二月は忍耐の月キースの二月は青と白空から降る氷の符は落ちて昇って飛ばされて地を転がる鈴の調べ地軸は分度器を回転した雪の結晶は車輪となりまだ見ぬ春の上に白いページを残した青い空を讃えるため枝先のペンを残した軽やかに走る子犬を見た飛び回る猫をみた北の空に張る千の冬の敗残兵が春の四五百の先鋭に追い込まれてゆく二分した空が波のように引いていく北へ、北へ北帰行の車輪を回す我が故郷は五月の雨怒涛に流れ込む七月...
言葉で描くみえないこころ。 縦横高さ、時間軸、いつか 見えてくるでしょうか? 拙いながらの一綴り、ジャンルは絵のように…詩や小説の創作物を載せています。 どうぞお気軽にお立ち寄りください。
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二月は忍耐の月キースの二月は青と白空から降る氷の符は落ちて昇って飛ばされて地を転がる鈴の調べ地軸は分度器を回転した雪の結晶は車輪となりまだ見ぬ春の上に白いページを残した青い空を讃えるため枝先のペンを残した軽やかに走る子犬を見た飛び回る猫をみた北の空に張る千の冬の敗残兵が春の四五百の先鋭に追い込まれてゆく二分した空が波のように引いていく北へ、北へ北帰行の車輪を回す我が故郷は五月の雨怒涛に流れ込む七月...
すべての方針は選民のエゴですべての政策は感情論それゆえ待て、と君は言う太陽を浴びようと平等のひかりを隅々まで行き渡らせるのだと君はぼくに言った聞く耳を育てよう見る目を育てよう物言わぬ雄弁さを自分で育てるのだ太陽が輝く春を見つけるには枝に膨らむ蕾を見ることだ土に顔出す翠を見出すことだ見えない光に心を開くことだ眩しい鮮烈なものではなく穏やかで温かい成熟していく光がそこにはある幼い君がそうだったように愛...
夢見た明日は遠い過去となり残照は照り急ぎ薄闇にわずかばかりの明かりを夢の投影と見る夢とはおおよそ人工のものだジ・ランの夢は生きること生きる豊饒さに夢の展開があるさあ、君は夢を見るのかい夢を描けるのかいそれとも夢を生きるのかい地に足をつけて水に手を伸ばし大気をかき混ぜ光の通過に肉体を晒し花にも果実にも舌を打ち己の肉体にもジ・ランの変容を見るするとここが到達点だと知るそして創造は想像を超えて野生なのだ...
地上に生きる生命よりも無数の死者たちが隠れている惑星惑星は惑星の恒常性の中で新陳代謝をしている人間が作り上げた都市は人間のデザインによって新しさいわば生命を長びかせる一度でも止まれば都市は形骸化した臨死に対面する住む人々は死を経験する廃墟は人の住まなくなった都市体の骸骨に過ぎない町は人の手を必要とする人の手を離れた田舎や山は必ずしも人を必要とはしない惑星の不変なる活動が後を引き継ぐから死の惑星は死...
十、タイチとトモの道 その年の冬、寒い早朝のことだった。ヨシばぁの遺体が発見された。発見したのは近くに住むご近所さん、坂の下に住むミッチーこと宮下美千代、美千代が漬物をもって茶飲み話にいったところで発見された。死因は心不全だったらしい。シンクの前の床に倒れていて、近くに朝使ったと思われる割れた茶碗と箸が落ちていたという。夜には眠っただろうから、朝が来て起きだした後に永遠の眠りにつくことになっ...
八、視点が変わって見えてくるもの 死んでいく者にもいろんな気持ちが残るのだろう。カレイドスコープはアツシの視覚を借りて生きているときと変わらない人の欲や見栄、嫉妬などをマモルに見せた。中年の女性などは哀れな泣き声を上げている。その嘆きを訊いていると一生をかけて蒐集してきた衣服や貴金属を身に着けられないばかりか遺産品として兄弟や子供にいってしまったらしい、なんとも哀れだ。人生の時間が無駄になってしま...
八、視点が変わると立場が変わる 死んでいく者にもいろんな気持ちが残るのだろう。カレイドスコープはアツシの視覚を借りて生きているときと変わらない人の欲や見栄、嫉妬などをマモルに見せた。中年の女性などは哀れな泣き声を上げている。その嘆きを訊いていると一生をかけて蒐集してきた衣服や貴金属を身に着けられないばかりか遺産品として兄弟や子供にいってしまったらしい、なんとも哀れだ。人生の時間が無駄になって...
七、アツシのカレイドスコープ アツシの部屋には古びた骨董品のような机がある。以前粗大ごみに捨てられていたものを拾ってきたという。椅子はビール瓶のケースだ。二個積み上げてある。万華鏡は二つしかない引き出しの右に入っていた。手に持つとこれも古い。母に買ってもらったというが本当にそうだろうか?和紙のはげ落ちた筒はブリキでできているようだ。覗くと決まった形のピースが複雑な幾何学模様を描く普通の万華鏡だ。...
六、アツシは万華鏡を見ていた それから数日、アツシとは違う気配を部屋の外に感じるようになった。アツシが新たな仲間でも連れてきたのかと内心恐れよりも厄介ごとがまた増えるのかと気をもんでいた矢先のことである。「夜さ、誰かと話ししてるよね。もう来ないでくれとか、お前は死んだんだとか、あれ絶対会話だった。アツシって誰?」不意にタイチが言ったものだからマモルは飛び上がってしまった。部屋の外に感じた気配は...
五、台風一過のゲロ 台風九号が本土上陸で災害危険高まるといわれていたが運よく東へと避けて行った。一安心した。それでなくとも小さな台風が我が家に居座っているのだ。そして年齢も同じということから、たぶん同じクラスに来る。考えるだけで憂鬱だ。これも被害状況の拡大といえようか。次の日にはこれまで味わったことのない緊張感にさらされていた。もちろんタイチの登校日のことである。従兄弟としての紹介に始まり、そ...
四、アレルギーな従兄弟登場 ぼくは無様なゴミの町で暮らしている。通学路の二十分間にいやというほどそれを味わう。空き缶にペットボトル、それに空になったカップ麺。ペットのウンチも落ちている。途中にゴミステーションがあるが、指定曜日でない日にゴミを出すせいもあって、カラスが散らかしていることがある。醤油のミニボトルやお弁当仕切りのバランなどは臭いを発し、想像過多なぼくの胃袋は急に逆流しそうになることが...
三 トモの家にタクシーが止まった 日曜の朝、隣の幼馴染トモの家にタクシーが止まった。若宮友美。通称トモはぼくの一歳上になる幼馴染だ。なんとなく見ていると、トモの母親が両手にバックを持ちながらタクシーに乗り込んだ。トモも父親も出てこない。タクシーも走り去ってしまった。目線を離そうとすると裏口からトモが飛び出して来た。そして家庭菜園の畑を抜けて北の路地へと走って行く。ぼくは反射的に部屋を飛び出すと玄...
二、時間は消しゴムのように 時間は消しゴムのようにアツシの思い出を消していった。三週間になろうとする頃には話題に浮かぶことすらなくなっていた。時間は猛烈な勢いで出来事のすべてを過去にしてしまう。出来事はアルバムの片隅に納まって、記憶の部屋のどこかに片付けられて行く。もし過去に引っかかっていたら、現実や未来、ここでこうしている今の時間に取り残されてしまう。現実も一時の流行みたいなものなのだ。でもぼ...
一、アツシが死んだアツシが死んだ。シゲオもノリオもトモコもサチも泣いていた。ぼくの心は暗い底に沈んでいたが、悲しいともかわいそうとも思わなかった。涙すら出なかった。反対に心のどこかでは羨ましいとさえ思っていた。生前のアツシは学校ばかりか、父兄の間でも決して評判は良くなかった。いつも問題を起こし、意地悪もするし、万引きもしていた。どこかすねたところがあって、友達も先生も最後には無視するようになっ...
「干渉ってどういうこと。私の夢に干渉したの。そんなことできるの?」「欄さんは…これ言ってもいいかな…」「どうぞ」「欄さんは岩戸神社の巫女でね。そういうことができる体質なんだ」「…霊能者とか」確かに彼女の雰囲気を思うとまさにそんな感じ。「そうだね。そうとも言えるかな」すると欄さんが恐ろしいことを話し出した。「いいえ違います。私の半分は死んでいるのです。平田篤胤は幽世(かくりよ)こそ本世(もとつよ)とお...
…いきはよいよい かえりはこない…こないながらも…かえ~らんセ かえらんセ~ センジュフダには人封じと忌のイトが織られていたよ…静河はそう言った。そしてそれだけではない。静河は自分とは正反対の女性を連れていた。いわゆる影のような女性をである。全身黒づくめで季節柄暑苦しそうに見える。がその肌には汗のひとつも浮かんではいない。ロングの髪をポニーテールのようにまとめ後ろで何重にも結っている。肌色は白い石膏の...
携帯を手にしたまま寝付かれない夜を過ごした。連絡が取れないとしりつつも、圭太と雅人に連絡を入れてみるが何の反応もない。三時過ぎだろうか突然携帯が歌い出した。『とおらんセ とおらんセ~…ごようのないものとおしゃせぬ~ …わたしのみたまの願かけにおふだをおさめにまいります~…』 なに。なに…なんなの。歌を止めようと携帯を持つと画面にそれが見えた。着信『鳥場鏡子』と。えっ。どうして…ああ~貧血だろうか。未...
ごようのないものとおしゃせぬ~わたしのみたまの願かけに~おふだをおさめにまいります~… 三日が過ぎた。以前として圭太には連絡が取れないでいる。静河からはなんの返事もない。サークルの仲間にも尋ね回ったが誰も知らない。気にはしているようだが鏡子の名を出すとどこかとおじけづく。あんまりかかわらない方がいいよ。と言われるとますます鏡子という存在が暗い影を帯びていく。そんな中、大学の校門先でスーツ姿の男...
ある日サークルの教室で鳥場鏡子って子が二人のメイトと話し合ってたの。戸鞠圭太と中込雅人。鏡子と雅人は付き合ってたんじゃないかしら。その三人だけの場に入ってしまったという。何故か教室の空気が重かった。「ミチー。早いねー」鏡子がそう声をかけてくる。圭太は動揺していたし、雅人は消え入りそうだった。二人とも臆病になってた。すると鏡子が近寄ってきてこう言った。「ミチにもあげようか。これ」雅人が俯いているのに...
三人は綿密に計画をたてたはずだった。ボーイスカウトで身支度をしてもろもろ準備をした。モレールは『魔術大全』に聖書、ロザリオに肝心な十字架など、悪魔と対峙したときに必要と思われるものをかき集め、リシェルはヌンチャクに偃月刀、三節棍などを陰陽図を刺繡した巾着バックに詰め込んだ。ヴィルは山岳道具一式とクライミングシューズにハーネス、カラビナ・スリング・確保器などを準備する。それとリシェルに言われた電池...
「ダ―マン家ではな。十二時を過ぎると悪魔の時間なんだ。夜半の街へ行けば分かるだろう狂乱と犯罪が増えてる。目が覚めてたらお祈りをつづることになってる。」「あっ、そ。けどね、いつの時代もゆく手には壁があるの。社会の、年齢の、仕事の、性もそう。現実は悪魔よりも広汎性があって、悪意すらある。わかんないの。」「へえ、言うじゃない。日中は誰もがそれぞれの歯車を規則正しく動かしてる。小さな自由を夜に行使しても...
その日の深夜のこと。ヴィルは突如目が覚めた。耳鳴りの中、部屋の壁が細かに振動している。いや、そうではない。自分の視覚がおかしいのだ。身体がおかしいのだ。淀んで腐った水に漂うボウフラ。そんな気分になった。足元がふらふらする。酒を飲みすぎた親父が、廊下で大きな音を立てるのを思い出した。トイレへもまともに行けない親父。ヴィルは震える自分の足に笑みを浮かべ、窓際に近づいた。新鮮な空気を入れなくては。窓に...
『怠け者はぜったいに魔術師にはなれない。魔術はすべての時間、すべての瞬間にまたがる修練である。快楽の誘惑、食欲、そして眠気にも打ち克てることが。立身出世にたいしてだけでなく、低い身分にたいしても平気でいられることが必要である。その暮らしは、一つの理念によって導かれ自然全体によってかしずかれる一つの意志の現れでなければならない。そのためには先ず五官を精神に従属させ、五官と照応する宇宙の諸力の中にお...
僕たちは頭も感情も混乱していた。恐怖とも違う。逃げ出したいとも違う。モレールとリシェルの姿に自分の中で何かが目覚めた。気づくと飛び出していた。カンテラを振り回してハクスリー先生に突っ込んだ。モレールの手から魔術大全を奪い取るとカンテラの傘を外し火を点けた。「何を!」モレールは驚いて叫んだ。お構いなしに火を点けた。古い本はすぐに燃え出すと、炎が辺りを照らし出した。リシェルが全身を黒く染め数体の彼らと...
その時刻、ベンダー湖の東岸に一台のセダンが止まった。湖の北側には夕日を浴びた森が続き、南側の街道沿いに街が続いている。ミルズ校は湖の反対側、岸から五百メートルほど行ったところにあった。「なあベティ。これからどうする?ドライブが終わってもうしまいか?食事でもしないか?モーテルの脇にダイナーがあるだろう。あそこのイタリア料理は絶品だ!そしてさ…」「そして何?モーテルでわたしのフルコースでもいただく?」...
金属は錆びるが、木造は朽ちていく。時代と無数の虫に喰い荒らされていく。まるで腐敗臭を放って腐っていくようにも見える。本当であれば木は死んでも生きている。地中で炭鉱にもなるし、壁も柱も呼吸している。人間のように老いると愚痴も言うし、老骨を鞭打って悲鳴も上げる。昔気質の祖父はよく言っていた。そんな悲鳴が上がる階段を暗い方へ暗い方へと下っていた。懺悔室にはいかないのか?と訊くと、まずは石膏像がしまい込...
《…過ぎ去る夏の足音が、ときにタップのように踊りだした後、そろりと忍び寄る猫のような毛並みと共に秋は忍び寄り、秋と共に見たこともない妖艶な女性の教師が赴任してきた。妖艶とはなんだろうといつも考えたが、よくわからない。そのわからないあたりが妖艶なのだ。以前悪童で名が知れ渡っていたリザリーが親父の「playboy」を持ってきたことがあったが、女性たちは妖艶とは似ても似つかないもので、もちろん自分にとってはだが...
オールド・ミルズ校は百年の歴史を壁や柱や床に、あるいはその外観を見ただけでも古き良き時代のモダンさを骨董色の肌に染み込ませ、開拓者たちの息吹き、その気骨を受け継ぎ、柱一本一本に鞭打って今日も町の外れに建っていた。しかし、そう思えるのは良き学生時代を過ごした者の贔屓といってもいい。制度に翻弄され、差別と懲罰の地雷に触れた者、あるいは、教師の行使する権力の独裁とに踏みにじられた者からすれば、特に後者...
雪明かり 冬の日暮れの 路地便り 冷たき風の 耳裏の音空高く 成層の青 開け見る いつかのわたしの 無心の空を空気裂く バイクの爆音 受け止めて 夜へと返す 雪壁の道...
くわえ煙草のアンニュイな朝はどっちもこっちも にっちもさっちも沈んだ気分は深海魚今日という日はすでにあった過去のようで経験し終えた情報のようで通信手段の量子化は経済活動をしり目に新たな神を見せている猥雑さは想像力の翼を萎えさせるそして経済活動は貧弱な幸福感を餌にして一生の大半を牛耳っているそんな世界に馴れ合うこともできず自己満足と倫理が混合し合った善の押し売りに辟易し言葉の端々にぶら下がる自己責任...
ビジネスの 行き着く果てから ゴミの山 大地も海も 地球のそらまで落ち葉舞う 唸る北風 打つ粒の 雨も凍える 雪に変わりて常世から 帰り花咲く ヒガンバナ 終し赤にぞ 秘めたる心は...
薔薇は自らが薔薇であることを証明もせず咲き誇る血の鮮やかさで、皮膚を裂く棘の上に瞑想している獅子は自らが獅子であることを証明もせず僕は僕であることを恐れはしない約束された生死はすでに過去のもの明日死す者はすでに契約の内に死んでいる世界に隠れた知恵は隠すことでありのままを現すそのありのまま が美なのだ鳥は賢しい手技を空に捧げ風で設計された翼を手に入れた人間の翼への進化は思考に結実し時間と思...
秋深し 人間同士の 黄昏か 死体を並べて 国土を讃うこころして 祈念が届く 神ならば 込めた思いが 世の有り様こもり人 生産性あらば 経済人 社会の参加 多様にありて...
人間は 同じ成分 同じ五感 前頭葉にふる スパイスの違い左右の手 神を似せたか 神真似の 生かすも殺すも エゴと知りえば投票率 最初に半分 放棄して 僅かな残りに 支持率争いて...
未来にも 過去にも起きた 始まりは 人は偏見を 学び直すこと喜びは 生きていることと 笑む子等の 希望に隠した 社会の保険夜には 目が見えぬのに 昼にも 見えぬ心うち 誰ぞあざむく ...
階段を 夜の明かりが 這っている 光も疲れて 背を伏す今日と明日へと続く 行く先知らない 労働は 明日に終わる 人々を知らず憎しみの 相貌(すがた)が魚に あったなら 鳥にも牛にも あったなら...
忍び寄る 終(つい)を見るか アキアカネ 道の上にて 天を眺める青空に 何を急ぐや 紅葉狩り 静かに座して ただ山となれコスモスに 止まるビードロの 秋津かな せわしく動く 球体の星で...
香ばしき 匂いたつかな 安銀座 煙も油も 甘き焼き芋も 血流に 耳を澄ませば 月の浜 赤き潮騒に 人は眠れる月も鳴く 時の奴隷の その中で 身を置き馳せる 壁の向こう側 ...
雨に濡れ 穂先に黄金の 粒ひとつ 落ちて生まれる こともあらばとバス窓に 点るボタンに さかのぼる 過去に見上げた 白き手のひと薬持ち 肌をなぞって 吹く風に 秋も来たかと 後にする店...