神無月の巫女二次創作小説「夜の蚕(ひめこ)」(十二)
けっきょく、森永のキャラメルは、その場にいる者──姫子と千歌音、そして、男、さらに数名の侍り女たちで分けあって頂くことにした。普段、お菓子などにありつくことの少ない年少の侍り女などは目を輝かせ、まるで宝石を扱うかのように丁重に眺めて、大事そうに頬張った。ここに乙羽がいてくれたら、…と思うと、千歌音は喉を通す気になれず、残り一個だけは手巾(ハンカチ)に包んでしまっておくことにした。その様子を、姫子はそれとなく見ていたが、なにも言わなかった。「でも、あなた、身体は丈夫そう。役に立てるわね、おつむはちょっと期待しないけど…。で、そろそろ仕事は見つかったの?」「まあ、なんとか食いつないでるよ。腕の調子も悪くねえ。まったく姫ちゃんは冗談が過ぎらあな。さすが、この俺様が嫁御に見込んだ女だけはある」千歌音は確信した。こ...神無月の巫女二次創作小説「夜の蚕(ひめこ)」(十二)
2022/12/24 07:25