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  • シャーペンの芯

    高校の同級生がその昔、下宿生活か一人暮らしか学生生活をしてみたいから、という理由で親には一番わかり易い”教師になりたい”という殺し文句で大学進学した子がいた。それを知った、純粋に教師を目指していた子は”それは不純だ!”と怒りを隠そうともしなかった。 不純女子はうまい具合に教師になったが、二年程で退職、結婚して、”ほんまは商売がしたかったんよ”と言ったそうで小さな店を経営する家へ嫁いだ。 …

  • カエル

    豚肉や牛肉を食べる時に、命を落とした彼らの無念を想ったことはない。ゴキブリにも蚊にも、敵対心こそあれ殺生をしても同情はない。恩恵を受けたものにも害を受けたものにも、取り立てて感情を揺さぶられることはない。 しかし、そのどちらも受けていないと思えるものに対して、二日間も自責の念と同情と憐憫の嵐に飛ばされそうだった。嵐が去りつつある今、学習能力を高めようと誓っている。 実家の草取りをして…

  • 忙しい

    親さんのお宅の草取りをした縁で娘さんのお宅へも行くことがあった。昨年が初めてで、あまりに勢いのある雑草の王様か仙人のような草に唖然とした。その背の高さと言い、根っこの取りにくさと言い、草と呼ぶには失礼な気がした。値打ちのある竹のひ孫のような頑固さと安産の神様のような繁殖力で庭を制覇していた。 あれからほぼ一年間、あれだけきれいにした庭は初めて見た風景をそのまま取り返していた。ここの主か奥…

  • 草取りよりも

    偶然というのはこんなに頻繁に起きるものだろうか、もはや偶然とは呼べないくらいに。しかし落ち着いて考えてみれば、わたしがシルバー人材で草取りを依頼される相手は大抵が一人暮らしの老人やわたしと同世代の子どもを持つ人だ。だから、と言うべきか、見たくない光景を嫌というほど見せつけられる。 客もその子どもたちもただ普通に振る舞い、常日頃のことをしているに過ぎない。それがわたしの痛いところをこれ…

  • 泥棒になる

    売春と泥棒以外は何でもやった、と一昔前の苦労人が口にしていた。わたしも約二十年間、さまざまなパート稼業をふらふらしてきて、あぁ同じだと思った。実際は自分にできる職種は自然と決まってきて、同業他社を渡り歩いていたにすぎない。 ところが、やっとパート稼業から足を洗ってシルバー人材の職に就いてから約一年半の今、泥棒になりつつある自分がいる。 草取りはきれいに仕上げるのが大前提ではあるが、客…

  • 校正

    今年の6月から『校正』の通信教育を受け始めた。基本は半年間で終了する。わたしも提出課題は今度が最後でその後に修了試験などがあるようだ。 以前読んだ雑誌の記事の中で、シニア世代の女性が在宅で校正の仕事をしているとあった。仕事内容や収入などには触れていなかったが何度かわたしの中を浮き沈みする関心事ではあった。 何しろ言葉が相手で、活字があって、文章があって、原稿用紙や紙が待ち構えている。…

  • 土質

    サンゴ花(フラミンゴ)が咲いた。急に冬がやって来たこの頃を選んでこなくてもよいのにと思うが、犬…

  • ピンポンダッシュ

    山本文緒さんは自らの死を、小池真理子さんは夫の死を、同時進行や回想の形で綴った。西加奈子さんは自分の闘病を記し、星の数ほどのブログには無名の人たちが自分を含む人間の生死を書き残す。 そういう時、作家を生業にする人とそうでない人の間にあるのは文章力の差や世に出る出ないの違いの他に、何か異なるものはあるのだろうか。 第三者にも見聞きできる病状やできごとは、描写の差はあれ綴ることはそれなりに…

  • 『よ』

    スーパーにあるセルフレジの画面に「店員が参りますのでお待ちください」という文字が出た。不審な商品は何もない。時々おかしい野菜類が一点だけあった。でも赤札がついた値下げ品ではなかったし、それとてちゃんとバーコードは貼られている。 きっと機器のいじわるだろうと思ったが、わたしは素直に店員を待ち、野菜に毒気があるのかも、と彼女に告げた。聞こえるか聞こえないかの小さなため息を一つ吐いてから手慣…

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