年末年始を少し外して実家に帰省してきた。 実家からの帰途、最寄りの駅までぶらぶら歩きながら、三年前に亡くなった母の事や一人暮らしをする父のことを考えるともなく考えていると、ふと「親子は一世、夫婦は二世、主従は三世」っていう言葉が浮かんできて、気がつくと頭の中は親の事からそっちの言葉のことに移ってた。 「親子は一世」はわかる。親子関係に「ガチャ」という言葉が出てくるのを見ても、「うん、ま…
読んだ本やマンガの感想と、歌舞伎観劇記録。
読んだ本やコミックの記録が中心ですが、最近は歌舞伎ネタが増えてきました。
本日、『THE FIRST SLAM DUNK』復活上映! 雪模様の中、熱い一日を過ごしてきました。 ソーちゃんの姿を見た途端に涙ツーっとこぼれたのには自分でも面食らった。
『地図と拳』 小川哲 日露戦争前夜から第二次世界大戦後の満州の地を舞台に、様々な国家・民族の思惑、個人の利害、因縁がからみあう中で栄え、滅びたある都市の年代記。地図を描き、建築物を生み出し、未来を思い描き都市を創る。都市の歴史に様々な形で関わったものたちの長きにわたる人間ドラマが展開するスケールの大きなエンターテインメン…
『有栖川の朝』 久世光彦 昨年末に読んでいたもの。久世氏の小説を読むのは久しぶり。 久世氏の書くものは熱っぽく湿って少し悲しく、見すぼらしくて哀れだけれども色っぽい。 そこに見えるのが夢という嘘の世界だと思っても、嘘こそが本当なんだよ。 一時、ワイドショーを騒がせた実在の事件を題材に久世氏…
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年末年始を少し外して実家に帰省してきた。 実家からの帰途、最寄りの駅までぶらぶら歩きながら、三年前に亡くなった母の事や一人暮らしをする父のことを考えるともなく考えていると、ふと「親子は一世、夫婦は二世、主従は三世」っていう言葉が浮かんできて、気がつくと頭の中は親の事からそっちの言葉のことに移ってた。 「親子は一世」はわかる。親子関係に「ガチャ」という言葉が出てくるのを見ても、「うん、ま…
『年末の一日・浅草公園 他十七篇』 芥川竜之介 やはり竜之介、優しいんである。 以前、ちくま文庫の作品集を読んだときにも作中の人物たちに注がれる竜之介の細やかな観察眼や控えめな同情にほろりとさせられたのだが、日々の暮らしのなかで人がふと見せる表情、心の揺れを見つめ、思いやり、掬い上げる竜之介の視線は優しい。 しか…
『進撃の巨人という神話』 社会学者、精神科医、漫画研究者、漫画編集者、フリーライター、暗黒批評家・・・8人の執筆者がそれぞれの視点から漫画『進撃の巨人』を語る。 『進撃の巨人』のコミックスはレンタルも交えて全巻読んだのだけど、私はどちらかというとアニメ視聴の方がメインで、連載を追いかけて原作をじっくりむさぼり読んだわけ…
『決戦! 忠臣蔵』 今年はとにかくゴリゴリの「討入り!」が読みたかった。史実云々は脇に置いといて、どフィクションでいいから、忠義の! 侍たちの! 討ち入りが! 読みたかった! シリーズ名に『決戦!』とあるぐらいだから、てっきり吉良vs.赤穂浪士のヒリヒリする駆け引きに熱いバトル! 艱難辛苦の末の命を賭した討入りが! 美し…
『忠臣蔵夜咄』 池宮彰一郎 『四十七人の刺客』や『最後の忠臣蔵』の作者である池宮彰一郎氏が自らの作品執筆や映画化について語ったエッセイや対談集。 『忠臣蔵』を題材にした小説を書かれた作家たちが口をそろえて言う「…
『八犬伝』 監督:曽利文彦 仁義礼智忠信孝悌の珠を持つ不思議な因縁で結ばれた八犬士の運命の戦いを描く『八犬伝』の物語と、その物語を生み出す滝沢馬琴の人生。「虚」と「実」の物語をあざなうように描く。 中途半端感が否めないとの感想を目にすることもあり、ちょっと期待値は低めで観に行ったのだけど、滝沢馬琴を演じる役所広司さん、妻・お百を演じる寺島しのぶさんの演技が素晴らしく、滝…
『歌舞伎 型の真髄』 渡辺保 ストレートプレイには苦手意識のある私が歌舞伎にはハマってしまうその訳は何なんだろう? と考えるその中で、歌舞伎の歴史の中で練り上げられてきた「型」という演技法に興味を持ったのだけど、「型」のもたらす効果って何だろう? と、いうより「型」って何なんだろう? ってことはまだまだ全く頭でも身体でも…
初日を観て以来、ヤマトタケルは熊襲や蝦夷や伊吹山の山神たちの血を吐くような呪いの言葉をいったいどう受け止めたのか、そして、「天翔ける心」とは何だったのかってことをずっと考えている。 これまでになく討たれる側、滅ぼされる者に心を寄せてしまったのは、私自身が古いものとして取り残され、見捨てられ、世の中に身の置き場がどんどんなくなっていくのを感じているからなんだけども・・・ 第一幕の幕切れ。…
【弟橘姫】 第二幕走水の場面。これまで何度か観てるから何が起こるか知ってはいるんだけど、その上で・・・壱太郎さんの弟橘姫の感情の振り幅の大きさに圧倒されたというか度肝抜かれたというか。所詮自分は大和の国の皇后にはなれぬ身だけれど、今、海の神に見染められて海の皇后になれるって・・・何かに憑かれたような感情の迸り。これは、皆の為に自分が犠牲になることを納得させるための言葉なんかじ…
【熊襲弟タケル】 第一幕 熊襲の館の場面。熊襲弟タケルの第一声〜その声のあまりの若々しさに、正直ちょっと違和感を抱いた。でも宴の席での振舞い、表情を見るうちに、粗野ではあるけれども真っ直ぐで気持ちの良い青年であることが感じられて大好きになったわ〜。歌之助さん、とても清々しくて魅力的な新しい熊襲弟タケルを創られました。そして死に際のあの台詞。日に日に大きくなっていった拍手の音は…
新橋演舞場、御園座、松竹座を経て、ついにやってきた! 隼人さん、團子さん、壱太郎さん、米吉さんが集結する、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』博多座公演。 キャストの組み合わせを変えて4回の観劇を予定していたのだけど、初日の團子タケルを観ると、「ああ!隼人さんの千穐楽を観たい!」となり、次に隼人タケルを観ると、「團子タケルをまだまだ観たい!」となって、結果、6回観ることになってしまった(これ以上…
本日、スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の博多座初日。 劇場入り口で振舞い酒を頂き、いざ集結! 劇場内には10代、20代と思しき若い方たちの姿が多い。私もかつては「こんな若い方が歌舞伎を観にいらっしゃるのねぇ〜」とお声をかけていただいたりしたこともあったのだが、もうすっかりそんなトシではなくなってしまった。若い方がこの舞台にどんな感想を持たれるのか興味がある。 隼人さん、團子さん、壱太郎さん…
『黒牢城』 米澤穂信 以前読んだ『折れた竜骨』は、剣と魔法のファンタジーの世界に論理的推理を持ち込んだミステリー作品だったが、本作は時代劇に謎解きを持ち込んだ・・・いや、単にそういうことじゃなく、織田に叛旗を翻した荒木村重の有岡城での籠城戦の顛末そのも…
『三体�V 死神永生』 大森望、光吉さくら、ワン・チャイ、泊功/訳 長い物語を読み終えて呆然としている。三部作の前二作は「映像で見たい!」と思ったが、これはさすがに「映像」で「見る」ことは難しいんじゃないか? いつかこれを体感させてくれる技術は開発されるだろうか。 第二部の主人公・羅輯が関わった「面壁計画」の裏で進行し…
『三体�U 黒暗森林』 劉慈欣 大森望・立原透耶・上原かおり・泊功/訳 地球人類に対して圧倒的な力の差を見せつけた三体文明による恫喝。三体文明の艦隊が地球に到達するまで400年余りの時間で人類に打つ手はあるのか?! やっぱり「映像で見たいっ!」と思ってしまう大エンターテイメント作品。 三体文明が送り込んできた陽子型スー…
2024年の夏が終わった。また来年の夏を楽しみに待ってます。
増えてきた。
本日より『THE FIRST SLAM DUNK』再上映! IMAXで視界いっぱいに湘北と山王の激闘を観てきました。 つい先日、インターハイでのバスケの試合を生観戦してきたばかりなので、試合のシーンが去年観たときよりも生々しくクる。 まだまだ観るぞ〜
『夜果つるところ』 恩田陸 『鈍色幻視行』に登場する「呪われた小説」。 『鈍色幻視行』を少し煮え切らない気持ちで読み終えていたし、『鈍色〜』の作中でほぼネタバレしていたこともあって、「どうかな〜」と思いながらではあ…
『鈍色幻視行』 恩田陸 タイトルから、重厚で仄暗く幻想的な物語を期待していたのだけど、ちょっぴりその期待は裏切られた。これは語り切れないままに(一旦)終わった物語なんじゃないだろうか? 映像化の話がもちあがる度に撮影中の事故に見舞われ、関係者が不可解な死をとげる゛呪われた”小説『夜果つるところ』。そして生死不明の…
『有栖川の朝』 久世光彦 昨年末に読んでいたもの。久世氏の小説を読むのは久しぶり。 久世氏の書くものは熱っぽく湿って少し悲しく、見すぼらしくて哀れだけれども色っぽい。 そこに見えるのが夢という嘘の世界だと思っても、嘘こそが本当なんだよ。 一時、ワイドショーを騒がせた実在の事件を題材に久世氏…
5月以降、気持ちが沈むことが多くて、本を読むのも、絵を描くことも、音楽聴くのも億劫になっていたんだけど(唯一、『SLAM DUNK』だけを動力源に最低限職場には通ってた感じ)、やっと少し気分が上向いて来たので、新しい年に向けてリハビリを開始しました。 まず、本当はもっとハマって楽しみたかった歌舞伎版『刀剣乱舞』鷹之資さんの同田貫。
『歌右衛門の疎開』 山川静夫 自宅を引越すにあたって手持ちの本を整理するから〜という友人の好意に甘えて譲りうけたもの。もともと古本で入手したものとかで、頁の端は茶色く焼けていて、手に取るだけで、ちょっとノスタルジックな気分が湧いてくる。 そして頁を捲るごとに見えてくるのは、セピア色の画面に浮かぶ、懐かしく、慕わしき人…
『不忠臣蔵』 井上ひさし 世に名高い『忠臣蔵』。華々しく語り継がれる赤穂浪士による吉良邸討入の陰に、一度は義盟に名を連ねながら、自らの意志で、あるいは運命の巡りあわせによって脱盟していった者たちがいた。世に不義士と呼ばれることとなった者たちの真実を語る銘々伝。 語り手は不義士本人であったり、縁ある人物であったり、ただ…
『月と散文』 又吉直樹 又吉さんの言葉への感受性の鋭さとこだわりがぎゅうぎゅうつまった一冊。 「鋭さ」とは言ったけど、それは鋭利なナイフの切れ味というよりは、鉈でザクっといく重さを含んでいて・・・。 さて、ここで、「ナイフ」じゃなくて「鉈」だと感じたってのはどういうことなのか書かなきゃいけないわけだけども、そのた…
『漱石と日本の近代』 石原千秋 漱石の書く主人公たちを理解したい。そのために明治という時代について勉強しなきゃと思い立ち、明治維新についての新書を一冊読んでみたものの、「こりゃあんまり遠回りだ」と気が遠くなったので、今度は一気に近道を行ってみるつもりでこちらを読んでみた。漱石作品の主人公たちと彼らが生きる日本近代社会につ…
『江戸東京の明治維新』 横山百合子 この夏、『坊ちゃん』『三四郎』『それから』『門』と夏目漱石の小説を読んで、明治という時代のことを勉強せねばと思ったので、まずは手軽に読めそうな新書から。 『三四郎』の中に「明治十五年までの生まれの者とそれ以降の生まれの者ではものの見方、考え方が随分…
『金色の獣、彼方に向かう』 恒川光太郎 恒川光太郎の語る怪異はいつも私の予想を裏切り、越えてくる。今作に語られる「神」も、私のイメージする神というものの姿とは何か異質なものだった。 蒙古の襲来とともにこの国に渡って来た異神。神の力と繋がる金色の獣。人々の虐殺から逃れ、人々を虐殺し、山中に紛れ潜んで今も息づく神の力。 …
『門』 夏目漱石 『三四郎』『それから』に続き、またも恋愛問題である。私、こと恋愛に関してはまったく不甲斐ないので、恋愛きっかけで何か人生が変わっちゃうとか、正直よくわからない。『黒い長い髪で縛られた時の心持ち』なんて知らない。 主人公・宗助はその心持ちを知る人なのだ。彼は資産家の子弟らしく得意満面…
昨日届いた 昨晩はサービスでつけてもらったビニールカバーを被せながらついつい読み耽ってしまい、気がついたら午前二時。 さて、次はイラスト集を。
『それから』 夏目漱石 そういえば、『高等遊民』っていう言葉があったなぁ。主人公の代助はまさにその『高等遊民』といわれる人である。 代助は世事に煩わされることのない高みから、その恵まれた環境で養われた知性と感性で、人がかたちづくる社会というものの正体だとか、人間という存在の意味や本質といったものを見通している。傍から…
にわかの私が最終日の上映を観に行ってもいいもんだろうか? 最終日ってのはもっとガチの人たちの為にあるのではないか? という遠慮を口にしながらも、本心では行くと決めていたのだ。
『SLAM DUNK』とともに熱い夏が終わる・・・ 3月の京都旅最初の夜に、「話題になってるし観ておこうか」くらいの興味と、これから始まる旅の景気づけのつもりで『THE FIRST SLAM DUNK』観たときには、まだこんなことになるとは予想してなかった。 7月に入っての猛烈な暑さに気力と体力を削がれてヨロヨロになる中、「何かガツンと気合の入るものを摂取せねば」と二度目の鑑賞。1回目に観た時よりも面白かった。 …
『三四郎』 夏目漱石 この十年くらい、テクノロジーの進歩や社会の変化のスピードがあまりに早くて心が追いつかない。社会っていうのは人間が形作っているものだろうに、社会の方が人間を置いてきぼりにするってのは一体どういうことなんだろう? と思いながら、愚痴ばかり言っててもしょうがないので、ゼェゼェ息を切らしながら社会の変化を追…
『坊ちゃん』 夏目漱石 おおよそのストーリーを知っているもので、てっきり昔読んだことがあるのだと思い込んでいたのだが、実際には読んだことはなくて、あらすじや、各場面の話を目や耳にすることがあんまり多いもので、何だか読んだ気になってただけらしい。 で、実際に読んでみると、快男児の痛快青春小説のように思い込んでいたイメー…
『グッド・バイ』 太宰治 森見登美彦氏が太宰の傑作選『奇想と微笑』を編んで、『これはもう恐怖小説である』と言った、その気持ちがちょっとわかる。 よくぞまぁ、ここまで書ききったと思うほどの「男女同権」の女たちの意地悪さ、恐ろしさ、悪…
今年の夏は明治〜昭和の文豪の作品を読もうと思っている。私が学生時代を過ごした昭和の夏休み気分に浸ろう(そして、学生時代に読んどくべきだった名作を読もう)という目論見。 それで、今、夏目漱石の『坊ちゃん』を読んでいます。 「坊ちゃん」と言えば、乱暴だけれども、真っ直ぐな気性の好漢・・・っていうイメージだったんだけど、今読んでるとこまでだと、坊ちゃん、ちょっと嫌な奴です。
『津軽』 太宰治 三浦しをんさんの本読みエッセイ『本屋さんで待ち合わせ』を読んで、「ああ、私も太宰の『津軽』を読んで身悶え、のたうち回ってみたい。」と思ってからもう何年になるんだろう。私は「読みたい」と思ってから実際に読むまでにものす…