サンショウウオの四十九日 - 朝比奈秋 (文藝春秋2024年9月号)
2025年上半期の芥川賞は2作品が受賞。そのひとつめです。胎児内胎児という不思議な出生を持った男が主人公、かと思いきや、なにか語り口が不自然。この違和感はどこから来るのだろう?と思いながら読み進めると、語り手が二人いた、そして語り手の彼女らは、結合双生児でした。非現実的な舞台設定から、意識の存在を巡って話は進みます。語り手の交代が頻出するのでそれに混乱させられますが、それもまたこの小説の面白さのひとつでしょうか。わたしの場合、文藝春秋の読み方は、まず最初に作品を読む。次いで受賞者インタビューを読む、最後に選評を読む、という順です。作品を読み終えたときに、こりゃぜったい平野啓一郎の推し作品だな、と確信してたのですが、選評を読むとあら意外、平野啓一郎はこの作品には厳しいコメントしてました。川上弘美がこの作品を...サンショウウオの四十九日-朝比奈秋(文藝春秋2024年9月号)
2024/08/31 05:29