臥龍的陣 番外編 しゃれこうべの辻 その8
※宴のあと、雲は敬に呼び出された。趙家の屋敷を一望できる、土塁のうえに来いという。土塁は、このところ力をつけている黒山賊の襲撃を避けるため、村のひとびとが総出でつくったものだ。厚い雲に覆われて、星空は見えない。ひゅう、と寂しげな風が、土塁のうえに生え始めている雑草をさわさわと揺らした。家は目の前にあるというのに、なぜか、この世に自分だけ取り残されてしまったような、さびしい気持ちになる。雲はおのれの体を抱えるようにして、寒風をやりすごした。土塁のうえに腰かける。いつだったか、長兄が機嫌のよい時に話をしてくれたが、この土塁をつくろうと言い出したのは父であったそうだ。「父上がまだ若くて、天下無双の槍の名手として鳴らしていたころは、襲ってくる賊を、ほとんどひとりで蹴散らしていたのだがな。事故を予見していたのか、あ...臥龍的陣番外編しゃれこうべの辻その8
2023/04/24 10:34