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  • 【わかっているくせに】3

    石畳をゆっくりと踏みしめながら深い呼吸を繰り返す。 静かな空間に俺の呼吸音が吸い込まれていく。 なにを話そう。なにがNGだったっけ? 考え出すと頭ん中がぐっちゃぐちゃになるな。あー。もう、こんな悩むの性に合わねーんだよ。 玄関に立ち、無意識にインターフォンを探してしまった。そういえば無いんだったっけ。 扉に手をかけると難なく開いた。不用心だなって思ったけれど、訪問時間伝えてるし、そういやモニターでチェックしてるんだったか。社長が云ってたな、セキュリティは万全だって。 それに、ここで声を出しても。応える者はいない。そう聞いている。 靴を脱いで中に入って周囲を見回しながら歩く。 天井が高い。 静か…

  • 【わかっているくせに】2

    正直まだ迷ってる。 迷っているんだよ俺は。俺らしくねーよなー。って、自分に呆れるくらい迷ってる。『アイツ』のことだからなんだよな。俺も相当なんだよなぁ。 そんなこと考えながら石畳の上を歩いた。 まるでエアポケットだなこの場所。本当に静かだ。 周りを見回す。あの背の高い木たちが音を遮断しているんだろうか。 ・・・・・・ここには、何度来ることになるんだろう。「――――――まだ、・・・・・・信じらんねーんだよなぁ」 その呟きに呼応するみたいに周囲の木々がざわわと揺れた。「考えたって、しょーがねーんだけどさ」 風が吹く。俺は息を吐き出した。「社長(かーちやん)も頑張ってくれてるしな」 マジで。小っちぇ…

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