切り刻んだ 浅い傷から 流れる血の 嘘の匂いは媚薬 繰り返される 子守歌は 偽りの記憶に まみれて じっとりとした 薄闇に 戯れあう 心あらず
鋭い視線は揺ぎ無く 卑屈な目で見返した 昔恋したあの人に似ていた 眼差しも 向き合い発する言葉も 胸の痛みをおぼえるほど誠実で 好きという思いは伝えない 対等ではないから 釣り合わない 傷つくのが怖くて 目に映る世界が違う 私達は違う種類の人間 世慣れした振舞いと 物言いに...
子供を抱え肋骨を折ったことを 懐かし気に笑いながらあなたは口にした 楽しかったことも過去にあったのだと 複雑な思いでじっと見つめる その思い出だけで救われる瞬間がある 私が傍にいるのを忘れている 横たわり愉快そうに憂いは吹き飛び 窓からの陽光が笑顔を際立たせている 存在が遠...
自分を愛することを 自分を大切にすることを できない腹いせに 幾人をも傷つけた 鏡を見ることが出来ずにいた 綺麗になりたかった 望んだのはそれだけだった 美しくもない女が堂々と彼女面を している許せなさに 彼を奪った けれど心は癒されず 自分を大切にできれば あなたはそれだ...
思い出を語る時の 遠い目に惹かれてた 奇妙な季節だった 誰も介在しない 私達だけの世界 あなたの不孝を 他人事と受け流す 心が凍って血が流れぬように 寄り添って眠っても しょせんは赤の他人 馴れ合うふりをはじめても 互いの胸の血の雫には触れず 遊びの恋の流儀 子供の画像に微...
「本当は強いんだから」 別れ際にあなたは言った 微かな微笑みを眼差しと唇に浮かべて 弱さを売りにして引き留めてきたつもりが 見え透いていた いつでもいつだって 「幸せ祈ってるから頑張れ」 素っ気なくあなたは言う 付き合い始めの言葉を覚えている? 「ずいぶん傷ついてきたんだね...
横殴りの雨 怯えた猫が擦り寄る 雷の音が鳴る 雨戸を閉めきった部屋で目を閉じる 大丈夫 ここは千年の都 台風を怖がったのは はるか娘の頃 座った椅子が突き上げて 壁が鳴る電気が消える 地獄をかわして婚約したことに僻んでる生霊 それははるか昔 捕った男の女 きっと生きてない...
振られた腹いせに飲んだ薬のガラス瓶 その破片で切り損ねた手首に滲む血は赤く 命を落とすことを怖いとは思わずに 勢いでやるもう出来ない若気の至り あなたは日付が変わればもう頭を切り替えて 違う女の人を探してる 最後の悪あがき ステレオタイプの幸せな未来 あなたなら手に入る や...
駅へと泣きながら歩いた あなたの後ろを足をふらつかせて 夏に出会って秋に捨てられる 惨めさと悔しさで声をしゃくりあげるように 「まっすぐ歩け」 捨てる側のあなたは言う 駅に着いたら永遠のお別れ 今ここにいるあなたは私の世界から消えてしまう 「遊んでただけどろう、俺たち」 な...
原因不明の高熱が私を包む きっとまた精神的なものなのだろう 考えすぎのこの頭が 自律神経を狂わせ体を沸騰させる 考えても仕方のないことを とうに終わったやり直せないことを もはや明日に期待できない年齢になっても 繰り返し思い出す 解熱剤の効かないのぼせた頭で 考えるな かつ...
一人でどうやって生きていけばいい? あなたに去られて呆然と立ちすくむ 手首を刃でかすめた跡に血が滲む 空は切なくなるほどオレンジ色に染まって 今すぐあなたの傍に帰りたい 夜になるまで 割り切った大人の女のように 振舞おうとした どこまで見抜かれていたのか 夕焼け色に染まっ...
誘惑にあなたは容易く応じる 抱かれて涙が流れるのはなぜ ただ黙って震わせた背中を撫でてくれる 強がりがその優しい手の感触に溶けていく 好きだと言わない私に自己防衛かと詰め寄る 傷つくのが怖い症候群 本当の私を知られたくない 本当の私を見てほしい あなたの前で決して泣きはなし...
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切り刻んだ 浅い傷から 流れる血の 嘘の匂いは媚薬 繰り返される 子守歌は 偽りの記憶に まみれて じっとりとした 薄闇に 戯れあう 心あらず
夢を見ていた 明けない永遠の夜彷徨った 目が覚めても過去の中 それでも今日を生きようと 重い体引きずって 部屋を射す陽光に手を伸ばした 忘れなくても許して 考えすぎに楔を打てば なんとかほら生きられる けれど幸せだった昔に帰りたい 独りぼっちは嫌だと 暮れゆく空の下泣いた
Don't open your mouth anymore 果てしない不幸の連鎖に遠い目をして 独りを選択しても 愛されることを欲する 乾いた心でも 求めるものは…… 失ったたくさんのもの数えてる 取り戻そうとやっきになる 見苦しくても 飢えた心を満たそうと 利用できる人間...
自分より頭のいい女から男を奪い取った時の優越感に浸り 自分より弱い女から男に会いたいという電話がかかってきた優越感に浸り 自分より歳をとった女から男に好きだとメールが着た優越感に浸り あげく彼ら全員から結局愛されてはいないと知っても あの女達に感じた優越感だけは忘れない そ...
白塗りに真っ赤な口紅 嘲笑のなかを君は泳ぐ 夜空を照らすネオンの洪水 虫のように惹きつけられ 別人になりたがってるの 服や化粧じゃごまかせないよ 見透かす輩が つけこんでくるね 気が付かないほど鈍くはないだろう 欲望の渦巻く夜を彷徨う危険な冒険 若いだけで 居場所を与えられ...
Don't make a soft voice そっと言い聞かせる詭弁に張りつめる 心も頬も凍り付いて under the moonlight 手首からうっすらと滲む 暗い血に走るその視線 悪者にならず切り捨てようと卑怯なやり口 それでも友達でもとすがりつく プライドを捨て...
「美しい人には美しいものを」 たくさんの花で 彩られたその顔 死の腐臭漂って あなたを損なう前に 白い服が 業も罪も包み消していくよ 唇はうっすらと 微笑んでいるよう 校歌の斉唱に胸がちぎれる 踵をかえしてこの場を去る もう見ていられないから あなたを 遠い遠い昔を思う 来...
あなたの手慣れた優しさと失望の物語に 背伸びして大人の女のふりをする私は 簡単に落とされて コントロールされていく 痩せこけた体求められる陶酔に なにが目当てか疑いもせずなついてしまう 俺が好きなら 尽くせという本音受け入れ 愛だの恋だのくだらない 強がりが砕け散る 自分を...
綺麗になりたい願いを込めて さす口紅の赤が鏡に映る 毒々しく光るその色に ついていけない貌は暗く 鏡の傍見つめてるあなた ティッシュで口を拭う私をふっと笑う 滑稽でしょう あなたの代わり探して 他の誰かを探して化粧する 自分からは 振らないと残酷な優しさ いっそ出会わなけれ...
空は高く秋の訪れを知らせ 下を向いて歩く顔を上げる 遠ざかる夏の眩しい太陽 あれから幾度目の季節を繰り返す あの頃誰にも言えない過去を告白した あなたは口角を上げて笑みを浮かべた わかってもらおうなんて 期待しなければ その笑みに心を抉られることもなかったよ 傷を背負う 墓...
自分を大切に 今まで何度も言われた台詞 自覚のないまま その言葉が胸に刺さる 自己愛とプライドの高さと卑屈さの矛盾 スペックを積み上げ 劣等感を潰す 自分を大切に なぜ忠告されるのか きっと彼らは見抜いている 優しくしてくる男についていく弱さ 所長は言う 心の中に何があるの...
取り繕う術も知らず 自分をむき出しにして生きる 傷つきたく ないのに 純粋なんだよ 皆わかってるよ 貴方の言葉が空しく響く 未熟なだけ 愚かなだけ そんないいものじゃない Don't think Don't think Don't think Don't think too...
目覚めたとたん 過去が脳内再生される 逃げ場はない 支配された頭 薬で鈍らせる 残された死に至るまでの日々 誰か鎖をほどいて自由にしてほしい 散らかった部屋 死人のように横たわる カーテン越しに陽射しが顔を射す 嫌がらせのように 瞼閉じて 何も考えるなと心の声 眠りの底 ...
これから どうしたい 穏やかな声で あなたは言う 戸惑い 言葉は出ない 同情じゃない そっと腕を伸ばす 窓の外 月が浮かんで やっと孤独から 逃れられる真夜中 涙が胸のうちを流れて 独りきりにさよならを 静寂のなか二人きり たとえ愛じゃなても
夜中にあなたは過ぎ去った昔を語りはじめる 癒えない裏切りの記憶 声にする度に心に刻まれていくのだ 楽しかった思い出 神輿を外された痛み 途切れないその独りごとは 私の心に入ってくる 気が重くなる 眠りたいだけなのに 不幸話に引きずられていく 思いつくまま語るのはやめて 暗闇...
プライドがひとひら、あしもとに舞い落ちた。 思わずかかんで拾い集めようとする私に、 男は「いいじゃん」と言う。 「月美ちゃん最近、感情表現が豊かになったやん。 本読むのなんかやめてさ、好きな男のことでも考えてろよ」 軽蔑の冷笑を口の中に隠す。この男は金目当てに私を狙ってい...
Do not say anything 諭すように私の落ち度を言い聞かせる ずるい人と涙を流しても I fall silent at your smile その目の奥に 映るものは 引き留める術はなくただ見つめてる 夏の終わり突然の別れ途方に暮れる 頭を過る罵倒語が 空しく...
堕ちていく もがきながら 女達を狂わせて 睡眠薬を飴玉のように 悪夢を見ないように 夜の底 疲れ切って 犯した罰と罪を 夢から逃れ朝に我に返る 一度きりの人生 いつ死んでも一緒 成功を夢見入る 犠牲の女達の愛まで欲しながら 欲望の底なし沼 何もかもを欲しがり手を伸ばす
あなたの 差し出す腕に このままずっと すがりつけたい 望みは儚なく 理想を求め あなたは去る 本当は 強いんだから そう言い残して 今はただ眠ろう There is a future 陽が沈んでいく There is a future 一滴の希望を手に 癒えない傷を わか...
Can’t cry 泣かない どんな時も涙は出ない あなたとの別れ際 Unexpectedly, tears came out 冷静に見つめられて 女の涙は無力 友達でとさえ見苦しく口にする 黙って頭を振る 困った顔 手首からは血を流し 惨めさに取りつかれる My pri...
顔を変えるの あなたを愛してると口にしても 誰も笑わない顔に 自分を闇で売った金をつぎ込んで つぎ込んでも 米粒のような眼はメスでくっきり刻んだ二重瞼に負け 鼻が長いのはどうしようもなく 顔中の黒子を取っても友達さえ気が付かない 普通より少し綺麗にしかなれなかった私は あな...
原稿用紙120枚ほどの中編小説をKINDLEより自費出版しました。よろしくお願いします
貴方は私の両頬を包み 余裕めいた微笑を浮べて現実から連れ出す その腕に抱かれて眠りに落ちていく 傷つくことを恐れ身構える癖は溶けて この身を委ねるのを永遠に願う どうか何も話さないで 夜が連れてくる過去の物語など聞きたくない ぽつり漏らす言葉は癒えない傷の羅列 わかって欲し...
行って 友達に格下げして繋ぎとめようなんて許さない 私のプライドは恋より尊い 行かないで その気配さえ感じられなくなるなんて すがりたい気持ちを必死に隠してる 私を愛してないのは知ってるわ そんなのはお互い様 互いに過去の傷を癒したいだけ 孤独から逃れたい二人 信じあうには...
冬の空 冷たい青さに 思い出す 慰められた日 忘れていた 下を向いていて そうね アスファルトに映る 私の昔の影 消せないままでも つきまとわれても 眩い陽射しが 足元 照らす
差しのべた腕にしがみつくように 閉じた瞼から涙がひとしずく 悪い夢にうなされ首を横に振る 犯した愚行がどこまでも追いかけて 言葉を尽くしても通じない孤独を抱えてる 過ぎた過去など葬りさればいい 私のぬくもりを失う不安に駆られる それだけの過ちを抱えた孤独は底なし 語られない...
ママ 黒人警官たちに暴行される黒人が叫んだ テレビ画面の向こう側で その声が 愛や恋のポエムを書こうとしていた私を 我に返らせ 一縷の涙が胸からこぼれて
怒りを胸のなかに飼っていた 初めは それは世間から隠しおおせるほど小さかった 私が大人になるにつれて怒りは少しづつ成長し ろうそくの火が部屋中に燃え広がるように この胸を焼き焦がし 全身を包んだ 怒りは私そのものになり 眉間に 頬の強張りに 口元に 至るところにくっきりと刻...
美貌が身上の女は若さが陰っても 惚れた男に貢いで今は俺に夢中 昼間でも夜でも輝けるのに 楽がしたいだけ俺は暇つぶし 服が欲しくて街に迷い込んだ 冴えない女を搾取しようと 暖かい仕事の話に嘘を織り込む 鼻で笑う女は地味キャラが身上 リングキーに合鍵がジャラジャラ それでもお...
お久しぶりです。一昨日、にほんブログ村で発表した59編の詩を「Lost Love」というタイトル、美月小夜というペンネームで、自費出版でKINDLEから出版しました。よろしければお手にとってご一読ください。よろしくお願いします。 月美
囚人馬車が駆ける 地を蹴る蹄の音が夜に響く 女が乗っている 虚ろな目で私を招いてる 次はあなたの番 かすかに開いた唇が語る 同情して引きずられたのは若かったせい 病院の前 広がる沼地を指さす女 嬰児の金切り声 炎に焼かれるように 浮島に咲く 白い社若はささやかな供え物 あの...