S 君は、将来を見ていた
小中と同じ学校だった S君は ピアノがとっても上手な 男の子 大人しくて ちょっと のほほーんとした 顔つきをしてたけど 一旦 ピアノの前に座ったら 顔つきが一気に大人びて 美しい音色が流れ出す (私には S君の指に 魔法がかかってるように見えた) 昼休みになると 女子たちが 音楽室の ピアノの周りに集まって S君の演奏に うっとり聞き惚れるのが お決まり S君の家は 裕福という訳ではなかったけれど いじめっ子だった 男の子たちも S君には 一目置いていて いじめたり 囃し立てたりすることは なかった その後 S君は 当然の如く 音大に進んだ ずっと小さい頃から ピアノという一芸に 邁進して …
2024/01/07 07:33