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よも 言葉のアトリエ http://apismos.blog.fc2.com/

言葉で描くみえないこころ。 縦横高さ、時間軸、いつか 見えてくるでしょうか? 拙いながらの一綴り、ジャンルは絵のように…詩や小説の創作物を載せています。 どうぞお気軽にお立ち寄りください。

上遠野世方
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2020/06/20

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  • ふたいろの惑星 二、Lovers (親愛) ー 2

    「あなたは悪い妖精かなにか?もう目を閉じるから帰りなさい!」冷静さをよそおいながらも、少し震える声で伽奈子は夢に命じた。しかし巧が消えることはなかった。巧はいつも目の前にいた。第一のハードルは母だったが、それはハードルでもなかった。母には見えないのだ。見えないばかりではなく、巧の声が聞こえてもいないようである。この現実を受け入れるとしても、伽奈子にとってはやはり夢であり、他者にしたらあきらかに非...

  • Back yard

    するりと伸びたヤマボウシ梢に群がる白蝶の花庭に下りたらParsleyを摘んで香るMintも二三枚頭上の空は突き抜けて山稜に白雲の踊る午後に「Lost And Found」の響きに浸りフライパン片手にキッチンに立ったきっと今日は明日に生きて昨日の弱音を取り払う明日の疲れを慰める光と水と大地の命をそっともらった緑の手からもっと大きなものをもらったから赤く色づくユスラ梅プリムローズの薄紅の花樫の木陰でBerryを摘んでついでにPeri...

  • ふたいろの惑星 二、Lovers (親愛) ー 1

    瞳のヘーゼルの太陽を覗いていると、向こうの世界が見えるような気がする。横たわる萌黄色の地面から青緑の空が見える。かさかさと冬枯れから目覚めた新葉が風に揺れるのが見える。春が来たかのように冬枯れの木々が変わったのも、多分巧がいるから、巧が見ている世界だからだ。伽奈子は自分の左目に親し気に語りかけた。「そっちはネバーランドのような世界なの?」草原だけじゃない、きっと山も海も島もある。萌黄色の絨毯が広...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー5

    伽奈子が左目に名前をつけようと思ったのは夢のせいである。筋書きのない、場所もわからぬところに伽奈子はぽつんと一人でいる。大勢の人間?が辺りにたむろしているようだが、ときおり大勢の中の一人が伽奈子の前に来る。あるいは前を通り過ぎる。姿はあるがぼんやりとしている。顔の判別もつかないありさまで、一様にぼやけ闇に消されていく。何度目のことだろう。夢の中の誰かが話しかけてきた。どこから話しかけてくるのかは...

  • 夏のカゲロウ

    愚かに若きことをぼくは恥じたが要らぬ知識で動きの取れぬ老獪さも遠ざけたい肉体につながれた欲求に踊らされることもまたぼくに必要なのは澄んだ大気細く長い一呼吸がずっと続きぼくの中の何かが空へと抜けて行くその軽やかさ愛は共振の中にあった遠くにあるあなたへの愛は目覚めへの警句内なる春を謳歌するために魂の緯度は太陽に顔を向ける「何故太陽に・・とお前は聞くだろう私は答える内なる諸元素にそれは隠されている とそ...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー4

    ヒルダ夫人こと緒方佐知枝さんは、伽奈子がイメージしている占い師とは似つかわしくない容姿で降りて来た。まず丸い眼鏡をかけている。まあそんな占い師もいるだろうけど。中背中肉でふくよかな顔立ちをしている。服装はシックなパープル色が強いワインド・アップ。服はどちらかといえば占い師に近い。ただその服の色をあでやかに際立たせるともいうべき貴金属類にいたっては、真珠のネックレス以外何も身に着けておらず、イヤリ...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー3

    初夏もいよいよ色を濃くしていったある日。伽奈子が学校帰りの坂の途中で立ち止まり、ふかぶかと深呼吸をはじめかけた時のこと。ほら見える…と左目に語り始めたそのとき。「かなちゃん。今日もまっすぐ帰るの」と突然話しかけられた。胸でつぶやいた言葉にもかかわらず、話しかけられたことに驚いてごくりと言葉をのみこんだ。伽奈子が後ろを振り向くと同じクラスの宮瀬晴海(みやせはるみ)が立っている。「知ってる?占いの舘...

  • 月ほど知らず 風ほど語らず

    きょうの遊びももうすこし釣瓶落としに日は暮れて星の冴える幕間に命も忘れて影と消え家路を急いだ子供等はさらなる夢を見るだろか夢にふたたび遊ぶのか昨日の道は山向こう明日の道は海向こうぼくは道から逸れたのかぼくの遊びは過ぎたのか月ほど知らず風ほど語らず灯台は暗黒の海を照らしている気持ちはなぜを探している夢の遊びはまだ遠く波間に踊る一葉の船は座礁の岩で風を待つ痛さを恐れ弱さに惑う故郷仰いだ空と海はぼくに憧...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー2

    伽奈子が居心地の悪さを感じるようになったのは、左目の疼きを覚えてからのことである。これまでと変わらぬものが見えながら、しかし、フレームが一枚追加されたような、カラコンが熱を帯びたような、奇妙な違和感。「カナ。左目充血してるよ。大丈夫?」そうクラスメイトにいわれ出してから時々鏡をのぞくようになった。鏡の中で目は確かに赤い。カラコンが浮いたような、あるいは二重になったような感覚。とにかく、目に乾きと...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー1

    これは左右の目の色が異なる虹彩異色症の少女、伽奈子のお話。ある日、レイリー散乱を放つ左目から伽奈子の分身がやってくる。分身は惑星から来たというが、なんのために現れたのか?父を事故で亡くした伽奈子はどうするのか? わたしは自分の左目が好き!伽奈子は鏡を覗くたびにそう言う。しかし…幼い頃だと少し違う。鏡を覗くたびに目をそらした。周りの子供たちからはストレートな差別言葉を何度も投げかけられてきた。たとえ...

  • これまでと、これから

    ある日この心を脱ぎ捨ててぼくはきみのことに心を砕くだろうきみの生の一欠けら一欠けらがぼくに反映しきみの頼りなげな表情も泣き顔もくいしばる意地もきっとこの世界に溶け込み不可思議な親和力に守られて本来の笑顔を取り戻すことをぼくは知っているあるがままにぼくは不安に根を下ろし微かな知恵を養分として枝を張る切られても切られても贈る詩を心に秘めて生い茂るぼくはいまだ小さな樫の樹きみの背丈をこえて傘のようにひと...

  • 優しさは、なんて

    とてもおおきな陽だまりの中に大好きな町はあって日陰になった公園のベンチにぼくはいるさわやかでどこか優しい風が枝を揺らし建物のすきまをぬって吹いてくるするとそのかくれた冷たさにぼくはおどろき日当たりを見上げ、ふときみを思う優しさはときにとてもさびしくなる優しいきみをみているととても悲しくなるなぜだろうと考えながら空を見上げる日々高くおおきくなる町を見上げていつか空が小さくなってしまうのではないかと心...

  • 意石の抜け殻

    笑っているひとときの叫んでいる一瞬のこの内なる悲しさを誰が知るだろう僕のいない町は今日も動き君のいない道に夏草は繁る曲がり角にはいつも唐突に雨が降る立ち止まった交差点の空は青く透き通り 透き通り 現実は今を後にする残っていたのは粉塵のような散らけた思い出と後悔たち琥珀の映像の陽だまり光は主に祈る永久に届かない今を捧げて耳を澄ますひとときの歌っている一瞬の密やかな大気の振動を誰が知るだろう大気に隠れ...

  • A A´

    カルナッキスのカーブを速度五十マイルで突っ切ればあとはゆるやかなムーン・ロード南十字星に向ってまっすぐにプラターヌ・ストリートは延びているペリエは二本足で踏ん張って戦士の像を見上げたマーブルの戦士の指は北剣は東のプロポジション(命題)アキシオム(公理)の公道は工事中ですスター・ブレードの流れる空の下そそり立つスカイタワーのイルミネーションクレイのビルは造成中レンジのビルは加熱中デルタに広がるシティ...

  • ぼくらの距離

    君は僕からはなれ僕は昨日からはなれ昨日は明日からはなれる留め置くことが叶わぬ大きな過程(プロセス)が静かな嵐のように吹き荒れる心がいくら追いかけようと新しい時間が波のようにすべてを洗い流す誕生する輝く存在と時間過ぎて行く褪せた存在と時間僕の心を動揺させる矛盾時と場所の不思議君と僕の不思議この場所で、この時に僕らは語り合い今を作り出すそして離れていく時と場所嬉しかったよ! 楽しかったよ!でもそれ以上に...

  • まぼろし

    降りたプラットフォームから見ていたものあれはただの町の灯りであったろうか?夕空に瞬いた星あれは一番星ではなかったろうか?希望の町に彷徨って人の間に彷徨って 愛にも傷つく探し回ったもの走り回った地図求めぬいたマボロシ胸に輝いていた星あれはただの思い過ごしであったろうか?あの遠い道程は昼と夜の道程は誰が僕に教えられるだろう情熱を隠したもの それは不条理偏見に冷え 矛盾に燻ぶる消えても 過ぎても憤りは自...

  • サヨナラ ワタシ

    君の軌跡はもう過ぎたことさよなら言葉 君の言葉は雲となりさよなら心臓 君の時はせっかちな短針手と足は 時空に溶けた空間のデザインおつかれさまでした ほんとうに夢のようでした胸のエンジンがうなりを上げ足は行きたいところへ向かい手は取りたいものを取り汽笛代わりに言葉を蒸気する航路には文字を走らせるそんな日々に…サヨウナラ君の思いは飛散してさよなら今日 君の時空の一点を閉じて さよなら記憶 もう不具合な...

  • うち出でて見れば空も海

    白く流れる虚無の河僕はどうして渡りましょう?形而上学をひも解いて素足で奇跡を起こしましょうか!赤く流れる因果の河僕はどうして渡りましょう?無心に血などを投げうって遺伝子(ひも)の結びを改めましょうか!青く輝く高熱の星は塵も影も光となって十方金剛 闇を照らして弥勒のように微笑むのでしょうか?ふねにおちたこがねのほしはくだけてさきんもきらきららしぶきをあげたマーメイドくものすせいざにみせられてさきんをま...

  • 耳のせかい

    降りしきる雨の音がきこえる空へ昇る雨の子供たちが見える旅する雲の音が ささやく 伝える頓頓頓 品品品 比喩ン比喩ン 弾く 跳ねる 飛ぶ 連弾の調べよきみのこころを吹き抜ける風の音がきこえる鳴るきみの願いが きこえるどんなに離れようと…どこにいようときこえている きいている誰が? 誰でも きいている きこえている地に育ち 大気を震わしたすべての遺伝子の紐の震え 距離の分割に鳴る高音域 低音域の調べた...

  • 紀の夢

    起きて夢見て時間は過ぎる暗い過去にさまざまに現実は海 とても広くて深いのです島影などは彼方まで見えないのですだからこの地が沈むまでここを国と呼ぶのです始めた過去がいつであれ進んだ経緯がどうであれささやかな行為が無為に勝るとは思えず人と一緒に歩いても水平線は高くなるばかり大陸も生きているのですから星座に道を問うことも必要です舟と櫂がひとつずつ足元の波を騒がせず 静かに慌てず太陽と星の道へと漕ぎ出すと...

  • 死のごとく美しき

    今は遠いブルゴーニュの空に血糊に似た粘液質な雲が動きもせず浮かんでいて、それは頽廃した一日の無念の死から流れた血であろうかなどと考えていると、いつしかミズキの街路樹に差し掛かり膨らむ蕾に春の時刻が季節の九時を指している。春か!と思えばどこからかぷーんと鼻にまとわりつく洋風肉汁の香り、甘くかぐわしき香りと感じるものならそれこそワインやチーズを思い浮かべ、今日の収穫と利益を思い浮かべ、異性との目眩くソ...

  • 采女の玉 十一、サイキック 1

    1 「これが斗鬼一族の独鈷杵だ」そう言って父は日枝神社の隅にある小さな宝仏殿の中から、桐箱を取り出して開いた。中を覗くと模様の入った三日月に似た短刀らしきものが見える。「二鈷杵といって斗鬼一族に残されたものは仏教のものとは少し違う。名前は昇月鉾。上弦と下弦、二つの月が合わさる。これをお前に渡す日が来るとは思ってもいなかった。本当なら美了から手ほどきを受けて渡されるはずだったからな。だが…いや、ま...

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