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日本の生命科学はなぜ周回遅れとなったのか2(1)〜理研CBS(BSI)の功罪
日本の生命科学はなぜ周回遅れとなったのか(6)〜慶應医学部生理学教室の源流(5) 杉先生の著書の紹介はもう少し続きますが、あまりに長くなりリンクを付けるのに疲れてきました。後半は「日本の生命科学はなぜ周回遅れとなったのか2」シリーズと分離することにしました。理研BSI(Br...
自由度の凍結と歩行モデルの関係:多賀厳太郎『脳と身体の動的デザイン 運動・知覚の非線形力学と発達』第3章メモ2
今回は原始歩行から大人の歩行形式の成立までを神経系の視点でモデル化したい、という感じの内容です。以下、だいたいの要約です。新生児に見られる原始歩行がCPGによると考えるのは自然な流れです。フォスベリ(Forssberg, 1985)によると、筋電位に関しては、原始歩行および独立歩行開始時では成人の複雑なパターンに比べ、「共同筋だけでなく拮抗筋を含むすべての筋が同期して活動する傾向が強い」です。運動軌跡では「遊脚の関...
記憶をどう考えるかの続きです。神経系などに記憶痕跡として何かしら物質的に残るという考え方を否定するわけではないですが、説明しきれないところをもうちょっとつめて考えたいです。海馬とかのいわゆる記憶領域が陳述型記憶に大きく関与しているのは間違いないでしょう。それでこの手の話で出てくるのは、記憶領域の損傷により体験した出来事を記憶として保存しておいて思い出すことができないという、いわゆる長期記憶です。記...
記憶を痕跡としての記憶の他にどう考えるか:ホームページ用メモ23
言語現象のオートポイエーシス論的説明にしろ、動物行動学にしろ記憶をどうにかしないと話が進みそうもないです。身体(特に神経系)の痕跡としての説明には限界があるので、それ以外での説明です。L.ラタッシュの『運動神経生理学講義』にもその旨が書いてあったんですが、この本に書いてあるのは問題点を提示するところまでです。記憶痕跡のモデルにはホップフィールドネットワークとかも含まれそうです。ホップフィールドネット...
運動を引き起こす下行性の指令を含む機構のモデル:多賀厳太郎『脳と身体の動的デザイン 運動・知覚の非線形力学と発達』第2章メモ8
第2章最後のメモです。運動を引き起こす下行性の指令を含む機構をどう考えるか、ということについてです。以下、だいたいの要約です。障害物を回避するモデルでは、障害物に関する情報は何かしらの形で得られ利用できると仮定しています。視覚情報を利用する場合に次の二通りの方法が考えられます。一つは「障害物が環境のどこにあるかという位置座標として知覚する」というもので、もう一つは「環境中を動き回ると、自分と障害物...