句はない。ただ「あそこは良かった」と思い、数年後に再びそこに行くと、かなりの確率で店は存在していない。競争は厳しいのかもしれない。第三振興街に二度訪れる前後に、僕は二軒の店で食事をした。二軒とも晩酌セット的なものを頼んだ。どちらも判で押したように飲み物付きで1500円だった(飲み物は更に追加するけど)。そしてどちらも客は僕だけだった。安いうえに旨いのだが・...いつだって青森の夜は・・・