「へぇ、魚屋ってサラダも売ってるのか」「ここは売ってるよ。お前らも声出して売れよ」タイミングよく声がかかる。「新田君、ウナギ出してくれる?」「1台でいいですか?」「ん-……、2台?」「2台ですね。分かりました」そう言って足を踏み出すが、何を思ったか立ち止まる。「そうだ。4人ともこっちに来て」「どこに行くんだ?」「冷凍庫だよ。男衆4人動け」はいはいと言って、男4人は新田の後を歩く。10歩ほど歩いたら着い...
オリジナルBL&MLを毎週月・水・金の夜21時に更新!※アスリートCP/医者CP/リーマンCP/学生CP/短編も有ります。
妄想&空想が好きです(*≧m≦*) 浸るのも大好きです。 プロフのイラストはTwitterでお友達になった豆たろさんに描いて頂きました。 豆たろさん、ありがとうございます〜♪ オリジナルでBL小説を書いてます。 他のジャンルも多少あります。 性的表現がございますので、苦手な方はご遠慮ください。
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「へぇ、魚屋ってサラダも売ってるのか」「ここは売ってるよ。お前らも声出して売れよ」タイミングよく声がかかる。「新田君、ウナギ出してくれる?」「1台でいいですか?」「ん-……、2台?」「2台ですね。分かりました」そう言って足を踏み出すが、何を思ったか立ち止まる。「そうだ。4人ともこっちに来て」「どこに行くんだ?」「冷凍庫だよ。男衆4人動け」はいはいと言って、男4人は新田の後を歩く。10歩ほど歩いたら着い...
一気に20人が増えると、いくら広いと言っても目が届かない。だから、5人一組になり30分で交代する。なにしろ、やることはたくさんあるからだ。先に経済学部と松井夫婦の6人は1階に下りる。新田は言っていた。「5人とも動くんだよ」「どんなふうに?」「見てて、あとでしてもらうから」そう言ったものの内心は項垂れていた。気を取り直してエプロンと長靴を付ける。「いらっしゃい、いらっしゃい。イキのいい魚がいますよ」その声が...
中に入ると、父親より若そうに見える男性がいた。「新田君、1年ぶり。大人数だなあ」「1年ぶりです。今年もよろしくお願いいたします。20人です。よろしくお願いいたします」その人は20人に声をかける。「私は、社長の川本だ。人手不足で今年はどうしようと困っていたのだけど、新田君がこんなにも声をかけてくれて嬉しいな。明日は新井君が13人連れてきてくれるし、無事に年末年始を迎えられそうだ。履歴書を見せてくれる? 新田...
店に着くと、新田がこっちだよと教えてくれる。その新田は先頭に立つとブザーを押し鳴らす。「はい」「東響大学の新田です」「20人の面接だね。そのまま3階の食堂に上がって」「はい、分かりました」後ろに立っていた宮田がつぶやく。「20人?」「そうだよ」「21人の間違いでは?」「あのね。みんなは私の紹介なんだよ」「新田は面接なしか」「そういうこと。高校の時から来てるからね」3階まで階段を上っていく。2階の踊り場で誰...
12月に入った第1週目の日曜日。待ち合わせに最寄り駅を指名して、そこまで勢ぞろいして駅へと向かう。途中、ちらちらと見られる。「慣れてるとはいえ、やっぱり目立つんだな」「なにが?」「お前らだよ! お前ら、10人。いや、金銀の2人だ!」「ちょっと、人を将棋のコマみたいに言わないでくれる?」「ハモッてるし……」タイミングよく松井もやってきた。「お待たせ」「まーつーいー」「なに?」「なにじゃない! なんで女連れな...
学部棟に戻ると声をかけられる。「新田、本当か?「宮田? 本当って、なに?」「年末年始で14万バイトの話だよ」「え……」「本当に、そういうバイトあるのか?」一体、誰から聞いたのだろう。「新田、どうした?」「あ、ごめん。どうして知ってるのかなと思って」「ほかの3人も知ってるよ」その言葉に驚いた。経済学部の松井、宮田、元宗、桑田の4人は年末年始バイトに向け嬉しそうだ。しかし、その前にXmasというものが立ち塞が...
誰かの声が聞こえてくる。「なあ、1週間バイトしない?」「何のバイト?」「魚屋で年末年始の1週間」そこで大きな声が遮る。「パス!」しかし、それぐらいではめげない。もう一声付け足す。「なんと、1週間で10万円!」「だから、パスって」しかし、すぐに言い直す。「え、なになに。1週間で10万?」「しかも、三食付き」「おぉ!」「朝6時から始まるのだけど」「早いなぁ……」「しかも、経済の新田から貰ったという」「新田かあ...
いつもお越しいただきありがとうございます。この6月27日で、11年目に突入します!11年目を迎えることができたのも、皆さまからのメールや「イイね」ボタン等のお陰です。とても感謝しております。そんな記念となる小説の前に、うちの子たちによる小説を楽しんでいただけたらと思い、登場させました。実は、これから始まる数作品はコラボになります。その為の、うちの子たち紹介作品です。~あらすじ~東響大学医学部では、年がら...
いつもお越しいただきありがとうございます!予定より長めになりましたが、本日より毎日の更新となります。予約登録をフル活用して更新していきますので、付いてきてくださいね!医学部10人登場ボス 「やれやれ、やっとか」スズメ 「ボス、違う!」ボス 「なにが?」サトル 「今回は経済学部の5人がメインなの!」ボス 「はぁ? うち(医学部)ではなく?」他9人 「そうだよ!」経済学部5人登場新田 「悪いね、10人とも」松井 ...
いつもお越し頂きありがとうございます。今作の『愛したのは王子でなく君だ』は、いかがでしたでしょうか?前作の『社員研修は腐の宝庫』の続編みたいな感じですが、ニールとネイサンの2人だけの短編小説でした。実は、前作の『社員研修は~』を書いているときに、ふっと降ってきたのです。ニールとネイサンの話が書きたい!短編でもいいので、この凸凹コンビが良い味を出してくれると思って。そして、いよいよ11年目に突入いたし...
いきなり嬉しそうな声が聞こえてきた。「ほんと? 嬉しいな、ありがとネイサン!」「え、なにが?」「今、はっきり言ってたよね? 僕を愛してるって」「そうだっけ?」いつから聞いていたのだろう。もしかして、さっきのは寝言ではなかったのだろうか。ニールは、こんなことを言ってくる。「ネイサン、神父の前で誓ったよね。病めるときも健やかなときも、って」「そうだな」「僕、嬉しかったんだよ」「皆が祝ってくれたしな」「...
ニールは秘密が多いけれど、それを暴かれるのは好きではない。それは、あの5人を見ていたからよく分かっている。「ニール、起きてる?」顔を覗き込むと、スースーと寝息が聞こえてくる。「離さないから。お休み、マイハニー」そう言うと、おでこにキスをする。ムニャムニャと寝言を言ってるみたいだ。耳を澄ますと、聞こえてきたのはこの言葉だ。「ヨシ、アサミ、好きだよ」好きなのはよく分かっている。あの5人の中でも、ニール...
そのニールは我慢できなくなった。「もぅ、ネイサンの下手くそ!」「なにが」そのニールは、こんなことを言ってくる。「人が素直に抱かれてあげようと思っていたのに。いつまでたっても下手なんだから。やはり、ここは僕がリード取って上げるから、大人しくされるがままになっててよ」「お前、なんてことを」「シャラップ!」結局、いつものパターンになってしまった。ニールはキスをしてくる。「ふ」普段より長く熱いキスだ。頭の...
「ネイサンったら黙り込んじゃって」「お前の、プロポーズの言葉を思い出していた」「はずかし」思わず言っていた。「分かった。ニールは」「何が分かったんだよ」言葉を重ねてくるがお構いなしに言ってやる。「アサミとユーゴに会えて嬉しかったんだな」「アサミとヨシに会えたのが、だよ」「他は?」「懐かしいな、会えて嬉しいなとは思ったけど、アサミやヨシほどではない」その言葉に、嫉妬を覚える。「そういえば、急に管理人...
アメリカでは、男同士でも結婚はできる。だけど、堂々と町中を歩くほど自分の神経は図太くない。この島から出なくてもいいので気は楽だ。この島を買い取ったニールは、結局8年間で観光目的ではなく、家族向けや恋人向けへのキャンプやピクニックをはじめ、プールやアスレチック、レストランに展望台、またシューティング等といった施設を建築し、お金が目的の島ではないことを行政に申請した。お金が発生するのは、利用料だけ。1...
ニールはなんでもないという表情だ。「ネイサンが、あいつらと接触したのは知っているよ。言っておくけど、僕は責めているわけではないから。僕のためにいっぱい苦しんだのだろうと思ってるよ。ネイサンは勉強するために大学に入学したからね」「ニールは何のために入学したんだ?」「僕も勉強するためだよ」「一緒だな」「うん、そうだね。でも、ネイサンほど真面目じゃなかったから」「たしかに、そうだな」「そこは否定してよね...
ニールにベッドに押し倒されると乗っかってきてキスをしてくる。「ふ」頭の中がとろけそうになるほどのキスだ。そのうち、ニールが離れていくのが分かる。「ニー」自分の肌にニールの唇が触れていく。強く吸われる時もあれば、優しく吸われる時もある。「あ・・・・・・」胸の尖りを舐められる。「ん」とても優しく舐めたり噛んでくる。こんなのは初めての経験なので、どうやってこんなテクを身に付けたのか分からなく、その思いを口にし...
1週間後、ニールは聞いてくる。「ネイサン、話がある」おそらく、この間の話だろう。1週間もあれば、こちらの気持ちも整理がついた。「ニール、この間の話か?」「うん。僕と家族になって一緒に暮らして欲しい。ネイサンを愛してる。離したくないんだ」少し間を置いて答える。「基本、私はマイペースな人間だ。自分のやりたいことしかしない。それでも良いのか?」「うん、良いよ」真剣な面持ちなんて初めて見た。だから、一生懸...
ここに住んでから5年後の、ニールの言葉。「ネイサン。一緒に暮らそう」「暮らしてるだろ?」「ネイサンは僕から離れないよね?」「ニール?」「僕は知ってるよ。学生時代からずっと僕だけを見ていたよね。アサミもヨシも僕を見てくれていたけれど、彼等は卒業したら日本に帰国した。もう、ここに来ることはないだろう。でも、ネイサンは違うよね?」その言葉には驚いた。「何を言って・・・・・・」「僕、知ってるよ」「何を・・・・・・」「...
「ネイサン、どうしたの?」その声にハッと気がつく。思わず、言っていた。「再会した頃のニールを思い出していた」ニールは笑い出す。「笑うことないだろ」「寝ているのかと思ったら、そんなことかあ」あの微笑にヤラれた自分が情けない。今では、エンジェルよりも小悪魔のほうが似合っているニールが可愛い。あの時、ヨシに聞かれた言葉で自分は考え込んでしまったが、それでも可愛いと思ったのは確かだ。「ニール」「なに?」「...
そう言い切ると、昌平さんはコンビニに入っていく。あんな事を言っても、兄弟思いなところがあるのは分かっている。家族、か。ずっと、思っていた。お父ちゃんと2人で、途中から友兄も入ってきて……。で、友兄が『御』の所に連れてきてくれて。その家で、家族って、兄弟っていいなと思ってたから……。たとえ年齢が離れていても、昌平さんは兄であり頼もしい父親的な存在で、隆星さんは厳しいけれど兄弟思いで、悟さんは横柄なところ...
その様子を複雑な思いで見ていた。「新潟」その言葉は、スズメを思い出させる。私には、決して忘れることが出来ない地名だ。スズメの親戚でないことは分かっている。あのスズメには姉しかいない。あの女性が、さっきの女性とは別人だというのは分かるが、彼女はどうしているだろうか。弟が可愛くて仕方ないと猫買いかぶりな人だったからな。あいつが死んですっかり忘れていたが、彼女はどのようにして過ごしているのだろうか。そん...
「あー! つっかれたー」「そりゃ、疲れるだろうよ」「いやあー。日常的に柔道してるけど、やっぱり違うね」道場主さんは口を挟んでくる。「日常的?」お母ちゃんは、その声に応える。「捕り物の時は足掛けや背負いで捕るけど、ここまで本気出さないので」「捕り物……。失礼ですが、警察関係の方でしょうか?」「新潟で刑事してます」「新潟……」「はい、でもバカ息子は東京で大学生してます」その言葉に、俺は言っていた。「バカ息...
声が響く。「5分経過! 休憩時間終了まで、あと5分!」斎藤さんの声だ。もう、そんなに経ったのか。で、残り5分?道場主の声が近くで聞こえてくる。「ほぉ……、いい線いってるな。彼女は何者だろう」私の母です。と言いたかったが声が出ず、斎藤さんが答えてくれる。「治君のお母さんですよ」「治君とは?」「昌平さんとこに入った新人バイト君ですよ」「これは、時間内に終わらないな」「悟さん? ま、まさか」まさかって、な...
淳史さんの先導で3階に上がっていく。開けっぱなしにしてある部屋があり、そこには道場主の人が立っている。「どうした? その2人はなんだ?」淳史さんはこう返事している。「私が相手しますので、少しの間、抜けます。よろしいでしょうか?」「空手か?」「柔道が得意らしく異種になります」本当に、お母ちゃんの相手をしてくれるんだ。淳史さんって優しいなあと思っていた。すると、道場主は一言だった。「ちょうど休憩に入る...
「たのもー!!!」いきなりの大声でビックリした。「お母ちゃん?」「一度、やってみたかったんだよね」少しすると、ドタドタと上から足音が聞こえてくる。「ちょっとやめてよー。帰るよ-」「いいじゃない。あら、イイ男」「お母ちゃんっ」その人は声を掛けてくる。「失礼ですが、先ほどの」「私、柔道が得意で、相手して貰えますか?」もう、言い出したら止まらないんだから。「お母ちゃん、やめてって言ってるでしょっ」「うっ...
引越した初日。俺は、お母ちゃんに話していた。俊平から就職しろと言われ、それから会わなくなったことを。それで、その甘えから抜け出そうとしてバイトをしだし、こっちに引っ越すことにしたと。お母ちゃんは、こう話してくれる。「就職難の今、手に職が付いていない人間は難しいよ。バイトを掛け持ちして生活をしている人は、ごまんといる。コンビニでバイトをして保険とか払う気があるのなら、コンビニを本業にして他に仕事をす...
2月最初のシフト日、12時前に来て部屋の中を見させて貰った。2階は店長、新一さん、淳史さんが住んでおり、3階には岡崎さんと社会人が、4階には社会人が借りて住んでいる。もう、留年はしない。俊平にも話さないといけないのは分かっている。でも、顔を見たら何も言えなくなる。だから、お母ちゃんに来てもらった。なにしろ20歳を過ぎているので保護者は必要ないが、保証人はいる。お母ちゃんに電話をして話しをすると、2月に...
ポツリと呟く。「若いっていいねえ……」「昌平さん?」「雅君を見てると、なんだか若かった頃の自分を思い出す」「なにを年寄りみたいな台詞言ってるんですか?」「この年になると、やっぱり」「昌平さんは、まだまだ若いですよ」「ありがと。でも、孫ができた気分だよ」その言葉に驚く。「え?」「私にとって、優ちゃんは子ども。でも、雅君は孫、という感じがするんだよな」「昌平さん……」ある言葉がフッと浮かんできたので言って...
その日の夕食タイム。なぜか目の前にはニコニコ顔をしている店長が座ってくる。「あの」「雅君、よく頑張ってるね」「立ち仕事はしんどいですが、付加価値があり楽しいです」「これ、2週間分のバイト料ね」「ありがとうございます!」金額を確認して受取のサインをする。店長はニコニコ顔で言ってくる。「どう? やっていけそう?」「はい、やっていけます」「それなら、もう1枚」そう言って、ある紙を置いてくれる。「それを読...
「へぇ、手先が器用なんだね。あの絵もそうだけど、どっかの誰かさんより丁寧だけど、パパッと包装して手際いいね」「わーるかったな」「徹は何年やってるのかな?」元気よくドアが開き、元気な声が響く。「まいどー! オーストラリアからの航空便です」その声に俺も反応する。「はい、いつもありがとうございます」斎藤さんは笑顔だ。「雅君も、サマになってきたねぇ」「そう言われると嬉しいです」岡崎さんは、嬉しそうな声だ。...
バイト初めて2日目。仕事場に行くと、すでに窓ガラスに、昨日描いたバレンタインのイラストが貼られてある。「うわぁ、なんか嬉しい」ドアを開け、チリリン♪と鳴らす。「あ、きたきた。おはよう、雅君」「斎藤さん、おはようございます」「昨日はどうだった? 疲れたでしょ」「グッスリと眠れました」「朝、あの絵を貼ったらね、早速買ってくれたよ。あの絵、可愛いねって言ってくれたよ」「嬉しい。ありがとうございます」2日...
その日の夜。店長から、ちょっと、と声を掛けられる。「なんでしょうか?」「雅君、イラストを描いたら1枚につき+1,000円ね」「なにが……」「イラストのお金。時給は上がらないが、イラスト一枚のお金。安いけど」「頂けるんですか?」「うん」「ありがとうございます」店長は嬉しそうな表情をしていたが、次は神妙な面立ちになった。「で、ここからは言葉使いについてだ。淳史から話しを聞いたのだけど、優ちゃんもそうだけど、...
泣き顔になっていた斎藤さんは顔を洗ってくると、一緒におでんの仕込みをしていく。「よく売れるのは肉と大根とじゃがいもと玉子。まず、先に玉子と大根を茹でるよ」「はい」冷蔵庫から玉子を3パックと大根を10本取り出してきた。見てると、大根は1本を4等分にし、それをまた2等分にしている。「分厚い……」「1本150円だからね、少し厚めにするの。先に大根を下茹でして、これに人参と昆布を合わせて串を刺し。そして汁に入れ...
斎藤さんは、淳史さんに言葉遣いがなってないと言うことでクドクドと説教されていた。「でも」「でもじゃない。いくら相手が知り合いだろうが、さっきのような言葉遣いはダメ! たわいのない話しならいいが、仕事の話しなら尚のこと。さっきのは自分の事を構ってくれないからと言って、駄々をこねる子どもと同じだ!」「ちが」「違うと思うなら、さっきの言葉遣いは悪かったと謝罪するんだな。私は、そんな部下なら即刻クビにする...
「び、ビックリした……」「いきなり……。優介君、どこに?」すると、テレビの向こうに人が現れた。『はい』「友兄、紅茶クッキーどうなってるの? 早く納品してよー」『その声は、優介か』「優介か、じゃないよ。なに、まだ寝てたの? あのね、いくら時差があろうと、そんなにも変わらないんだからね。寝るのがそんなに好きなの? この寝ぼすけ! 紅茶クッキー、発注したら1週間後にはこっちに着いていたのに。まだ来てないよ!...
面接を受けた3日後は、コンビニのバイト初日だ。おっとりとした店員さんではなく、初心者コースを担当してくれた人だ。「初めまして、斎藤優介です。よろしく」「雅治です。よろしくお願いします」「そういえば、正月の異種に参加してくれてたんだって? ありがとね」「はい。シュークリーム美味しかったです」「ありがと。それ作ったの、私なんだ」「そうなんだ。美味しくって、ここまで買いに来たほどで」「嬉しいなあ」それで...
「ああ、思い出した。俊平先生の連れだった人だ」「その俊平先生とは」「大学の教授ですよ。クリスマスがきっかけで、正月のチラシを渡したら、その場で申し込んでくれた」「なるほど。でも、そんな理由で応募されるのは癪に障るな。とりあえず2週間働いて貰って、その後、結果を出します。いいですか?」「はい、お願いします」先輩は文句を言ってるみたいだ。「店長、私の時は1ヶ月だったのに、どうして短いの?」「若者は飽き...
履歴書を渡すと、店長さんは黙ってしまった。「あの……」「ちょっと待ってて」大声を張り上げる。「徹君、まだいる?」「昼食タイムです!」「ちょっと、こっち来て」「はい」少し待つと、先輩はやって来た。「お待たせ致しました」「徹君、たしか、この大学だったよね?」「どの大……」俺の履歴書を渡している。「ああ、はい。そうです、この大学です」「ちょっと読んでて」「俺、私が?」「そそ」2人の会話は終わり、店長は俺の方...
いよいよ、今日はバイトの面接日だ。ドキドキしながら電車を乗り継ぐ。チリリン♪と鳴る。同時に声がかかる。「いらっしゃいませ~」「あの……、面接に来たのですが」「雅様ですね。お時間までもう少々お待ちくださいね」「はい」ドキドキする。そういえば、面接だなんて初めての事だ。なんて思ったら、チリリン♪と鳴る。「いらっしゃ、あれ、徹君どうしたの?」「お腹空いたー」「道場は?」「今日は休み」「本業は?」「はい、これ...