朝市の商店主たちは重労働だ。午前3時に起き、冷蔵室の商品をトラックに積み、市場に着くのが5時。それから出店を設置して商品を並べ値段をつけ終わると7時。早起きのお客がやってくる…とクリストフから聞いた。商品数が多い八百屋のエルザおばさんは午前3時出発と言っていた。店じまいは午後2時ごろ。残った商品をトラックに積み、帰って冷蔵室に入れると午後4時を過ぎている。2か所の市場で週に2回ずつ、それを17歳の時...
ヴェートーベンの『喜びの歌』をバックに、ブリジットと手をつなぎ、子供たちに囲まれて登場したエマニュエル・マクロン。58.54%を獲得して再選された。ルペン、41.46%で、差は大きくない。photo:Lexpressマクロンは、彼を信頼し投票してくれた国民にお礼を言い、「わたしの考えを支持するからではなく、極右を阻止するためににわたしに投票してくれた人たちがいるのも知っています。これからの5年間、その方たちの票に応える義...
20日の決戦前討論は、マクロンが勝った(投票意思+1ポイント)けど、彼の欠点である“傲慢さ”が目立った。選挙選ではこのイメージを覆すことが作戦のひとつだったのに、のっけから「出来の悪い生徒を前にした先生のような態度」で、側近はハラハラし、マクロンの顔をあまり映さないでくれ、と頼んだそうだけど、そんなことできないですよね。しかし政策ではやっぱり「先生」が強い。photo : francetvinfo.frマリーヌ・ルペンは、...
大統領選の第1回投票は4月10日、上位2人、マクロンとルペンが争う決戦投票は2週間後、24日の日曜日。2回の投票の間に行われる討論 Débat d'entre 2 tours は、勝敗に影響する重要なイベントだ。それが今夜9時。2017年の討論では、マリーヌ・ルペンが何度かタジタジとなり、マクロンに大きく差をつけられた。同じ間違いを繰り返さぬよう、極右RNの候補者は選挙運動をやめて2日間準備に励んだらしい。5年前に比べて2人の投...
魔法(よりもっと不確か)モデルの芽衣子は撮影スタッフのつぐみと親友だ。撮影が終わったあと一緒に帰るタクシーの中で、つぐみは最近出会った彼の話をする:若く美男の起業家で、話しているだけで満ち足りて、セックスすら要らない。魔法のような出会い、だと。芽衣子はつぐみの幸せを喜んでみせるが、“若く美男の起業家”が誰であるか気づいていた。扉は開けたままで大学生の佐々木はフランス文学教授、瀬川を憎んでいた。土下座...
2回目投票に残ったのはマクロンとルペン。5年前と同じ顔触れだけど、中身は大いに違う。 2017年、“右派でも左派でもない” 新星マクロンに「フランスが変わる」と期待した人は多い。5年後、金持ちの大統領というレッテルを貼られ、黄色いヴェスト運動を起こし、国民に打診せず何でも一人で決める権威主義と批判される。一方、「ユーロ離脱」「移民削減」…従来のスローガンを引っ込め、「購買力向上」を掲げ「庶民に寄り添い」「...
出発の日、東京はこの20日間で一番天気がよく22度まで上がった、というのも皮肉。ヒートテックにセーター、薄手ダウンにトレンチで震えあがっていた日のほうが多かった。ドバイは午前4時で27度。空港には短パン&ゴム草履やノースリーブもいれば、ダウンジャケット姿もある。行きつくパリは10度。出発&到着便の電光掲示板も大違い:成田は7-8便でその殆どはホノルルや香港、台北。ドバイはぎっしり2列で世界中に飛んでいる。...
一足先にエミレーツで帰った娘から「飛行機はガラガラで4席占領して、食べる以外は寝ていた」「ごはんがすごく美味しかった」と聞いて期待していた。夢の4席ゲット!再び、人のいない、SF映画のセットのような成田に行く。ピカピカに綺麗なトイレ。旅行者よりトイレの数のほうが多い。ところが、搭乗ゲートに行ったら突然人が多い。いやな予感。よく見るとJALとの共同運航便。JALが自分の便をキャンセルし、乗客をエミレーツに...
東京-パリ便もキャンセル&変更が相次ぎ、Swiss Airは、「チューリヒ経由です」じゃ、前と同じじゃない。「ただし着くのが19時15分で、その後の便がありません。チューリヒで一泊、翌日早朝のパリ行便となります」「で、一泊のホテルは?」「はぁお客様のご負担となります」「・・・・」その上、ホテル一泊ということは空港の外に出るわけで、またPCR検査で結果待ちなんてことになったら・・・・成田の悪夢が蘇り、わたしたちはSwiss Airの...
東海林さだおさんの連載のタイトル(30年以上前!)が日本に来るたび浮かぶ。フランスもグルメ大国ではあるけど、“安くて美味しい”ものがある点は日本の勝ちだ。息子が連れて行ってくれた下北沢のカレー屋さん。ショボい外観で、8席の小さいお店の野菜カレー。ターメリックを入れて炊いたというご飯も美味。1300円、約10ユーロ。とんかつ屋さんの定食。これも10ユーロ。パリだったら カフェでサラダでも15ユーロはする。しかし今...
今回はどうしても行く用事があって発ち、出国も大変なら、入国は悪夢。桜の時期であることを忘れていた。成田からようやく脱出すれば外は霙(!)が降っていて、ヒートテック+カシミアセーター+ユニクロ薄ダウン+トレンチで、まだ寒い。泣きっ面に蜂とはこのことだ。それだけに、白い花がたわわに咲いているのを見たときは感激。心がけがいいとこうなる、とまでは思わなかったけどラッキー!わたしの生まれた桜新町は、桜並木で...
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朝市の商店主たちは重労働だ。午前3時に起き、冷蔵室の商品をトラックに積み、市場に着くのが5時。それから出店を設置して商品を並べ値段をつけ終わると7時。早起きのお客がやってくる…とクリストフから聞いた。商品数が多い八百屋のエルザおばさんは午前3時出発と言っていた。店じまいは午後2時ごろ。残った商品をトラックに積み、帰って冷蔵室に入れると午後4時を過ぎている。2か所の市場で週に2回ずつ、それを17歳の時...
朝市の“クリストフのお店”でチーズを買うようになったのは、娘がお腹にいたときだから27年前 。当時はクリストフと奥さんと、品のいい中年のおばさんの3人で店を仕切っていた。クリストフが夏のバカンスを取る40日間は、他のチーズ屋に行くけど、それ以外は浮気をせず、毎週日曜日、顔を合わせていれば仲良くもなる。「息子さんはコンテ、娘さんは固めのロカマドゥール、あなたはあまり熟成していないロブロション、ご主人は・・・・...
娘カップルはボルダリングにはまり、週2回壁をよじ登っている。だんだん難易度の高い壁に挑戦していて、先週、娘は難易度“中”の壁の頂上まで上ったところで、「足が滑って一気に落ちた!」と聞いて母は一瞬青くなる。「どのくらいの高さの壁?!」「わたしの身長の3倍以上」というから5mくらいか。もちろん地上にはマットレスが敷いてあるので「かすり傷だけ」。でも「落ちている間に、これまでの人生が早回しで見えた」そうい...
というタイミングでフランスチームの開会式ユニフォームが発表された。中央の私服はパリオリンピック企画委員長のトニ・エスタンゲ。その左の私服はベルルッティ副社長のアントワーヌ・アルノーPhoto de ©KacperKasprzykそう、作ったのはLVMH傘下(やっぱり)のベルルッティ(高級メンズシューズブランドだけど服も作るの?)ブリジット・マクロンはよくルイ・ヴィトンの服を着ている 。デザインが好きなんだろうけど、彼女がパリ...
邦訳が再版になり、出版社に招待された作家のシドニー。行こうか、行くまいか、ギリギリまで迷い、遅れて空港に着くと、出発が3時間遅れていて飛行機に乗れてしまう。関空では編集者、溝口が待っていた。お話はシドニー(イザベル・ユペール)と溝口(伊原剛志)の、なんとも非現実的な雰囲気の6日間。第一、シドニーが招待された理由も現実味がない。訳書が再版になる度、著者を招待していたら日本の出版社は全部倒産してしまう...
1940年代後半、イタリアの田舎町。戦後の物資不足で人々の生活は貧しいけど、新しい民主主義への希望が感じられる。夫と3人の子供、寝たきりの義父と暮らすダリア。家事の合間に縫物や傘修理の内職に走り回り、ちょっと気に入らないことがあると暴力を振るう夫に耐えている。長女のマルセラはそんな母を見るのが、自分の将来を見るようで辛い。「どうして逃げ出さないの!」「逃げるって・・・どこへ行けって言うの?」そこへ突然、...
茶色くて2-3㎜で、外で見れば可愛いと思えるけど、それが群れをなしてうちの中にいると可愛くない。台所の壁際をせかせかと歩き、流しまで上ってきている。食べ物は全部隠し、猫がいるから殺虫剤は危いよね、と思いつつモノプリに見に行ったら、アリ&ゴキブリ専用で「子供、動物にも安心」という殺虫剤を見つけた。しかしあまり効果なし。数時間で戻って来る。ゴキブリは小動物より頑丈だから、アリとゴキブリを一緒くたにしてい...
コレージュ3学級(14~15歳)のフランス語の授業でロンサールの詩を勉強している。若い先生、ジュリアンは「Astéisme」という手法を「誰かを褒める時、非難のように聞こえる表現を用いること」と説明し、生徒たちの“ピンと来ない”という表情を見て、例を挙げる。「例えば『レスリー、その新しいヘアスタイル、素敵だね』という代わりに『レスリー、何そのヘアスタイル!』…」先生が言い終わらないうちにクラスは騒然となった。「...
人工妊娠中絶の権利が憲法に加えられた式典で、TF1のジャーナリストに聞かれたマクロン大統領。「間違った情報やでっちあげのシナリオが横行し、信じる人がいること。それが当事者、家族を深く傷つけること」持って回った言い方に、「それはブリジット・マクロンが男性だという噂のことですか?」「もちろんそうです」マクロンは答え、「これ以上話したくない」と苦々しく。この噂を知らなかったわたしは(読者の方に教えていただ...
娘カップルが新百合ヶ丘のシェアハウスに入居して2か月。部屋は狭いけどバス&トイレつき、キッチンやサロンの共有スペースは広くてきれい。サロンで会ったイギリス人の女性は「何でも聞いて」と親切そうだった。数週間経って聞いてみたら、「住人がアホばっか」「!?」娘曰く、英、米、豪、仏・・・つまり白人たちが、アフリカ系の住人に差別的発言&態度をするのだと。「それも精神年齢を疑っちゃうような、あからさまな差別」と...
片頭痛防止対策のひとつで、月に1回オステオパシー (骨矯正術)に通っている。うなじの左側が凝って-先生曰く“ブロック”されていて-それが片頭痛の一因になっているらしい。カイロプラクティックのように骨をポキポキせず-しても1回くらいー両手を頭や首筋に当ててじっとしている。だけなのに、よく効いてここ数か月大きな片頭痛になっていない。こういうのをマジックハンドと呼ぶのでは。なにしろ先生はオペラ座ダンサーた...
猫たちがソファを気に入ったのはいいけど、気に入りすぎて彼らの場所になってしまった。メリディアンヌ(méridienne)と呼ばれる長椅子で雑誌を読むのが夢だったけど、いつ行っても先客がいる。近寄るとキッと睨まれるので、「はいはい、お邪魔はしません」元祖メリディアンヌ。人間が寝そべり、猫は床、が正しかった。Edouard Manet 1862何がそんなに気持ちいいかというと、生地でしょうね。前のズタズタソファは皮でひんやりし...
相続をめぐる家族紛争が週刊誌をにぎわしていて、渦中の人、アヌーシュカ・ドロンがラジオで話していた。アラン・ドロンにはアントニー(59歳。母親はナタリー・ドロン)、アヌーシュカとアラン=ファビアン(33歳と30歳。母親はロザリー・ファン ブレーメン)の3人の子供がいる。この3人が、ドロンの近年の“伴侶”ヒロミさんを追い出した。追い出すまでは団結していた3人が仲間割れ。ドロンが遺産を圧倒的に多くアヌーシュカに...
Habitat倒産の被害者になり、その後どうなったかというと、弁護士2人が債権者代理になったことがネットで告知され、その人物に領収書や必要事項を記入した用紙を送った。「ほとんど望みはない」と夫。会社が倒産した場合、法定財産管理人が任命され、その人がまず自分の報酬を確保する。次に未払いの税金、社員の給料、契約会社の請求書が払われ、お客は最後だから。だからと言って、見ただけで気が滅入るこのソファ・・・・最近は猫...
最近ひんぱんに耳にする名前、ラファエル・クナール。金曜日のセザール賞授賞式では『最も期待される男優賞』『最優秀男優賞』、監督として『最優秀短編ドキュメンタリー賞』の3つにノミネートされ、『最も期待される・・・』を獲得した。射るような眼差し。笑うと優しくなる。©Capture d'écran canal+ 受賞のきっかけ映画『どう猛な犬』は、南仏の田舎町で仕事もしないでたむろしている若者たちのお話し。アントワーヌ(ラファエル...
アウシュヴィッツ強制収容所所長のルドルフ・ヘスは妻ヘートヴィヒ、5人の子供と大きい邸宅に暮らしている。使用人もゾロゾロいて、広い庭にはプールがあり花が咲き乱れる。みんなが飢えている戦時に、ここには食べ物も豊富にある。訪ねてきたヘートヴィヒの母親は「楽園のようね」と目を見張る。その通り、この邸宅はヘス夫妻の理想の楽園。しかし。壁の向こうはアウシュヴィッツなのだ。“囚人”たちの悲鳴、監視の怒鳴り声、殴る...
先着猫タマの砂箱は浴室の隅、後着猫リュリュのは2階の廊下に置いてあり、2匹ともルールを守って暮らしていた。と言っても、タマは不満があるとそれを表明するため、砂箱の外で用を足す。不満とは、-娘かわたしが不在。-砂箱が汚れている。最近、タマが頻繁に「砂箱の外」でするので、何が不満なのよ、と観察していたら、ある日、リュリュが我が物顔で、タマのトイレで用を足しているではないか。それをタマが洗面台から恐ろし...
Vasectomie(精管を切除して閉鎖)がフランスで急速に増えていて、2010年比で15倍(!)になったとニュースで言っていた。この手術、フランスでは2001年から許可され、アメリカや韓国と違って非常に稀だったのが、2010年には1940人、2022年に3万人を超えたそうだ。希望者は「これ以上子供は欲しくない」という35歳以上の男性が多かったのが、最近では子供がいない18から25歳の若者が増えている。これに反対する女性も少なくない。...
カンヌ映画祭でシナリオ賞を取ってから、ずっと観たかった是枝裕和の『怪物』。フランス版タイトルは『L’innocence/無垢』封切りになったのは12月末、日本は2023年6月公開だから半年遅れ。東京に発つ前日で観れず、戻ってからもグズグズしていたのは、観た人たちの感想がイマイチだったからだ。息子とその話をしたとき「自分の目で観なければわからないよ」と言われ、全くその通りだ、と観に行った。夫に先立たれた早織は、ひとり...
に降りたのは午前4時。零下6度。雪。外を歩くわけじゃないからいいけれど、雪景色とガランとした空港は寒々しく、東京の青空がもう恋しい。チケットはJALのサイトで買ったのに、東京-ヘルシンキもフィンエアー。正確にはJAL、フィンエアー、ブリティッシュの共同運航。後日、友人に話したら「それって文句言っていいんじゃない?」乗務員は愛想のないオバサンたちで「荷物の入れ場所がない」と言ったら「今忙しい」と一蹴された...
今回、田園都市線沿線にAirbnbを探したけど、夫と2人、喧嘩せずに過ごせる広さのが見つからない。日本の国境が開き、桜の季節(『桜=4月』と思っている外国人が多い)、それに円安も手伝って外国人が押し寄せているからか。結局、ワンルームを2つ借りることになった。ある朝、わたしの部屋で一緒に朝ご飯を食べ、「支度してくるから」、と夫は自分の部屋に帰った。30分後、ドアのベルを鳴らしたけど返事がない。シャワー中?...
「水の音」の朝ご飯は、夕ご飯に負けず美味しかった。鯵の一夜干しは、温められるようにコンロが用意されていて、玉ねぎとジャガイモのお味噌汁は鍋ごと来る。お重の中には、卵焼き、ミニ昆布巻き、鰯の甘辛煮、鱈子炒り…こんな風に一口ずつ、色んなものが味わえる日本の食事に感激する。朝食には順応性がない夫が、「コーヒー、ハム、フロマージュ・ブラン!」と騒ぐかと思ったら、喜んで全部食べていた。その後、「モトを取らな...
「水の音」という小涌谷のホテルには、大浴場2つと貸し切れる露天風呂がいくつかあった。各階に作務衣が各サイズ用意され、部屋にはバスタオルと小さいタオル、足袋ソックスが入った温泉用の籠。夫は小さいタオルを取り出し「何に使うの?」「これで身体を洗ったり、浴場に入るとき、なんとなく前を隠すのに使うんだ」と息子。「何を隠す?」「・・・・」「ほかの人がしているようにすればいいの」とわたし。ところがちょうど食事時の...
ホテルに荷物を置いたのは13時過ぎ。「この辺でお昼を食べられるとこありますか?」と聞くと、「すぐ近くにフランス料理のレストランがあります」。ここまで来てフレンチを食べたくないけど、お腹が空いてえり好みは言ってられない。お店の名前はROI(王様)、お客さんは誰もいない。お昼のメニューは:ハンバーグ、メンチカツ、ポークソテー、シーフードグラタン。どれもスープとサラダつき。日本で(本場の)味を、とわたしはハ...
わたしは東京で諸々用事があるけど、久しぶりに日本に来る夫のために、1泊でどこかへ出かけよう。「山がいい」と言われ、思いつくのは箱根。近いし、山だし…何よりわたしには思い出のある場所。その昔、おばあちゃんが「二束三文で」土地を買い、「もしかしたら温泉が出るかも」と庭のあちこちを掘り返したけど、何も出なかった。温泉を諦め、茅葺の山小屋のような家を建て、わたしたちは毎年夏休みをそこで過ごした。当時は小涌...
年金改革反対のスト&デモが頻度を増し、週一になっている。日本に発つ日に当たりませんように、とお祈りまでしたのに、13日、12回目のストにぶつかってしまった。RATP(パリ交通公団)は「ほぼ正常」とニュースで言っているけど、RERをよく使う友人が「ニュースはトラブルを過小評価する、スーツケース持って混んだB線に乗るのは避けた方がいい」前日、デモのコースが発表された:オペラからバスティーユ。デモ隊が終着点に着くの...
年金改革でエマニュエル・マクロン支持が落下し、野党連合NUPESは、チンピラのようなヤジや暴言で国会を混乱させ評判を落とした。それを傍観し、時々まともな発言(「マクロンは象牙の塔に篭り、国民の声を聞かない」「49.3の連発は民主主義の危機」…)をしていたマリーヌ・ルペンが一気に点数を稼いだ。先週のアンケートで「1週間後に大統領選を行えば」第一回投票でルペンは31%獲得。与党のエドゥアール・フィリップ28%、急進...
一昔前のフランスで、子供の名前はカレンダーに記されている聖人名、歴史的に知られている人の名前に限られていた。それが“自由化”されたのが1993年1月。その後に生まれた子供にはテス、ケヴィン、オセアンヌ(océan/大洋のギリシャ語)…など外国名が出てきて、それでもまだ常識的だったのが、最近、戸籍責任者が仰天するトンデモナイ名前が続出:Nutella(ニュテラ:仏版ピーナツバター)Fraise(フレーズ:イチゴ)Anomalie (...
「エイプリルフールの冗談かと思いました」とニュースキャスター。社会福祉&連帯閣外相マルレーヌ・シアパが4月8日発売の『プレイボーイ』に、女性の権利について長いインタビューを載せ、表紙に(服を着て)登場する。2017~2022年(マクロン大統領1期目)に、男女平等&差別廃止担当閣外相、次いで市民権担当大臣と若くして重要ポストに就いた。でも一見、政界より芸能界のほうが似合いそうな雰囲気の40歳。photo:causeurエ...
誰もいない田舎の夜道を走るタクシー。乗っているのは母と娘と犬、行き先は古い館を改造したホテルだ。レセプションの女性は不愛想で、母娘の予約を見つけるのに手間取り、ホテルはガラガラなのに希望の部屋は空いていないという。ジュリーが交渉している間、母親は何も言わず隅の椅子で待っている。なんとか希望の部屋をゲットしたジュリー、「ママ、この部屋、覚えてる?」「天井の壁紙を覚えているわ」母は若い頃、このホテルに...
木曜の9回目の年金改革反対スト&デモは参加者が108万人、抗議の声も激しくなった。出発点のバスティーユ数時間後、終着点のオペラでは過激極左派も加わった。photo:BMFTV2日前の火曜日、年金改革案は可決されたものの、僅か9票差。政府に同調するはずの右派レピュブリカンの一部が寝返って不信任案に票を入れ、スレスレの可決。反対派を強気にさせた。翌日水曜、沈黙していたマクロン大統領がやっとTVニュースに現れた。大統領...
金曜日以来「49.3(キャラント・ヌフ・トロワ)」「モーション・ドゥ・ソンシュール/不信任決議案」という言葉が、耳にタコができるほど繰り返される。ラジオをつけっぱなしにしているからタコができるんだけど。49.3、憲法49条3項とは、政府が、審議中の法案を国民議会の投票なしで可決できる。つまり強行採決。モーション・・・・は強行採決をひっくり返すことができる野党の手段。国民の3分の2が反対している年金改革法案を「投...
英語(=国語)教師のチャーリーはオンラインで授業を行っている。でも「カメラが壊れている」と自分の姿は見せない。チャーリーは何年か前、男性と激しい恋に落ち、妻と娘を捨てた。その彼が亡くなったあと、無茶食い障害になり、270㎏の、クジラのような身体になった。トイレに行くのも歩行器が必要で、一日中ソファから動けない。手当たり次第に食べまくる発作と自己嫌悪、孤独、後悔…の毎日。通ってくる看護師のリズが唯一の友...
モーリーンはCFGT(CGTに次ぎフランス第二の労働組合)組合員で、同時に国営原子力発電会社AREVAの労組秘書としてAREVA従業員の権利を守る。モーリーン(イザベル・ユペール)のファッションも見もの。女社長から支持されていたが、社長が代わり、男性社長になると「女に何ができる」という風潮になった。2012年、モーリーンは、EDF(フランス電力)の情報提供者から「EDF、AREVAと中国の原発会社の間で密約が取り交わされた」こと...
昨日3月7日、年金改革反対ゼネストで公共交通はほぼマヒし、学校の一部は閉まり(推定で、小学校教員60%がスト)製油所も閉まり…。全国のデモ参加者は警察発表で130万人、労組の発表は約3倍の300万人。どう数えればこれだけ差が出るのか、フランス七不思議のひとつだが、政府VS労組の対立の深さに比例して、“参加者数”の開きも大きくなる。年金改革は、エマニュエル・マクロン立候補時の公約であるだけに、いくら反対されても...
とFrance infoのニュース。ナニナニ?とボリュームを上げた。「40年来、日本は出生率低下に直面しているが、事態は年々悪くなる一方。2022年に生まれた赤ちゃんは80万人を割った。人口はフランスの倍近いのに、フランスの出生率(72万3000)をわずかに上回るだけ」フランスもコロナのせいで、1946年以来一番低い出生数「3年間続いたコロナ禍で、出会い&結婚は減り、状況は悪化した。日本で、結婚は子供を持つための前提条件な...
予告編がつまらなそうだったので迷っていたら、観た友人が口をそろえて「とてもよかった」。そんなら、と映画館に行ったら2度満員。封切り1か月後でやっと観た。2週間で消える作品が多い中、1か月以上の上映、観客の評価が4.1/5と非常に高い。日本では2020年公開なので「今頃?」と思われるだろうけど。「人生は一度だけ。楽しんでください」のキャッチ、『La Famille Asada』写真家志望の政志のテーマは家族。家族(両親と兄...
週2回、サルサとバシャタに通っている。ダンスをスポーツと呼べるかどうかわからないけど、男性は冬でも汗をかく運動だ。サルサを始めたのは10年くらい前。スキーで脚を折った後のリハビリで始めたのが、やめられなくなった。踊るのは好きだから、最初は「うまくなりたい」なんて思っていたが、年齢か、資質がないか、その両方かで、万年“中の下”。楽しめればいいか、と開き直ることにした。ラテン音楽が(も)好きで、頭が空っぽ...
ローコストの靴メーカーSan Marinoが清算(=倒産)、中級プレタのKookaïに会社更生法、Go Sport とGap Franceは買い手探し…どれも近年パッとしなかったブランドではあるけど、こうバタバタと倒れると不吉な予感。そこへ、「ギャラリー・ラファイエットが経営困難」。パリのデパートの代名詞じゃない!全国に57の店舗を持っていた大チェーンは2018年から経営困難になり、2021年までに33の地方店舗を売り渡した(ギャラリー・ラファ...
11歳のソフィは元気と明るさに溢れた女の子。パパとふたり、トルコでヴァカンスを過ごす。パパとママは別れたから一緒に暮らしていないのだ。海辺のヴァカンス村で、泳いだり、ビリヤードをしたり、何もしないでプールサイドに寝そべっていたり、ダンスしたり…ふたりは仲のいい兄妹のように一緒に遊び、からかい合い、喧嘩もする。パパといる時間は楽しい。「また一緒に暮らせないの?」とソフィ。「もう元には戻れないんだ」とパ...