【本】小川洋子『シュガータイム』~普通とは何か、惹かれ合う二つの魂、モラトリアムと最後の残光~

【本】小川洋子『シュガータイム』~普通とは何か、惹かれ合う二つの魂、モラトリアムと最後の残光~

1、作品の概要 『シュガータイム』は小川洋子の初の長編小説。 『妊娠カレンダー』で芥川賞受賞後、1991年に刊行された。 文庫版で215ページ。 砂糖菓子みたいにもろく甘い、青春の最後の日々を描いた。 2、あらすじ 大学生のかおるは、唐突に訪れた異常な食欲に戸惑いながら、その日食べたものをひたすらに記録する奇妙な日記を書き始めていた。 バイト先のホテルで余った大量のアイスクリームロイヤルをみんなで食べたこと、8歳から身長が伸びない病気にかかってしまった小さな弟の航平が隣に引っ越してきたこと、この二つが異常な食欲のきっかけにおそらくなった、と彼女は考えていた。 親友の真由子たちと大学野球を観戦に…

2023/09/16 21:22