陰陽師 生成り姫 夢枕獏 文春文庫
大好きな陰陽師シリーズ、初の長編です。 読んでいて、なんか読んだことあるなぁ、と思ったら、短編「鉄輪(かなわ)」を長編にしたものでした。 たしかにこの「鉄輪」はすごいインパクトのあるお話でした。 よく覚えていました。 特に、冒頭の丑の刻参りのシーンがすさまじいのです。 夜中に山中の寺を目指す女の姿は鬼気迫るものがあり、いかに恨みが強いかよくわかります。 源博雅は、月明かりの美しい晩に橋の元で笛を吹いていると、牛車にのった女が現れ、その笛に聞きほれます。 なんどか会ううちに、その女は博雅の笛に合わせて、琵琶を弾き始めます。 美しい共演に、博雅は心を奪われます。 そしてそこで初めて姫の顔を見ます。…
2022/11/03 15:31