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『華麗なる週末』(69)(1980.11.10.月曜ロードショー)(2014.2.12.フィルムセンター)この映画は、スティーブ・マックィーンの出演作の中では異色作となるだろう。お得意のアクションシーンはほとんどなく、主人公の少年ルーカス(ミッチ・ボーゲル)を大人の世界へといざなう、ちょっと悪くて愉快な使用人のブーンという男を演じているからだ。そして、いつものハードな作品内にもちらっと見られる茶目っ気が、この映画ではふんだんに発揮され(特に、新車の黄色いウィントンフライヤーを初めて見た時の表情がいい)、彼の意外な一面を見る思いがした。ウィリアム・フォークナーの『自動車泥棒』を原作とするこの映画は、米開拓末期のミシシッピ周辺を舞台に、大人になったルーカスの回想という形で進行するハートウォームなドラマだが、ル...『華麗なる週末』
1972年にフランス政府給費留学生試験なるものを受けたら、運よく合格。26歳の時にパリの高等師範学校(エコールノルマルシューペリウール)とパリ第四大学大学院に在籍することになった。印象派の美術館オランジュリやルーブル美術館にしばしば歩いて通ううちに、ゴッホやレンブラントの絵画に魂を奪われるような体験をした。絵の前に立ち尽くし、原画が奥深い魅力を秘めていることを知った。画布の奥から画家の精神の息遣いというのか、声のようなものが聞こえてくるではないか。別世界に連れ去られてゆくような、生々しくもある経験を何度かした。東京にいたときは、絵は教養のため、また珍しい光景や美を味わうためだけのものだったのだ…