1時間強しか経ってないが、社長は決めたみたいだ。皆は食堂で本日のお試しバイトのバイト料として軽食を食べている。社長は、その皆に言う。「決めた、決めたよ。みんな、ここでバイトしてもらう。採用決定だ」新田がすかさず返す。「ありがとうございます」「新田君もありがとう。適材適所に苦しむけど住み込みだからなんとかなるだろう。年末年始はよろしく」皆の声は重なっていた。「ありがとうございます。よろしくお願いいた...
オリジナルBL&MLを毎週月・水・金の夜21時に更新!※アスリートCP/医者CP/リーマンCP/学生CP/短編も有ります。
妄想&空想が好きです(*≧m≦*) 浸るのも大好きです。 プロフのイラストはTwitterでお友達になった豆たろさんに描いて頂きました。 豆たろさん、ありがとうございます〜♪ オリジナルでBL小説を書いてます。 他のジャンルも多少あります。 性的表現がございますので、苦手な方はご遠慮ください。
2024年5月
2024年5月
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1時間強しか経ってないが、社長は決めたみたいだ。皆は食堂で本日のお試しバイトのバイト料として軽食を食べている。社長は、その皆に言う。「決めた、決めたよ。みんな、ここでバイトしてもらう。採用決定だ」新田がすかさず返す。「ありがとうございます」「新田君もありがとう。適材適所に苦しむけど住み込みだからなんとかなるだろう。年末年始はよろしく」皆の声は重なっていた。「ありがとうございます。よろしくお願いいた...
2階へと移った教育学部5人は容器が足りないということで、8種類の容器にシールを貼っていく作業をしている。手本を一つ作ってもらい、それに倣って容器にシールを貼っていく。もくもく作業なら、お任せの5人だ。20分あれば終わるが、先に終わった3人は残りの3種類のシール貼りをしている。手が空いた2人は片づけをしているスタッフに声をかけ手伝う。高橋も声をかけていた。「持っていきます」「重いよ」「大丈夫です」持ち上...
ニコニコ顔のジュンヤだったが、内心は焦っていた。こんな近くで女性と、まさかリップサービスを余儀なくする羽目になるとは思いもしなかったのだ。しかも、無事に1人終わったと思っていたら、次から次へと5人の女性を相手に一人でさばくだなんて。これがメスで切り開いても良いのなら構わないのだが。そう思うと言っていた。「なんで、他の人たちはしないのですか? しかも、あの9人はどこに消えた?」先ほどのスタッフが教えて...
「ジュンヤ様は魚もお食べになられるのですね」「魚はよく食べるよ」そこでジュンヤは気が付いた。「魚、食べてる?」「あまり食べないかも」「食べたほうが良いよ。特に女性には魚のタンパク質は体にいいんだ。どんな魚が好きなのか教えて。良かったら選んであげる」「タコも魚ですか?」その言葉に、自分の立っている場所がタココーナーであることに気が付いた。「そうだよ。食べたことない?」「どうやって食べるの?」「ゆでる...
1階に下りた10人は白衣からエプロンと長靴になる。ボスとスズメはもちろんのこと、喫茶店でバイトしているカズキと本屋でバイトしているタカの4人は生き生きとしている。気合も入っているので声を出すのは苦痛ではない。4人の声が重なる。「いらっしゃいませ」途端、その声が叫び声にかき消される。「キャー!!!」ドドドッと店内に女性数人が入ってくる。「ジュンヤ様―!!!」一番奥に居たジュンヤにも、その叫び声は聞こえて...
そして、教育学部の5人は3階の食堂で昼食の準備を手伝っている。普段は一人で切り盛りしているという、その女性は5人の大学生をどうすればいいのかわからず社長を呼んでいた。「ありがとうございます。助かりました」「今どきの大学生は自炊もできるから、させればいいんだよ」「なにしろ男子だから」「男子も女子も関係ないよ。あ、それと21人分の軽食を作って」「21人ですか?」「そう、21人。新田君率いる20人だから、21人」「...
一方、こちらは医学部10人。白衣を着て材料を量り器に入れる作業だ。エプロンでなく白衣なので、違和感なんてものは全くない。しかも前髪が垂れないように帽子を被り、手袋してマスクも付ける。これで持ち物がメスみたいな物であれば、魚肉を切り開いたであろう。しかし、持ち物はなく手袋をした手であり、もしくはスプーンだ。二人一組で5種類の魚肉を量り器に入れると、蓋を閉めてコンテナに入れていく。手際が良く、20分もする...
「へぇ、魚屋ってサラダも売ってるのか」「ここは売ってるよ。お前らも声出して売れよ」タイミングよく声がかかる。「新田君、ウナギ出してくれる?」「1台でいいですか?」「ん-……、2台?」「2台ですね。分かりました」そう言って足を踏み出すが、何を思ったか立ち止まる。「そうだ。4人ともこっちに来て」「どこに行くんだ?」「冷凍庫だよ。男衆4人動け」はいはいと言って、男4人は新田の後を歩く。10歩ほど歩いたら着い...
一気に20人が増えると、いくら広いと言っても目が届かない。だから、5人一組になり30分で交代する。なにしろ、やることはたくさんあるからだ。先に経済学部と松井夫婦の6人は1階に下りる。新田は言っていた。「5人とも動くんだよ」「どんなふうに?」「見てて、あとでしてもらうから」そう言ったものの内心は項垂れていた。気を取り直してエプロンと長靴を付ける。「いらっしゃい、いらっしゃい。イキのいい魚がいますよ」その声が...
中に入ると、父親より若そうに見える男性がいた。「新田君、1年ぶり。大人数だなあ」「1年ぶりです。今年もよろしくお願いいたします。20人です。よろしくお願いいたします」その人は20人に声をかける。「私は、社長の川本だ。人手不足で今年はどうしようと困っていたのだけど、新田君がこんなにも声をかけてくれて嬉しいな。明日は新井君が13人連れてきてくれるし、無事に年末年始を迎えられそうだ。履歴書を見せてくれる? 新田...
店に着くと、新田がこっちだよと教えてくれる。その新田は先頭に立つとブザーを押し鳴らす。「はい」「東響大学の新田です」「20人の面接だね。そのまま3階の食堂に上がって」「はい、分かりました」後ろに立っていた宮田がつぶやく。「20人?」「そうだよ」「21人の間違いでは?」「あのね。みんなは私の紹介なんだよ」「新田は面接なしか」「そういうこと。高校の時から来てるからね」3階まで階段を上っていく。2階の踊り場で誰...
12月に入った第1週目の日曜日。待ち合わせに最寄り駅を指名して、そこまで勢ぞろいして駅へと向かう。途中、ちらちらと見られる。「慣れてるとはいえ、やっぱり目立つんだな」「なにが?」「お前らだよ! お前ら、10人。いや、金銀の2人だ!」「ちょっと、人を将棋のコマみたいに言わないでくれる?」「ハモッてるし……」タイミングよく松井もやってきた。「お待たせ」「まーつーいー」「なに?」「なにじゃない! なんで女連れな...
学部棟に戻ると声をかけられる。「新田、本当か?「宮田? 本当って、なに?」「年末年始で14万バイトの話だよ」「え……」「本当に、そういうバイトあるのか?」一体、誰から聞いたのだろう。「新田、どうした?」「あ、ごめん。どうして知ってるのかなと思って」「ほかの3人も知ってるよ」その言葉に驚いた。経済学部の松井、宮田、元宗、桑田の4人は年末年始バイトに向け嬉しそうだ。しかし、その前にXmasというものが立ち塞が...
誰かの声が聞こえてくる。「なあ、1週間バイトしない?」「何のバイト?」「魚屋で年末年始の1週間」そこで大きな声が遮る。「パス!」しかし、それぐらいではめげない。もう一声付け足す。「なんと、1週間で10万円!」「だから、パスって」しかし、すぐに言い直す。「え、なになに。1週間で10万?」「しかも、三食付き」「おぉ!」「朝6時から始まるのだけど」「早いなぁ……」「しかも、経済の新田から貰ったという」「新田かあ...
いつもお越しいただきありがとうございます。この6月27日で、11年目に突入します!11年目を迎えることができたのも、皆さまからのメールや「イイね」ボタン等のお陰です。とても感謝しております。そんな記念となる小説の前に、うちの子たちによる小説を楽しんでいただけたらと思い、登場させました。実は、これから始まる数作品はコラボになります。その為の、うちの子たち紹介作品です。~あらすじ~東響大学医学部では、年がら...
いつもお越しいただきありがとうございます!予定より長めになりましたが、本日より毎日の更新となります。予約登録をフル活用して更新していきますので、付いてきてくださいね!医学部10人登場ボス 「やれやれ、やっとか」スズメ 「ボス、違う!」ボス 「なにが?」サトル 「今回は経済学部の5人がメインなの!」ボス 「はぁ? うち(医学部)ではなく?」他9人 「そうだよ!」経済学部5人登場新田 「悪いね、10人とも」松井 ...
いつもお越し頂きありがとうございます。今作の『愛したのは王子でなく君だ』は、いかがでしたでしょうか?前作の『社員研修は腐の宝庫』の続編みたいな感じですが、ニールとネイサンの2人だけの短編小説でした。実は、前作の『社員研修は~』を書いているときに、ふっと降ってきたのです。ニールとネイサンの話が書きたい!短編でもいいので、この凸凹コンビが良い味を出してくれると思って。そして、いよいよ11年目に突入いたし...
いきなり嬉しそうな声が聞こえてきた。「ほんと? 嬉しいな、ありがとネイサン!」「え、なにが?」「今、はっきり言ってたよね? 僕を愛してるって」「そうだっけ?」いつから聞いていたのだろう。もしかして、さっきのは寝言ではなかったのだろうか。ニールは、こんなことを言ってくる。「ネイサン、神父の前で誓ったよね。病めるときも健やかなときも、って」「そうだな」「僕、嬉しかったんだよ」「皆が祝ってくれたしな」「...
ニールは秘密が多いけれど、それを暴かれるのは好きではない。それは、あの5人を見ていたからよく分かっている。「ニール、起きてる?」顔を覗き込むと、スースーと寝息が聞こえてくる。「離さないから。お休み、マイハニー」そう言うと、おでこにキスをする。ムニャムニャと寝言を言ってるみたいだ。耳を澄ますと、聞こえてきたのはこの言葉だ。「ヨシ、アサミ、好きだよ」好きなのはよく分かっている。あの5人の中でも、ニール...
そのニールは我慢できなくなった。「もぅ、ネイサンの下手くそ!」「なにが」そのニールは、こんなことを言ってくる。「人が素直に抱かれてあげようと思っていたのに。いつまでたっても下手なんだから。やはり、ここは僕がリード取って上げるから、大人しくされるがままになっててよ」「お前、なんてことを」「シャラップ!」結局、いつものパターンになってしまった。ニールはキスをしてくる。「ふ」普段より長く熱いキスだ。頭の...
お母ちゃんからメールがきた。俊平には「治は寺で修行して、携帯禁止だ」と話したらしい。ちょっと待ってよ。そりゃ、携帯は番号新しくしたけど、寺で修行はないだろ。4月からの英語は俊平が教えるとも書いてある。そっか、週1で俊平と会い、顔が見れるのか。しかも、「寺、修行」の言葉でハゲという言葉が出てきて、2人揃って爆笑してたなんて。なんて、2人だ。俺、ハゲにした方が良いのか?ガッコ行くときだけハゲのカツラに...
黒ラベルでご機嫌マックスなおばさんは色々と近況報告してくれた。治のことは一言だけだった。「あのヤワな泣き虫坊主は寺に放り込み、講義の時だけ大学に行かすようにしたから」おばさんの性格を知っているから、それ以上は何も聞く事は出来なかった。そう、講義の時だけか。それでも、会うことは出来る。おばさんは早くも舟をこぎ出している。え、この量だけで酔いがきたのか? 早くないか。寝さすべきだよなと思っていると、自...
思わず声が出ていた。「ふぅ……、疲れた」それに応えるかのように声が聞こえてくる。「おかえり」まさか、応じてくれる声があるとは思わなかった。ビクついて声が聞こえてきた方を見ると、治の母親が居た。「お、ばさん? いつ」「治から合鍵もらって入ったの」あいつは教えろよ、と呟きが出てしまう。これね、と鍵を渡される。「俊ちゃん、今までありがとう。あの子は、あのマンションには居ないわ。引っ越したの」「どこに」「ご...
そう言い切ると、昌平さんはコンビニに入っていく。あんな事を言っても、兄弟思いなところがあるのは分かっている。家族、か。ずっと、思っていた。お父ちゃんと2人で、途中から友兄も入ってきて……。で、友兄が『御』の所に連れてきてくれて。その家で、家族って、兄弟っていいなと思ってたから……。たとえ年齢が離れていても、昌平さんは兄であり頼もしい父親的な存在で、隆星さんは厳しいけれど兄弟思いで、悟さんは横柄なところ...
その様子を複雑な思いで見ていた。「新潟」その言葉は、スズメを思い出させる。私には、決して忘れることが出来ない地名だ。スズメの親戚でないことは分かっている。あのスズメには姉しかいない。あの女性が、さっきの女性とは別人だというのは分かるが、彼女はどうしているだろうか。弟が可愛くて仕方ないと猫買いかぶりな人だったからな。あいつが死んですっかり忘れていたが、彼女はどのようにして過ごしているのだろうか。そん...
「あー! つっかれたー」「そりゃ、疲れるだろうよ」「いやあー。日常的に柔道してるけど、やっぱり違うね」道場主さんは口を挟んでくる。「日常的?」お母ちゃんは、その声に応える。「捕り物の時は足掛けや背負いで捕るけど、ここまで本気出さないので」「捕り物……。失礼ですが、警察関係の方でしょうか?」「新潟で刑事してます」「新潟……」「はい、でもバカ息子は東京で大学生してます」その言葉に、俺は言っていた。「バカ息...
声が響く。「5分経過! 休憩時間終了まで、あと5分!」斎藤さんの声だ。もう、そんなに経ったのか。で、残り5分?道場主の声が近くで聞こえてくる。「ほぉ……、いい線いってるな。彼女は何者だろう」私の母です。と言いたかったが声が出ず、斎藤さんが答えてくれる。「治君のお母さんですよ」「治君とは?」「昌平さんとこに入った新人バイト君ですよ」「これは、時間内に終わらないな」「悟さん? ま、まさか」まさかって、な...
淳史さんの先導で3階に上がっていく。開けっぱなしにしてある部屋があり、そこには道場主の人が立っている。「どうした? その2人はなんだ?」淳史さんはこう返事している。「私が相手しますので、少しの間、抜けます。よろしいでしょうか?」「空手か?」「柔道が得意らしく異種になります」本当に、お母ちゃんの相手をしてくれるんだ。淳史さんって優しいなあと思っていた。すると、道場主は一言だった。「ちょうど休憩に入る...
「たのもー!!!」いきなりの大声でビックリした。「お母ちゃん?」「一度、やってみたかったんだよね」少しすると、ドタドタと上から足音が聞こえてくる。「ちょっとやめてよー。帰るよ-」「いいじゃない。あら、イイ男」「お母ちゃんっ」その人は声を掛けてくる。「失礼ですが、先ほどの」「私、柔道が得意で、相手して貰えますか?」もう、言い出したら止まらないんだから。「お母ちゃん、やめてって言ってるでしょっ」「うっ...
引越した初日。俺は、お母ちゃんに話していた。俊平から就職しろと言われ、それから会わなくなったことを。それで、その甘えから抜け出そうとしてバイトをしだし、こっちに引っ越すことにしたと。お母ちゃんは、こう話してくれる。「就職難の今、手に職が付いていない人間は難しいよ。バイトを掛け持ちして生活をしている人は、ごまんといる。コンビニでバイトをして保険とか払う気があるのなら、コンビニを本業にして他に仕事をす...
2月最初のシフト日、12時前に来て部屋の中を見させて貰った。2階は店長、新一さん、淳史さんが住んでおり、3階には岡崎さんと社会人が、4階には社会人が借りて住んでいる。もう、留年はしない。俊平にも話さないといけないのは分かっている。でも、顔を見たら何も言えなくなる。だから、お母ちゃんに来てもらった。なにしろ20歳を過ぎているので保護者は必要ないが、保証人はいる。お母ちゃんに電話をして話しをすると、2月に...
ポツリと呟く。「若いっていいねえ……」「昌平さん?」「雅君を見てると、なんだか若かった頃の自分を思い出す」「なにを年寄りみたいな台詞言ってるんですか?」「この年になると、やっぱり」「昌平さんは、まだまだ若いですよ」「ありがと。でも、孫ができた気分だよ」その言葉に驚く。「え?」「私にとって、優ちゃんは子ども。でも、雅君は孫、という感じがするんだよな」「昌平さん……」ある言葉がフッと浮かんできたので言って...
その日の夕食タイム。なぜか目の前にはニコニコ顔をしている店長が座ってくる。「あの」「雅君、よく頑張ってるね」「立ち仕事はしんどいですが、付加価値があり楽しいです」「これ、2週間分のバイト料ね」「ありがとうございます!」金額を確認して受取のサインをする。店長はニコニコ顔で言ってくる。「どう? やっていけそう?」「はい、やっていけます」「それなら、もう1枚」そう言って、ある紙を置いてくれる。「それを読...
「へぇ、手先が器用なんだね。あの絵もそうだけど、どっかの誰かさんより丁寧だけど、パパッと包装して手際いいね」「わーるかったな」「徹は何年やってるのかな?」元気よくドアが開き、元気な声が響く。「まいどー! オーストラリアからの航空便です」その声に俺も反応する。「はい、いつもありがとうございます」斎藤さんは笑顔だ。「雅君も、サマになってきたねぇ」「そう言われると嬉しいです」岡崎さんは、嬉しそうな声だ。...
バイト初めて2日目。仕事場に行くと、すでに窓ガラスに、昨日描いたバレンタインのイラストが貼られてある。「うわぁ、なんか嬉しい」ドアを開け、チリリン♪と鳴らす。「あ、きたきた。おはよう、雅君」「斎藤さん、おはようございます」「昨日はどうだった? 疲れたでしょ」「グッスリと眠れました」「朝、あの絵を貼ったらね、早速買ってくれたよ。あの絵、可愛いねって言ってくれたよ」「嬉しい。ありがとうございます」2日...
その日の夜。店長から、ちょっと、と声を掛けられる。「なんでしょうか?」「雅君、イラストを描いたら1枚につき+1,000円ね」「なにが……」「イラストのお金。時給は上がらないが、イラスト一枚のお金。安いけど」「頂けるんですか?」「うん」「ありがとうございます」店長は嬉しそうな表情をしていたが、次は神妙な面立ちになった。「で、ここからは言葉使いについてだ。淳史から話しを聞いたのだけど、優ちゃんもそうだけど、...
泣き顔になっていた斎藤さんは顔を洗ってくると、一緒におでんの仕込みをしていく。「よく売れるのは肉と大根とじゃがいもと玉子。まず、先に玉子と大根を茹でるよ」「はい」冷蔵庫から玉子を3パックと大根を10本取り出してきた。見てると、大根は1本を4等分にし、それをまた2等分にしている。「分厚い……」「1本150円だからね、少し厚めにするの。先に大根を下茹でして、これに人参と昆布を合わせて串を刺し。そして汁に入れ...
斎藤さんは、淳史さんに言葉遣いがなってないと言うことでクドクドと説教されていた。「でも」「でもじゃない。いくら相手が知り合いだろうが、さっきのような言葉遣いはダメ! たわいのない話しならいいが、仕事の話しなら尚のこと。さっきのは自分の事を構ってくれないからと言って、駄々をこねる子どもと同じだ!」「ちが」「違うと思うなら、さっきの言葉遣いは悪かったと謝罪するんだな。私は、そんな部下なら即刻クビにする...
「び、ビックリした……」「いきなり……。優介君、どこに?」すると、テレビの向こうに人が現れた。『はい』「友兄、紅茶クッキーどうなってるの? 早く納品してよー」『その声は、優介か』「優介か、じゃないよ。なに、まだ寝てたの? あのね、いくら時差があろうと、そんなにも変わらないんだからね。寝るのがそんなに好きなの? この寝ぼすけ! 紅茶クッキー、発注したら1週間後にはこっちに着いていたのに。まだ来てないよ!...
面接を受けた3日後は、コンビニのバイト初日だ。おっとりとした店員さんではなく、初心者コースを担当してくれた人だ。「初めまして、斎藤優介です。よろしく」「雅治です。よろしくお願いします」「そういえば、正月の異種に参加してくれてたんだって? ありがとね」「はい。シュークリーム美味しかったです」「ありがと。それ作ったの、私なんだ」「そうなんだ。美味しくって、ここまで買いに来たほどで」「嬉しいなあ」それで...