「―――あー、・・・・・・ちがうか、『くるしい』じゃねーわ。『かなしい』?」「ん? なんか云った?」「違うな。・・・・・・なんだろう・・・・・・『くやしい』・・・・・・か、―――って、なによ寿里(じゆり)くん」「なんかぶつぶつ云ってるから」「え? なにが?」「は? 自覚無かったの? やばいじゃん。大丈夫?」「なに云ってんのよ、大丈夫に決まってんでしょーが。それよか寿里くん、さっきから倉見が呼んでるけど」「え! あ、ホントだ!」 バタバタと慌ただしく寿里くんが撮影場所に走って行く。その向こうにはあいつが居て、珍しくぼーっと、空を見上げてた。その横顔に視線が縫い付けられる。 ほんっと、腹を立てるの…