若松英輔"内村鑑三"を読んだ。 P.185から引く。 哲学の精髄は、文字で記すことはできない、とプラトンは愛弟子ディオンの遺族に書き送った。「そもそもそれは、ほかの学問のようには言葉で語りえないものであって、むしろ[教える者と学ぶ者とが]生活を共にしながら、その問題の事柄を直接に取り上げて、数多く話し合いを重ねてゆくうちに、そこから、突如として、いわば飛び火によって点ぜられた燈火のように、[学ぶ者の]魂のうちに生じ、以後は、生じたそれ自体を養い育ててゆくというそういう性質のもの」(長坂公一訳)だというのである。 この一説は「第七書簡」(『プラトン全集』第一四巻 岩波書店)と呼ばれる手紙に記され…