良寛さんと貞心尼はん。
良寛さんの前に座った貞心尼は、才媛もさることながら、清楚で匂いたつような美貌の人であった。道をひたすら歩いてきた良寛さんへの、仏からの贈り物のようにも思える。良寛さん70歳、貞心尼はん29歳のひとせである。師の君にはじめてこうやっておめにかかり、嬉しくていまだに覚めない夢のような気持ちです。夢ならばやがて覚めるでしょうか。と、貞心尼はん。夢のようなはかないこの世の中で、もううとうとと眠って夢を見、またその夢を語ったり夢を見たりするのも、その成り行きに任せましょう。と、良寛さん。梅の香りの桜花が柳に咲いた。そのような精神的な恋愛に、憧れにも似た感情が湧きます。良寛さんと貞心尼はん。
2025/05/12 19:22