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  • 廃楽園

    うそつきだ。 世界は終わらなかった。 いつだってそうだ。 あいつを抱きしめて。 くちづける。なんどもなんども。 もういいじゃん。だれもなんにもいわないよ。 だからこうしてつながったままほらもうじきおわるんだってさ。せかいは、 おわるんだよ。 いままできづかないふりしてた。 このおもいをじょうよくをすべて。 なぁ、 もうおわるからなにもきにすることはないだろう? さいごのしゅんかんまでおまえと、 だっておまえを、 あいしてるから。 あいしてたんだよずっと。おまえだけをあたりまえのように。 せかいがおわるなんてなんにもこわくないかなしくもない。 おまえとこうしてさいごをむかえられるから。 うそつき…

  • 純心

    ―――あんなぁ、 おおきな液晶画面から眼を離さないまま。ひとりごとの様に彼は話す。 ―――おれ、おかしいんよ。 手はキーボードを叩いている。 床に胡座をかいて座り膝の上に置いたキーボード。使い難そうに思うけれどそれがいつもの彼のスタイル。いつもと変わらない。凄まじいスピードで指が動く。画面の中では俺には理解不能な数字が目まぐるしく打ち込まれていく。 ふぅ、 たん! 終わったようだ。彼はキーボードから手を離して。「おれ、おかしいんよ」 くるん、と。 顔だけ俺の方に向けると、もう一度云った。「・・・・・・?」 このひとの、おかしい、基準? 世の常識。その基準からかけ離れているこのひとの? 頭の中に…

  • 心恋のこと

    意味>>心恋(うらごい)> (「うら」は「こころ」の意) 心に恋しく思うさまである。また、何となく恋しく思うさまである。 ※コトバンクより それはそれとして← このシリーズ?に出てくる方言は 似非関西弁です。 使用方法が間違っている表現が多々あると思われますが、 脳内補正しつつお読みいただければと思います。 │-゚*)

  • 孤独な魚はなにをねがう、

    曖昧な記憶。 なんだっけ、 時折、 不意に浮かび上がる画像。 残像。 なんやろぉな、 この、 キオク。 ・・・・・・記憶? ***** 綺麗な、 真っ白な、 鏡? やわらかな、きおく。 桜が、散る。 なんやったっけ、『狂い咲き』 そう、云ったんは。誰れやった? 薄くけぶる、桜の向こうに。 白い、 真っ白な、 風に、 波が、 桜はキライなんよ。 泣きたくなるから。 ***** 知っているんだ。 夜の海は暖かくて。 あの中にこの体を沈めたらきっと。 とっても安心できるんだってこと。 たゆたうのは、 あれはなんだろう。 知っているんよ。 どうすればいい? くるったふりをすればいい? なにもみえないな…

  • 花孕【花ノ檻】

    ちりちりと空気がひりつく。瞼を開いた《□》の眼に純然な白が映る。 此処は―――? 一瞬そう浮かんだ疑問。直ぐに寝台だったと理解した。 花の馨。慣れた匂い。に、微かに混じる違和がある。 何故かはわからない、 ざわつく、こころは。なにに反応したんだろう。 腹に響く重低音と振動が一瞬空間を揺らした。 真っ白な壁の向こうから、真っ赤な液体が染みこんできた。 真っ赤な液体は真っ白な床にぽとりと落ち、流れ広がる。《□》はそっと寝台から降りると、赤い色が進入してくる壁に手をかけた。 す、・・・・・・と。壁が開く。部屋の外は暗く、鉄錆の、生々しい臭いが、した。《□》は床に眼を向ける。 赤い、粘質の液体が床に壁…

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