chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
モジゃもん
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2023/04/22

arrow_drop_down
  • 大工、小説どうやって終わらせるんだ問題!

    大工、小説どうやって終わらせるんだ問題! さあ、小説も書き進めて一年も二年も過ぎてゆくと次第に考えなければいけなくなるのが、終わり方の問題。 「えっと、この話って最後どうなるんだ・・・?」って、書いてる本人が思っちゃうのよね。 これについては人それぞれだから個人差があると思います。終わり方を決めてからそこに向かって書く人もいるだろうし、なんとなく終わりのシーンを決めてから書く人は少なくないと思うよ。 ていうか、僕だって最後はこういうシーンでこんな風に感動的に~、とか決めて書いていました。 ところがだ! 一作書き終えるのに4年もかかってしまった僕の場合、最後の方まで書き進めたら、決めておいた終わ…

  • 大工、小説をいざ書き始めると・・・

    大工、小説をいざ書き始めると・・・ えっとね、小説を書こうとする人なんて、ぜったいナルシストで私小説的なことをオリジナルの物語だと言い放って書き始めるんですよ。 少なくとも、物語を作ろうって時には、自信の体験を参考にして構築していく方が完全にオリジナルの物語を作るよりは難易度が易しいと思います。 でね、パソコンに向かって書式を設定して、フォントなんかもそれっぽくして、カタカタ書き始めるわけです。書き出しもそれっぽく書けると、もう止まらない静かな興奮と自己陶酔感。 あ~、あたし今超小説家だわ~、っていう自惚れ。めっちゃ小説書けてる~、っていう優越感。まだ、人に読んでもらうことを何も考えずにただた…

  • 大工、小説を書くって言ってもさ・・・

    大工、小説を書くって言ってもさ・・・ うつ病&無職で同棲生活がスタートしてすぐ、僕は小説を書こうと躍起になって興奮状態。 そのくせに、それまでほとんど小説なんて読んだことなかったんです。児童文学は好きだったんですけど、小説と言えば司馬遼太郎の『竜馬がゆく』とモームの『月と六ペンス』くらいしか読んだことがなかった。 だから、書きたくっても書き方がわからない。どうやら作文とは違うらしい、プロットってものがあるらしい、っていう状態だったので「小説ってそもそも何?」ってところから始めないとね。 Amazonで検索っと・・・ あーあるある、それっぽい本が。 ってことで『小説とは何か』系の本を古書みたいに…

  • 大工、小説書いてみようかな・・・

    大工、小説書いてみようかな・・・ バンドと職を失って、うつ病時代に突入した頃の僕は、とかく人生の目標をなくして心も身体もフラフラしていました。 にもかかわらず、現在の妻と同棲するべく実家を飛び出してしまった時期でもあるんです。うつ病持ちの無職男と一緒に住もうとする妻もすごい。 生活費を稼ぐための仕事周辺の話は以前に書いたので、このうつ病時代に日常の方では何をしていたのか、改めてお話しさせてください。 ずばり、小説を書こう! って、私この頃に決めました。 ていうか、バンド時代にも考えていたことなんですけど、小説家やミュージシャンを志す人間ってメンタル的に不健全な人が多いんじゃないかな、と僕は思っ…

  • 大工、猛暑との戦いオーバーザ・サン

    大工、猛暑との戦いオーバーザ・サン 着の身着のまま心の赴くまま、働きたかったら働けばいい、やりたくなければ寝てればいい、そう、自由が売りよの職人生活ですが、真夏は暑さとの戦いです。 連日の猛暑猛暑猛暑、もうしょうがないよ・・・コホン。 最近は見かけなくなりましたが、僕が二十代の頃には建築現場で上半身裸の半裸族職人をよく見かけました。ってか結構普通にいた。 大工にしろ、設備屋にしろ、屋根屋にしろ、半裸半裸の上裸上裸。 僕は夏になると暑さ以前に人一倍蚊に刺されるので、脱ぐってことはありませんでしたが、大工の兄なんかは上裸で仕事していたし、土工さんなんかも上裸が多かった。 最近見かけないのは、直射日…

  • 自社施工ですか、そうですか

    自社施工ですか、そうですか 「自社施工だから安心」「100%自社施工」など、町を歩けばこうした宣伝広告を見かけます。 これは「自社の社員が職人として作業を行います。下請け会社に外注しないから責任の所在も明確だし、中間マージンも発生しなくて金額的にも安心です」って意味ですよね。当たり前だけど。 でね、この意味での自社施工が本当ですかって話なのですが、リフォーム会社に関してはハッキリ言ってほとんど嘘です。大概の会社が営業、設計、現場管理くらいしか自分たちでやってません。 お抱えの職人なんてまずいないよ。いても雑工、多能工が一人いるかいないかです。 そもそも職人は社員として働くことを嫌うから、そう簡…

  • 心にストッパーはあんのかい?

    心にストッパーはあんのかい? 大工の息子として生まれた僕は、間違ってもなりたくて大工になったわけではありません。親が大工じゃなかったら100%大工にはなっていなかったと思います。 そんな僕ですが、小学校四年生の図工の授業で不思議な経験をしたんです。 授業の内容はノコギリ、トンカチ、釘などの大工道具を使って板を加工し、木製小箱を作りましょう、というもの。この時、僕はまだこれらの道具を使ったことはありませんでした。てかさ、今の時代から考えるとかなりデンジャーな授業だよコレ。 まあ、小学校四年生にもなると大工の息子でなくとも、ノコギリやトンカチくらいどうやって使う道具かなんてみ~んなわかってるもんで…

  • 大工、ホームセンターといえば!

    大工、ホームセンターといえば! 一人親方として独立してからホームセンターによく行くようになりました。大工なので、釘だのビスだのノコギリの刃だのと消耗品を買う必要があるからね。 工務店時代は懇意にしてた金物屋さんでみ~んなツケで購入してました。んで、これが独立してできなくなり、ホムセンの常連になったというわけです。 ところで、このホームセンターって昔はなかったよね。どれくらい昔かというと、僕が子供の頃なので30年以上前の80年代の話。ホームセンターって言葉も聞いた記憶がないような・・・。 と思って調べてみたら、ホームセンターは1973年には日本全国30店舗くらいしかなかったそうで、80年代に入っ…

  • 大工、電動工具かっこいい!

    大工、電動工具かっこいい! マキタに日立にボッシュにヒルティ、更にはリョービの事業を承継した京セラと、様々な会社がプロの職人向けに電動工具を販売しています。 マキタはマキタブルーと言われる青と黒の配色。ヒルティは目にもまぶしいオレンジ寄りの赤と黒の配色。日立は緑と黒、黄色と黒、ピンクと黒といったバリエーション。 み~んな何がしかのカラーと黒を組み合わせた配色なんです。 この配色、ちょ~かっこいいよ。男の子心というか、少年の憧れというか、とにかくそそる。子供の頃、おもちゃ売り場のショーケースに並んだプラモのジオラマを見た時のようなムラムラ。 夏の日に、友達と虫取り網を持って、草むらを分け入った先…

  • 大工、『北の国から'92巣立ち』

    大工、『北の国から‘92巣立ち』 自分の職業が映画やドラマなどで出てくるとモヤッとすることってありますよね。んなこたあないっ! ありえないっ! て感じに。 大工としてのモヤつき度NO1は『劇的ビフォーアフター』なのですが、今回は別の話。 名作ドラマ『北の国から'92巣立ち』(古くてすいません)に大地康雄さん扮する大工の親方金ちゃんが登場するのですが、この親方が東京に出る息子についてこんなことを言うんです・・・。 「あいつにゃ大工はわかってないよ! ノミもカンナもろくに使えねえくせに、電動工具でごまかすことばっかり考えとる!!」 ああ香ばしい。このただただ自分を偉く見せるだけのセリフ。これって・…

  • 大工、飲み会に行こう!

    大工、飲み会に行こう! 職人をやっているとしばしば訪れる大ピンチ! 「今度、呑み行きませんか?」 きたあああ!! きたきたきました! 呑みのお誘い。 職人のみなさんや取引先のみなさん、現場で仲良くなってくるとちょいちょいこんな僕を誘ってくれます。が・・・。 僕は外で飲むのがほんと~~~~~に苦手です。シンプルに好きじゃない。 ていうか、仕事でしか会わない人たちとお店に行くってのがもうつらいのよ。正直な話、お酒なんか関係なくて、食事ですらしんどいですから、私。 どこかの駅で待ち合わせして、「あ、どうも」なんて挨拶して、そこから歩いてお店に移動・・・ってお店が決まってればまだいいけど、入る店入る店…

  • 職人二世問題

    職人二世問題 試しに『職人二世』や『職人二世問題』とネットで検索してみると、出てくるのは伝統工芸や伝統芸能の後継ぎ不足の問題がほとんど。それと、芸能人やタレント二世の記事くらいです。 タレント二世の話は置いといて。話題にしたいのは後継ぎ不足の問題の方。ちなみにChatGPTに『職人二世問題とは何か』と尋ねてみたら、『伝統的な職人の技術や技能が次世代に受け継がれずに、失われてしまう問題』という答えが返ってきました。 確かに世の中は職人不足の人手不足。やれ非婚化だ~、やれ少子化だ~、とあちこちで目にする令和の時代に後継者が不足するのは必然です。 だけどこれ、問題の視点がその職人や業界サイドから見た…

  • 大工、結局は大工?

    大工、結局は大工? 会社を退社して実家の工務店に戻ったあとの数年間、僕は産廃営業や内装解体の仕事で得た知識や経験、それに人脈を生かして、工務店の経営を立て直すことに精を出しました。 だけどね、かなり早い段階から父も母もよく思ってなかったのよ。色々ダメ出ししたからね、あたし。 そして、責任感を持ってもらうためにと、不起訴処分で戻ってきた兄を工務店の代表にすることに決めて、日々奔走・・・してたのも、これまた鼻についたみたいなのよ。色々ダメ出ししたからね、あたし。 そこで、中々うまくいかない家族と僕の関係について、会社の先輩から生涯の先輩となったYさんに相談すると、っていつもいつも相談してすいません…

  • 大工の子は大工、

    大工の子は大工、 その数時間後、警察署から実家に連絡があり、兄を連れて行った二人組はヤクザなどではなく、刑事さんだったことがわかりました。見た目からしてマル暴だったのかも。 ということで、勤務中にも関わらず僕もその事実を知り、兄に対して怒りが沸くやら、呆れるやら。そして、兄と共に僕に引導を渡した父に対しても怒りが沸いてきて、もう何が何だか・・・それに心配性の母が心配。 真っ先に僕は信頼する会社の先輩Yさんに電話をかけて相談しました。 「火の無い所に煙は立たねえ! 先ずはその事実を受け止めて、おまえは冷静に行動しろ」 と、Yさん。更にYさんはこう言いました。 「おまえのお父ちゃんは今日までおまえ…

  • 大工、ヤクザみたいな人?

    大工、ヤクザみたいな人? 内装解体班の売上と利益を会社に申告する度に「職人って儲からないね」と上司にチクりと言われながらも、班のみんなと苦楽を共にしていた時期。 ある日、解体の現場はみんなに任せて、僕は問い合わせ対応や得意先への挨拶廻りなど、本来の産廃営業の業務をしていました。すると、母からの着信がブィーン。 「お兄ちゃんがヤクザみたいな人達に連れていかれちゃったのよっ!!」 え? なんだそれ? ちょ、藪から棒すぎて状況がわからん・・・。 「は? 現場で?」 「お姉ちゃんも一緒だったから! お姉ちゃんに代わるわ!!」 は~?? 仕事中になんなんだよこの不穏な電話・・・いやな予感しかしないんです…

  • 大工、華の解体班時代

    大工、華の解体班時代 初仕事に成功した内装解体班はその後、戸建ての在来風呂の解体、ブロック塀の解体、バルコニーやウッドデッキの解体、マンションのスケルトン解体などをどんどんとこなし、ハコちゃんとセリさんのレベルもめきめきアップ。 ついには僕が現場に行かなくとも仕事を納めて帰ってきてくれるまでに。みんなすごいよ! 最初は丸ノコすら使えなかったのにYO! そんな中、一人の志願者が登場。自分を解体班に入れてくれ、と会社に直談判し、僕とハコちゃん率いる解体班に参加させてほしいと言って来たんです。 あら~まじかい。これで更に仕事の幅が増えるわ~、と僕もハコちゃんもセリさんも歓迎。 彼の名はグッチ君。グッ…

  • 大工、初めての解体!

    大工、初めての解体! 「いつもお世話になっております~。○○産業の○○です~。今度、ウチの会社で内装の解体を始めたんですよ~」 こんな風に、産廃のお得意様であるリフォーム屋さんや建設会社に片っ端から内装解体班の仕事を取るべく電話をかけました。すると・・・。 「あ! 本当ですか? ゴミも一緒に持って行ってくれるんですもんね? そうしたらお願いしようかな」 この反応! 意外な反響! どうやら現場管理側としては解体屋さんと産廃屋さん、二つの業者へのやりとりを一本化できることにメリットを感じてくれるらしく、仕事のご依頼はすぐに頂けたんです。 ・・・どないしょ。本当に仕事が入ってきちゃったよ。こいつは責…

  • 大工、仕分けの虎

    大工、仕分けの虎 そんなわけで、内装解体班が設立されることになり説明会が開催されたのですが、そこに意外な人物が呼ばれていたんです。 僕の勤めていた産廃会社は、横浜市と川崎市にいくつかの事業所を構えており、業界内でもそこそこの規模を持った会社でした。各事業所には事業所長と副所長がおかれ、彼らの給料には当然手当てがついてるわけです。その所長連の中からとある人物が呼ばれてたのよ。 京都出身、”仕分けの虎”の異名を持つ男、ハコちゃん副所長。この人が工場にいる限り仕分け損ねたゴミの山ができることはない、という超重要人物。超楽屋ネタ。 いや、本当にハコちゃんはすごい人物なのよ。えっとねぇ・・・産廃屋のゴミ…

  • 大工、新グループ結成!

    大工、新グループ結成! 会社の問い合わせ対応や建物解体の現場管理の業務に追われる中、産廃営業時代で最も大きな動きになる仕事を唐突に任されました。 「おまえ、大工だったんだから、内装の解体くらいできるんじゃない?」 「まあ、やったことあるっちゃあるんで、できると思います」 「じゃあ、やって。金出すから」 この、本部長とのやりとり。このふわっとしたやり取り。この簡単なやりとりがその後の人生に多大な影響を与えることになっちゃうんだから、わかんないよ。THE 人生。 内装解体? なんだか聞いたことないけど、要するに構造体以外の部分を壊すってことでしょ? だったら、大工が手作業で作った部分だから大丈夫大…

  • 大工、実録!○○屋敷!!

    大工、実録!○○屋敷!! 産廃営業部の仕事も慣れてきた頃、先輩お二人の業務をサポートすべく、Kさんからは建物解体の仕事を引き継ぎ、Yさんからは会社の問い合わせの応答という仕事を引き継ぐことになりました。 「もしもしすいません。あの~畳を何枚か捨てたいんですけど~」 各事業所や事務所へ寄せられるゴミの問い合わせに対して、電話に出た従業員や対応した社員が僕の携帯を案内する。すると僕にお客から直接バンバン電話がかかってくるというモノ。 ある日のこと、不動産管理会社のお客からゴミで困ってる部屋があるので、片づけてほしいとの電話がありました。ふむふむ、とりあえず見に行きましょう。 ってなわけで、問題のマ…

  • 大工、飛び込み営業

    大工、飛び込み営業 元ヤンキーと元ヤクザという愉快な先輩二人の下で働いた産廃営業部時代。主な仕事内容は飛び込み営業でした。売り物は二つ、「ゴミ捨てに来てね」の産廃受け入れの営業と「ゴミ取りに行くよ」の産廃収集運搬の営業。 この飛び込み営業。二人のクセ強先輩はまるっきり教えてくれなかったのだ。なんかこう手取り足取りじゃないけど、せめて目の前でやって見せてくれるとかあってもよかったと思う。 教えてくれたことは、こんな会社に飛び込め、あんな作業場に飛び込め、現場は仕事の邪魔になるからあまり行くな、とかそれくらいのざっくり情報のみ。きつくね? 飛び込んだ後の会話のセオリーとか、マニュアルとかあった方が…

  • 大工、建物解体!

    大工、建物解体! さあ、Kさんに瞬殺でマウントをとられてしまった僕は子分の運転手よろしくいよいよ建物解体現場に到着。さっそくアニキに買ってもらった靴に履き替えてと・・・。 「Kさん、お疲れ様です!」 と、元気よく声を掛けてきたのは先に現場で待っていた森さんという、小柄で笑顔が素敵な人物。そうです。この人は解体屋さんです。 「おう、おつかれさん」 Kさんの方が明らかに偉そう・・・。森さん曰く、森さんは建物解体の見積もりにおける積算方法や注意すべき点などをKさんから教わったらしく、師弟関係にあるとのこと。へ~Kさん、外ではちゃんと仕事してたんだね。 その現場は横浜市内にある古い一戸建て。僕の会社は…

  • 大工、おヤクザ入門

    大工、おヤクザ入門 人として大切なことを沢山教えてくれた産廃営業部の先輩Yさん。実はそのYさん以上にクセの強い人物だったのが、もう一人の先輩Kさんです。 Kさんはすんごい特殊。このような人物は一般的な企業内では存在しないでしょう。てか、存在したらアカン。産業廃棄物処理業っていう業界ならではの人物じゃないかと思います。 Kさんは元ヤクザ。ね、ほんとにそんな人いるのかよって思いますよね。けど実際、Kさんは全身に見事なもんもんが施されている(らしい)ため、真夏でも長袖の作業着を脱ぐことはなかったのよ。 会社の健康診断は、他の社員に見られぬようにKさんだけ特別枠。Yさんが一緒に行ってた。だから、Yさん…

  • 大工、スジとは!!

    大工、スジとは!! 前回、産廃営業部時代の先輩Yさんがよくよく使っていた、スジ、について意味がわからないと書きました。が、もう一度スジについて考えてみたい。 なぜなら、このままだとYさんにも読者のあなたにもスジを通せていないことになってしまうからなのだ! ビシシッ! とね、これですよ。スジ。ここにヒントがありそう。前回、スジとは人と人との関係における責任とけじめ、だと僕は言いました。 ちなみに例のAIに聞いてみたら『約束や言動と実際の行動が一致している場合、スジが通る行動と云う』だってさ、優等生! だけどちょっと説明が足りない気がするよね。 だって、これだと僕がYさんと読者に対してスジが通せて…

  • 大工、スジってなんぞ?

    大工、スジってなんぞ? 産廃屋の営業部に入って間もなく、僕のメッキはボロボロ剥がれて、あっという間に世間知らずの31歳末っ子ボーイだということを露呈してしまいました。 ある日のこと、僕の失態で会社に大きな損失が出てしまう寸前。僕は営業部の先輩YさんとKさんに助けを求めたんです。やばいよやばいよパイセ~ン! 「おまえ、なにやってんだ! ったくしょうがねえ」 そう言って電話を切るYさん。とにかく焦っていた僕は手当たり次第に助けを求めました。すると、事の問題だった原因自体がスッと自然に解消。 「あら、なんか知らんけど助かっちゃった」 わ~、よかったよかった。助かった~。これで損も出さないですむよ~、…

  • 大工、桐生一馬に出会う

    大工、桐生一馬に出会う 自分が活きる場所、勝てる場所を求めて就職した産廃屋でしたが、大きな誤算があったんです。それは営業部にいた二人の先輩。 一人は元ヤクザで、一人は元鬼ヤンキー、みーんな仲良く歌いましょ♪ じゃないんだよ! 先ずはYさんです。Yさんのイメージは小沢仁志成分3・的場浩司成分3・仲村トオル成分3・毘沙門天成分1 で仕上がった人物で、一番近いのは桐生一馬です(知らない人はごめんね)。 Yさんは地元で有名な不良高校の最も荒れていた時代の卒業生。Yさんの高校生時代のエピソードに、担任を教室に監禁した話、嫌いな先生の後頭部をラジカセで背後から殴った話などがあります。いやいやいやいや・・・…

  • 大工、一日中パソコンに向かう

    大工、一日中パソコンに向かう オフィスのお仕事。それすなわちパソコンなり。 というわけで、職人として作業着しか着たことのない人生だった僕が、スーツを着るお仕事になった初日、言い渡された仕事内容は・・・ 「名刺サイズの会社広告を作ってくれ」 キュピーーンッ!! 何それ? なにそのクリエイティブな感じ!! 思わずハート鳴っちゃったよ。あたしゃそんな楽しそうな仕事したことないよ!! それまでは、屋根の上に登ったり、脚立の上に登ったり、床下に潜ったり、泥やホコリにまみれたりのthis is THE 労働しかしたこなかったのに、広告を作ってくれだと~。 しかも・・・ 「○○のセンスで適当にいくつかデザイ…

  • 大工、そしてスーツを着る

    大工、そしてスーツを着る 産廃屋に就職して三ヵ月を過ぎる頃、会社に直談判した成果が実って、ついにその日が来ました。 「○○は明日から、営業な」 工場を訪れた本部長に肩を叩かれたんです。これはうれしかったよ~。即座に「スーツですか?」って聞いてもうたからね。そしたら「でもいいよ」っていう曖昧な返事だったけど。 こうして僕の産廃仕分け作業員時代は三ヵ月の試用期間で終了となり、晴れて事業本部の営業職にジョインすることと相成ったわけです。 職人の子として生まれて、職人二世として育ち、まるで職人以外は認めない父の下で職人二世として作業着を着続けた僕が、単身外の世界でスーツを着る職に就いた。 スーツなんて…

  • 大工、指先からミートくん

    大工、指先からミートくん 試用期間終了と同時にスーツを着ることを決めていた僕ですが、いい出会いもあったりして、楽しく産廃仕分け作業員を続けていました。 ある日のこと、残置物といって、戸建ての解体工事やリフォーム工事をする際に捨てられる所謂粗大ゴミを積んだ平ボディトラックが工場に入ってきました。 オーライ! オーライ! オーライ! ハイ! オッケーでーすっ!! と、GS店員よろしく、大きな声でトラックを誘導する僕。そして、トラック荷台のあおりを空けるために車の横に立って留め金をガチャガチャ。 あおりオ~プ~ン ! と同時に大きな冷蔵庫がぐらっ・・・ ズんっ!! え? NOぉぉぉぉおおおお!!!!…

  • 大工、うつ治った?

    大工、うつ治った? 汗と泥とチリとホコリにまみれた産廃屋の仕分け作業員時代、僕に変化がありました。 それは、苦しんでいたうつが気にならなくなったこと。 一応、それまでも立ち直るためにやっていたことがあります。それはケータイにひたすらメモること。んで、それをことあるごとに見返してました。トイレとか、休憩とかでね。 何をメモってたかというと、自分の「やらなきゃいけないこと」「やるべきこと」「やりたいこと」「やれること」、この四つです。 例えば・・・ やらなきゃいけないこと→生活全般(掃除洗濯とか)・仕事とかの労働系。 やるべきこと→勉強・読書・貯金・ダイエットとかの努力系。 やりたいこと→バンド・…

  • 大工、ザクとは違うのだよ

    大工、ザクとは違うのだよ 産廃屋に就職して、三ヵ月は試用期間でした。仕事内容は産業廃棄物の選別。要するに一般家庭でゴミを仕分けて捨てるのと同じように、産業廃棄物も品目ごとに仕分けて捨てるわけです。 ダンプやトラックが現場から積んできた産廃を工場内にドカーンと降ろす、その産廃に作業員が角砂糖にたかるアリの様に四方八方から取り囲んで、ゴミを分けていく。仕分けきれないほどのカスばかりになったらローダーがヤードに押し込む。 8時から18時までこれの繰り返し・・・。 こうやって書くと超単純なんだけど、ゴミの種類が業者ごとに千差万別なので、仕分け方も千差万別なんです。ま~大変ったらありゃしないのよ。ハード…

  • 大工、就職っ!

    大工、就職っ! 工務店の外におん出されて幾年月、ついに就職先を定めました。この時僕は満30歳。年齢的にいよいよ年貢かと思ってたけど、今考えるとまだまだ若い。 『環境リサイクルの会社です』 きっかけはこの求人見出しでした。これを見て「お!」っとアンテナが反応。院生時代に環境倫理学を専攻していたので、多少関心がある分野だったんです。 んで、関心ではなく肝心の給料を見たら、『月収30万円以上』!? 本当だとしたら悪くない。ていうか、それまでの人生で僕は月収30万も頂いたことがなかった。 『残業なし』『誰にでもできる』『キャリアアップ可能』などなどの更なるキラキラキャッチ。求人広告で良いことばっかり書…

  • 大工、クリーニングドライバー

    大工、クリーニングドライバー 美容室で元気よく働き始めたのも束の間、瞬殺で美容師は諦めてしまいました。はい、僕はバカ者です。が、言い訳にトライすると。 お給金問題なんです。僕のお店は月給13万スタート。2010・11年くらいの話です。で、当時住んでたアパートの家賃が5万5千円。妻もパートで応援してくれたのですが、やっぱりキツかった。 先輩のイケメン美容師にそのことを相談したら「だから、俺もスーツ着ようと思ってる」と言われたんです。え? パイセン辞めちゃうの? イケメン先輩は僕より年下だったけど、5年間美容師を続けて月給が20万超えた月がほとんどない(美容師は基本給+歩合給)ので、限界感じて辞め…

  • 大工、大工以外になる

    大工、大工以外になる 工務店をクビになって、路頭に迷ってしまった僕はこの頃、頭ん中もかなり血迷っていました。 僕が鬱になったきっかけは、バンド活動が終わって生きがいを失ってしまったこと。これには自分でも気が付いていたので、バンドの代わりになる生きがいを探し続けたんです。 小説を書いてみたり、ゲームをやってみたり、眉毛を細くしてみたりと・・・え? で、仕事の方は美容系の専門学校に行って、美容師になろうって決めました。 理由は、幼い頃から大工にな~れ、大工にな~れと父に呪いのようなプレッシャーをかけられて育ったから、作業着がもう嫌だったんです。 大工以外っていうか、作業着以外の仕事がいい! できる…

  • 大工、お前はクビだ!

    大工、お前はクビだ! 人としてどうかと思う男達と過ごした足場屋時代も一年くらいで終わりを迎え、実家の工務店に戻りました。 この頃の僕はまだうつ病のど真ん中にいて、薬を欠かさない日々だったせいか記憶がほとんどないんです。同じ病気を患ったことがある方なら共感して頂けるかもしれません。 だもんで、どういう経緯で足場屋から工務店に戻ったのか、工務店に戻ってどのような現場に出ていたのかも覚えていないんですけど、今でもハッキリと覚えている事件が起こったんです。 私、実家の工務店をクビになりました。てへへ。 状況を説明すると、当時の実家は父が社長で母が経理、他に兄を含めた常駐の大工が4人。そこに僕を足して5…

  • 大工、足場屋で働く.5 ゴンちゃん後編

    大工、足場屋で働く.5 ゴンちゃん後編 借金三億五千万を抱えながら、二つの家族を養う男、社長のゴンちゃん。今回もゴンちゃんのムチャクチャぶりをお話しします。 僕が工務店から初めてゴンちゃんの足場屋に出向した日。ゴンちゃんの運転するトラックに乗って、二人で現場に行ったんです。 普段のゴンちゃんは『仏のゴンちゃん』と周囲の職人や元請けに呼ばれる通り、温厚で優しい人柄。それに話も上手なので僕はすぐに懐柔されちゃった。 足場お手伝い初日の僕を気遣ってか、簡単な増築現場の足場をかける現場に僕を連れて行ったゴンちゃん。僕はゴンちゃんの指示通りに単管パイプを運ぶだけの一日でした。 「なんか飲むか?」 と、仕…

  • 大工、足場屋で働く.4 ゴンちゃん前編

    大工、足場屋で働く.4 ゴンちゃん前編 足場屋時代の話もいよいよ大詰め。最後は社長、通称ゴンちゃんです。ゴンちゃんは当時65歳、「俺は高齢者だから足場に上ったらダメなんだよ」が、殺し文句。 この人、とにかくムチャクチャなトンデモ人間なんです。僕はこの人に出会ったことで、その後少々変わった人達に出会っても驚かなくなりました。 ゴンちゃんは80年代のバブル期にゴルフ用品店の経営で当てて、高額だったカントリークラブの会員権片手に、ゴルフを中心とした生活で潤っていたそうです。 ところが、当時はゴルフのコースに出ると、クラブハウスに黒い人達が一定数いて、しばしば賭けゴルフに誘われたのだそう。その賭けゴル…

  • 大工、足場屋で働く.2 ケンちゃん編

    大工、足場屋で働く.3 ケンちゃん編 メンタルクリニックでうつ病の診断を受けて、3種類の抗不安薬などを飲みながらも背に腹は代えられず、ヒーヒー言いながら働いていた足場屋で出会った人達の話。 今回は3人目、足場職人ケンちゃんです。当時40代前半。ケンちゃんは前回お話しした佐藤さんと社長と3人で事務所兼社員寮のアパートで暮らしていました。 一度ケンちゃんの部屋を覗いたことがあるのですが、部屋には小さなブラウン管のテレビが床に直置きされており、後は布団とスーパードライ350の空き缶のみ。その空き缶の量たるや・・・。布団は寝ている部分だけ背中の形にシーツが破けてました。 ケンちゃんは白髪交じりのごま塩…

  • 大工、足場屋で働く.2 佐藤さん編

    大工、足場屋で働く.2 佐藤さん編 引き続き、僕の足場屋時代に出会った珍人の話をさせてください。足場屋の長男的存在、糖尿シャイボーイクマちゃんに続きまして、次男的存在の佐藤さんです。 佐藤さんは当時50代前半、社長ともう一人の従業員と3人で事務所兼社員寮として利用していたアパートに住み込みで働いていました。 佐藤さんには、当時高校一年生になる娘さんがいて、よく娘さんに会いたいと話していましたが、奥さんと上手くいかず、別居状態にありました。 佐藤さんは黒い影が見え隠れする人物で、ときどき「アニキ」と呼ぶ人物に電話したり、現場にそのアニキを連れてきて、アニキと一緒に足場を組んだりしていました。アニ…

  • 大工、足場屋で働く その1 クマちゃん

    大工、足場屋で働く クマちゃん編 うつ病になって薬を飲んでいたとしても、働かないと喰えない。当時、リーマンショックの影響で新築の仕事が激減し、実家の工務店は仕事の仕方を変えざるを得ない状況に陥っていました。 そんな中、父と兄を残し、弟の僕は口減らしのために父が懇意にしていた足場屋に出向することになったんです。が、この足場屋がトンデモ会社だったのよ。 社長+従業員3名の小さな会社なのですが、この4人の破壊力たるや・・・。長くなりそうなので各編小分けにしていきたいと思います。 先ずは従業員のクマちゃん。当時40代後半。社長を含めた他の従業員2名はアパートの一室で共同生活をしていたのですが、このクマ…

  • 大工、うつ病だったんかい!

    大工、うつ病だったんかい! というわけで、心理カウンセリングを受けた結果「病院へ行け」とのことだったので、なるべく家から近いメンタルクリニックにふらっふらの状態で行きました。 そのクリニックの待合室で、自分もいよいよ来るとこまで来てしまったな、と思って情けなく切なく空しい気持ちだったのを覚えてます。ってか、それがうつ病なのかも。 診察の内容はほとんど覚えていないけど、内科や外科と違って、医者の診察がカウンター越しだったのは覚えています。触診の必要がないからなのかな。 悩みをひととおり話して、生い立ちのこととか聞かれて、なんらかの心理テストみたいな、問診票みたいなものを書いた気がする・・・うろ覚…

  • 大工、カウンセリングを受ける

    大工、カウンセリングを受ける 大学院に入って、間もなく体調に変化が出てきたんです。その頃は実家暮らしでも家族とほとんど顔も合わせず、会話もしなかったし、仕事は相変わらず足場屋に出向状態でした。 二十代の血潮はすべてバンド活動に注いでいたのに、ドラマーが抜けてユニットになって、打ち込みの音楽を作るようになると超インドア活動に変化。ライブハウスに出ることも止めて、どんどん限界が見えてきたのよね。 そんなある日、自宅で窓の外を見ると雨が降っていました。でね、その雨を見ていたら、涙がボロボロ出てきた。すんげ~イタイ奴なんだけど、マジです。 最近、つらいとは感じていたけど、これはヤバい。 と、この時に自…

  • 大工、大学院に行く

    大工、大学院に行く 大学院で僕を受け入れてくれたゼミでは、僕が最年少でした。僕と同時にそのゼミに入った方は都内の某お寺さんの住職で、有名な俳優の葬儀などを任された方らしく、あたしゃ小石みたいに縮こまったよ。ってか、すんげ〜自慢ゴリ押しオジサンだった。 こっちはしがない工務店の何者でもない次男坊。あれより抵抗不能なマウントはその後も経験したことがない。坊さんにマウントを取られると自己肯定感サゲサゲ。 そんな僕がおどおどしていたせいか、声を掛けてくれて、何でも聞いてねオーラ全解放&先輩風暴風域のおば様とすぐに知り合いになったんです。取り込まれたって方が正しいかも。 ゼミ内のハウスルールみたいなもの…

  • 大工、三足のわらじを履く

    大工、三足のわらじを履く そんなこんなで二十代は「兄と共に父の工務店をかいがいしく手伝っているように見えて、その実大工には1ミリもなる気のない弟」という状態で生きていた僕。 19歳から始めたバンドもライブ活動をするようになると、ギター演奏で特別になりたい、作曲で特別になりたい、人として特別になりたい、などとばかり考えるように。まあどんどん中二病をこじらせていくわけだ・・・。 すると、「なにがなんでも大工にだけはなりたくない!」という気持ちは強くなっていく。だけど、二十代半ばにして大工以外はバイトくらいしか経験がなく、バンドで喰えなかったら年齢的にも大工にならざるを得なくなるのでは? という不安…

  • 大工、利用してやる

    大工、利用してやる 父が嫌いで大工になるのだけはイヤだと考えていた十代の後半、様々なバイトを転々と変え続けながら、人生なんてツマラナイものだとふさぎ込んでいました。 17歳の時に家から近いという理由だけで決めた肉屋のバイト。そこで頂いた給料でギターを買ってから、音楽で喰えるようになりたいと、憧れを越えた確信のようなものを持つようになっちゃったんです。 学校の授業ではリコーダーもピアニカも絶・苦手だったのにね。 だけど、本気でバンド活動をしようと思うと、作曲にライブに練習にと、時間もお金もかなり持っていかれるので結構大変。とてもじゃないけどフルタイムで週に六日なんて働く暇はないんです。 すると僕…

  • 大工、見て覚えろ!

    大工、見て覚えろ! 職人の世界には「手元」という宙ぶらりん雑用の状態があります。大工にも例外なくある。 この「手元」を職人の補助作業とかサポートだなんて書いてあるのを見かけると、少しモヤっとするんだよね。 これ要するに、何もわからない新人に何をさせていいかわからないからとりあえず小間使いさせておくってだけですよ。 それを補助作業とかサポートって言っちゃうと、役目や立場として成立しちゃってる感じだから変だよ。「手元」って、まだ現場では役目を与えられていない状態のことですからね。 職人気質の親方が入門したての新人に、何から教えてあげればいいのか、何をさせればいいのか具体的な教育方針がないから、とり…

  • 大工、親父がキビシ~

    大工、親父がキビシ~ 十代の頃、父に連れ出された現場では主に掃除をしていました。イエス! 一日中! そのせいか、今でもホウキを使った掃き掃除は得意です。って自慢になるんかこれ。 父や他の大工さんが丸ノコでBeeeeeeN!! と木材を切ったあとの切りくずをすかさずサッサ。BeeeeeN! サッサ、BeeeeeN! サッサのリズムでございます。 これ冗談に聞こえると思いますが、本当に一日中ホウキしか持たされなかった日もありました。だから退屈であることこの上ないのよね。父は無口だし。あれはつらかった。 でね、たまに父が道具箱から特定の道具を取ってくるように僕に頼むんです。これがまっじで嫌だった。な…

  • 大工、OYAKATAと呼べ!

    大工、OYAKATAと呼べ! 親がゴリゴリの大工だった僕は、幼い頃から親戚の集まりなどで「○○は大きくなったら大工になるんだよな」「大人になったらお父さんと一緒に大工さんね」などと言われ続けて育ちました。 それに対して元気よく「うん!」と応えると、父が顔をくしゃくしゃにして喜ぶので、子供ながらに大人達の気持ちや場の空気に配慮しつつサービスのつもりで返事をしていましたよ。ええ。 それから中学生になると、夏休みや冬休みなどの連休には父に連れ出されるわけです。どこって現場です。はい。 「一日5千円やる」と言って、父は問答無用で僕を新築現場に連れて行きました。前日の夜なんかは、すんげー嫌でなかなか眠れ…

  • 大工、小指がない!

    大工、小指がない! どんな業界にも、ユーモアがない人や愛情がない人はいると思うのですが、大工には小指がない人が一定数います。こっち真顔です。 僕の実家の工務店には四人の大工さんが常駐していました。驚くことに、その内二人が小指なし大工だったのだ。データとして少ないけど、印象としては多い。 今まで、多くの大工に出会ってきましたが、ちょこちょこ指の先がない大工さんにお会いしました。 沢山の誤解を招いていること請け合いなので弁明します。 最近はめっきり減ったのですが、工務店は自社の作業場において、木材を加工する作業をします。簡単に言うと、材木を割いたり、切ったり、削ったり、彫ったりして整える作業。 ん…

  • 大工と蚊

    大工と蚊 僕が大工として仕事をしていて、嫌になっちゃうことの第一位は蚊です。二位はグラスウールで三位は怪我。 大工は蚊にめちゃくちゃ刺されます。 四月の半ばくらいから汗ばむ季節に入ると、プイ~ンとまとわりついてくる奴ら。新築なんて現場のどこに居たって刺されます。 他の業種の方にこの話をすると、大げさに聞こえるかもしれないのですが、日に十か所くらい普通に刺されます。これが現場の工事期間中、毎日続くのでたまったもんじゃない。 しかも、一般的に蚊の季節って夏の間だと思われているじゃないですか。ノン! 少なくとも、神奈川では4月から11月のアタマくらいまで確認できます。実際に僕が刺されてるので本当よ。…

  • 「大工」ってさ

    「大工」ってさ 石を加工して様々なものを作る技術を持つ「石工」、土を加工して様々なものを作る技術を持つ「土工」、木を加工して様々なものを作る技術を持つ「大工」。 これはなぜだって話です。 木を加工して云々ならば「木工」の方が座りがいいのに「大工」となるのはなぜか。大を加工してってなると、ちょちょちょ・・・ストップストーップ! だけど、この「大工」の「大」の字はなんなのよって気になる気になる、気になる木。 調べてみると、この「大」の字には、設計や現場管理、職人手配やその統括の仕事を含めていて「木工」のみに収まらない。だから「大工」となった、とみるのが有力説のようです。なるほど~。 土を使って仕事…

  • 大工っぽくないよね

    大工っぽくないよね 親父がバッキバキの職人気質の家庭に育った僕は、必ずしもっていうか、ハッキリと大工になりたかったわけではない。だからかしら、言われて嬉しい言葉があります。 「大工っぽくないよね」。これです、これ。 お! わかる? そうなのよ~、元来大工気質じゃないのよ僕は、がっはっはっは、と相手の肩をポンポン叩きたくなるくらいクル。 だがしかし、そもそも大工っぽさってなんでしょうか。 実家が工務店の僕は幼い頃から沢山の大工さんを見て育ちました。そんな僕の彼らに対するイメージは・・・ 頑固で無口、口下手で粗野、怒りっぽくてアナログ人間、とまあ良いもんじゃないのよね。更に見た目は筋肉質でずんぐり…

  • 大工、病院へ行く暇がない

    大工、病院へ行く暇がない コロナが始まって以来、風邪一つ引かなかった僕ですが、先月思いっきり体調を崩しました。 その日は新規の現場の着工日で、材料が届くまで現場で待っていたのですが、やたら寒い。普段、マンションの現場はコンクリート躯体に覆われているので、真冬でもそこまで寒くないのですが、とにかく寒い。ぶるぶる。 やば、風邪ひいたかも・・・と思ったら、鼻水と痰がどうだどうだと言わんばかりにバンバン出てくる。 これはまずい、というよりも寒すぎてこれ以上ぼーっと材料なんて待ってらんねえ。 ってことで、慌てて家に帰って15時には布団に入って寝ちゃいました。 今思えば、この時に病院へ直行するのが最適解だ…

  • 大工、人を使うことへの迷い

    大工、人を使うことへの迷い 体力的にも収入的にも右肩下がりになっていく恐れのある職人業ですが、これに対抗する手段として、人を雇って助けてもらうor人に仕事を振って助けてもらうの二つがあります。 職人業も40歳を過ぎてくると、身体の衰えを実感。この仕事を一生独りで続けるのはムリがあるな・・・と日々思うもんです。そこで、出てくるのが人を使うという考え。 実は、というか実際の話、町場の小さな工務店で毎日働いている一人親方の大工。彼らの多くは、事実上雇われているけど、経理上では雇われていないのだ。 どういうことかと言うと、経理上は「外注」になっていて、社員として扱わない。雇用保険なんて当然ない。だけど…

  • 大工、右肩下がりの稼ぎ

    大工、右肩下がりの稼ぎ 一人親方として独立し、五年目の春を迎えました。初めのうちは一日でも仕事が空いてしまうと「なんか仕事探さないとヤバい」なんて焦っていましたが、今ではどっしりしたもんです。態度も身体も1.5倍。 職人が足りていない建築業界なので、僕のように中途半端な大工でも一通りの知識と技術があれば食べていける。人手不足の売り手市場なのに単価が上がっていかない謎はあるけどね。 帝国データバンクの業界動向調査を見てみると、「人手不足により労務費は増加」なんて書いてあるけどさ、実際の現場では変わってないんですけど・・・謎。 仕事が途切れてしまった大工はみじめなもんで、家で爪を切ったり、ノミを丁…

  • 全身和柄マン

    全身和柄マン 郊外の大きなイオンとかアピタ、はたまたくら寿司とかブックオフなんかに行くと、上下和柄入りでめかしこんだおつもりの男性を見かけますよね。 上は背中に鯉の滝登りがバンと見事に描かれたシャツを着ていて、すごい圧。にもかかわらず、下は太ももから足首までスーッと龍が舞うようなジーンズを履いている。おまけはお尻に散る桜。 自己主張が密です。 いえ、服装なんててめえの趣味嗜好だからね、よそ様がとやかく言うことじゃあないよ。はい。わかってます。わかってますよ。 ただ、た~だ~!! ただ僕が気になるのは・・・職人に多いんだよね、この全身和柄マンが。 以前、ニッカポッカを履いてる職人は「動きやすいか…

  • とある大工の一日

    とある大工の一日 4:30 起床 妻と娘を起こさないように布団を出て、キッチンへ行きコーヒーを入れる。それを持ってデスクに行き、パソコンを開いて、ブログを書く。たまにマックで絵を描く。 6:30 身支度 パジャマから作業着に着替えて、11種類のサプリをプロテインで流し込む。顔を洗って水筒に水道水をジャバジャバ入れて準備完了。時間があるときはお皿を拭いて片づけたりもする。 7:00 出発 大概の現場が一時間半以内に到着できるので、八時半を目指して家を出る。駐車場激戦区の場合はもう少し早く出る。車の中でニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』を聞く(内容は難しくて全然入ってこない)。 8…

  • 大工、手がごつい

    大工、手がごつい 年に一度だけ会う友人とスナックみたいな地元のバーに行った時のこと。横並びに座った友人が何気なく僕の手を見て言いました。 「ずいぶんごっつい手してるねえ。やっぱり大工なんだねえ」 え? 全然ピンとこないんですけど。そんなにごついかな・・・。 その友人は、脱サラして料理の修行でイタリアに一年半ほど滞在。帰国後にいくつかの料理店を渡り歩いた後、昨年地元で自分のお店をオープンさせました。 彼曰く「料理人にはそんなにごつい手の人いないよ」だそうです。 ふ~んって、その場では聞き流したけどさ、冷静に考えてみるとディスにしか聞こえないんだよね。 この友人は僕がなりたくて大工になったわけでは…

  • 「建築業の男」になりたくない

    「建築業の男」になりたくない 新年度に入り、TBSラジオの人気番組『たまむすび』が惜しまれながらも終了。新たに『こねくと』が始まりました。 嬉しいのが、町山智浩さんの映画評論コーナーが継続になった事です。でね、パーソナリティの石山蓮華さんに「どうしてアメリカ住みなのか?」と、カリフォルニア州在住の理由を聞かれた町山さんが面白い回答をしていたんです。 それは「自由、だからです」と即答。例えば、子供を学校に迎えに行く親の中に、モヒカンがいたり、悪魔教徒がいたり、女装をしている人がいたりと、しかも、それについて誰も何も言わないです、と町山さん。 日本だったら、PTAやうるさ型の親がだまっちゃいないで…

  • 大工の華

    大工の華 職人にとって、大工にとって、汗をかくことに意義があるとすれば、それはやっぱり家族との時間を楽しむためだと思う。 大工生活に華があるとしたら、上棟式? 木完の日? はたまた給料日? いやいや、正直なところ、華なんてないかな。フツーです。山も谷も感じない、フツー。 工務店時代は月末にオツカレサマの意味を込めて、常用契約の大工さん達に焼き肉をごちそうする習慣がありました。が、大工の華は月末の焼き肉だって感じでもない。焼き肉大好きだけどね。 う~ん。こう考えてみるとやっぱり家族との時間が大工にとっても華なのかな~って思う次第であります。こっち独り身を無視したきれいごとを言っております。 独立…

  • 大工の手取り

    大工の手取り 「一人前になったら一か月50万やる」。これが親父の殺し文句でした。この言葉に幼かった僕は「マジか! そんなに稼げるんか!」と鼻息荒く興奮して、あれやこれや買える買えると妄想を膨らませたもんです。 って、50万いつになったらくれるんじゃ~っ! と、親父に殴りかかった二十代前半。雇われ大工で50万もらうって結構すごいことなんじゃ? と気づき始めた二十代後半。 そして三十代で経理、広告営業、税理士と相談、などなど工務店の経営を実際にするようになって、大工に手取り50万出すってむちゃくちゃ大変だと知りました。 そもそも息子の人生をお金で釣って扇動しちゃう僕の父は、かなりダメな人だと思いま…

  • 足袋履いたことないっす

    足袋履いたことないっす 屋根に上るときは、大工たるもの足袋を履く。いや、上らなくても履くのかもしれない。マジでわからない。だって、足袋なんて履いたことないから。 大工になるのなんてごめんだねと思ってた十代の頃、バイト感覚で参加していた建前の朝、「お前は足袋履かねえのか」とか言いながら大工のおっさん達は足袋をせっせと履いていました。 いやいや、履くも何も持ってませんよ、と大工初心者というか半人前そのものだった僕は、普通に靴で屋根に上ってました。 「そんな靴で屋根あがったらあぶねえぞっ」と、怒鳴られても、だから持ってないんだって! と、内心いつもめんどくさがってたよ。 あれから二十年以上の年月が過…

  • ところ変わればサイヤ人(会社篇)

    ところ変わればサイヤ人(会社篇) 大工はそれぞれに仕事の仕方やペースが異なるので、僕のような大八ですら、A大工と一緒に仕事をした場合は小僧扱いでも、B大工と一緒に仕事をした場合はサイヤ人のように活躍できる、なんてことを前に書きました。 これ、対会社でも同じことが起こります。 例えば、Aリフォーム店の現場では一般的な大工として仕事をこなし、キッチリ納めているつもりでも、やたらとダメ出しを受けて、結果的にダメな大工として認識される。 ところが、Bリフォーム店ではA店の現場と同じパフォーマンスをしているのに、仕事ぶりを褒められて、結果的に優良な大工として重宝してもらえる。 こんなことが、往々にして起…

  • 任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました(パート4)

    任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました 事故を起こしてしまった日の午後15時、不安で変になりそうになってる僕の携帯がなりました。事故相手の田中さんからです。僕はこの瞬間、なぜ保険屋からの連絡じゃないんだろう・・・と、不安が爆発寸前。おそるおそる電話に出ました。 「あ~すいません。田中です。保険屋に色々聞いたんだけど、自賠責だと保証されないらしいので~。モジゃさんは保険に入ってないって言ってたから~」 ゆっくり話す田中さん、何を言われるのかビビりまくって疑いまくっている僕とは裏腹に、丁寧さも優しさも含まれているトーンでビックリすることをおっしゃったんです。 「モジゃさんの知り合いの修理工場と…

  • 任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました(パート3)

    任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました 最初に事故現場へ到着したのは警察ではなく、NEXCOの黄色い車でした。事故車両が停車している位置の後方200mくらいにネクスコは停車、そこから赤コーンを等間隔に置きながら作業員の方がこちらへ向かってくる。ネクスコってこういうお仕事もされていたんですね。 「ネクスコですが、もうしばらくすると警察が来ます。渋滞を回避するために、場所を移動するかもしれませんので、警察の指示に従ってください」 と、その後数分でパトカーがやってきました。この時、僕は正直かなり緊張。予め田中さんと用意していた車検証と自賠責保険の証書と免許証を警察に渡すと、警察はパトカーの中へ入…

  • 任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました(パート2)

    任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました 「事件ですか? 事故ですか?」 「事故です」 事故だよ事故だよ! 紛れもなく事故だよ! けが人の有無と事故の発生場所を聞かれて、あたふたと説明すると、すぐに向かうので待っていて下さいとのこと。 高速道路脇に車を停めて、落ち込んだ様子の人がしゃがみ込んで頭を抱えている。二台の車はべこべこに凹んでいて、携帯を持った人はどこかに電話をかけている。物見遊山の車が少しスピードを下げて事態を眺めながら通り過ぎる。 まさか自分がこうした事故現場の当事者になる日が来ようとは。次は癌になって、まさか自分がって言うのかしら・・・嫌だなあ。 しかし、この状況にも関わらず、…

  • 任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました

    任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました 先日のこと、いつものように横浜方面から都内の現場へ向かうべく、横浜新道を抜けて第三京浜方面へ車を走らせていました。時刻は七時少し前、天気は曇り空。 車通りは混んでるわけでもなく、空いてるわけでもない普通の状態。日常の横浜新道上り方向といった感じ。いつものように常盤台トンネルに入って、カーブを抜けて第三京浜へ抜けるはずだったのだが。 トンネルへ入ってすぐ、僕はマスクをしていないことを気にして、ついつい助手席に乗せてあるマスクの箱をもぞもぞと片手でいじくり始めました。 ガサゴソ・・・ん? 取れないな、なんだよ・・・。 と、マスクの箱に目を落として、数秒後…

  • ところ変わればサイヤ人

    ところ変わればサイヤ人 大工として独立して五年目ですが、最初は不安だったことがあります。 それは他の大工さんと一緒に仕事をすること。そうなんです。僕は自他共に認める大八なので、腕に自信がない。 でも、他の工務店にヘルプで呼ばれたり、仕事が空いてしまったときなどに助けを求めたり、持ちつ持たれつの関係で職人は仕事をしてるから、避けられないのよね。 さあさあ、いざ他の工務店へ厄介になりに行きますと、本物の大工さんがゴロゴロいらっしゃるわけです。こうなると僕は新米大工に逆戻り。自分の経験年数なんて忘れて小僧に徹するしかないでしょ。 「ちょっと、これ切っといて」 「はいっ!」 「この材、あっちへ運んでお…

  • ヒゲについて

    ヒゲについて ヒゲって、なんで剃っても剃っても生えてくるんでしょうね。しかも最初の3mmくらいまでは猛スピードで再生してくる。タケノコかっつの! 職人のヒゲ事情は、意外なもので大多数の職人がしっかりとヒゲは剃っています。これ、注意して見始めてから、しっかり毎日剃っている人の多さに驚きました。 いや、職人なんてヒゲボーボーでむさくるしい感じなんかと思ってたよ・・・ごめんなさい。むしろ自分の方が、ヒゲ中々剃らないめんどくさがり屋の少数派でした。 大工であり、アレルギー性の鼻炎持ちである僕はホコリにめっぽう弱く、一度吸い込むとくしゃみと鼻水が止まらなくなります。花粉の季節でなくともね。 だもんで、コ…

  • 職人の髪型

    職人の髪型 さて、職人の髪型事情はどうなっているのかというと、これまた作業着と同様に自由です。基本的にはね。 大きな建設現場に入る職人はみんなヘルメットを被ります。また、規律の厳しいハウスメーカーの建築現場でもヘルメットを被ることが増えている。 ヘルメット着用現場での職人は金髪だろうがボーズだろうが赤髪だろうが関係ない。長髪の髪をぐりぐりまとめてからヘルメット被ってる人もいます。 戸建てやマンションの現場では頭にタオルを巻いている人も結構います。このタオル職人のパターンは三つ。ロロノア型・湘南の風型・畑仕事型です。僕は真夏の屋根仕事や建前ではあっついので畑仕事型のタオル巻きをしています。 まあ…

  • 日曜に作業着のや~つ

    日曜に作業着のや~つ というわけで、職人といえば作業着です。作業着に関してはビジネスマンのスーツと違って特に流行りも廃りもない。もちろんルールもない。自由です。 だから、僕が今まで見てきた職人の中にはいつもジーンズとTシャツの大工もいたし、私服のお古を作業着に回しているなんて大工もいました。 しかし、一定程度のマナーは必要だよ。特にお客様ご在宅の現場では、私服姿のような職人だと素人仕事をしているように見えて示しがつかないし、あまりにも汚い作業着だとシンプルに不潔で失礼。 戸建てでもマンションでも、金髪ロン毛で私服姿の職人が叩いていたり、ボーズ&ピアスでニッカポッカの職人が叩いていたりする現場と…

  • スーツ全然着ない

    スーツ全然着ない 職人は365日仕事のときは作業着なので、スーツなんて全く着ません。着る機会もないのよね。 最後にスーツを着たのはいつだったかしらって感じだし、持ってるスーツも成人式に着ていく為に親に買ってもらったダブルのスーツ一着しかない。20年以上も前やで。 いや、なんとなくダブルのスーツが古臭い印象なのは大工でもわかる。これはいかんと思っていても着る機会がないので長年放置していました。 ちなみに冠婚葬祭は礼服があるので、そっちで対応しています。 ところが、この春三歳になった娘がめでたく幼稚園に入園することになり、スーツが必要になったのだ。 え? 礼服じゃアカンの? と思ったのですが、宅の…

  • いとしさとせつなさと

    いとしさとせつなさと 懐かしいドリフのコントには大工ネタや職人ネタがそこそこありました。長い角材を肩に担いだ志村けんが「おーい」と呼ばれ、そのまま振り返って呼んだ相手に長い角材を当てちゃうコント、めっちゃ笑ってたよ。 そんなコントやバラエティで定番の大工ネタが、釘を打つ際に玄能(金槌)で手をぶっ叩いちゃうやつですよね。「あ~!」って叫んだ次のカットで10倍くらいに腫れ上がった指を見せて落とすまでのワンセット。 これ、指が10倍に腫れることはないですが、大工なら誰でも経験する通過儀礼のようなもので、大工あるあるランキング一位必至です。 でね、これが一回叩くとむちゃくちゃ痛いのでしばらくは気を付け…

  • 「大工さん」にピンとこない

    「大工さん」にピンとこない 大工の一人親方として独立してこの春で五年目に入りました。早っ! 中古だけど家を買って、実家の工務店を辞めて、子供が生まれて・・・とあっという間だったなあ。 恐ろしいことに、大工としては15歳から現場にフルタイムで出入りしていたので、25年以上も前から「大工さん」だったことになる。ちょいちょい別のバイトや仕事もやったけどね。 建築現場で仕事をしていると建材や設備が配達されるので、それを受け取ることになるのだが(荻上チキのまね)。しばしば配達員の方が納品書を持って辺りをキョロキョロ。 「あれ~、え~と、あの~大工さんは?」 「え、僕ですけど・・・」 そうですか、そんなに…

  • 職人の仕事はジコマンか?

    職人の仕事はジコマンか? 職人界で絶大な効果を発揮するホメル系の魔法。恥ずかしながら僕も職人の一人なので実はこの魔法にめっぽう弱いのです。 大工は基本的に一人で仕事をすることが多く、褒められるような機会は少ない。それに職人の仕事の良し悪しは同業の職人にしかわからないことが多く、客観的に判断しにくいからね。 「うわ~これすごくよくできた~」って本人が思っていても、それがお客や管理の人間に伝わることはまずないっす。さみしっ。 「職人のこだわりなんてジコマンだ」と言い切る某リノベーション会社の若社長が横浜にいます。彼は工期死守のマンション再販業者の下で施工を請け負っているのですが、僕ら職人に対して「…

  • ○○さんはすごいっすねえ

    ○○さんはすごいっすねえ 一般的な社会とは少し異なる世界が広がる職人界にはホモソーシャルな風もびゅんびゅん吹いています。職人とつかず離れず一定の距離間で上手に仕事をするには処世術が必要。 彼らに対して効果がめちゃくちゃ高いのが「トリアエズホメル」「スカサズホメル」「チョイチョイホメル」といったホメル系の魔法です。ま~面白いように効きます。 例えば、初対面の職人ならほぼ間違いなくマウントをとるかとられるか様子をうかがっていて、口数は少なく、表情はこわばり、とりあえず咳払い多めです。この状態の彼らをそのまま放置していると一様に不機嫌になっていくのだ。めんどくさっ! でも大丈夫。この不穏な状況を打破…

  • 二段梯子もおっかない

    二段梯子もおっかない 建前での恐怖は前回お話しした通りですが、二段梯子(にだんばしご)による作業もおっかない。大工の作業でも危険度Maxレベルです。 工務店を経営していると風の強い日の後日「屋根の上でバタバタ音がする」「屋根の一部がはずれて落ちた」といったお悩み電話がかかってきます。 また、大雨や大雪の後には「雨どいがひん曲がった」「雨どいから水が漏れる」「屋根から雨漏りしている」などのお悩み相談を受けます。ちなみに雨漏りの原因が屋根そのものにあることは稀有。軒裏とか笠木とか下屋の壁との取り合い部分や窓周りを要チェックや! さてさて、これらは全て高い所のお悩みですね。 これらの患部をチェックを…

  • 高い所おっかねえ

    高い所おっかねえ 僕は子供の頃から現場に連れ出されていたのですが、中でも多かったのが上棟作業。「たてかた」とか「たてまえ」と呼ばれる棟上げの日です。うちでは「たてまえ」と言ってました。 「うわ! 落っこちる」なんて夢をたまに見るほど高所は苦手です。ていうか、14歳くらいから手伝っていたこの上棟作業で、後天的に高い所が苦手になった気がするよ。 皆様も住宅街を歩いていて、家が木の骨組みだけの状態を見たことがあるかと思います。そこで数人の作業員とクレーン車が確認できたら、それが上棟作業です。 まだ骨組みだけですから、もちろん二階の床も、屋根の上も骨組みだけ。そこを歩き回って仕事する。少しイメージが貧…

  • 10時と15時の休憩

    10時と15時の休憩 大工はもちろん大半の職人は10時と15時に休憩を入れます。まぁ15時っていうか、三時ね。三時のおやつの方。 午前十時、午後三時の五分前くらいになると、その現場で一番若手の職人がコンビニや自動販売機に人数分の飲み物を買いにいくわけです。この際自腹を切ることはなくて、お金は親方が出してくれます。 若い職人が飲み物を抱えて現場に戻るとモゾモゾ職人が集まってくる。それぞれ「いただきます~」とか小声で呟いて飲み物持ってタバコを吸い始めるのね。ほんで始まるおっさん達のドーデモ話。この休憩時間が三十分。長くね? ちゃんと休憩をとらないと、仕事全体の効率が悪くなる・・・って本当か。 いや…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、モジゃもんさんをフォローしませんか?

ハンドル名
モジゃもんさん
ブログタイトル
大八ですけど喰えてます。
フォロー
大八ですけど喰えてます。

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用