彼を知ったのは、小学生の年少の頃。 わりと、一発ですぐ彼が兄たちと似たものを持ってる――なにかしらの障がいがあると気づいたのは、私がよく兄たちやそのお友達のことも見ていたからもあると思う。 彼は、とにかく落ち着きがなくて、よく忘れ物をして。勉強も運動も苦手。 よく、周りからは「またお前か」「こんな簡単な問題も解けないのかよ」「へんな走り方だな!」 いつも、そんなようなことを同級生から言われていた。...
最近、心に刺さった言葉が 「ほとんどの人は、そこまで深く考えてない」 自閉症、脳性麻痺、統合失調症な三兄妹の、とある話。日々のこと、小説の話など。
精神障害者ですが、小さな本屋の店員になりました。兄は発達障害者です。
それは、旭と悠也の通っている特別支援学校での、運動会にて。 運動会というのは。子どもたちの特性が出やすいイベントだ。 真陽がまだ小学生以下時。旭、悠也は小学2、3年生としよう。そして、走る項目があったとしよう。 そういう時には、二人は互いが真逆の行動をする。 旭は、普段通りなら比較的速く走れる。だが、家族の、特に母親を見つけると、途端に走る速度が下がる。いっそ徒競走のごとくだ。 反対に、悠也はとい...
真陽は、小さい頃からなんでも自分でやろうとする子どもだった。 それは何故か。 本人としては、「人の手を煩わせたくない」という気持ちが強い。 幼稚園でも。年中か年長生でもう、母からひもゴムをぶんどって、自分でツインテールにしていた。 後に聞いた話で。 赤子の頃から、はいはいやら、つかみ立ちなどの行動の成長が早かったとか。 まあ、旭と悠也と比べれば、当然とも言えるが。 直接的な理由として。 母、七瀬...
長男、旭は。ある頃からどのくらいか、よく物を壊していた。 一番初めは、なんだったろうか。 そう、確かベランダからおもちゃや絵本を落とすことから始まり。 (悠也はそれを見て、ケタケタと笑っていた) 家の中のガラス戸のガラスを、一枚、また一枚と割っていく。 一番困ったろうと思うのは、テレビだった。 壊されて、新しく買って。それをまた壊されて。 そんな事もあって。家に一台もテレビがなかったという時もあっ...
子どもは、その瞳いっぱいに涙をためて、縋っていた。その目に映るのは、力のない笑みを浮かべる女性。「……っ。お母さま、死なないで……! 私だけ、置いていかないでっ……!」 城下町育ちで、王の妃となった彼女は、敵が多い。毒を盛られることなど、よくあること。 けれどその日は、毒に高度な魔法がかかっていたためか、誰もそれに気づくことはなかった。 女性の夫ーーこの国の王が、敵と相討ちとなり、亡くなってから、その...
神話の終わりの、別れた四つの大陸は、七千年の時のうちに、大陸ごとに、それぞれ発展を遂げた。 そのうちの一つは、北の果てに。 東西南北の、北の地は、極寒の地なり。なれば、人間が生きられる地は、限られる。 限られた土地で、二つの国が発展を遂げた。 今回の物語の舞台は、北の果ての果てにありし、レファリス王国。 主は、夜空の姫君と、闇色の風使い。そして、彼女らを守護する者らの――終わりと、再生の物話。いつ...
その昔、この世界は、たった一つの大きな大陸だった。 名を、プロエレスフィ。ギリシア語――この世界の、古代語と呼ばれる言葉で「原書」を意味する。 四つの国々が、それぞれ協力し合い、まるで楽園のような世界を築いていた。 けれど、楽園の崩壊までの時間は、それほどかからなかった。 平和な世界は、人々の心の「闇」を呼び覚まし、その闇はやがて形をとり、いつしか自分らの世界をつくろうと、様々な種族や、精霊と対立...
あらすじ――全ての紐解きは、ここから始まるのだ。「原書」の名のもとに繰り広げられてきた、神話の物語の。 これは、世界が四つに別れた後の、七千年経った頃。それぞれの大陸ごとが、繋がる前の、物語。 はじめの国は、レファリス王国にて。 この地に潜む「アリア」たちの。 ――そこに迫るは、終焉と、黎明か――。 さあ、試されし風使いよ。 今こそ、夜空の少女の手を引く時が来たれり。 決断の時まで、彼の者を導かん――。ま...
つくづく、人間というのは視野が狭い生きものだと思う。私もそうだ。 自分にとって未知の領域に対して、単純に疑問に思う者もいれば、怖気付く者、無関心を貫く者もいる。いや、大抵は興味なんて持たないのか。 「解らない」からと、「見たことがない」と、反発する者もいるのだろう。 身体も心も、たったひとつだけなのだ。 そんなに簡単に、この世の中にある「全て」をその身で感じることは難しいとも思う。 テレビや新聞、...
「戦争なんてない方がいい」「自分たちの平和のためには、戦争も仕方ない」 とても残念なことに、世界には自国の平和のために、あるいは立場を優位にするために、戦争をしている国は、いくつもある。 もっと残念なことに、戦争に勝つことで平穏を得た、と言うひともいる。事実、そういう国もある。 「どんな」国とも、仲良く手を繋いで、共に歩く。 それは、とても難しいのだろう。 でもだからといって。 意見が違うことで、...
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彼を知ったのは、小学生の年少の頃。 わりと、一発ですぐ彼が兄たちと似たものを持ってる――なにかしらの障がいがあると気づいたのは、私がよく兄たちやそのお友達のことも見ていたからもあると思う。 彼は、とにかく落ち着きがなくて、よく忘れ物をして。勉強も運動も苦手。 よく、周りからは「またお前か」「こんな簡単な問題も解けないのかよ」「へんな走り方だな!」 いつも、そんなようなことを同級生から言われていた。...
私が小学生の頃、初めて彼女と関わった。 先に言っておくと。 私は典型的な「いじめられっこ」だった。主に男子から。 だから、からかう言葉や虐げるようなセリフは、何千何万と聞いてきた。「キモい、ブス、うざい、菌、害、死ね」といった言葉だ。 本題はそこではない。「彼女」も、似たようなことを言われていた。あえて私と違う点を言うなら。 ――たぶん、とても人望がなかった。「あの子、全然あいさつしないよね」「車...
よくひとは、「障害」の害を嫌い、「障がい」とあえて表記することがある。 理由なんて、簡単なこと。「害=悪」のような、悪いイメージを抱きがちだから。 けれど調べてみると、大元は「害」ではなく「碍」であった。 元々、「障碍」と「障害」は、明治以降の一般社会でほぼ同じ意味で使われていた。 しかし戦後の当用漢字表やその後の常用漢字表に「害」の字のみが入るなどして、「障碍」という表記は少なくなっていったと...
私には、かつて悩んだ問題があった。「接客で大切なこととはなんだろう」 とある、小さな本屋が、私の仕事場だ。 といってもあまりお客は来ない。それもあり、店員は接客に慣れている人ばかりでもない。 本屋と同じ系列で、ほかにも店がある。 ある日、そちらを仕事場としている友人が、本屋の店長に、こんなことを訪ねていた。「接客の際の言葉使いについて」 例えば。「こちらでよろしいでしょうか」「ごゆっくりご覧くだ...
この世界では、たくさんのカタチの「情」がある。 ――戦争とは、全ての感情を踏みにじる最たるものだ。 ふと思う。何故、人間同士でのいざこざは、戦争に発展するのか。 「戦争は科学を発展させる」 「戦争なんて名ではない、もはや殺戮だ」 それは、決して相容れない言い分となるのだろう。 それこそ、ドラマや映画、小説などの、「架空の世界」では、闘うことをカッコいいとされるのは、よくあるパターンだ。 しかしそれは...
世の中というのは、間違ったことだらけだ。そして、それを「間違いだ」と主張することで、袋叩きにされることもある。 ここで一つ、問いかけたい。 世の中にいる「障がい者」は、みな善人なのか? ここから、私のこれまでの経験を少々。 私には、家族に障がい者がいる。それも生まれつきにだ。 なのでよく、「特別支援学校」という、主に何かしらの障がいを持つ児童が通っている学校を知っている。子どもの頃には、よく混じ...
私は、福祉施設の本屋に行ってます。じつはもう、一年以上は経っていますね。更にじつはなんですが、本屋の仕事の一つのなかに「ラジオで本を紹介する」ということもしています。 といっても、地元のローカルラジオ番組のなかの十数分くらいの時間なのですが。ちなみに、これまでは「月夢」(つきゆめ)というペンネームで紹介していました。今月(18日15:20分頃は「はるか、ブレーメン」という本を紹介します。そのなかで語るかもし...
エッセイですね。前作「思うこと、感じたこと。」より年齢が少し大人になっているので、区切りとしようと思うとともに。 もっと上手く言葉を紡げるように、という気持ちを持って。1. 想いを形にする意味 ずっと、ずっと前に。【人というのは矛盾する生き物だ】と、私は言葉を紡いだ。それも、はじめはペンをとり。 そこから考えると、今はかなり楽に書いたものの修正が利くようになった。これも科学の発展というものか。 そん...
私は、これまで何度も見てきた。 『障がいを持つひとに、優しくしようと思いました。 困っていたら、助けてあげたいと思います。 身体の不自由があるのに、こんなに頑張ってて、すごい! 障がいを持つ子のきょうだいは、きっととても優しい子に育つ。 障がい児のおかげで、うちは楽しく明るい家庭になった。 この子がいると、笑いが絶えない。』 あちらこちらで、何度も耳にした言葉たち。良くも悪くも、たくさん聞いた。...
こんにちは。スマホのアプリって、時々いきなり使えなくなる事がありますよね。ちょっと困った事に。スマホになった頃からずっと使い続けていたメモのアプリが、なぜだか使えなくなってしまったのですよ😅で、代わりのアプリを色々探していたら。「書く習慣-毎日一つのお題 思い浮かんだことを書いてみて」というアプリがありまして。要は、お題に沿って文章を書く、というものですね。短くても長くても良くて。ジャンルも問わず(...
武器ではなく命の水をおくりたい 中村哲医師の生き方(宮田律さん)を読んで 彼──中村哲医師──は、今は亡き方。暗殺されたのだ。彼は常日ごろから、武器では戦争は終わらないこと。本当に大切なのは、「衣・食・住」の、特に水だと、主張する。 きれいな水が出ないから、ケガも治らず悪化させる。雑菌だらけの水を飲めば、体の内側から病に侵される。 例えば。食べ物を買うお金がないから、スリをする。これは言い換えれば、...
私には、次男のような愛嬌も無ければ、長男のように数字に強い訳でもない。「自分には何もない」それをずっと、思って生きてきた。でも、一つならあった。「言葉」ちょっとした出来事があって。日用品、そして私から、謝罪と日頃の感謝の手紙を書いて、ご近所さんに渡して数日。「手紙読んだよー。ありがとうね」そう言って、おじさんがあんなに笑ってる顔を、なんだか久しぶりに見たな。そういえば、と。わりと私、ここ近年でちょ...
まだ人を殺していません 小林由香さん 義兄「南雲勝矢」が、人を殺したとして逮捕された。「葉月翔子」は姉夫婦の息子である「良世」とともに生活することになる。 そこから、子を育てることに不安を持つ翔子と、殺人鬼の息子となった良世との、言葉に表わせないような日々が始まるのだった──。 この本は、単純な「殺人犯の息子の話」ではないと感じたのは、読み始めてすぐでした。 というのも、預かる側の翔子は、娘を交通事...
ご無沙汰です。昨年は、個人的にいろんな事がありました。これまでは、「就労移行支援B型」の作業所にほぼ1年、通所していました。そのなかで、別の作業所に興味はないのかという話になり「そういえば、本屋に行った人がいたらしい」と聞いてみたら。なんとびっくり、私でも行ける施設がちゃんとあるのですよ!見学、お試しの期間を経て。昨年の12月から、正式にとある本屋の店員になりました。今のところ、主にしているのは、本の...
作者の通所している施設には、それぞれ何かしらの障がいを抱えるひとが通所している。 精神の人もいれば、発達の人もいる。 気持ちが不安定になりやすいひと、コミュニケーションが得意でないひと。車椅子のひと、はっきり言葉を紡ぐのが苦手なひと。 彼らも、自分に出来る範囲のことを。そして時に、周りからの助けを借りることもありながら日々を生きている。 それらのなかには、身体に麻痺があるひともいる。 今回はその...
ご訪問、ありがとうございます。今回は次男の話をメインに。少し前に、福祉施設(入居、デイサービス)の見学をするにあたり、そちらの職員さんが家に訪問されまして。父、母、次男とで、ご挨拶をしました。その来た勢いのままに、次男本人を施設に連れ出せるか、とのところにまで話が進んだとか。しかし。次男には「精神病院への入院」をした時のトラウマがたぶん根強く。 きっと、「どこに連れて行かれるの!?」「ぼくなにされ...
辿りついてくださり、ありがとうございます。私事として。実は、私にとっての仕事場が、変わりました!といっても、同じ建物内、同じ系列の別のフロアです。長らく、「地域活動支援センター」に属していたのですが。すぐ隣の、「就労継続B型」でやってみないか? と提案を受けたのですが。ちょっとした事情で、そのさらにお隣のフロアの「就労移行」という場で2ヶ月だけ、所属することに…。それが、昨年の11月の終わりのこと。12...
最近、一品料理がだいぶ適当になってきました。(良い意味で)前は、もうちょっと調べて調理していたんですが。ここ最近は、ほぼ「カン」に近いものに……😅ただ、家では「変わり種」の料理であるのは変わりないせいもあるのか、しっかりと平らげてくれるんですよね。てなことで。一挙大公開です!「しいたけの肉詰め」「あつあけの梅合わせ」「チンゲンサイの酢漬け煮」「ナスとしらたき、魚肉ソーセージの煮込み」「なんちゃってゴ...
つくづく、戦争によるひとへのダメージとは深いものがある。 令和4年の5月末。 世界が「戦争犯罪」という言葉に様々な反応をしているなかの、とある話。 北海道の海の、とある位置にて。 観光船が沈む事件が起きた。 その「とある位置」には、過去の戦争にて命を落としたたくさんの魂が眠っている。 その当時は、戦争目下ということもあり骨を拾ってくれるなんてこともなく。 家族には、紙一枚の知らせで、それは「終...
こんにちは。スマホのアプリって、時々いきなり使えなくなる事がありますよね。ちょっと困った事に。スマホになった頃からずっと使い続けていたメモのアプリが、なぜだか使えなくなってしまったのですよ😅で、代わりのアプリを色々探していたら。「書く習慣-毎日一つのお題 思い浮かんだことを書いてみて」というアプリがありまして。要は、お題に沿って文章を書く、というものですね。短くても長くても良くて。ジャンルも問わず(...
武器ではなく命の水をおくりたい 中村哲医師の生き方(宮田律さん)を読んで 彼──中村哲医師──は、今は亡き方。暗殺されたのだ。彼は常日ごろから、武器では戦争は終わらないこと。本当に大切なのは、「衣・食・住」の、特に水だと、主張する。 きれいな水が出ないから、ケガも治らず悪化させる。雑菌だらけの水を飲めば、体の内側から病に侵される。 例えば。食べ物を買うお金がないから、スリをする。これは言い換えれば、...
私には、次男のような愛嬌も無ければ、長男のように数字に強い訳でもない。「自分には何もない」それをずっと、思って生きてきた。でも、一つならあった。「言葉」ちょっとした出来事があって。日用品、そして私から、謝罪と日頃の感謝の手紙を書いて、ご近所さんに渡して数日。「手紙読んだよー。ありがとうね」そう言って、おじさんがあんなに笑ってる顔を、なんだか久しぶりに見たな。そういえば、と。わりと私、ここ近年でちょ...
まだ人を殺していません 小林由香さん 義兄「南雲勝矢」が、人を殺したとして逮捕された。「葉月翔子」は姉夫婦の息子である「良世」とともに生活することになる。 そこから、子を育てることに不安を持つ翔子と、殺人鬼の息子となった良世との、言葉に表わせないような日々が始まるのだった──。 この本は、単純な「殺人犯の息子の話」ではないと感じたのは、読み始めてすぐでした。 というのも、預かる側の翔子は、娘を交通事...
ご無沙汰です。昨年は、個人的にいろんな事がありました。これまでは、「就労移行支援B型」の作業所にほぼ1年、通所していました。そのなかで、別の作業所に興味はないのかという話になり「そういえば、本屋に行った人がいたらしい」と聞いてみたら。なんとびっくり、私でも行ける施設がちゃんとあるのですよ!見学、お試しの期間を経て。昨年の12月から、正式にとある本屋の店員になりました。今のところ、主にしているのは、本の...