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Pithecanthropus Erectus https://squeezeme.hatenablog.com/

本、映画、音楽、ラジオ、ムーミン、スポンジ・ボブが好きです。レゴも。読んだ本などの感想をブログに書いています!

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2022/01/25

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  • やなせたかし『ふしぎな絵本 十二の真珠』

    どこにでも死闘はある 小川の流れの中にも ツルバラの茂みにも タンポポの葉の下にも なにかが生きて なにかが死んでいる (p.52-53「チリンの鈴」より) この本に収められている十二の短編、そのほぼ全てが、悲しい、強烈に。 なぜこんなに悲しいのかというと、その悲しみを照らす光がまた、強烈だからだと思う。その光は、優しさと呼ぶことができるだろう。 光が同時に影を存在させるように、この本の中では、優しさと悲しさが同時に存在している。優しいから、悲しいのではないのだ。優しくて、悲しいのだ。 通常であれば二分される感情が、ひとつのものとして描かれている。かつて作者が作詞した歌に「生きているから悲しく…

  • 渡辺浩弐『2030年のゲーム・キッズ』

    私はいろいろなことを忘れていく。 けれども、問題はない。 思い出すことはできるのだから。 そんなふうに、私は機械に変換されていった。(p.197-198) 現在、不惑の私が、高校生だった頃、つまり前回のミレニアム前後のことだが、「当時の大人たち」は盛んに、「ゲームばかりしていると、現実とゲームの区別がつかなくなる」と警鐘を鳴らしていた。たまごっちが大ブームを巻き起こしたこともあり、ゲーム感覚で命をリセットする人間が育ってしまう、なんてことも言われていた。 そんなこと、あるわけないではありませんか、きっと冗談で言っているのでしょう、と穏やかに聞き流していた私だが、しかし、現在、いい歳になっている…

  • フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』杉山晃、増田義郎訳

    無数の星がきらめく黒い空。そして月のそばには、いちばん大きな星。(p.95) アブンディオという名のロバ追いの男が登場する。生者も死者も分け隔てなくしゃべりまくるこの小説内において、耳の遠い彼には特別な役割が与えられている。哀れな狂言回し。彼に与えられた役割はそれである、と私は考える。 アブンディオがこの小説内で最後に残したものは、二本の線である。 「酔っぱらっちまったよ」 男たちのところに戻った。彼らの肩にもたれかかると、そのまま引きずられて行った。地面には足先が刻んだ二本の筋だけが残った。(p.204) 地面に刻まれた二本の筋、これを、二つの道と考えてみる。アブンディオは道を用意した。二つ…

  • 國分功一郎『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』

    ですから、どうすれば自らの力がうまく表現される行為を作り出せるのかが、自由であるために一番大切なことになります。(p.110) 面白くて三回、読んだ。どういうところが面白かったかというと、まず、読みやすいということ。 そして、読みやすいけれど、既成概念や陋習に染まり切った私には、スピノザの斬新な考え方は、すんなりと理解できない。その戸惑いも、面白い。 そしてそうやってたじろいでいると、必ず「わかりやすい例え」が登場するのです。その例え話が本当にわかりやすくて面白くて、また、登場するタイミングも「待ってました!」といった感じで最高で、面白い。 本質は、形ではなく、力=コナトゥスだということ。 善…

  • 千葉雅也 二村ヒトシ 柴田英里『欲望会議 性とポリコレの哲学』

    二村 なぜ、境界線を引いて敵と味方をはっきりと分けたいんだろう。 千葉 それは、柴田さん的に言えば、気持ちいいからでしょう。 柴田 はい。「敵」の存在は、コミュニティの結束を高めますからね。そこには共感の快楽があります。 (p.104-105) 名著、と呼ばれるものは、いつの時代だって「いま」読まれるべき書物である。逆に言えば、そういう、時を超えてアクチュアルな何かを帯びている作品が、名著ということになる。つまり本書『欲望会議 性とポリコレの哲学』もまた、名著ということである。 なぜなら、この本には、2017年から2021年にかけて行われた鼎談が収録されているのだけれども、2023年のいま読ん…

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