和薄荷に想いを巡らせて

和薄荷に想いを巡らせて

宮沢賢治の童話「いちょうの実」には「薄荷水」という飲み物が出てくる。いちょうの実たちがいよいよ旅立ちの日(ぎんなんが落ちる日)を迎えるのだが、落ちる途中で目が回らないか心配する場面だ。 僕はね、水筒のほかに薄荷水を用意したよ。少しやろうか。旅へ出てあんまり心持ちの悪いときはちょっと飲むといいっておっかさんがいったぜ。 この薄荷水につながる体験が賢治にはあったようだ。あるとき地質調査に出かけた賢治は、背嚢の中に薄荷糖が入っていることに気づいた。実はそれは賢治の父が入れておいてくれたものだったのだ。(「賢治童話ビジュアル事典」より) 薄荷には吐き気や頭痛、消化不良などを緩和する作用があるので、賢治…

2025/06/23 11:03