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咲紗の、本とチワワとコーヒーと ~愛すべき本たちとの日々~ https://sashadokusho.hatenablog.com

「咲紗の、目指せ!日本一の読書家」から移行しました。 大好きな本とチワワとコーヒーに囲まれた日々を送っていきたいと思います。 読んだ本の紹介、感想などを書いていきますのでよろしくお願いします。

咲紗
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2021/03/27

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  • 江戸川乱歩「空中紳士」貴重な合作小説

    こんにちは、咲紗(サーシャ)です。 さて、今回読了したのは、江戸川乱歩の「空中紳士」です。 作品概要 あらすじ 読後に感じたこと 作品概要 昭和4年。まだ戦争前の作品ですね。 すっごく面白かったです。一気に読んでしまいました。 あまり聞いたことない作品だなぁ、と思われるかもしれません。 乱歩作品にしては珍しい、異色の合作小説となっています。 乱歩は何作かリレー作品はあるのですが、合作は珍しいです。 乱歩を筆頭にして、乱歩、土師清二、長谷川伸、小酒井不木、国枝史郎の5人です。 正直言って、乱歩以外は、私の勉強不足のせいか、知らない名前ばかりです。 どうやら、推理小説家ではない方も混じっているよう…

  • 君が夏を走らせる 瀬尾まい子 新潮文庫

    さて、今回は瀬尾まい子先生の「君が夏を走らせる」です。 16歳の金髪不良少年の太田君は、先輩の、1歳10カ月になる娘の鈴香の面倒を見るというアルバイトをする羽目になります。 太田君は不良ではあるけれども、中学3年の時、駅伝を経験したことによって、普通の不良とはちょっと違い、一本芯の通っているところがあります。 だからこそ先輩も、彼を見込んで頼んだのでしょう。 この駅伝の話は、「もう少し、あと少し」という作品に載っているようです。 まだ未読なので、いつかは読んでみたいですね。 さて、面倒を見る鈴香に振り回されながらも、頑張る太田君。 ベビーフードは美味しくないと言って、ちゃんと手作りご飯をつくっ…

  • ぶたぶたさん 矢崎在美

    ん? なんだこれは・・・? かわいいぶたのぬいぐるみが、生きて動いている。 しかも、中年のおじさんで、妻と二人の娘がいる(???) そして、いろんな職業に就き、いろんな場所に出没します。 なんだ、なんだ、なんだ・・・ファンタジーなのかな?これは。 呼んでいるこちらも戸惑いますが、本の登場人物(人間)も戸惑いを隠せません。 短編なのですが、どの話も、話の中盤まで、登場人物がぶたさんにびっくりしている、いや、しまくっている、と言った方がいいかな。 ぶたぶたさんは、あるときは執事喫茶(なんだそれ?)の執事、ある時は刑事、そしてまたある時は、トレッキングのボランティア・・・と忙しい。 そしてなにをやら…

  • 幻色江戸ごよみ 宮部みゆき 新潮文庫

    1月から12月まで、12カ月を12編の、少し不思議なお話が書かれています。 どのお話も文句なく面白いです。 人情物から、少し切ないお話から、様々です。 第2話「紅の花」 これはひどすぎます。 真面目に生きている主人公がかわいそうすぎます。 病弱な奥さんはどうなってしまうのか。 結局、侍にとって町民の命などどうでもいいということでしょうか。 第4話「器量のぞみ」 これはユーモアたっぷり。 器量の悪い人が、反対に良く見えてしまうようになってしまったお話。 さて、それがもとに戻った時どうなるか・・・・ 最後はちょっとほっとする、いいお話です。 第5話「庄助の夜着」、第8話「小袖の手」、第11話「侘助…

  • リベルタスの寓話 島田荘司 講談社文庫

    御手洗潔シリーズです。 グロい! とにかくグロい! 人間の内臓全部出して、そこに別のもの突っ込むんですよ~(>_<) それで人形を作るんだって。 よくこんなことできるな。 グロいという前知識なしで読んだから、いきなり出てきて「ぐぇ~・・・」という感じになりました。 でもそこをぐっと我慢して読み進めると、ムチャクチャ面白いのです。 前編と後編に分かれた話の間に、別のお話が来るという、ちょっと変わった形式でした。 どちらの話も、御手洗は外国の大学に行っていて、それぞれ電話で解決を導いています。 すごいぞ、御手洗。 正に、こういうのを安楽椅子探偵というのでしょうか。別に座っていたわけではないですが。…

  • 陰陽師 生成り姫 夢枕獏 文春文庫

    大好きな陰陽師シリーズ、初の長編です。 読んでいて、なんか読んだことあるなぁ、と思ったら、短編「鉄輪(かなわ)」を長編にしたものでした。 たしかにこの「鉄輪」はすごいインパクトのあるお話でした。 よく覚えていました。 特に、冒頭の丑の刻参りのシーンがすさまじいのです。 夜中に山中の寺を目指す女の姿は鬼気迫るものがあり、いかに恨みが強いかよくわかります。 源博雅は、月明かりの美しい晩に橋の元で笛を吹いていると、牛車にのった女が現れ、その笛に聞きほれます。 なんどか会ううちに、その女は博雅の笛に合わせて、琵琶を弾き始めます。 美しい共演に、博雅は心を奪われます。 そしてそこで初めて姫の顔を見ます。…

  • 本所深川ふしぎ草子 宮部みゆき 新潮文庫

    大好きな宮部みゆきの時代もので短編集です。 江戸の本所七不思議を題材にした、7つの物語です。 ここに出て来る岡っ引きの茂七親分は、「ぼんくら」シリーズの平四郎の先輩として、名前だけ出て来る人です。 政五郎はこの人の部下です。 平四郎が尊敬し、頼りにするだけあって、なかなかの推理力と機転の利く人で、そして人情家です。 七つの話も、人情味あふれるお話が多いです。 一案考えさせられたのは、最初のお話「片葉の芦」。 真に困っている人、貧しい人を助けるとはどういうことか? ただ、その場で何かを恵んでやるか、それともその人が独り立ちできるようにしてやるか。 本当の優しさ、その人のためになる情けのかけ方とは…

  • 八月の銀の雪 伊予原新 新潮社

    これも今年度本屋大賞ノミネート作品で、6位だった作品です。 それぞれに悩みを抱える人々が、ある出会いと、科学によって、小さな一歩を踏み出す短編集です。 心温まるいいお話ばかりでした。 You Tuber のマサキBooks さんは、自身と似た境遇の表題作が好きだそうです。 これは地球の内部のお話です。 就活に失敗ばかりしている大学生が、コンビニのベトナム人店員と出会います。 コンビニでは失敗ばかりしている彼女は実は大学院生で、地球の内部の研究をしています。 なんと、地球の内部には、鉄の結晶が雪のように降っているのだそうです。 なんだかものすごく幻想的ですね。 凄いのは、どうしてそういうことがわ…

  • 劇場 又吉直樹 新潮文庫

    う~ん・・・・ちょっと・・・・これは・・・・ 主人公の男がクズ過ぎるんですけど!!! こういう男、一番嫌いなタイプだなぁ・・・・ 演劇の脚本を書いている主人公と、その才能を信じて支える、天使のような女の子、沙希。 もちろん脚本は不評で、全然食べていくことができません。 なにぶん、この主人公の性格が悪いので、脚本もはっきり言ってよくない。 どうしようもないクズなのです。 まあ、読んでいて、まずこの脚本の芝居を見たいとは思わないですねぇ。 変わっているというかなんというか・・・ ああ、これでは一生だめだな、という感じです。 独りよがりで、人の心を打たないのです。 それにくらべて、この沙希ちゃんの、…

  • 最後の晩ごはん 刑事さんとハンバーグ 椹野道流

    前回ですっかり、お兄さんの一憲のファンになってしまいましたが、今回でますます大ファンになってしまいました! 一憲さんステキ! 何ていい人!! 今回は、お兄さんの高校時代の親友が、刑事になっていて、偶然「ばんめし屋」の隣の警視庁に勤務していて、お兄さんと再会します。 しかし、なぜか彼、涼彦には、海里、夏神、ロイドにしか見えないマフラーが巻き付いていたのでした。 マフラーの幽霊?いぶかる海里は、その謎を探っていきます。 探るうちに、お兄さんの高校時代の様子もわかってきます。 なんと、お兄さんは高校時代サッカー部で、Jリーグのサテライトチームにスカウトされていたとか。 家族のため、海里のためにそれを…

  • 御伽草子 太宰治 青空文庫

    カチカチ山 瘤取り 浦島さん 舌切雀 カチカチ山 カチカチ山を太宰が解釈したらこうなるんだな、という感じです。 カチカチ山はかなり残酷な話ですが、タヌキがおばあさんを殺してその肉をおじいさんに食べさせるという、子供に読ませていいのか、思うくらい凄いです。 まあ、おじいさんがタヌキをタヌキ汁にしようとするのが発端なのだけど。 私が考えていることと、太宰が考えていることが一致していたのでうれしくなりました。 太宰はウサギを16歳の美しい処女、タヌキは37歳(ウサギには17歳とうそを言っている)の図々しい、醜男として、ユーモアたっぷりに書いています。 読んでいて何度も吹き出しました。 タヌキはどこへ…

  • とある魔術の禁書目録④ 鎌池和馬 電撃文庫

    このシリーズ、4巻まで読みましたが、1~4まで、舞台が同じ夏休み期間内と知って驚きました。 要は、話から話までの間がほんの数日という設定なのです。 しらべてみたら、このシリーズ50巻以上ありますが、全部そんな感じで、話の最後までもほんの3~4カ月くらいの間の出来事らしいです。 1~4でも、当麻は最後必ず入院するので、すでにもう4回入院し、かなり瀕死な目に合うし、腕まで切られてつなげたってのに、すぐ退院して元気はつらつ、今回は海まで行っています。 どんだけ長い夏休みなんでしょうか。 あと、当麻は元気だねぇ。 そして今回当麻の両親が出てきますが、割といいとこのおぼっちゃんなことが判明し、お母さんは…

  • ローマ人の物語Ⅸ 賢帝の世紀② 塩野七生 新潮社

    さて、続きです。 トライアヌスの後に皇帝となったハドリアヌスは、思いがけず皇帝となったトライアヌスと違って、皇帝になる野望を持っていました。 この人も良く頑張った人で、あの広大なローマ帝国を、隅から隅まで視察の旅で大半を過ごしたのです。 もちろん見るだけじゃなく、改善策を講じながらの旅でした。 だってローマ帝国ったって、当時もうほぼヨーロッパ大陸全部に、アフリカ、イギリスとものすごいなんてもんじゃない帝国の大きさだったから、全部回るなんて、そりゃ一生分かかったでしょう。 国のために本当に頑張ったハドリアヌスですが、なんだかいつも側に美少年を侍らせていたらしいです。 しかしその美少年、だんだん大…

  • ローマ人の物語Ⅸ 賢帝の世紀① 塩野七生 新潮社

    ドミティアヌスが死んだ後、皇帝になったネルヴァは、最初から高齢だったため、1年半で死んでしまいました。 よって特に何をする暇もなかったのですが、悪いこともせず、この人から5賢帝の時代に入ります。 次のトライアヌスは、初めての属州出身の皇帝となりました。 そのせいか、青年期のことはほとんどわかっていません。 父親が軍隊にいたため自分も軍隊に入り、活躍しました。 そして「名誉あるコース」を進み、ネルヴァの養子になり、皇帝となりました。 この人の時代は比較的平和でよい時代であり、皇帝としての人望も厚く人気がありましたが、そうなるとかえって人間は記録に残さなくなるようで、このトライアヌスに関しては、あ…

  • ライオンのおやつ 小川糸 ポプラ社

    素晴らしいお話でした。 もしかしたら、今年読んだ中で1番かもしれません。 本の後半は、もう号泣で、涙が止まりませんでした。 2020年度本屋大賞第2位だったとのこと、1位でもおかしくないくらい素晴らしい作品です。 まだ33歳という若さで、ガンのため余命いくばくもない雫は、瀬戸内のレモン島というところにある、海とレモン畑に囲まれたホスピス「ライオンの家」にやってきます。 そこにはマドンナと呼ばれる経営者の女性と、食事担当のシマさんと舞さんの姉妹、様々なボランティアのセラピーの人たちがいました。 窓からレモン畑と海の見える居心地のいい部屋で、雫は残りの人生を過ごし始めます。 雫が「ライオンの家」で…

  • 百寺巡礼 第三巻 京都Ⅰ② 五木寛之 講談社文庫

    さて、続きです。 第二十六番 東本願寺 第二十七番 西本願寺 第二十八番 浄瑠璃寺 第二十九番 南禅寺 第三十番 清水寺 第二十六番 東本願寺 親鸞は、旅をしながら布教し、死んでも石碑は簡素なものでした。 それを六角の廟堂を建てて移したのが、本願寺の元となる大谷廟堂です。 親鸞の教える「他力本願」とは、「わがはからいにあらず」つまり「なるようにしかならない」、さらに「しかし、おのずと必ずなるべきようになるのだ」とこころのなかでうなずきます。 すると不思議な安心感がどこからともなく訪れてきます。 決して「他人任せ」「無責任」ということではありません。 第二十七番 西本願寺 大きな勢力を持つように…

  • 百寺巡礼 第三巻 京都Ⅰ① 五木寛之 講談社文庫

    大好きなエッセイ、第三弾。今回は私にはなじみの深い京都です。 相変わらずダンディで素敵な五木先生のお写真に見とれながら読みました。 第二十一番 金閣寺 第二十二番 銀閣寺 第二十三番 神護寺 第二十四番 東寺 第二十五番 真如堂 第二十一番 金閣寺 金閣寺な通称で、本当は「鹿苑寺(ろくおんじ)」だそうです。 美しく金箔をはった建物に、手前に広がる池が、鏡のようにその姿を映しています。 権力と欲の塊のような足利義満が建て、当時はもっと贅沢な建物がたくさんあったそうです。 当時、京は飢饉で人が大勢死んだというのに・・・・ しかし義満が死んだあと、その息子が、金閣とごく一部を残してみんな壊してしまっ…

  • 日本国記 百田尚樹 幻冬舎

    日本の通史です。 通史なので、一時代ずつ、さっと要点のみですが、半分以上が江戸時代から近現代で占められています。 やはり、残っている資料とかの差でしょうか。 古代になるとどうしても資料が少なく、推測でしかないので致し方ない面もありますが、もしかしたらいろいろと違っていることもあるかもしれないなぁ。 聖徳太子は、実はいなかったのでは、という説も出てきてます。 あの有名な肖像画は、どうやら別人らしいですね。 この本を読んで知りましたが、豊臣秀吉は手の指が6本ある、多指症候群というものだったそうです。 そんなことが、彼が様々に知恵を凝らしてのし上がり、ついには天下を取るまでになった所以なのでしょうか…

  • ☆ブレイクタイム☆ ~咲紗のひとりごと~ 併読ってしていますか?

    久々の、咲紗(サーシャ)のブレイクタイムです。 皆様、読書ライフを満喫していらっしゃいますでしょうか? さて、早速ですが、皆さんは本を読むとき、併読ってしますか? それとも一冊読み切るまで他の本は読みませんか? 併読とは、2冊以上の本を同時進行で読むことです。 厳密には「並読」が正しいようなのですが、あまり使われている言葉ではないようですね。 併読のほうが良く使われているようなので、このブログでもこの漢字で記載させて頂きます。 さて、咲紗がどうしているかといいますと 実は、併読は、できればしたくない派なのです。 だって、一冊に集中しないと、何冊もいっぺんに読むとなんだか頭がこんがらがって、わけ…

  • 日の名残り カズオ・イシグロ 早川書房

    2017年ノーベル文学賞を受賞した、カズオ・イシグロさんの作品。 映画にもなりましたね。アンソニー・ホプキンズが、イメージぴったりです。 カズオ・イシグロは、5歳の時、長崎からロンドンへ渡り、ナイトの称号まで受けた方です。 いくら5歳からロンドンに住んでいるといっても、日本人であるこの人が、どうしてここまで、イギリス人の心が書けるのでしょうか? 生粋のイギリス人が書いたみたいです。 日本には執事という文化がありません。 主人公スティーブンスは、父親も一流の執事であり、父親を深く尊敬しています。 正に執事一家。 執事というものは、この本を読んでわかったことですが、まず休暇らしきものがないですね。…

  • 写楽 閉じた国の幻(上)(下) 島田荘司 新潮文庫

    島田荘司先生の作品の中では、あまり上位に入ってこない作品だけど、読んでみて、確かに御手洗潔シリーズとは全然違いました。 六本木のビルの回転ドアに息子が挟まれて死んでしまった、歌麿研究者の佐藤。 これは実際にあった事件をもとにしているようです。 彼はその痛ましい事故の前に、だれが描いたかわからない、江戸時代の一枚の不思議な絵と出会っていました。 そして、身も心も傷ついてボロボロになりながらも、その絵を含め、様々ないきさつから、写楽とは誰だったのか、という問題に直面することになります。 息子の事故を通じて知り合った、片桐教授や、出版社の常世田、様々な専門家の人たちなど、いろいろな協力者と共に、佐藤…

  • お文の影 宮部みゆき 角川文庫

    大好きな宮部みゆきの時代もの短編集です。 今回はちょっと今までと違って、人気シリーズのキャラクラ―が出て来るスピンオフみたいな作品がありました。 私はみんな知っているので面白いですが、知らない人でも全く影響なく読めます。 「坊主の壺」は、これ、まさしく今のコロナの話じゃないかー! 病名はコロリ。コロナとコロリでそっくりです。 どんどん病が広がり、良く手を洗い、消毒し、生ものは食べない・・・など、まるで今のこの惨状を予言しているかのようなお話でした。 「お文の影」は、「ぼんくら」シリーズの、私の好きな、かっこいい政五郎親分とおでこちゃんのお話です。 大人の都合で振り回され、虐待されて、耳まで切ら…

  • 最後の晩ごはん お兄さんとホットケーキ 椹野道流 角川文庫

    シリーズ3作目です。 今回は、海里のお兄さんの婚約者、奈津がやってきます。 もちろん、幽霊ではありません。 なんと獣医さんだとか。とてもいい人なのです。 まー、お兄さん、堅物だと思っていたのに。 しっかり婚約しちゃって、しかも彼女と一緒にパンケーキのお店にまで行ったとは! 私びっくり、海里もびっくり。 今回は、海里とお兄さんの仲を何とか近づけようと奈津ががんばるのだけれど、お話は2人は少し歩み寄りを見せますが、実際はなかなか難しいですね。 家族の仲がこじれると、修復は他人よりも厄介なものです。 それに私は、海里とお兄さん、どっちの気持ちもわかるなー。 今は親になったから、お兄さんよりかな。 わ…

  • やめてみた 本当に必要なものが見えてくる、暮らし方・考え方 わたなべぽん 幻冬舎

    作者の方が、日常生活の中で「やめてみた」ものに関するエッセイです。 「やめてみる」ことで、生活を見直し、よりシンプルにすることで、美しい生き方、暮らし方を追求しています。 なかなか面白いし、参考になるものもありました。 共感できたのは、ゴミ箱。 そう、ついつい、ごみを捨てに行くのが面倒なので、あっちこっちに置いちゃうんですよね。 で、数ばっかり増える。多すぎるのです。 ゴミ箱をぐっと減らすことで、かえって家の中がきれいになるのは確かにそうかもしれません。 そして、キッチンマット。 これも確かに、かえって汚くなっているような気がします。 我が家の場合、犬たちの毛もつきますしね。 メイクも、なるほ…

  • 妖怪アパートの幽雅な日常③ 香月日輪 講談社文庫

    なんか今まで以上に、ものすごく短く感じました。 面白くて、あっという間に読んでしまったからですね。 今回は、夕士の学校の事件(?)がメインなので、あまりアパートの住民の活躍はありませんでしたが。 でも、一つ目巨人の又十郎さん登場。 そして、圧倒的な存在感があるのは、やはりお料理上手な、るり子さん! もう彼女は最高ですね。 彼女は、又十郎さんが持ってきたイノシシ一頭までも料理してしまいます!!! いや、どうやってさばく・・・・? それから、コロッケ飯、おいしそ~♪ あと、前の日に出たウニを、お弁当にする夕士が、どれだけうらやましいんでしょうか! だめだ、このシリーズ読んでると、お腹がすく。 今回…

  • 詩的私的ジャック 森博嗣 講談社文庫

    このS&Mシリーズ、ファンの方には申し訳ないけれど、私的には読むのが若干辛くなってきたかも。 私、犀川があまり好きではない、ということに気づきました。 なんかこの人、あんまり人間味を感じられないんだよな~。 あまりにも頭が良すぎて、理系人間すぎて。 あと、ちょっと萌絵も苦手かも。 いや、かわいいんですけどね~。 この人、部外者のくせに捜査現場を見せてもらったり、情報を警察から教えてもらうまで駄々をこねるなど、ちょっと設定としてあり得ません。 そこがこのシリーズの特徴なのだという意見もありますが。 このシリーズで私が好きなのは、あのオシャレな表紙なんですよね。 白っぽくて、理系っぽくて、センスが…

  • 津軽 太宰治 青空文庫

    いや、もう・・・まいった。 古い文学全集は、字が小さいのは我慢できても、字の薄いのだけは我慢できません。 印刷技術が悪かったのでしょうか。 もう見えなくて、全然読めません。 ついにkindleの、青空文庫に切り替えて読むことにしました。 旧仮名遣いですが、十分読めました。 さて、こちらの作品は、一見エッセイのように思えますが、フィクションも含まれているらしいので小説とされているそうです。 昭和19年春に、太宰が生まれ故郷、津軽を見て回った時のことを書いています。 私もいつか、こんな風に、生まれ故郷を歩いてみたいです。 昭和19年というと、戦争真っただ中ですが、津軽の方ではまだそこまで深刻ではな…

  • 人間失格 太宰治 河出書房 日本文学全集34より

    この辺りで、古典作品にチャレンジしていこうと思います。 我が家に古くからある、日本文学全集を制覇していきたいです。 さて、太宰治の代表作であり、あまりにも有名なこの作品。 内容は知っていましたが、きちんと読むのは実は初めてでした。 ピース又吉の愛読書で、月に一度は読むということでも知られていますね。 彼ほどこの作品を愛し、考察している人もいないでしょう。 私も読んでみて、いや、こんなに面白いとは知りませんでした。 主人公、葉蔵は、「人というものがわからない」と常に思っており、いつの間にか人前で道化を演じることで、自分を守ろうとします。 なぜ、この主人公、葉蔵は、こんなにも人を恐れ、人生を恐れ、…

  • かまいたち 宮部みゆき 新潮文庫

    やっぱり面白いな~。宮部みゆきの時代ものは。 ただ、今回、ブックオフですごく古い版の本を買ってしまったら、字がちっちゃくて読むのがつらかった~。 ああ、ついに老眼かしら・・・ 古い版のものって、なんであんなに字がちっちゃいんでしょうね。 昔はあれが普通だったってことなんですよね。 買うときあまり古いのはちょっと考えものですね。全然見えないんですから。 これからはちゃんとよく見て買おう、と決意しました。 それにしても、一昔前の人は、歳をとってもあんなちっちゃい文字を平気で読んでいたということなのですね。 すごいなぁ。昔の人は偉かった。 今回は、私の大好きな短編集です。 まず表題作「かまいたち」 …

  • 図書館の魔女 烏の伝言(つてごと)(上)(下) 高田大介 講談社文庫

    「図書館の魔女」の続編です。 戦争は回避されましたが、政権が変わって混乱したニザマと、その周辺の、混乱し荒れ果てた港町が舞台です。 欲もここまで荒れたものだと思うくらいの荒れようで、正に荒廃という言葉がぴったりとなってしまったニザマ。 そして、正に題名の通り、山で暮らす鳥飼のエゴンと、彼のカラス、ハァウが届ける伝言が、物語の大きなカギとなっています。 ニザマの姫君、ユシャッバと、それを守る近衛兵たち、彼らを道案内する剛力と、港で彼らを助ける「ねずみ」たち・・・ 命がけの逃避行の中で、彼らは信頼を築き、強いきずなで結ばれていきます。 だまし、裏切り、平気で殺したり盗んだりする連中の中で、彼らのそ…

  • スリム美人の生活習慣を真似したら1年間で30キロ痩せました わたなべぽん KADOKAwA

    ダイエット中の咲紗にとって、これはバイブルですね。 もう何度読み返したかわからないくらい読みました。 運動や食事療法を進めるダイエット本よりも参考になりました。 マンガなので、とっても読みやすいし、あっという間に読めてしまいます。 全然難しいことを言っていないし、だれにでも簡単に実行できることばかりです。 便座を破壊してしまったことからダイエットを決意した作者が、そのやり方を模索してたどり着いたのが、スリムな美人の生活習慣を真似すれば同じようになれるのでは、ということでした。 そこで徹底的に、スリム美人と自分とを比較して考えます。 スリムな人と自分は、どこがどう違うのか、自分の理想の姿とはどん…

  • 線は、僕を描く 砥上裕將 講談社

    2020年本屋大賞ノミネート作品です。 両親を突然の事故で失い、深い孤独の中にいる大学生、青山は、ふとしたことから水墨画の大家、篠田湖山に出会い、その弟子になります。 湖山には千瑛(ちあき)という青山と同年代の孫がいて、やはり水墨画をやっていて、その実力はかなりのもの。 青山を内弟子にした祖父にびっくりした千瑛は、青山と来年の湖山賞をかけて勝負を挑みます。 一方、何が何だかわからないまま内弟子になった青山は、だんだんと水墨画に魅せられ、その世界にのめりこんでいきます。 やがて学んでいくにつれ、水墨画にかかわる人々との交流や様々なことが、孤独な彼の心を癒していき・・・・・ という物語です。 この…

  • ローマ人の物語 Ⅷ 危機と克服② 塩野七生 新潮社

    さて、続きです。 急逝したティトゥスの後を継いだ弟のドミティアヌスは、まさかこんなに早く兄が死ぬとは思っていなかったようです。 そして周りもまた思っていなかったので、あまり皇帝になる準備をしていなかったようですが、それでもがんばりました。 しかしこの人、死後「記録抹殺刑」なるものを受けています。 塩野先生は、このドミちゃんに対して、いたって同情的に書いていらっしゃるので、本を読む限りでは、そこまで重い刑を与えなくとも思うのですが、実際はどうだったのか・・・・。 しかし彼は、ライン川防衛の「リメス・ゲルマニクス」をつくり、これはその後の皇帝たちも、メンテナンスを繰り返し重宝しています。 功績もあ…

  • ローマ人の物語 Ⅷ 危機と克服① 塩野七生 新潮社

    ネロが死んだあと、アウグストゥスの血を引く者が皇帝となる時代は終わりました。 しかしここから、混迷の時代が始まります 。 結局、思いもかけず皇帝になった人間は、良き政治を行うことよりも、自分の立場に溺れることが先のようです。 ネロの後、皇帝になったガルバは、上流貴族の出身ではありましたが、しょせん皇帝の器ではありませんでした。 結局わずか半年にも満たず、ガルバは殺されます。 ガルバを殺して皇帝となったオト―は、ネロの友人でしたが、なんとそのネロに奥さんであったポッペアを取られたという過去がありました。 彼も皇帝の座を狙うヴィテリウスとの戦いで敗れ、わずか3か月、何もしないまま終わりました。 そ…

  • おまけのこ 畑中恵 新潮文庫

    若だんなシリーズ第4弾。 相変わらず・・・いや、ますます体の弱いのがひどくなった一太郎。 そして相変わらず、佐助と仁吉の献身的な介護・・・いや、面倒を見てもらって何とか日々を過ごしています。 今回もとっても面白いです。 同じ妖達からも、仏ですらも受け入れられない性質に生まれついた「狐者異(こわい)」 関わると、なぜか面倒を呼んでしまうため、疎まれてしまうのです。 彼は永遠に受け入れられることなく、この世をさまよいます。 優しい一太郎は、佐助たちの忠告も聞かず、彼を受け入れようとしますが、そんなちょっとした同情では彼の孤独と闇を救うことは出来ません。 また、前回出てきた厚化粧のおひなが、厚化粧を…

  • 改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 島田荘司 講談社文庫

    改訂版が2016年だけれど、実際にはもっと前の作品です。 御手洗潔シリーズは、やっぱり期待を裏切りませんねぇ。 これも、猛烈に面白いのです。 ピサの斜塔のように斜めに建てられた館で起こる殺人事件。 雪は降っていますが、別に孤立してはいません。 いわゆる変わり者の大富豪が建てた館に招待客が集まってきます。 そこで起こる残酷な連続殺人・・・。 良くある設定なのですが、島田先生が書くと一味も二味も、いや三味くらい違ってきますからすごい。 このシリーズは、トリックが凝りに凝っているのが特徴ですが、今回もあきれるほどものすごいトリック。 そもそもこの館がなぜ斜めに建てられているのか、全てはここから始まっ…

  • 鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々 中西モトオ 双葉社 kindle

    あまりにも表紙がきれいなので、つい買ってしまいました。 WEB小説だったものを、本にしたものだそうです。 思っていたより、壮絶な物語でした。 鬼と戦う物語なので、一見「鬼滅の刃」っぽいのですが、読んでみると全然違います。 甚太には妹の鈴音がいますが、彼女の右目は赤い。 目が赤いのは鬼である証。 妹と共に流れ着いた葛野の地で、幼馴染の白雪と、その父親、元治と4人で幸せに暮らしていましたが、運命はやがて甚太を辛い立場に立たせます。 成長した甚太は、鬼を切る巫女守りとして、里の巫女「いつきひめ」となった白雪を守ることとなります。 しかしそれに反して、妹鈴音は一向に成長せず、子供のままです。 甚太と白…

  • 僧正殺人事件 ヴァン・ダイン 鈴木幸夫訳 グーテンベルク21

    正に古典ミステリ。 kindleになったのが2003年ですが、実際は1929年の作品です。 作品中のヴァン・ダインが「私」という語り手として登場するのですが、面白いくらいに存在感がなしです。 まれ~に、主人公のファイロ・ヴァンスが「ねぇ、ヴァン」と話しかけたりはするのですが、本人一言もしゃべらず、ほかの人間もだれ一人話しかけず。 ちょっとそこが面白いですね。 「僧正」というからてっきり、神父が殺されるのかと思いましたが、ビショップのことで、これはチェスの駒のことだそうです。 チェスがたくさん出てきますが、チェスなんて全くわからなくても読めますので大丈夫です。 外人ってチェスが好きですね。日本で…

  • かがみの孤城 辻村深月 ポプラ社

    いや~、ついにこの作品を読みました! 2018年度本屋大賞受賞作であり、あまりにも有名な作品ですよね。 ちなみに、私にとっては初の辻村深月作品です。 全体的に、ものすごく丁寧に書かれており、繊細な心理描写と、最初からあらゆるところに張られている伏線が見事です。 決してミステリー作品ではないのですが、最後、ああ、そうだったんだ・・・とじんわりと思わせてくれます。 あと、主人公、こころの気持ち、学校であった様々な理不尽な仕打ち、決定的になった恐ろしいこと・・・そんなときのこころの気持ちが、私には痛いほどよくわかりました。 それにこんなことがあったら、そりゃ学校行けるはずがないです、っていうか、行っ…

  • ふしぎ駄菓子屋銭天堂 廣嶋玲子 偕成社

    商店街の細めの脇道のところに、今まで見たこともない駄菓子屋があります。 その名も「銭天堂」。 中に入ると見たこともない、変わった名前の駄菓子がいっぱい。 そしてそこには、古銭の柄の入った赤紫色の着物を着た、どっしり太って大きくて、髪は真っ白、でもおばあさんではない 不思議な話し方をする紅子さんが座っています。 ここにくるお客はみんな、何かしら悩みを抱えていて、紅子さんはその悩みに合ったお菓子を渡します。 お代は安いけれど、紅子さんは何年物の小銭ということがちゃんとわかっているのです。 紅子さんから買ったお菓子を食べると、願いがかなうのですが、入っている説明書をちゃんと読まないと割とひどい目にあ…

  • お探し物は図書室まで 青山美智子 ポプラ社

    すっごく読みたかった本です。 なかなかブックオフに売ってなくて、ついに本屋さんで定価で買いました。 でもそれだけの価値はありました! すっごくよかったです。期待通りでした。 今年の本屋大賞第二位の作品ですね。 うなずけます。 舞台は、とある小学校に隣接するコミュニティハウスの中にある図書室。 そこには、それぞれの理由で本を探している人がやってきます。 そしてその図書館にいるのは、司書の小町さゆりさん。 とにかく大きい。太っているというより大きい。 色白で、頭の上に小さなおだんご。白い花飾りのついた1本のかんざし。 なんだか「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」の紅子さんに似ています。 人によっては、白熊だの…

  • カササギ殺人事件(上)(下) アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭訳 創元推理文庫

    2019年本屋大賞翻訳部門第1位作品。 珍しく、作中作作品となっています。 上巻が作中作、下巻が実際に起きた事件となっています。 綾辻行人著「迷路館の殺人」もちょっとそれっぽかったですよね。 上巻の作中作で起きた事件の結末の章が、ごっそり抜けているというところから始まるミステリーです。 作中作の方は、クリスティーのオマージュとなっています。 たしかに似たところが多いですね。 小さな村が舞台となっているとか、マザーグウスが出てきたりとか、ポワロのような探偵が出てきたいとか。 なるほど、こういう視点のミステリーもありか、と思いました。 書評では、上巻だけでいいのではという声もありますが、私は、下巻…

  • 眼球堂の殺人 周木律 講談社文庫

    メフィスト賞受賞作にして、このシリーズの第一作。 そして、まさにどんでん返し作品として申し分ないでしょう。 見事などんでん返しでした。 この作者は、建築学科卒だそうで、この作品のテーマも「建築」となっています。 バリバリ理系ですが、まだそこまで難しくは書いていなかったので、ほっと一息。 「館」をモチーフにしており、そこに集められた人々、一風変わった館の主、そしてそこに殺人事件が起こるという、綾辻行人風の展開です。 主人公は、世界中を放浪している天才数学者、十和田。 自由でいいですねぇ。 そして、彼のことを取材したいがために彼についていく睦子と共に眼球堂に招待されるのですが、眼球堂の主は、天才建…

  • ルームメイト 今邑彩 中公文庫

    いや、これムッチャクチャ面白かったです! こういうお話だったんだーという感じです。 これも一息に読んでしまいました。 大学生の春海は、不動産屋さんで知り合った麗子と、部屋をシェアしてルームメイトとなります。 ところが、最初地味だった彼女がだんだん変わっていき、ついに失踪してしまいます。 春海は家賃を払ってもらわないと困ることから、彼女の足取りを、大学の先輩の工藤とともに追うことになります。 が、やがて彼女の死体が見つかり、彼女が多重人格者だったことがわかります。 いった彼女を殺したのは誰なのか、彼女はどんな人生を歩んできたのか、ルームメイトなのに何も知らなかったことに春海は気づきます。 そして…

  • 星籠(せいろ)の海(上)(下) 島田荘司 講談社文庫

    御手洗潔シリーズで、初の映画化作品だそうです。 舞台は瀬戸内海、広島の鞆(とも)というところです。 ここは昔、村上海賊がいたところで、船の技術や海上船の技術が大きく発展したところだそうです。 そのため、ペリーがやってきたとき、幕府はこの村上海賊に協力を求めました。 その際、海軍図に書き込まれていた「星籠」の文字。 これは一体何か、という謎から、この鞆で起こった数々の事件。 それらが見事につながっていきます。 そしてあるカルト宗教に巻き込まれていく人々。 この作品では、人間の弱さとエゴがかなり表現されています。 自分というものを持たず、周りに流され、宗教にはまっていく小坂井。 いい結婚相手を見つ…

  • 江戸川乱歩 青空文庫より D坂の殺人事件 人間椅子 屋根裏の散歩者

    D坂の殺人事件 明智小五郎といえば、小学校時代、怪人二十面相シリーズ、よく読みました。 これはその明智初登場のお話ですが、私のイメージの明智とはちょっと違ったかな。 二十面相の時はスーツのイメージだったけれど、こちらでは浴衣を着ていて、髪ももじゃもじゃだそうです。 それにまだ20代前半。若い! 間借りしている部屋は本で埋まっていて、座る場所もないとか。 昔の作品なのに、推理小説としてはレベルが高い印象を受けました。 明智はきちんと聞き込みをし、目撃者の心理を追究し、犯人を導き出します。 さすが明智。 すぐに読めてしまう短編ですが、優れていると思います。 さすが江戸川乱歩。 なんだか、二十面相シ…

  • 奇面館の殺人(上)(下) 綾辻行人 講談社文庫

    この本は、1年以上も積読の中にありました。 なぜか? 館シリーズは順番に読まなければならないのに、間違って早い段階で買ってしまったからでした。 なので、その前の館シリーズを買いそろえて、読み終わるまで積読状態。 それに、これを読んでしまうと、今刊行されている館シリーズを全部読んでしまうことになるので、わざと引き延ばしていたというのもあります。 だって、全部読んでしまったら、館シリーズを読む楽しみがなくなってしまうので、寂しいじゃないですか。 館シリーズは10冊書く予定にされているそうで、これはその9冊目。 さて、最後の館が出て来るのはいつになるのでしょうか。 ひたすらその日が楽しみですね。 面…

  • 異人たちの館 折原一 文春文庫

    600ページ弱の大作ですが、一息に読んでしまいました。 ミステリーランキングでも、かならず上位に食い込んでくる作品ですね。 折原一さんの代表作です。 いや、凄いお話でした。 面白くてたまりませんでした。(語彙力がないなー) こちらは1993年の作品で、その後、一次、二次と発行され、私が読んだのは三次文庫ということになるそうです。 なんだそれ?よくわからないです。 樹海で行方不明になった青年の母親から、息子の伝記を書いてほしいと依頼されたゴーストライター。 しらべるうち、何者かに付け回されたり、誰かにインタビューの先を越されたり、地下室に誰かが潜んでいたり・・・と不可解な出来事が起こり始めます。…

  • あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続 宮部みゆき 角川文庫

    でました!三島屋シリーズ五作目です。 いや、これも最高ですね!!! この「三島屋」シリーズ、なんでこんなに面白いんでしょうか。 そしてついに! ついにおちかが結婚!!!! お相手はあの方ですよ、あの方・・・。 しかもその結婚のいきさつがまたおちからしいのです。 まず一話目「開けずの間」 これは壮絶で悲惨です。 行き逢い神という女の神(?)にたまたま行き逢い、願いをかなえてくれるというので家に入れたら、願いの代わりに人の命を求めるというものでした。 結局、一人を除いて一家は全滅してしまいます。 でも、なんでも願いをかなえてくれるという神が家にいたら、願いをかなえてほしいという欲望がわいてくるのが…

  • 屍人荘の殺人 今村昌弘 創元推理文庫

    こういう系統のお話だったのかー。 なるほど、「屍人」とはこういう意味だったのですね。 ネタバレになるので書けませんが、うう~ん、この系統としては、ある人気の外国映画がありますし、もしくは最近日本でもドラマになりましたね。 なーんて、読んでいない方にはわけがわかんないですよね。 要は、ホラーと推理の融合というところです。 なかなかすごいお話でした。 いろいろなミステリーを読んできましたが、これは初めてのパターンでした。 いろいろな書評を読むと、どれも比較的高評価ですね。 鮎川哲也賞、本格ミステリ大賞など、様々な賞を受賞しています。 ミステリの種類としては、クローズド・サークルといえば、そうなのか…

  • 星降り山荘の殺人 新装版 倉知淳 講談社文庫

    新装版なので2017年ですが、実際は1996年の作品です。 なので、携帯がまだ一部の人しか持っていないときで、これが大きな事件のカギともなっています。 前の作品ですが、いまでもミステリーランキングで上位を占める人気作品ですね。 山荘に集まった初対面の人たち、そこで殺人事件が起こるが、季節外れの猛吹雪で閉じ込められてしまう・・・・。 典型的なクローズド・サークルです。 そして最後はどんでん返し、見事にだまされる、ということで高い評価を受けている作品です。 この作品、読者への挑戦状形式となっています。 章の始め始めに、作者からの挑戦が書かれています。 最後まで読んでだまされた後、読み返してみると「…

  • 推し、燃ゆ 宇佐見りん 河出書房新社

    ネタバレしていますので、嫌な方はご注意ください。 本年度芥川賞受賞作ですので、ご存じの方も多いでしょう。 若干21歳という若さで受賞されたそうです。すごいですね。 思ったより、短い作品。あっという間に読めてしまいます。 ・・・・・・・でも・・・ う~ん・・・ちょっと・・・という感じです。 いや、文章とか文面とかではなく、かなり今どきの子の話で、おばさん咲紗にはついていけなかったというか・・・・・ まあ、主人公の性格とかは賞には関係ないですからね、あくまでも文体とかそういうものが評価されるわけですから。 ただ、あまりにも今どき過ぎて・・・・携帯やらSNSやらにどっぷりつかっている若い子ってこうい…

  • そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 文春文庫

    2019年本屋大賞受領作です。 何度も家庭環境が変わり、2人の母親と3人の父親がいる優子。 こんな生い立ちだと、周りの人は彼女が不幸であることを連想します。 しかし彼女は言います。 「困った。全然不幸ではないのだ」と。 どの親も、彼女を一生懸命育てました。 特に最後の父親、森宮さんはなかなかユニークなキャラです。 始業式の日は朝からカツ丼、優子が友達とトラブったら、スタミナが大事と、1か月毎日ギョウザ。しかもいろいろとアレンジして。 しかし、優子だって全く苦労がないわけではありません。 突然の別れや出会いを繰り返し、やはり心のどこかでは気を使いあっています。 不幸ではないけれど、それなりにやは…

  • 陰陽師 鳳凰ノ巻 夢枕獏 文春文庫

    このシリーズ、清明と博雅のやり取りを読むと、なんだかほっとします。 懐かしいところへ帰ってきたような気がするというか・・・。 内容はおどろおどろしいものや、哀しいものが多くても、二人の存在が救いなのです。 二人はいつも、ほろほろと酒を飲む。 ゆったりとした時間が流れてゆきます。 それに反して、人の心というものは、いろいろな業により、鬼にもなり、妖にもなり、激しくそして哀しい。 清明はそんな哀しい人の心を癒していきます。 今回も、ライバルの蘆屋道満が出てきます。 二人の術比べはなかなか読みごたえがあって面白いです。 しかしそこは食えない二人の事、ちゃんと裏があったのですが。 仲がいいのか悪いのか…

  • 陰陽師 鳳凰ノ巻 夢枕獏 文春文庫

    このシリーズ、清明と博雅のやり取りを読むと、なんだかほっとします。 懐かしいところへ帰ってきたような気がするというか・・・。 内容はおどろおどろしいものや、哀しいものが多くても、二人の存在が救いなのです。 二人はいつも、ほろほろと酒を飲む。 ゆったりとした時間が流れてゆきます。 それに反して、人の心というものは、いろいろな業により、鬼にもなり、妖にもなり、激しくそして哀しい。 清明はそんな哀しい人の心を癒していきます。 今回も、ライバルの蘆屋道満が出てきます。 二人の術比べはなかなか読みごたえがあって面白いです。 しかしそこは食えない二人の事、ちゃんと裏があったのですが。 仲がいいのか悪いのか…

  • 陰陽師 鳳凰ノ巻 夢枕獏 文春文庫

    このシリーズ、清明と博雅のやり取りを読むと、なんだかほっとします。 懐かしいところへ帰ってきたような気がするというか・・・。 内容はおどろおどろしいものや、哀しいものが多くても、二人の存在が救いなのです。 二人はいつも、ほろほろと酒を飲む。 ゆったりとした時間が流れてゆきます。 それに反して、人の心というものは、いろいろな業により、鬼にもなり、妖にもなり、激しくそして哀しい。 清明はそんな哀しい人の心を癒していきます。 今回も、ライバルの蘆屋道満が出てきます。 二人の術比べはなかなか読みごたえがあって面白いです。 しかしそこは食えない二人の事、ちゃんと裏があったのですが。 仲がいいのか悪いのか…

  • ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 東野圭吾 光文社

    東野圭吾先生の最新作です。 表紙の絵がオシャレで、読みたい読みたいと思っていた作品でした。 東野圭吾先生ってホントにたくさん作品があるのですが、また新しいキャラクターが出てきたな、という感じです。 まさに、今の物語。コロナ禍の、観光業が立ち行かなくなって、寂れてしまった町が舞台です。 その町の出身の漫画家の作品が大ヒットし、そのマンガを使って町おこしをしようとする中で起こる殺人事件。 町おこしにおいて、様々な人たちの思惑が交差します。 そして、被害者の娘と、被害者の弟が、警察は当てにならないから自分たちで犯人を見つけようとします。 その被害者の弟、武史というのが、アメリカでマジシャンとして活躍…

  • Yの悲劇 エラリー・クイーン 鮎川信夫訳 創元推理文庫

    高校生の時に1度読んで、衝撃を受けた作品です。 今読み返してみると、こんなに差別用語満載だったのかと、ちょっとびっくりしました。 こんなのがよく平気で出版されていたものです。 今だったらどれだけ批判を被ることでしょうか。 作者がそうなのか、訳者がそうなのかよくわかりませんが、とにかくしつこいくらい差別用語を言いまくります。 昔はこれが普通だったのですね・・・・。 しかし、物語自体の面白さ、衝撃度は何ら変わりませんでした。 ドルリー・レーンシリーズの中でも、最も人気の高い作品です。 とにかく、ちょっと異常な性格の持ち主の母親と、そしてこれまた異常な子供たちが住む一家でおこる、恐ろしい殺人事件。 …

  • 老後の資金がありません 垣谷美雨 2018年3月25日 中央公庫

    てっきりエッセイだと思っていたら、小説でした。 いや~、身につまされました。 老後のためにと思っていたなけなしの貯金が、思いもかけず娘のハデ婚やら舅の立派な葬儀やらなんやかんやで、もろくも崩れ去っていく主人公。 さらに追い打ちをかけるように、夫婦そろってリストラ。 高級ケアマンションに住んでいる義母には、月9万円を仕送りしなくてはならないし、義理の妹はうるさいし・・・・ 高級ケアマンションを解約させ、義母を家に引き取ったり、慣れないコンビニでバイトを始めたりと悪戦苦闘する主人公の様子が、全く他人ごとではありませんでした。 お金なんて、どんなにためてもあっという間になくなってしまいますからね。 …

  • イニシエーション・ラヴ 乾くるみ 2007年4月10日 文春文庫

    ミステリーランキングに、必ずと言っていいほど入ってくる作品です。 普通の恋愛小説と思いきや、最後に全く違ったものになるのだ、という評判でしたので一体どんなどんでん返しが待っているのか、楽しみにしながら読み進めました。 最後、なるほど確かにびっくりしました。 思わず「はぁ?」と言ってしまいましたね。 意味が分からず、頭の上にはクエスチョンマークがいっぱい出ていたことでしょう。 でもよくよく考えて「ああ、そういうこと」とわかりました。 でも、ミステリーとは言えないような気がしますが・・・・。 ミステリーランキングに載っているところを見ると、作者はミステリーを書きたかったのでしょうか・・・・。 恋愛…

  • この本を盗む者は 深緑野分 角川書店 2020年10月8日

    本屋大賞ノミネート作品です。 こういうファンタジー大好きです。 正に「本の本」。読書好きにはたまりません。 もう設定からしてワクワクしてしまいます。 物語の舞台は、有名な書物の蒐集家であったひいおじいさんと、その娘であるおばあさんが、コツコツと集め続けた蔵書のコレクションが収められた「御倉館」。 その影響で、町全体も読書の町となっています。 しかしその御倉館から本が盗まれてしまいます。 と思ったら、なんと、町がある本の内容を現実にしたように変わってしまうのです。k どうやらこれは本にかけられた呪いのせいのようです。 御倉館の娘、深冬は、どこからともなく現れた、白い髪の少女、真白と共に町をもとに…

  • medium(メディウム)霊媒探偵 城塚翡翠 相沢沙呼 2019年9月10日 講談社

    こんにちは、咲紗(サーシャ)です。 さて、2020年本屋大賞受賞作の「medium」です。 あまりにもきれいな表紙に魅せられて、欲しい欲しいと思っていた作品です。 ほんとにきれいな絵ですよね。 遠田志帆さんという方が描かれていて、あの綾辻行人著「Another」の表紙も書かれた方だそうです。 印象的で、ついつい買ってしまいたくなるという、宣伝効果抜群の絵です。 それに読み進めていくと、この表紙の女性のポーズの意味が分かります。 物語の一つの情景を描いているのです。 さて、表紙だけでなく、読んでみると内容も大満足でした。 いや~、これはすごい、という感じです。 ドンデン返しというか、とにかく「え…

  • ブレイクタイム~咲紗、3月ブックオフ爆買い報告~

    こんにちは、咲紗(サーシャ)です。 実は、このたびブログをワードプレスからはてなブログへ移行しました。 なぜかというと、ワードプレスだと検索に引っ掛かりにくいようなのです。 一人でも多くの方にこのブログを読んでいただきたいなと思い、思い切って変更しました。 ちょっとまだ不慣れで、いろいろ不都合もあるかと思いますが、その点はどうかご了承ください。 軌道に乗るまでは、ちょっと時間がかかりそうです。 なにしろ、アナログ人間ですので。 画像に写真を載せるやり方がまだよくわからないんですよね~。 ところで、今月久々に1週間休暇をとり、ゆっくり過ごしました。 まあ、コロナでどこにも行けないというのもありま…

  • 図書館の魔女 第三~四巻 高田 大介 2016年5月13日 講談社文庫

    長かった~。 ここまで読むのがしんどいのは「指輪物語」に匹敵しましたね。 でも一息に読んでしまいました。 前も書きましたが、とにかく言葉が難しすぎる! 聞いたことのない単語、聞いたことのない読み方でほぼ成り立っていると言っても過言ではありません。 こんな難しい言葉で会話するわけないでしょ!と言いたいです。 この小説のテーマは「言葉」。 一巻から四巻までものすごくわかりやすくあるテーマです。 マツリカは言います。 言葉は何かを伝えるためにあるんじゃない。言葉こそ「意思」。言葉こそ「私」。 私が死んでも私の言葉は滅びない、と。 声がなく、手話、指話、書くことで言葉を発するマツリカ。 どんな手段でも…

  • 図書館の魔女 第一~二巻 高田 大介

    2016年4月15日 講談社文庫 かなりの長編で、これでやっと前半。 作者のデビュー作で、第45回メフィスト賞受賞作です。 この作者、言語学者だそうです。 そのせいか、やけに難しい言葉がふんだんに使われていて、ちょっと理解できないところが多々ありました。 絶対こんな言葉、日常で使わないはず、という言葉を主人公たちは平気で使います。 また、ファンタジーと言っていいのかどうかもちょっと微妙です。 ある村から、「図書館の魔女」の通訳として、一人の寡黙でストイックな少年、キリヒトがやってきます。 キリヒトは、「図書館の魔女」マツリカがまだ少女だったことにおどろきます。 ついでに、そのお行儀の悪さにも驚…

  • ☆ブレイクタイム 電車内で読んではならない本ベスト5

    こんにちは、咲紗(サーシャ)です。 さて、今回は初めて、咲紗が今まで読んだ本の中からランキングをつけてみたいと思います。 テーマは、「電車の中で読んではならない本」。 咲紗は、家で読むのはもちろんですが、通勤時間が長いので電車の中でもかなり読みます。 でも、たまにちょっと困ることがあるのです。 何故か。 それは、読んでいて突然号泣したり、大笑いしたりしてしまうからなのです。 いや、電車の中でいきなり座っている女が泣き出したり笑いだしたりしたら、「変な人がいます~」と通報されてしまうでしょう。 みなさんも、そんな風に電車の中で読書していて泣きたくなったり笑いたくなったりしたことってありませんか?…

  • ねこのばば 畠中 恵

    2006年12月1日 新潮文庫 若だんなシリーズ第3弾です。 日本一、いや、世界一軟弱な主人公、一太郎。 でも弱いのは身体だけ。 相変わらず頭の冴えはいいし、度胸も据わっているしっかり者です。 何と今回はこの若だんなが、身体の調子が良すぎて、ご飯をモリモリ食べるお話から始まります。 題名にもなっている「茶巾たまご」はなかなかおいしそうだけど、これが若だんなバージョンになると、尋常ではない量の砂糖が卵の上に乗っているというものすごいもの。 いや、卵の上にもろ砂糖・・・・? え・・・・? そんなのあるの・・・? しかも当時砂糖は相当高価なものだったでしょうに、妖の手代、佐助と仁吉の手にかかれば、そ…

  • 百寺巡礼 第二巻 北陸② 五木 寛之

    2003年9月30日 講談社 第十六番 瑞泉寺 瑞泉寺のある井波というところは「寺内町」だったそうです。 城下町は城が中心ですが、寺内町は「寺の内の町」で、寺と町とは一体であり、寺も町も一緒に守られているそうです。 すばらしい伽藍があり、見事な木彫りがいたるところに施されています。 一向宗の大きな勢力が生まれ、誕生した寺内町。 この町は寺と共に生き、寺とともに滅ぶ。そんな信仰によって、民衆の大きなエネルギーが燃えあがっていた場所でした。 第十七番 永平寺 道元が開いた厳しい修行道場です。 堂々として、貫禄たっぷりの大寺です。 禅の考え方である、人間の生活のすべてが修行ということが、この寺では実…

  • 百寺巡礼 第二巻 北陸① 五木 寛之

    2003年9月30日 講談社 美しい文章でお気に入りのエッセイです。今回は北陸です。 五木先生はどこでもきちんとジャケットを着こなし、ダンディでとてもかっこいいのです。 第十一番 阿岸本誓寺 このお寺、屋根が何と茅葺きです。茅葺き屋根の規模としては、日本で3本の指に数えられるとか。 20~30年ごとに葺き替えなければならないので、地元住民の協力が欠かせないでしょう。 能登の中で古い歴史を持ち、真宗の門徒たちの心のよりどころとなっているお寺です。 第十二番 妙成寺 能登を代表する有名な国宝「松林図」の作者、長谷川等伯の絵が2枚所蔵されています。 日蓮宗のお寺で、前田家の保護を受け、一度も大きな火…

  • 僕と妻の1778話 眉村 卓

    2010年11月25日 集英社文庫 1997年にガンを発病した奥様のために、毎日短い話を書いて読んでもらうことにした作者。 2002年5月に亡くなられるまでの約5年間、1778話、1日も休むことなく書かれた作品です。 余命宣告を受けてから5年も頑張られたということは、この1日1話が功を奏したと言うべきでしょう。 この本では、その中から52話のお話が載っています。 この本のほかにもう一冊「妻に捧げた1778話」という本もあります。 そちらはまだ読んでいませんので、話がダブっているのか全然違うのか、ちょっとわかりませんが・・・・。 実は私はSFというものをほとんど読んだことがありません。 なので、…

  • 妖怪アパートの幽雅な日常② 香月 日輪

    2009年3月13日 講談社文庫 前回は、主人公・夕士がかなり精神的な成長を遂げますが、今回はムチャクチャ笑えます。 アパートの住人・古本屋が旅先からおまけでもらった本が、実は魔導書で(プチ版だそうですが)夕士はその主になってしまいます。 思いっきり日本の妖怪が出るアパートで、なぜか西洋チックなタロットをもとにした使い魔たちが出てきます。 そして、この使い魔たち、使えません。 まず、代表してフールーという小人が出てきます。 この小人、今後いつも夕士と行動を共にすることとなります。 そして魔導書の案内役でもあります。 筋骨たくましい魔人はスタミナがなく、500円玉を出すのがやっと。 「隠者」はフ…

  • 植物図鑑 有川 浩

    2013年1月10日 幻冬舎文庫 まあ、まずありえないお話です。 行き倒れの男が倒れていて、それが若くてなかなかのイケメンで 「よかったら俺を拾ってくれませんか。しつけのできた良い子です。」 と言って、拾ってみたら超料理上手で、家事も何でもやってくれる・・・。 こんなの私も拾いたいです。 ヒロイン・さやかでなくても惚れるでしょう。 恋愛小説としては、いたって穏やかなよくあるお話なのですが ユニークなのは、拾った青年・イツキが野草オタクで、野草を取って来てはそれをおいしく料理してくれるのです。 しかも、その野草で、お弁当までつくってくれます。(残すとうるさいけど) 基本は恋愛ですが、メインは野草…

  • 愚者のエンドロール 米澤 穂信

    2002年8月1日 角川文庫 「古典部」シリーズ第2弾です。 「氷菓」よりこっちの方が面白かったかな。 学園の小さな謎解きで、別にだれが死ぬわけでもケガをするわけでもない、いたって平和です。 今回は、脚本家役が倒れてしまったために中断された、クラスの自主映画の結末を探す物語。 本人に聞けば済む話だろうと思うのですが、そうはいかないようで・・・。 この辺もちょっと裏があるのですけれど。 自主映画かぁ・・・。面白そうだなぁ。 咲紗が学生の時は、せいぜい演劇ぐらいでしたが、時代が変わりましたねぇ。 ホータロー含む古典部の面々は、以前よりなかなかチームワークが良くなってきています。 ホータローもなんだ…

  • びっくり館の殺人 綾辻行人

    2010年8月12日 講談社文庫 前作「暗黒館の殺人」と比べると、非常に短く感じる作品です。 「かつて子供だったあなたと少年少女のためのミステリーランド」という企画で書かれたそうです。 今までと違い、そうだなぁ・・・、小学5~6年から中学1~2年くらいを対象に書かれているようです。 だから今までの「館」シリーズを違って、まず、挿絵付きになっています。 ちょっと不気味な絵なのですけれどね。 もちろん語り手も子供、登場人物も極端に少なく、かつ子供が多いです。 「館」の見取り図も、いたってシンプル。 内容も、大勢が殺されまくるという「館」シリーズの特徴は影を薄め、殺人も一回だけ、トリックもシンプルで…

  • 異邦の騎士 改訂完全版 島田 荘司

    1998年3月15日 講談社文庫 いや、これは・・・ 凄い!凄すぎる!!! なんか島田先生の作品を読むと、いつもこういっている気がしますが・・・ 芸がないなぁ。 でもほんとに凄いんですよ! 何が凄いって? 最初から最後までです! 最初の一ページからグイグイと引き込まれ、咲紗は持病があるためあまり夜更かしをしないようにしているのですが、してしまった・・・。 だって止められないんですよ、もう面白くて面白くて、ページをめくる手を止めることができないのです。 ああ、早く寝なきゃ具合が悪くなる~、と思いながらもついついやってしまいました。 この作品、発表したのはずっと後(書いてから9年後だそうです)だけ…

  • 陰陽師 付喪神ノ巻 夢枕 獏

    2000年11月10日 文春文庫 今回は、男に裏切られ鬼になってしまった女性の話が2つも出てきます。 当時の女性は全くの無力で、ただただ男性の寵愛を待つしかないのです。 男の心が離れても、どうすることもできません。 ただひたすら愛する男が来てくれるのを待つのみ。 その悲しみや悔しさは怨念となり、やがて女性自身をも鬼としてしまいます。 なんて悲しいのでしょうか。 これは江戸時代の大奥でも、まだ同じようなことが起こっていますね。 ひたすら将軍様のお目にかかること、かかればかかったで、今度は男子を生むことでしか、道はありませんでした。 ああ、つくづく昔に生まれなくてよかったです。 そして今回、清明の…

  • 四国八十八ヶ所札所めぐり 小林 祐一

    2019年8月16日 メイツ出版 前にも書いたかもしれませんが、咲紗はお遍路にあこがれています。 もう一つのブログ「咲紗の、輝け!キラキラ毎日」にもコラムを載せるほど、あこがれているのです。 https://sashakirakira.com 定年退職になったら、絶対に行こうと決意しているほどなのです。 どうしてこんなにあこがれるのでしょうか・・・。 自分でもよくわからないのですが、とにかく行って、歩いて、お寺でお経を唱え、身も心も洗われたいのです。 四国の美しい海にも憧れます。 関西出身で小さい頃からお寺になじんで育ったことも影響しているのでしょうか。 そんな咲紗ですから、お遍路に関する本や…

  • 億万長者専門学校 クリス岡崎

    2008年7月8日 中経出版 このクリス岡崎さん、昔、親友を自殺で亡くし、それがきっかけで子供たちのカウンセリングをするようになったのですが、子供たちが人生に絶望していることを知りました。 子供たちが人生に絶望しないためには、まず大人がかっこよく人生を楽しまなければならない、夢を実現させる大人にならなければならない、そのためにはお金が必要だと感じたそうです。 です、ます口調ではなく、語り口調で書かれているのですが、偉そうでも生意気でもなく、まるで語尾に💛がついていそうな感じなのです。 かわいらしい人なのです。 お金持ちになることを教えてくれたメンターは外人だし、参考文献も英語の原文が多いから、…

  • 百寺巡礼 第一巻 奈良 五木 寛之

    2003年6月30日 講談社 司馬遼太郎先生の「街道をゆく」の次に、美しいエッセイに巡り合えました。 五木先生が実際に寺を訪れ、その寺についていろいろ書かれるのですが、文章の美しさと内容の深さに感動します。 そして五木先生は、どのお寺へ行くにもきちんとジャケットを着こなし、またそれがとてもダンディで素敵なのです。 第一巻は、なんと咲紗の故郷、奈良。 知っているお寺も多く、懐かしくて読んでいてもうれしかったです。 思い入れたっぷりで読みました。 実はこの本は図書館で借りたのですが、予定変更。全巻集めることにします。 咲紗は奈良出身のせいか、じつはお寺が大好きなのです。 いつかこの百の寺々を全部訪…

  • ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち⒄~⒇ ② 塩野 七生

    2005年9月1日 新潮文庫 さて、続きです。 4代目皇帝 クラウディウス クラウディウスは、3代目皇帝カリグラの叔父にあたり、ゲルマニクスの弟でした。 カリグラが殺されたとき、彼は思いがけず皇帝にまつりあげられましたが、この時すでに50歳。 子供の時小児マヒを患ったらしく、肉体上の欠陥があったことと、ドモリの癖がありました。 そのため、いじめられっ子でもあったらしく、兄のゲルマニクスがかばっていたようです。 容貌も、美形ぞろいのアウグストゥス一族の中では、彫刻を見ただけでもかなり残念な感じです。 そんなわけで周りも、そして本人も、皇帝になるなどとは夢にも思っていませんでした。 現にティベリウ…

  • ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち⒄~⒇ ① 塩野 七生

    2005年9月1日 新潮文庫 長い「ローマ人の物語」もようやく中盤まできました。 今まで順調に発展してきたローマですが、この辺からだんだん怪しくなってきます。 いや、国はいいのですが、治める人が・・・。 それでは、アウグストゥスより後のローマの皇帝たちを見ていきましょう。 2代目皇帝 ティベリウス 初代皇帝アウグストゥスは、自分の血をひいたものを後継者にすることにこだわりましたが、そうなると中にはやはり、能無しも出てきます。 ティベリウスのように実力はあっても、血のつながりがないことで国民にさえも冷遇された人もいます。 ティベリウスは以前はあんなに人気があったのに、どういうわけかすっかり嫌われ…

  • エジプト十字架の謎 エラリー・クイーン

    1959年9月25日 創元推理文庫 綾辻行人先生の「十角館の殺人」で、ミステリー同好会の学生たちが様々な有名ミステリー作家の名前をニックネームにしてそれぞれ呼び合っていました。 アガサにポウ、カー、ドイル・・・その中で、結構重要な役割を演じる学生にエラリーという男子学生がいました。 それで何となく、エラリー・クイーン物が読みたくなって、手に取った一冊です。 エラリー・クイーンと言えば、「Xの悲劇」シリーズと、エラリー・クイーンシリーズが有名です。 それにエラリー・クイーンはペンネームで、実際は二人で書いていた・・・っていうのは、ファンの方なら当然ご存じですね。 従兄弟同士だったとか。お互いの欠…

  • 神坐(かみいま)す山の物語 浅田 次郎

    2017年12月17日 双葉文庫 「シェエラザード」であまりいい印象のない浅田次郎先生ですが、この作品はぜひとも読んでみたくて、文庫本を探していてついに読めました。 ・・・が、やっぱり私、浅田先生ちょっと苦手かも・・・。 浅田先生ファンの皆様、ごめんなさい。 この作品の内容自体は非常に面白いです。期待は裏切りませんでした。 日露戦争時くらいの時代で、しかも山の上の由緒ある神社の神官の家にまつわる不思議なお話の数々。 しかもこの神官の家は、浅田先生ご自身の母方の家の事で、ほぼ実話だそうです。 なんですが、なんて言うか・・・古い時代のものということを意識していらっしゃるのか、やけに旧漢字や古い言い…

  • とある魔術の禁書目録(インデックス)③ 鎌池 和馬

    2004年9月25日 電撃文庫 人気作品、第3弾ですね。 相変わらずスピード感あり、迫力あり、とても面白く一息に読める作品です。 が、あまりにもバーッと読めてしまうので、前の内容を忘れるスピードも速いことに気づきました。 続きになっているので結構前の内容出て来るのですが、「あれ、どうだったけ?」とか「あれ、そうだったっけ?」 ひどい時には「この人誰だっけ?」となったりするのです。 このシリーズ、一気に読まないときついかも。 今回は、御坂美琴ちゃんのお話。かわいいですよね。お気に入りです。 そして一方通行(アクセラレータ)初登場。 この人、人気キャラらしいです。結構主役級だとか。 レベル5の美琴…

  • オズの魔法使い ライマン・フランク・ボーム

    2012年8月1日 新潮文庫 子供のころ、何度も読んでは最初の方で挫折していた作品です。 なのでもっと長いお話かと思っていましたが、今読んでみると、意外と短いのでびっくりしました。 何度も映画化もドラマ化もされていますね。 ジュディ・ガーランドの映画がやはり一番有名でしょうか。ご覧になった方も多いでしょう。 あまりにも有名なお話ですが、作者曰く、子供たちが喜んで読めるように、との想いで書いたとのこと。 子供が喜びそうな魔法の国や魔法使い、動物たちなどがふんだんに出てきます。 たしかに、大人の私でも読んでいてとても楽しく、面白いです。 それに、ドロシーとカカシ、ブリキのきこり、ライオンの友情がと…

  • 工学部・水柿助教授の日常 森 博嗣

    2001年1月10日 幻冬舎 ま~、ゆるいゆるい。 あまりのゆるさに、よくこれが本となって出版されたものだと思います(笑) これ、本人は小説だと言い張っていますが、エッセイにほど近い自分の日常・・・とも言い切れず、思っていることをつらつら書き連ねているのです。 ただ、それだけ。 まあ、もちろんそのゆるさを狙って書いていらっしゃるのでしょうが。 やっぱり、工学部の研究者ってかなり変わってるなぁ、と思うことばかりです。 咲紗は、こういうゆる~いものは、わりときらいではありません。 読んでいても、のほほんとしていられるし、頭も使わなくていいですよね。 適度にくすくす笑えればそれでいいのです。 笑っち…

  • 三鬼 三島屋変調百物語四之続 宮部 みゆき

    2020年5月22日 角川文庫 待望の「百物語」シリーズ、第4弾。 今回もやっぱり素晴らしい。 宮部先生の作品の中でも、もはや貫禄の域に達しているこのシリーズ、期待を裏切りません。 600ページ以上の大作でしたが、あっという間に読んでしまいました。 今回のおちかの成長は目覚ましいものがあります。 一話目は、13歳くらいの女の子が語り手なのですが、まだ子供なのでうまく話せないところを、上手に誘導して話させます。 二話目はなんと、おちか自信が興味を持った話を、その話をしてもらうため当人を呼ぶという、いわばスカウトです。 4話目は、話の謎を解くためおちか自らが行動します。このパターンは2回目です。 …

  • 小暮写真館(上)(下) 宮部 みゆき

    2013年10月16日 講談社文庫 大好きな宮部みゆき先生の作品で、これは現代ものです。 全体的に穏やかなムードで話は進みます。 主人公、高校生の英一一家は古い写真館であった家を買いますが、父親のユニークな趣向で看板をそのままにしておきました。 すると、そこが写真館のままであると勘違いした(そりゃするわな)女子高生がやって来て、英一に不思議な写真を見せます。 この写真館で現像されたものだとのこと。 見ると確かに、まるで心霊写真のような不思議なものが写りこんでいる写真でした。 英一はその写真について調べていくことになります。 そしてその縁で、人のいい不動産屋さんや、そこで働く愛想が悪いがなぜか心…

  • 暗黒館の殺人㈠㈡㈢㈣ 綾辻 行人

    2007年10月16日~11月15日 講談社文庫 いや~・・・・・、我ながらよく読んだな~、4冊も。 しかも約2,600枚。 無駄に長いです。一冊一冊が分厚い! 構想8年、連載5年というからものすごいです。 綾辻先生、がんばりました。 ただ、わけのわからない「視点」の部分はいらないです。 この作品、「黒猫館の殺人」と同じで「館」シリーズの順番のルールを知らなかったときに先に読んでしまい、今読むと、当時は訳わかんなかったろうなと思うところがいっぱいあります。 今までの作品がかなりふんだんにいろんなところに盛り込まれているのです。 これは「館」シリーズを全部読んでいなければわかりません。 はっきり…

  • とっぴんぱらりの風太郎 万城目 学

    2013年9月30日 文藝春秋 実に700ページ以上もの大作です。 そして、素晴らしい作品だと思います。 最初、題名や最初のころの数章から、てっきりのんびりしたユーモアあふれる楽しい話だと思っていました。 ところが、戦が始まったあたりから急に陰惨になっていき、どんどん深刻に、そして最後はかなり悲劇的な結末を迎えてしまいます。 まあ確かに、大坂冬の陣・夏の陣が舞台なのですから、楽しいはずはないですね。 ただ、こういう結末というのはあまりないパターンかもしれません。 しかも一人称なのに。 主人公の忍者、風太郎はちょっとした失敗から忍者としての仕事を失ってしまいます。要はクビ、ということです。 仕方…

  • 片づける禅の作法 枡野 俊明

    2015年10月20日 河出文庫 ものすごく勉強になった1冊です。 前回ご紹介したやましたひでこさんの断捨離の本と、ほぼ同じことをおっしゃっています。 断捨離も禅の考え方をもとにしたものですからね。 ちょっと違うところは、断捨離はまず捨てる、こちらは捨てるのは最後というところでしょうか。 とりあえず、簡単にまとめてみます。 ・掃除とは、汚れを取ることが目的ではなく「自分の心を磨く」こと。 ・雲水(修行僧)の生活は24時間すべてが修行。寺の運営にかかわる雑事をすべて作務(さむ)と呼び、座禅と同じ修行ととらえる。掃除は大切な作務のひとつ。 ・住んでいる部屋は、自分自身の心の状態を映し出している。 …

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