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  • 虚飾の闇

    切り刻んだ 浅い傷から 流れる血の 嘘の匂いは媚薬 繰り返される 子守歌は 偽りの記憶に まみれて じっとりとした 薄闇に 戯れあう 心あらず

  • 夜ごとの夢

    夢を見ていた 明けない永遠の夜彷徨った 目が覚めても過去の中 それでも今日を生きようと 重い体引きずって 部屋を射す陽光に手を伸ばした 忘れなくても許して 考えすぎに楔を打てば なんとかほら生きられる けれど幸せだった昔に帰りたい 独りぼっちは嫌だと 暮れゆく空の下泣いた

  • Don't open your mouth anymore…

    Don't open your mouth anymore 果てしない不幸の連鎖に遠い目をして 独りを選択しても 愛されることを欲する 乾いた心でも 求めるものは…… 失ったたくさんのもの数えてる 取り戻そうとやっきになる 見苦しくても 飢えた心を満たそうと 利用できる人間...

  • 卑屈

    自分より頭のいい女から男を奪い取った時の優越感に浸り 自分より弱い女から男に会いたいという電話がかかってきた優越感に浸り 自分より歳をとった女から男に好きだとメールが着た優越感に浸り あげく彼ら全員から結局愛されてはいないと知っても あの女達に感じた優越感だけは忘れない そ...

  • Butterfly in the night

    白塗りに真っ赤な口紅 嘲笑のなかを君は泳ぐ 夜空を照らすネオンの洪水 虫のように惹きつけられ 別人になりたがってるの 服や化粧じゃごまかせないよ 見透かす輩が つけこんでくるね 気が付かないほど鈍くはないだろう 欲望の渦巻く夜を彷徨う危険な冒険 若いだけで 居場所を与えられ...

  • Was there love?

    Don't make a soft voice そっと言い聞かせる詭弁に張りつめる 心も頬も凍り付いて under the moonlight 手首からうっすらと滲む 暗い血に走るその視線 悪者にならず切り捨てようと卑怯なやり口 それでも友達でもとすがりつく プライドを捨て...

  • 花びら

    「美しい人には美しいものを」 たくさんの花で 彩られたその顔 死の腐臭漂って あなたを損なう前に 白い服が 業も罪も包み消していくよ 唇はうっすらと 微笑んでいるよう 校歌の斉唱に胸がちぎれる 踵をかえしてこの場を去る もう見ていられないから あなたを 遠い遠い昔を思う 来...

  • The foolish truth is exposed

    あなたの手慣れた優しさと失望の物語に 背伸びして大人の女のふりをする私は 簡単に落とされて コントロールされていく 痩せこけた体求められる陶酔に なにが目当てか疑いもせずなついてしまう 俺が好きなら 尽くせという本音受け入れ 愛だの恋だのくだらない 強がりが砕け散る 自分を...

  • 口紅

    綺麗になりたい願いを込めて さす口紅の赤が鏡に映る 毒々しく光るその色に ついていけない貌は暗く 鏡の傍見つめてるあなた ティッシュで口を拭う私をふっと笑う 滑稽でしょう あなたの代わり探して 他の誰かを探して化粧する 自分からは 振らないと残酷な優しさ いっそ出会わなけれ...

  • 空高く

    空は高く秋の訪れを知らせ 下を向いて歩く顔を上げる 遠ざかる夏の眩しい太陽 あれから幾度目の季節を繰り返す あの頃誰にも言えない過去を告白した あなたは口角を上げて笑みを浮かべた わかってもらおうなんて 期待しなければ その笑みに心を抉られることもなかったよ 傷を背負う 墓...

  • 自分を大切に

    自分を大切に 今まで何度も言われた台詞 自覚のないまま その言葉が胸に刺さる 自己愛とプライドの高さと卑屈さの矛盾 スペックを積み上げ 劣等感を潰す 自分を大切に なぜ忠告されるのか きっと彼らは見抜いている 優しくしてくる男についていく弱さ 所長は言う 心の中に何があるの...

  • Don't think

    取り繕う術も知らず 自分をむき出しにして生きる 傷つきたく ないのに 純粋なんだよ 皆わかってるよ 貴方の言葉が空しく響く 未熟なだけ 愚かなだけ そんないいものじゃない Don't think Don't think Don't think Don't think too...

  • 憎しみ

    目覚めたとたん 過去が脳内再生される 逃げ場はない 支配された頭 薬で鈍らせる 残された死に至るまでの日々 誰か鎖をほどいて自由にしてほしい 散らかった部屋 死人のように横たわる カーテン越しに陽射しが顔を射す 嫌がらせのように 瞼閉じて 何も考えるなと心の声 眠りの底 ...

  • ある真夜中に

    これから どうしたい 穏やかな声で あなたは言う 戸惑い 言葉は出ない 同情じゃない そっと腕を伸ばす 窓の外 月が浮かんで やっと孤独から 逃れられる真夜中 涙が胸のうちを流れて 独りきりにさよならを 静寂のなか二人きり たとえ愛じゃなても

  • とめどない独り言

    夜中にあなたは過ぎ去った昔を語りはじめる 癒えない裏切りの記憶 声にする度に心に刻まれていくのだ 楽しかった思い出 神輿を外された痛み 途切れないその独りごとは 私の心に入ってくる 気が重くなる 眠りたいだけなのに 不幸話に引きずられていく 思いつくまま語るのはやめて 暗闇...

  • プライドが服を着て寂しさに震えてる

    プライドがひとひら、あしもとに舞い落ちた。 思わずかかんで拾い集めようとする私に、 男は「いいじゃん」と言う。 「月美ちゃん最近、感情表現が豊かになったやん。 本読むのなんかやめてさ、好きな男のことでも考えてろよ」 軽蔑の冷笑を口の中に隠す。この男は金目当てに私を狙ってい...

  • obvious ending

    Do not say anything 諭すように私の落ち度を言い聞かせる ずるい人と涙を流しても I fall silent at your smile その目の奥に 映るものは 引き留める術はなくただ見つめてる 夏の終わり突然の別れ途方に暮れる 頭を過る罵倒語が 空しく...

  • 欲望

    堕ちていく もがきながら 女達を狂わせて 睡眠薬を飴玉のように 悪夢を見ないように 夜の底 疲れ切って 犯した罰と罪を 夢から逃れ朝に我に返る 一度きりの人生 いつ死んでも一緒 成功を夢見入る 犠牲の女達の愛まで欲しながら 欲望の底なし沼 何もかもを欲しがり手を伸ばす

  • There is a future

    あなたの 差し出す腕に このままずっと すがりつけたい 望みは儚なく 理想を求め あなたは去る 本当は 強いんだから そう言い残して 今はただ眠ろう There is a future 陽が沈んでいく There is a future 一滴の希望を手に 癒えない傷を わか...

  • Can't cry

    Can’t cry 泣かない どんな時も涙は出ない あなたとの別れ際 Unexpectedly, tears came out 冷静に見つめられて 女の涙は無力 友達でとさえ見苦しく口にする 黙って頭を振る 困った顔 手首からは血を流し 惨めさに取りつかれる My pri...

  • We have a distorted relationship

    Don’t talk your past 錠剤を口に放りながら フロントガラス越しに映る景色を見る It's your dream that is over 荒んだ心に流れる 温かい血のように あなたは嘘に暖かい真実を織り交ぜる 三日が百日にも思えたことはあるかい 女を騙し...

  • オニキスの瞳

    Your eyes with no light shining through them look extremely cold 声をあげて流す涙も あなたを引き留めはしない その冷静な眼差しの端に映る 醜態を晒す捨てられゆく女 きっと顎を上げあなたを直視する 凛として去っ...

  • 若かった頃

    さあ 眠るよ ベッドに私を誘う マットレスであなたの傍に体を横たえ 失った家族の話を 私を通り越して遠くを見ながら呟く 「あいつは子供が嫌いだったんだなあ。自分の子供だからまだ……」 黙って聞き流そうとする 結婚などしたことのない私にはわからない 子供がいるゆえの別れても切...

  • 生贄

    おとなしそうな顔 垂れた眉毛 目尻 潤んだ瞳 笑うと一新する三日月の目 口角の上がった唇 それは幾人かの男たちを惹きつけて 私はいい気になりつつ 無表情では美しくもない貌を鏡から逸らし俯く 綺麗な貌の貴方との恋が周囲に認められなかった日々は傷になり 整形を繰り返す かとって...

  • 一夜

    憂いに満ちた表情 おどおどと貴方を盗み見る 己の美貌を心得てる貴方は ためらいがちに私を誘う 目を合わせられない私に黙って横を向く 頬杖をついて 未成年から脱したばかりの子供を試す 踊りに誘う おずおずと手を伸ばす 泣きそうな気分になる 罪を犯そうとしている 遥かに大人の...

  • 背伸び

    無邪気な笑顔で 幾人かの男たちの「お気に入り」だった少女時代 それに尻尾をふっていた 犬のような私 大人の年齢を迎え私のなかで女が芽生えていく そうしてあなたに出会う 私は誘う あなたは応じる 「浮気してもいい?」 ことの後で放たれる台詞 一度抱かれただけの私に おかしなこ...

  • R.I.P 美しい人

    自身の醜さで鏡も見れない女子高生の前に現れた あなたは凄まじく綺麗にパッケージされて それから幾度整形を繰り返しても あなたには遥か遠くおよびはしない 美しいということ 驚くほど美しいということ 唯一無二の美貌だということ どんな努力も どんな才能も その前には無力な気がし...

  • SNSに次から次へと流れてくる 弱って傷ついた野良犬が拾われて 世話をされあっという間になつく動画 それは私そのもので胸が痛みます 「可愛い」の一言で 二、三度かまってもらっただけで すぐになついた 誘われれば断りもせず駆けつけ 言いなりになった 犬のように 若さの終わりに...

  • 宗教

    礼拝堂でシスターの朗読する聖書の言葉は 心に刺さることなく右から左へ耳をすり抜け 理由もわからぬままに ただ外見の美を願ってた 「君は純粋なんだよ」 皆わかってるよ、と男は言う 「君は悲観的なもので覆われているんだ。そのままの状態で死んだら生まれ変わった時…」 すがりそうに...

  • あれから

    あれからどれだけの年月が過ぎて ようやくもう聞こえない その甘い声優しい言葉 けれどまだ 私を捨てた時の あの優しい声残酷な言葉が 時折頭の中で響いて まだあの日にいる まだあなたの声を聞いている

  • 性悪

    夜の街をふらついていた時 近づいてきた女が 私に気を許したのか 自分の不孝を語り出した 兄に射たずらされたこと その兄は九人の子供をつくり借金し マンションの四回から飛び降りて自殺したこと 「よくやったと思うで」 女は小さく笑った 幸せな環境に育った私はその女がうっとうしく...

  • 望み

    君のしたいことは何と聞かれたら 恋愛がしたいと思うけど 傷つかずにいられないなら 何も欲しいと思わない お前はどうしたいと言われたら 結婚がしたいと思うけど あなたと結ばれても 不幸になる予感がよぎるだけ

  • 告白

    その鋭い眼差しで私を見つめ上げ 「あいつとつきあってくれませんか」と あなたは言う あいつはあなたの部下 業界に合わない地味な男 私に似合いの あなたと似てもにつかない 床に肘をついて椅子に座る私に下から なぜ断るのか理由を聞く 言えない あなたが好きだなんて 「あなたは本...

  • 金木犀

    夏の気配が消えていく 金木犀の香りが漂う 消えてしまいたいと願うくらい 繰り返すあの痛みも薄れていく 穏やかな秋の風が漂う この胸を流れる血も吹き去って それでも若き日は懐かしくて あなたの声が聞こえるようで

  • 月光

    誰も信じるな あなたは言う 瞼を閉じて うっすら微笑 未熟な私は性善説を唱えだす 「かもな」とあなた なだめるように 世間知らずが寄り添い願う 愛する人の言葉受け止めたい 窓の外レース越しの月光 か細く頼りなく二人を照らす

  • 若い女

    嫉妬で揺らめく胸の炎が見えたでしょう あなたが微笑みかけたから 若い女に かつては私にもそんな頃があった なんてそれは 嘘 私に綺麗だった時はない 整形を重ねても 思い出せば苦しくて 悔しくて あなたが若い女に近づくのはわかってた 引き留めるほどの武器はもう持ってないから...

  • 無傷

    傷つかないように恋をした 苦しめたくないと言うあなたと それは恋の遊びにすぎない それでも傷つきたくないそれが一番で 月日が流れて思うのは 幸せになる勇気があれば 伸ばして下したこの小さな手を そっと離してあなたは行く

  • あるべき姿

    あるべき姿であるために 学生時代に恋をしようと 人の彼を奪った あるべき姿であるために 頭のいい人間に見せようと 学歴ロンダリングをした あるべき姿であるために 小奇麗にする金を得ようと 夜のネオンの蝶になった あるべき姿であるために 世間体のいい仕事に就こうと やりたいこ...

  • 近づきたい

    鋭い視線は揺ぎ無く 卑屈な目で見返した 昔恋したあの人に似ていた 眼差しも 向き合い発する言葉も 胸の痛みをおぼえるほど誠実で 好きという思いは伝えない 対等ではないから 釣り合わない 傷つくのが怖くて 目に映る世界が違う 私達は違う種類の人間 世慣れした振舞いと 物言いに...

  • 遠いあなた

    子供を抱え肋骨を折ったことを 懐かし気に笑いながらあなたは口にした 楽しかったことも過去にあったのだと 複雑な思いでじっと見つめる その思い出だけで救われる瞬間がある 私が傍にいるのを忘れている 横たわり愉快そうに憂いは吹き飛び 窓からの陽光が笑顔を際立たせている 存在が遠...

  • 自分への愛

    自分を愛することを 自分を大切にすることを できない腹いせに 幾人をも傷つけた 鏡を見ることが出来ずにいた 綺麗になりたかった 望んだのはそれだけだった 美しくもない女が堂々と彼女面を している許せなさに 彼を奪った けれど心は癒されず 自分を大切にできれば あなたはそれだ...

  • 奇妙な季節

    思い出を語る時の 遠い目に惹かれてた 奇妙な季節だった 誰も介在しない 私達だけの世界 あなたの不孝を 他人事と受け流す 心が凍って血が流れぬように 寄り添って眠っても しょせんは赤の他人 馴れ合うふりをはじめても 互いの胸の血の雫には触れず 遊びの恋の流儀 子供の画像に微...

  • 偽善者

    「本当は強いんだから」 別れ際にあなたは言った 微かな微笑みを眼差しと唇に浮かべて 弱さを売りにして引き留めてきたつもりが 見え透いていた いつでもいつだって 「幸せ祈ってるから頑張れ」 素っ気なくあなたは言う 付き合い始めの言葉を覚えている? 「ずいぶん傷ついてきたんだね...

  • 横殴りの雨 怯えた猫が擦り寄る 雷の音が鳴る 雨戸を閉めきった部屋で目を閉じる 大丈夫 ここは千年の都 台風を怖がったのは はるか娘の頃 座った椅子が突き上げて 壁が鳴る電気が消える 地獄をかわして婚約したことに僻んでる生霊 それははるか昔 捕った男の女 きっと生きてない...

  • はじまりの終わり

    振られた腹いせに飲んだ薬のガラス瓶 その破片で切り損ねた手首に滲む血は赤く 命を落とすことを怖いとは思わずに 勢いでやるもう出来ない若気の至り あなたは日付が変わればもう頭を切り替えて 違う女の人を探してる 最後の悪あがき ステレオタイプの幸せな未来 あなたなら手に入る や...

  • 夏の終わり

    駅へと泣きながら歩いた あなたの後ろを足をふらつかせて 夏に出会って秋に捨てられる 惨めさと悔しさで声をしゃくりあげるように 「まっすぐ歩け」 捨てる側のあなたは言う 駅に着いたら永遠のお別れ 今ここにいるあなたは私の世界から消えてしまう 「遊んでただけどろう、俺たち」 な...

  • 原因不明の高熱が私を包む きっとまた精神的なものなのだろう 考えすぎのこの頭が 自律神経を狂わせ体を沸騰させる 考えても仕方のないことを とうに終わったやり直せないことを もはや明日に期待できない年齢になっても 繰り返し思い出す 解熱剤の効かないのぼせた頭で 考えるな かつ...

  • オレンジ色の夕焼け

    一人でどうやって生きていけばいい? あなたに去られて呆然と立ちすくむ 手首を刃でかすめた跡に血が滲む 空は切なくなるほどオレンジ色に染まって 今すぐあなたの傍に帰りたい 夜になるまで 割り切った大人の女のように 振舞おうとした どこまで見抜かれていたのか 夕焼け色に染まっ...

  • 女たらし

    誘惑にあなたは容易く応じる 抱かれて涙が流れるのはなぜ ただ黙って震わせた背中を撫でてくれる 強がりがその優しい手の感触に溶けていく 好きだと言わない私に自己防衛かと詰め寄る 傷つくのが怖い症候群 本当の私を知られたくない 本当の私を見てほしい あなたの前で決して泣きはなし...

  • 振り返る

    あれから長い歳月が過ぎて 魚の骨が喉に刺さったように あなたに捨てられた痛みが 時折いまだチクチクと刺す ずっと根に持っていた 寂しい自信のない若いだけの私を 惚れさせてあっさり捨てたあなた 時を経てようやく知る 自分を大事にしない女を男は大事にしない そして 自分を愛せな...

  • 放蕩

    未熟さに割り切れず遊びなれたあなたに愛を求めた 孤独を抱えたあなたもぬくもりを求めて 互いの業が夜に溶けていく 過去に犯した過ちに縛られながら 明日を夢見てもがいた窓の外月に照らされた 救われたいだけなら この夜に終わりはないのに 幸せ手に入れても 遊びを重ねた あなたはこ...

  • 捨て犬

    若いが朽ちていく季節に 愛してくれる人を探してた 誘惑の赤い口紅さしては 白い肌を露出するワンピース 愛に飢えた内面を隠さずに 夏の夜の終わり彷徨った 凌辱された苦しみに取りつかれては 忘れさせてくれる誰かを求めてた あなたの腕のなか 和らいだ痛みにまどろんで 女慣れしたあ...

  • 束の間の恋

    恨めしそうにあなたを見ていた ラウンジで眠るふりをするあなたはとても綺麗で 端正な横顔 釘付けになる 子供の私と 一回り年上の仕事も家庭もなんでも持ってるあなた 「この子は学生やで」 ママが釘を刺す あなたは頷いても私を誘う 傷つけないでね それならついていかなければすむこ...

  • 呟き

    他の詩人の織り成す詩に現れる 知性と教養に血悶えする 他の詩人の透明な哲学的な詩に 愛だ恋だ書き連ねるだけの我身もだえる それだけ素晴らしい詩を書きたいのか いいや ただ感情のおもねくままに 吐き出したい この二十年あまりの罪と業を ただ それだけの 志のない 救われたいだ...

  • 求め

    携帯の待ち受け 娘の写真 見つめるあなたの微笑み 私を傷つけた 別れにいたる家族とのエピソード 聞きたくない私の気持ちがわからないの 失望に薬を流し込む 二の腕や手首に走る血の線 理解できないあなた 愛が欲しい救われたい痛む心 いつまで探しまわれば手に入る 私を見て 一生つ...

  • 年月

    何も知らない中学生だった頃 私を好きだという美しい男の子が現れて ふさわしくないと私は学校中の笑いものになった 色気づきだした大学生の頃 私を気にいったという美しい男の子が近づいて 彼の彼女は泣きながら内心呆れて彼を捨てた 若さを失いかけた二十代後半 それでも愛や恋に夢を見...

  • 情事

    助けてと悲鳴をあげる 声に出さずに 投げやりに体を投げ出す 自棄が透けて 力を込めて抱いて 据わった黒い瞳 何も考えずに すべて忘れてしまいたい 初めて会った瞬間から 予感がした ほのかな微笑み 私を見つめる余裕 優しい目でうなづく 無意識のやり口でも 惹きつけられてしまう...

  • それでいい

    あの夏の朝 太陽の下赤いワンピース 女の子は連れ去られた 赤い唇から叫びは出ずに あれから日も経たずあなたに出会った すがりたい思いに歯止めは効かずに 見捨てないでね そばにいてね こうして笑って見せるけれど 心は震えているの あの夏の朝 魂が損なわれた 過剰ではなく欠落 ...

  • 暗い部屋で繰り返すあなたの物語 過去の傷が癒えない 溜息まじりの声 私の頬を撫でる ふっとそっと笑みを漏らす 伸ばした腕のうえで 永遠に眠りについていたい 初めて会った日からこうなる気がした 支離滅裂な私の言葉に優しく聞き入って もう過去の話だと 暗闇であなたは呟くの 家族...

  • 七夕

    七夕の日 お金を占い師に払って センチメンタルに私は語る とうの昔に引き裂かれた 彼と彼女の物語を 彼はお金も愛も欲しがって 結局すべてを失った 彼はどうしているんでしょうねえ、と私は呟く 占い師は死神のカードを引いて答える 「まだ生きてるわ。死にたいなあ、と思いながらね」...

  • フラボノ(偽薬)

    あなたの冗談 昨日のことのように 心をあたためる けれどもう二度と会えなくて 孤独がのしかかる 涙も出ない固まったこの体 生まれ育った境遇に親しみを感じて 近づいたの ソウルメイトのように 私だけじゃ足りない 好きをいくら囁いても どれだけの愛情を得られれば癒される 傷が塞...

  • 不信

    「好きな人ができた」と私が言うと あなたはすかさず私の部屋に散乱する荷物をまとめた 「ここはあいつの会社の通り道だぞ。夜中に急にこの部屋に来て  俺の荷物があったらどうなるか。嫌われたいのか」 痛んだヴィトンのボストンバッグを満タンにして 「千代子の荷物だけ預かってくれ」と...

  • 欺瞞

    人を惹きつけようと あなたは色んな面を見せる シリアスな顔 子供じみた無邪気な笑顔 魅せようとする必死さが滲み出て醒める 夢ならもっと上手に見せてほしい 次から次へと変わる声音は滑稽で 痛々しくさえある笑顔 視線が物欲しそうに光る ただ黙って話を聞く どこまでもあなたは語る...

  • 落ちぶれて

    子供みたいな 無邪気に得意げに 女達から搾取した 金銭を愛を喋る 愛情に飢えてる 無自覚なあなたを それゆえに 複雑な思いで見てた 悪い男を気取る 不遇な少年時代の復讐 死にたいとばかり 思ってた頃の 落ちぶれて古いベンツ 伸ばしっぱなしの髪 ヤミで仕入れる薬 ホスト時代の...

  • 未熟

    私の中の子供を隠しても 隠しきれない 誰の目からも あなたを愛してると 熱に浮かされたように 君の宝物は 薬だけとあなたは苦笑した 浮気を重ねつつ 私を車に乗せて 死んでくるわと あなたは喚く いつ死んでも一緒と 強がりながらでも そんな勇気は 持ち合わせなくて 二人でいる...

  • 幕引き

    ここはお城なの やっと築いた 私だけの部屋よ 君は訴えるように 別れの手紙を幾度も書きあぐねては 僕を締め出せずにまた桜の季節 浮気を隠そうともしない酷い男を 私のもとに帰ってくれればと 無理を重ねて檻に入れられた 一生出てくるなと電話越しに喚く 僕の隣には新しい女 業と罪...

  • 梯子外し

    彼女だとあなたが私を抱きしめた日 見える景色が明るくなった 犬のように容易くあなたになついた 梯子を外してお別れなんて 夜中のメールで他の女に 告白されてても 私が一番と笑って見てた 手首を切って涙ですがる 情に流される人ではなくて 夜の駅で私を見守る 無傷なあなた 引き...

  • 刹那

    救いを求めて あなたに しがみついた プライドもなく ただ温もりが欲しくて 残ったのは惨めさにまみれた孤独 初夏の汗ばむ体を投げ出して あなたの腕の中で考えすぎから逃れた 私の望むようにする その目が据わって こんな女だと 弄んでも 怖い顔で言う あなたは 男は女の浮気は許...

  • 予感

    陽光が空を照らしている 空をつんざく烏の声 私の心を壊した合図 これが望んだ幸せか あなたは言う あなたの過去と私の傷は深く あなたは知りもせず 私を抱く 幸せなふりして 不安に押しつぶされる 胸が痛むのは 過去に支配されているから あなたの優しい声とうらはらに 怖い目をふ...

  • どうか

    誰にもされたことがなかった あなたは私を優しく抱き上げて その瞬間に心は溶け 夜中の窓の外から月が優しく照らしていた これが続くならなんでもしようと思った けれど人の気持ちは一瞬で変わるもので 不器用な私は あなたのために尽くすなど続かなかった 「俺が好きならできるだろう」...

  • 出会い

    眠り続けた部屋を ある心の晴れた日に抜け出して 仕事を探し 出会ってしまう また 素敵な人に きっと素敵な人は世界のあちこちにいるのだ この薄暗いちっぽけな繭の中私が気がつかないだけで 心はときめく 外に出ようとする そしてふらりと入った洗面所の鏡に映る私の貌を見る 額の皺...

  • ルッキズムはハードルを越えない

    顔を変えるの あなたを愛してると口にしても 誰も笑わない顔に 自分を闇で売った金をつぎ込んで つぎ込んでも 米粒のような眼はメスでくっきり刻んだ二重瞼に負け 鼻が長いのはどうしようもなく 顔中の黒子を取っても友達さえ気が付かない 普通より少し綺麗にしかなれなかった私は あな...

  • KINLEで本出しました

    原稿用紙120枚ほどの中編小説をKINDLEより自費出版しました。よろしくお願いします

  • 脆い絆

    貴方は私の両頬を包み 余裕めいた微笑を浮べて現実から連れ出す その腕に抱かれて眠りに落ちていく 傷つくことを恐れ身構える癖は溶けて この身を委ねるのを永遠に願う どうか何も話さないで 夜が連れてくる過去の物語など聞きたくない ぽつり漏らす言葉は癒えない傷の羅列 わかって欲し...

  • プライド

    行って 友達に格下げして繋ぎとめようなんて許さない 私のプライドは恋より尊い 行かないで その気配さえ感じられなくなるなんて すがりたい気持ちを必死に隠してる 私を愛してないのは知ってるわ そんなのはお互い様 互いに過去の傷を癒したいだけ 孤独から逃れたい二人 信じあうには...

  • 冬の空

    冬の空 冷たい青さに 思い出す 慰められた日 忘れていた 下を向いていて そうね アスファルトに映る 私の昔の影 消せないままでも つきまとわれても 眩い陽射しが 足元 照らす

  • 麻酔

    差しのべた腕にしがみつくように 閉じた瞼から涙がひとしずく 悪い夢にうなされ首を横に振る 犯した愚行がどこまでも追いかけて 言葉を尽くしても通じない孤独を抱えてる 過ぎた過去など葬りさればいい 私のぬくもりを失う不安に駆られる それだけの過ちを抱えた孤独は底なし 語られない...

  • ママ

    ママ 黒人警官たちに暴行される黒人が叫んだ テレビ画面の向こう側で その声が 愛や恋のポエムを書こうとしていた私を 我に返らせ 一縷の涙が胸からこぼれて

  • 怒り

    怒りを胸のなかに飼っていた 初めは それは世間から隠しおおせるほど小さかった 私が大人になるにつれて怒りは少しづつ成長し ろうそくの火が部屋中に燃え広がるように この胸を焼き焦がし 全身を包んだ 怒りは私そのものになり 眉間に 頬の強張りに 口元に 至るところにくっきりと刻...

  • 地獄行き

    美貌が身上の女は若さが陰っても 惚れた男に貢いで今は俺に夢中 昼間でも夜でも輝けるのに 楽がしたいだけ俺は暇つぶし 服が欲しくて街に迷い込んだ 冴えない女を搾取しようと 暖かい仕事の話に嘘を織り込む 鼻で笑う女は地味キャラが身上 リングキーに合鍵がジャラジャラ それでもお...

  • KINDLE本出版のお知らせ

    お久しぶりです。一昨日、にほんブログ村で発表した59編の詩を「Lost Love」というタイトル、美月小夜というペンネームで、自費出版でKINDLEから出版しました。よろしければお手にとってご一読ください。よろしくお願いします。 月美

  • 囚人馬車

    囚人馬車が駆ける 地を蹴る蹄の音が夜に響く 女が乗っている 虚ろな目で私を招いてる 次はあなたの番 かすかに開いた唇が語る 同情して引きずられたのは若かったせい 病院の前 広がる沼地を指さす女 嬰児の金切り声 炎に焼かれるように 浮島に咲く 白い社若はささやかな供え物 あの...

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