月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった65 BL小説 放課後は理科系の会議があるらしいし、今日は井原の顔を見ないで終わりそうだ。 もっとも響こそ、井原とどんな顔をして会えばいいかわらからなかったから、少し胸を撫でおろしていた。 ぼんやりしていたので、ドア口に人がいるのに気づかなかった。 「和田
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
|
https://twitter.com/sakitsu2018 |
---|---|
![]() |
https://www.instagram.com/sakitsu2018 |
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない30 BL小説 「かおりちゃんから、こないだ、肇とつき合うことになったから、良太のことよろしくって」 沢村がしれっと答えた。 「はああ? 何だよ、俺のことよろしくってのは」 「沢村くんなら許してもいいって、お墨付きが出たぞ」 「だから、
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない29 BL小説 「そういえば、玄関にかかってる絵、五十嵐さんですよね?」 思い付いて良太は悠に聞いてみた。 玄関の鏡の向かいにかかっていた楕円形の額に収まった絵は愛らしい猫の絵だ。 「おう……」 一見して華奢な美少年は、相変わらず挑
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない28 BL小説 妙に勢い気味に、俺も行く、と沢村は駄々こねのように喚いている。 「藤堂さん、実は友人が来てもいいかって言うんですが」 良太は一旦携帯を切ってカウンターに歩み寄る。 中でバーテンダーよろしくカクテルをシェイクしている
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない27 BL小説 良太が麻布にある河崎のマンションに着いたのは午後十時を回った頃だった。 「メリークリスマス! やあ、良太ちゃん、来てくれてありがとう。仕事は終わったの?」 テンションの高い藤堂の声がドアフォン越しに聞こえてくる。 良
back next top Novels 「志村さん、行けそうですか?」 「終わり次第だ。NGで手こずら
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない25 BL小説 「ドラマでNTVです」 工藤はマネージャーの小杉の携帯に電話を入れた。 「工藤だ。フジタのCMの件で今夜会食だ。志村になるべく顔を出すように言ってくれ。『雅楽』に七時半だ」 「小杉さん、捕まりました?」 工藤が携帯を切
back next top Novels もっともプロジェクトは既に動き始めているらしいし、無論沢村も
back next top Novels 「まず二十三日だが、ええ~もし、平岩の球団が決定すれば冒頭のフ
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない22 BL小説 「良太も二十六だからもう結婚を考えていい頃だとか、かおりって子とはどうなったんだとか、俺の背中を追いかけたって将来がないとか、やっぱり沢村のプロジェクトに入れてやればよかったとか、斎藤ジイのたわ言に煽られて愚にもつかないこと
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break30 BL小説 秋山にしてももほとほと自分の親に嫌気がさしているようで、工藤と似たり寄ったりなのかも知れない。 沢村も家とは縁を切ったとか言っているらしいし、幸せな家族の方が今は少ないのだろうか。 ただ、良太の一家をみるたび、
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない21 BL小説 若い頃なら、ちょっと強気な発言で強引に変えさせることもあったのだが。 ここはだが、ひとみの機嫌を損ねてドラマを台無しにするよりはいいだろうと工藤も考えた。 母親の設定は原作ではもともとなかったが、ひとみを気に入ってい
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない20 BL小説 時計はそろそろ今日の終わりを告げようとしている。 工藤には食事を取れと言ったものの、目まぐるしさにほとんど乾杯の時のシャンパンを口にしただけだった良太は、急に空腹を感じた。 「カップ麺あったかな~」 空調を落とし、灯
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない19 BL小説 良太はスタッフの一人を呼んで、下柳らにグラスを用意させた。 「何、工藤のやつ、いないの?」 「ええ、ちょっとはずせないアポがあって」 すぐ横に立ってこそっと聞く下柳に、良太は苦笑いする。 「良太ちゃんも苦労するな~」
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない18 BL小説 「藤堂ちゃん、こないだはごちそうさま~」 「はいはい~」 「そだ、藤堂ちゃん、来年早々、奈々ちゃんのCMやるでしょ? 『ロンド』のチョコケーキ、期待してるからねぇ~」 「ほいほ~い」 にこにことお姉さま方にも藤堂はのん気
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break29 BL小説 それに、ホールスタッフに一人、猫の手軍団のメンツが混じっている。 ということは千雪や京助も絡んでるに違いない。 一体今度は何をやらかす気だ? 工藤は険しい目つきでホール内を見回した。 紫紀と小夜子はやって
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない17 BL小説 忘年会は昨年より招待客の数も多く、いつにも増して盛大になった。 司会はいつもどおり良太が務め、もともと短い工藤の挨拶は年々さらに短くなっている。 「皆様方のお蔭をもちまして無事年を越すことができます。今夜は大いに楽し
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない16 BL小説 「すまん!」 いきなりカウンターに頭をつけんばかりに言われても良太にはさっぱり何のことかわからない。 「あのな、肇、俺お前に何もされた覚えはないけど………」 「かおりのことだ」 肇は声を振り絞るように言った。 「かおり
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break(工藤×良太)28まで更新しました BL小説 Summer Break(工藤×良太)28まで更新しました 暦の上ではとっくに秋、ということで、 2024automne を設置、 ほんの少し届かない(工藤×良太23)15 までを
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 月夜の猫-BL小説です BL小説 「仕事は順調のようだね」 柔らかい口調で紫紀に尋ねられて、良太ははっと顔を上げた。 「はい、お陰様で、いろいろ勉強になっています」 そこへ小夜子がやってきて、「あら、今日のネクタイ可愛いわね。よくお似合いよ」といつものよう
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない15 BL小説 ここ数年何かあるたびに利用している会社だが、時折ドタキャンする学生バイトがいるらしく、良太はそれに備えて人数を多めに依頼している。 にもかかわらずこれだ。 一応、あと一人時間までに確保するということで電話を置いたが
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない14 BL小説 「今夜は札幌で足止めだ。雪がすごい。明日事務所に寄るつもりだったが、直接大阪に行く。そっちはどうだ? 忘年会の準備は大丈夫か?」 「あ……はい、忘年会の方はご心配なく」 「あとを頼む」 「はい、あの……」 言いかけた言
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない13 BL小説 「ほお~、何そのパーティってのも、美味いもんあり? 酒も?」 「多分。去年は美味しいシャンパンもたくさん並んでましたよ。あとで小笠原に聞いたら、すんげく高いのばっかだったって。ブブクリコとかドンペリとか。美味しいはずですよね
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない12 BL小説 京助には初っ端からあまりいい印象を持っていないので、心情としては良太もアスカ寄りだ。 アスカも良太もよく思っていないところの綾小路京助はちなみに紫紀の弟で、T大法医学教室の准教授だ。 普段モルグに籠っている京助には
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break27 BL小説 工藤に歩み寄った良太は、ようやくその横に立つ華やかな美女に気づいた。 田野倉奈美、山内ひとみと並び称される大御所女優である。 「うちの広瀬です。こちら瀬尾プロモーションの柏木さん、田野倉さんだ」 工藤が年配の
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない11 BL小説 その日、世界自然遺産を追ったドキュメンタリー番組『知床』の編集作業で良太は下柳らスタッフと朝から一緒にスタジオに入っていた。 ちょうど一休みだと下柳とスタジオを出たところで良太の携帯が鳴った。 「今年はイブのクリスマス
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない10 BL小説 ともあれ、検事の荒木とともに工藤とは大学の同期で長いつきあいになる小田弁護士にせよ、平造にせよ、下柳やひとみや、それに良太はあまり好きではないが、MBC時代の先輩鴻池にせよ、冷酷非道だなんだといわれながらも工藤は人には恵
back next top Novels 「金持ちのドラ息子がほぼわかった」 その時、インカムに加藤の
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない9 BL小説 小野万里子の場合は、当時所属していた事務所の社長との不倫がマスコミに取り沙汰され、駆け込み寺のごとくボロボロになって以前一緒に仕事をしたことのある工藤を頼ったのだ。 万里子は、冷酷非道が売りのように言われていた工藤に対して
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない8 BL小説 街中がカボチャとコスプレの団体に覆われ、大騒ぎを鎮めるために警察が駆り出された十月も終わり、街路樹が落とした葉で舗道が黄金色に染まる頃になると、変わり身も早くショーウインドウは華やいでクリスマス気分を盛り上げ、浮かれ気味の
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break25 BL小説 今年も綾小路家の夏のパーティでは、目一杯着飾った女性と男性もドレスアップしたスーツに身を包んだ五百人からの招待客が入れ代わり立ち代わりホールにひしめいていた。 エントランスを入ってすぐの広いホールがあり、その続き
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない7 BL小説 強がっても、声も聞けないと寂しい。 女性にならきっと優しいのかな。 明け方、やっぱキスとかすんのかな、あんなふうに。 大抵、良太がまだ夢うつつの時に、工藤のキスが触れる。 夜は人非人のくせに、それはいつもひどく優しく
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない6 BL小説 本音を言えば、良太に都合なんかないに等しい。 今だって携帯をシンクの前に置いているのだ、いつ、誰がかけてくるかもしれないから。 まるで悪い男に引っかかって、いつやってくるともわからない男を待っているとかいうどこぞの演
back next top Novels 「俺、海老原さんはどうしても好きになれないんですけど、美亜さん
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない5 BL小説 もともと今良太が使っているこの部屋は、平造に使わせようと工藤は思っていたらしく、隣りの工藤の部屋と行き来できるようにドアでつながっていたらしい。 今はドアをつぶして壁にしてしまい、二つの部屋に分かれている。 タイル張り
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない4 BL小説 やることはいろいろあるのだが、まだまだ工藤の片腕というには程遠い。 それが良太には歯がゆいばかりだ。 工藤のために何でもやりたいという、ただそれだけのことなのだが。 工藤と自分との関係をどう説明していいかわからないが
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break23 BL小説 今日はたまに晴れ間があるが曇り空なので、平造も一日畑にいるつもりらしい。 確かに良太や工藤、それに猫も一式外に出ている今が、リノベするいい機会なのだろう。 「う、でも、あれ、多佳子さんに預かったシロモノ、大丈夫かな
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない3 BL小説 「はいー、わかりました。怖くて電話なんか滅相もないってやつだな、尾崎さん」 「何だと?」 返事をしてゴニョゴニョ呟いた良太に、工藤が振り返った。 「いえいえ、別に~」 慌てて良太はごまかす。 結構低気圧だからここは触ら
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break22 BL小説 なるほどという千雪の説明を聞いてもまだ良太はうんとは言えない。 「千雪さんはどうするんです?」 「俺も入る。名探偵やとまたメンドイから、素で芸能人みたいな顔してな。京助は会場内におって、何かあったら外に行ってもらうし
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない2 BL小説 「くだらないものがわんさかね」 アスカはムッとした顔のまま藤堂に答えた。 「いや、おかげさまで骨太のものもいくつかありますよ、中には」 アスカの答えをフォローするように言うと、秋山はまだ機嫌のおさまらないアスカをせかして
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない1 BL小説 夏も終わりの残暑の厳しいある日の午後、青山プロダクションに広告代理店『プラグイン』の藤堂がやってきて、プロダクション所属の看板俳優中川アスカを起用する化粧品のCMの打ち合わせをしていたときのことだ。 良太がぽろっと口にし
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です ほんの少し届かない(工藤×良太23) BL小説 昭和なオヤジ工藤と、部下で秘書兼プロデューサー元野球少年で直球な良太のすったもんだラブ。 夏も終わりの残暑の厳しいある日の午後、青山プロダクションに広告代理店『プラグイン』の藤堂がやってきて、プロダクション所
月夜の猫-BL小説です 2024Automne BL小説 2024Summer■ぶなの森(工藤×良太22)boys love novel夏にちなんだエピソードを順次アップしています 以前のエピソードに少し手を加えたり、新しいエピソードもアップする予定です。
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break(工藤×良太)21まで更新しました BL小説 Summer Break(工藤×良太)21まで更新しました
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Summer Break21 BL小説 「はあ? それって千雪さんの小説のネタかなんかと違うんですか?」 できればそうであってほしい希望を込めて良太は言った。 「残念ながら、事実は小説より、言うやろ?」 「言うやろじゃないですよ。渋谷さんには伝えたんでし
「ブログリーダー」を活用して、あきつさんをフォローしませんか?
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった65 BL小説 放課後は理科系の会議があるらしいし、今日は井原の顔を見ないで終わりそうだ。 もっとも響こそ、井原とどんな顔をして会えばいいかわらからなかったから、少し胸を撫でおろしていた。 ぼんやりしていたので、ドア口に人がいるのに気づかなかった。 「和田
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった64 BL小説 「へいへい。なんかこうこの部屋息が詰まりそうだから、ちょっと緊張をほぐそうとしただけじゃん」 お茶らかした寛斗のセリフを聞くと、響もこれは一息ついた方がいいかと立ち上がった。 「ようし、ちょっと休憩しよう。肩に力入り過ぎてる気もするから、寛斗、お
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった63 BL小説 何も聞かずに俺の手を握っていた井原の手はすごく温かくて。 ポトリとひとしずく、下を向いていた響の目から床に落ちた。 ほんとはすごく好きだった。 だから俺なんかといちゃいけないやつなんだって。 またひとしずく、落ちた。 もう何年も胸の奥に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった62 BL小説 だが所詮モラトリアムの中での思いの延長だ、お前の好きは自分と同じ好きではないかも知れない、響が口にしなかったのは、井原のためだと……。 いずれは井原も誰か愛する人に巡り合って、秀喜のように結婚するのだろうと。 十年越しの初恋なんかもう忘却の彼
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった61 BL小説 こいつらしくもなく何をそんな苦しそうな顔をしているんだ? 「響さん、告られたって、ほんとですか?」 「へ?」 響の方に顔を向けて、まじまじと見据える井原に、響はポケッとした顔になった。 「俺が? ああ、ひょっとして、寛斗のヤツのことか?」
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった60 BL小説 三号に描かれたのはひまわりで、この店では初めて風景画以外の絵となるが、他の風景画と空気感が同じである。 「いいなあ、これベネチアの匂いがする」 「さすが、響さん、感覚的! これどの絵と取り替えたらいいと思います? これ以上飾ると窮屈そうだし」
月夜の猫-BL小説です #post_titleBL小説 「ああ、どうだった? 撮影は」 「はい、順調に終わりました。小木さんて、作家さんなのに声がよくて、気さくな人で、よくわかるように説明してくれて、俺も伊万里焼きのレクチャーなら任せとけって感じです」 良太は案外穏やかな工藤の声にほっとしたらしく、幾分声を弾ませた。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった59 BL小説 「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」 紀子が言った。 「アップライトなら、入らないか?」 「え、ここにか?」 井原の発言に元気は考え込んだ。 「お前無茶なこと言うなよ」 響は呆れたが、元気はうーんと唸ってから、「何とかなるかも」と言う。 「
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった58 BL小説 かぐわしい香りのコーヒーが鼻孔をくすぐると響は全身がほっとするような気がした。 「一日の仕事上がりに元気のコーヒーって、ほっとするよなあ」 隣で井原が響が考えたようなことを口にした。 「そういえば元気、相談って何?」 一口温かいコーヒーを飲ん
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった57 BL小説 エチュードの一番から三番を弾いたあと、響はスケルツォの三番を弾き始める。 細かな音が目に見えぬドレープを作り広がってゆく。 古いピアノは時折響の耳にかすかな歪みを感じさせるが、それもまた音の羅列に表情を与えていく。 最後の音を弾いてからふ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった56 BL小説 確かに青山は技巧的には巧い。 だが、曲の理解度でいえば、この曲に関わっている時間が長いだけ寛斗の方が高いだろう。 それに。 瀬戸川は寛斗と一緒にコンクールに出たいに違いないのだ。 「技巧を取るか、曲の理解度を取るかでいえば、多少下手でも
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった55 BL小説 そして忘れていたシーンの中に井原がいた。 喜怒哀楽がはっきりしていると生徒が言っていたが、すぐに思い浮かぶのは笑っている井原で、怒ったり泣いたりと言ったシーンも思い出されて、そういえば忙しいやつだったと響は苦笑する。 そんな昔の思い出に浸
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった54 BL小説 遅かれ早かれ、そうなることはわかっていたさ。 黒板消しを置くと、響は手をぱんぱんと払い、準備室に入った。 考えごとをしていたので、あっという間にガツガツと弁当を平らげた響は弁当のからをビニール袋に突っ込みゴミ箱に放ると、音楽室を出た。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢見月32 BL小説 せっかく珍しくこのあとの予定がないのにな。 工藤がそんなことを考えていると、電話が鳴った。 結局、鈴木さんが帰っていくまで、何件かの電話で時間が潰された。 秋山とアスカは、その間に工藤と夕食を一緒にする約束をして、次の打ち合わせにテレビ局へと向かった。
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった53 BL小説 「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」 「ええ?」 瀬戸川の言葉に響は首を傾げる。 「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」 「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」 くすくす笑いながら瀬戸川は、「顔
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった52 BL小説 いつもの井原だ。 土曜日、急にクラウスが現れて、しかも井原といる時に、響は内心焦り、イラついた。 井原は響の説明を額面通り受け取ったわけではないような気がした。 何か言いたげな顔をしていたが、今日のあのようすではさほど気にもしていないのだ
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった51 BL小説 「すみません、後ろの人、静かにしてください」 響が説明をいったん切ったところで、最前列に座っていた青山という女生徒がきりりとした声で後ろでふざけ合っている男子生徒を注意した。 一瞬シーンと静まり返ったあと、響は何ごともなかったかのように黒板に
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった50 BL小説 元気は鮎をつつきながら、「パーティは俺の店でやるんだが」と付け加えた。 「元気の店でか? またライブやる?」 井原は俄然目を輝かせた。 「お前は! まあ、やる予定だけどまだ詳細は未定だ。今度みんなで話すことになってる」 「わかった、俺も混ぜろ
月夜の猫-BL小説です 夢見月31 BL小説 「真岡が?」 工藤は聞き返した。 「前回の誓約を破らはったいうことですわな」 厳しい顔をしている工藤に、千雪は軽い口調で言った。 「偽のスクープで、沢村とアスカさんのことすっかり信じ込まはったんやな、沢村の父親も真岡弁護士も」 「だからあんなバカげたマネをした
月夜の猫-BL小説です そんなお前が好きだった49 BL小説 「響さんは何か隠してる」 井原はまた唐突に口にする。 「響さんがどうかしたんですか?」 「おい、お前、響さん、響さんて気安そうに! どういう了見だ?」 何気なく聞いた豪に、井原が突っかかる。 「いや別にどういう了見も何も………」 わけが分か
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)146まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)146、夏が来る42 まで更新しました 2024Summer、 夏にちなんだエピソードを順次アップしています ぶなの森(工藤×良太22)6 夏のエピソードです。 かぜをいたみ87(ラスト) 最後までお
月夜の猫-BL小説です ぶなの森6 BL小説 「あいつ……、よほど、お前がキモイといっていた小林千雪だって言いたかったですよ」 戻ってきた千雪に思わず良太はぶちまける。 「あの子、工藤さんにベッタリなんやて? 良太、それで面白くないわけや」 「誰に聞いたんですか~そんなこと。わかった、アスカさんだな」
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に146 BL小説 「そうだ、良太さん、ニューヨーク行く前、壮行会やりましょうよ」 天野が語気を強めて言った。 「そんな大げさな。たかだか三か月なのに」 「壮行会という名を借りた飲み会」 真面目にそんなことを言う天野に、良太はまた笑った。 「わかりました」 「約束ですよ」 「そ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森5 BL小説 「あの女とは何でもない」 工藤は言うのだが、どうやら今はそうだとしても昔はよろしくやっていたらしい。 まだほかにもあちこちに工藤の女がいるに決まっている、と言ったのは、青山プロダクション所属のイケメン俳優、小笠原だ。 そんなことをいわれると、良太としては工藤がイタ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森4 BL小説 「良太ちゃん、お弁当食べよ」 菜摘が弁当を手に良太に声をかけた。 「あ、はい。ちょっと待ってください」 良太が手配したロケ弁をスタッフが配ってくれて、みんな各々アウトドア用のストーブの周りに陣取っている。 夏とはいえ、東京の暑さとはうって変わってここは別世界のよう
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に145 BL小説 「え、でもオフとかに帰ってくるんでしょ?」 浩輔が思い切り端折って佐々木に聞いた。 「俺にはオフとか、ないで?」 すかさず佐々木がシャープに返答する。 「あ、いや、そのう、盆暮れ正月?」 暗に沢村のオフの時には一緒に帰るのだろうという質問を、浩輔は言い直した
月夜の猫-BL小説です ぶなの森3 BL小説 小林千雪といえば、時折警察にも知恵を貸して解決した事件も多々あるミステリー作家として巷では知られているが、助教としてT大法学部に在籍している。 その彼を一躍有名にしたのが、分厚い黒渕メガネとぼさぼさの髪、超ダサダサのファッションセンスで、学内の女子学生の間では、ダサ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に144 BL小説 良太の周りで、何か大きな波がやってきて全てを流してしまうような、そんな思いが徐々に大きくなっていくような気がしていた。 そして良太自身もまたその波にのまれようとしている。 その波は工藤やこの青山プロダクションにとっても何かしら変化をもたらすのだろうと思われ
月夜の猫-BL小説です ぶなの森2 BL小説 良太も業界内では彼女の不倫の噂は耳にしていたが、今のところ噂どまりなのは、相手の父親である代議士からの圧力と局側による彼女の所属する大手事務所Aプロへの忖度もあり、マスコミやスポンサー側へはもらさぬよう関係者に厳重に緘口令がしかれている所以だった。 昨今、不倫には
月夜の猫-BL小説です ぶなの森1 BL小説 青森県と秋田県にまたがって数千年前から存在しているぶなの原生林は、世界最大級といわれている。 世界遺産に登録されたこの白神山地には、貴重な動植物が生息しており、手つかずの自然が広がっており、真夏というのにひんやりとした空気は動きを止めていた。 数日前からこの地で
月夜の猫-BL小説です ぶなの森(工藤×良太22) BL小説 良太は海外出張中の青山プロダクション社長工藤の命により、小林千雪原作のドラマ『ぶなの森』のロケで青森にいた。ロケの間中、良太はヒロイン役の人気俳優田辺菜摘に懐かれて、不倫話の相談を受けたりしているうちに、スタッフの間で二人のことを邪推した噂が広
月夜の猫-BL小説です 2024Summer BL小説 2024夏始■夏が来る(井原×響&元気)■Blue Moon(工藤×良太)boys love novel初夏にちなんだエピソードを順次アップしています 以前のエピソードに少し手を加えたり、新しいエピソードもアップする予定です。
back next top Novels 「ちょっと羨ましいかなと」 「え、天野さん、ひょっとしたら直ち
月夜の猫-BL小説です 夏が来る42 BL小説 江藤先生と秀喜のウエディングパーティは、集まったみんなが暖かく二人を祝福し、大盛況といえるうちに、最後みんなに送り出された二人は終始笑顔だった。 「幸せそうだったな、江藤先生」 パーティのあと、にゃー助の世話をしてから井原の家に来た響はぼそりと言った。 「先生
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ87(ラスト) BL小説 「小夜子の作るケーキのがメチャうまいぞ」 「またお前、小夜ねえのことバカにしよって」 「ほめてるんだろーが。マギーのケーキはもう金輪際ごめんだがな」 小夜子の名前が出ると、千雪はちょっと口を噤む。 「あと、何か月やったっけ」 「十二月まで五カ月だろ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に142 BL小説 「佐々木さん、こっちで仕事がある時は戻ってくると思いますよ」 八木沼を慰めるように言う良太のセリフを聞きつけて、「戻って来たってお前には関係ないからな」と沢村がガキ大将のように喚く。 「ようあんないじめっ子なヤツとずっと友達やっとるわ、良太」 開き直って八
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos19(ラスト) BL小説 東京を拠点に、京都や奈良、伊豆と、観光や温泉巡りを満喫し、新宿や銀座で買い物を楽しんだルクレツィアがやっと帰るという日、工藤は嫌がる良太を無理やり連れて、彼女を空港へ送っていった。 助手席に陣取ったルクレツィアは何だかだと工藤に話し
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ86 BL小説 「やつらって?」 アスカが聞いた。 「ああ、こないだ捕まえたやつら」 「捕まえた? ユキが?」 アスカが妙に突っ込んでくる。 「やから、情報提供して、警察が捕まえよったやつらのことや」 千雪の適当な説明にちょっと怪訝そうな顔をしたが、「とにかく、工藤さんも工藤さ
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に141 BL小説 「俺、たまたま一人でおった時に、黒人の軍団に取り囲まれてもて、向こうは何かぎゃあすか言っとんやけど、俺、何ゆうてるかちっともわかれへんし、小突きよるし、怖うなってもて、にいちゃあーん、助けてやあ、て、でかい声あげたんや」 「え、それで?」 良太もその展開には
月夜の猫-BL小説です Isla De Pinos18 BL小説 工藤は会場からずっと紫紀と何やら話し込んでいたため、その後ろにくっついていた良太も、必然的に小夜子の相手をしていた。 「そうなの。うちにいる子達も原の家にいる子もみんな千雪ちゃんが拾ってきた子なのよ」 確かに千雪とよく似ているのだが、言葉ははん