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Pithecanthropus Erectus https://squeezeme.hatenablog.com/

本、映画、音楽、ラジオ、ムーミン、スポンジ・ボブが好きです。レゴも。読んだ本などの感想をブログに書いています!

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2022/01/25

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  • 『巴里の女性』

    この残酷な物語の主人公は誰なんだろう、と私は思う。 貧しい絵描きの青年(ジャン)だろうか、それとも常に完ぺきな社交的微笑を浮かべている金持ちの男(ピエール)だろうか。あるいは、その二人の間に君臨する運命の女=マリー・サンクレールなのだろうか。 私は最初、貧しきジャンが主人公なのだろうと思っていた。これはジャンの物語なのだ、と、彼に肩入れして映画を観ていた。 金持ちピエールの鼻持ちならない感じ、嫌だなー苦手だなーと思ったり、マリーのとある仕打ちに「いやそれはやっちゃ駄目でしょう、それは絶対やっちゃ駄目なやつでしょう」と憤慨したりしながら(メモの件です)。 しかし、エンディングを迎えてみると、なん…

  • トーベ・ヤンソン『小さなトロールと大きな洪水』冨原眞弓訳

    優しくきらめき、ちょっと不思議なこの短編は、戦時下に書かれたものだということが、「序文」で作者自身によって述べられている。 当時すでに風刺画家として作者の名は知られていたという。鋭い筆鋒で風刺画を描く一方で、『小さなトロールと大きな洪水』という物語を書いていた(途中まで)。 登場人物たちが置かれた環境には、戦時下の世相が反映されているのだろう。しかしこの物語で描かれているのは、風刺ではなく祈りである、と私は思う。 浜辺のあちこちでは、たくさんの生きものが火をおこして、体をあたため、食事を作っています。たいていは、家をなくしたものたちです。(p.86) 家を失くしたものたちによる、家探しの物語。…

  • トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の十一月』鈴木徹郎訳、翻訳編集:畑中麻紀

    ホムサ・トフトには、まるっきり今までとちがったママが見えて、それがいかにもママらしく、自然に思えました。ホムサはふと、ママはなぜかなしくなったのだろう、どうしたらなぐさめてあげられるのだろうと思いました。(p.258) 1. 昨年、初めて読んだ『ムーミン谷の十一月』が面白すぎて、半年くらいずっと繰り返し読んでいた。今年に入って初めて読み返してみたけれど、やはりとてつもなく面白く、忘れていた箇所や、読み落としていた箇所などもたくさんあり、新鮮な気持ちで読めた。 そして今回、私がとても気になったのは、『ムーミン谷の十一月』と『ムーミンパパ海へいく』が似ているということである。 両作品とも、移動から…

  • トーベ・ヤンソン『ムーミンパパ海へいく』小野寺百合子訳、翻訳編集:畑中麻紀

    「わたしはいつだって海が好きだったよ。うちはみんな、海が好きだろ。だからこそ、ここに来たんじゃないかね」(p.269) ムーミン一家が、灯台のある島で暮らし始める。『ムーミンパパ海へ行く』とはそういう物語なのだけれど、でも、なぜ彼らは、住み慣れたムーミン谷を離れなければならないのだろうか。 かんじんなのは、みんながまるきりあたらしい生活を始めることなんです。ムーミンパパがみんなの必要なものはなにもかもととのえてやり、みんなを食べさせたり、守ったりすべきだというのです。今までは、みんなのくらしがあまりにも、うまくいきすぎたのにちがいありません。(p.34-35) パパのこの考え方は健全とは言えな…

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