地這う龍 五章 その4 江夏城へ突撃
※鄧幹《とうかん》の使者はすっかり怯え切って、まともに左右の足を前に出すことすらできなかった。それでも、なだめたり、脅したりしながら、江夏城の門の前に立たせる。「か、開門!宴より帰って来たぞ」緊張で声が裏返っている。まずいな、と隠れて様子を見ていた孔明はひやひやしたが、場慣れている関羽たちは涼しい顔である。「門さえ開いてしまえば、こちらのものだ」と、関羽は頼もしいことを言った。門の前には、鄧幹の使者と空っぽになった酒甕《さけがめ》の乗った荷車、舞姫や芸人たちがいる。だが、じつのところ酒甕は空っぽなどではなく、中に兵が潜んでいる。また、芸人に関しては、関羽が選りすぐった決死隊が化けた者に変わっていた。そのなかには、武者姿となった胡済《こさい》の姿もある。門が開いた。鄧幹の使者は、門に入るなり、「お、お助けえ...地這う龍五章その4江夏城へ突撃
2024/02/18 07:33