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よも 言葉のアトリエ http://apismos.blog.fc2.com/

言葉で描くみえないこころ。 縦横高さ、時間軸、いつか 見えてくるでしょうか? 拙いながらの一綴り、ジャンルは絵のように…詩や小説の創作物を載せています。 どうぞお気軽にお立ち寄りください。

上遠野世方
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2020/06/20

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  • 灰になった書物

    かつて思想は地上にあって憎しみの岩場を水のように流れ欲望の雲を風のように過ぎ死の夜を星のように飾った今は知性を弄ぶ机上の論理と化し図書館の中にでも並んでいる一歩外に踏み出せば思想が息できるほど呼吸は深くない思想が根付くほど意志は強くない内なる火に従った預言者は 耳元でひとこと訊ねて歩む「お前は充分に強いか」憎しみの戦場は今も業火の中にあって欲望の濁流は知識の植林をなぎ払う死の壁にはいたずらに幻...

  • 水色の町

    石畳の道はくねくねと松の並木を見上げて続く街は幻想の中にたち雨の道は煙っている間もなく雨は降る道の上に雨は降る 街の底に雨は降る僕の上に降る雨に僕は仮の宿を求め宿で請求を受けている昨日も今日も、明日も明後日も風の塊りが樫の体を叩いたお前は眠っているときみはキット旅の空ぼくもキット旅の空眠りに就いた現実を見る一生の映像を夢見ているあの古ぼけた映写機のあの遠いアルバムを石の坂はごつごつと桜やモミジの天...

  • ふたいろの惑星 四、umbra sartura(カゲヌイ)の草原ー2

    カゲヌイの動きは緩慢だった。お互いにはまったく興味がなさそうに見えた。同じ波長で支配されているのか、一人の行動は全員の行動になっている。たぶんそれは名前が一つだけだからだろう。彼らは四体いても一つの名前、一つの人格なのだ。それぞれが捕獲したターゲットから名をいただくまでは。…ということはターゲットを見つければ彼らは同じような行動をとるということだ。「なあ、カナ。モノリスの数だけど、六列並んでいる...

  • 紫陽花の頃

    ぼくの手がきみの手を引いて紫陽花の坂道をのぼるどこへ行くというよりも今を共有するために、ここそこと歩く少し濡れた梅雨の合間にそっと息づくのは紫陽花だけではない空に焦がれた露草、静かに佇むネジバナ風の息づかい、夏雲の吐息振り返っても過去はなく坂を見上げても先はなくただ広がる今の中にぼくらは息をつき空と海を見ていた空を吸い込んで夢を吐いたぼくの手はきみの手を引いて島へ続く橋を渡る二人の橋というよりも思...

  • 時わたる雲の歌

    頬打つ風の後先にうつろう季節の歌声はぼくを起こす風の歌町も季節も一緒になって命を乗せて過ぎてゆく見たまえ この時の爆風を目の前に今日が訪れるのは離れる岸を忘れないためあらゆる事物が足早に去るのは世界が虚しいほどの空っぽさゆえに風の歌は刷新を望み、無常の残り香を愛した地上のぬくもりの艶模様眼差しにこもる歌声はぼくを掘り起こす光の声地下に眠る種や根たち無心の魂に光は届く見たまえ この意識の発現を頭上に...

  • ふたいろの惑星 四、umbra sartura(カゲヌイ)の草原ー1

    「逃げろ!」コウがカナの手を引っ張ってぐんぐん走り出す。「森に隠れるぞ!」まるで野生の獣のようだ。引っ張られたカナもまた先導する巧コウの脇を負けず劣らず走っている。すごい勢いだ。草原の草が後方へ飛んで行くと、森がぐんと二人に近づいてきた。走りながらカナは何度もコウを見た。三本重なった樹の陰に身を隠す。腰程もある草がこんもりと繁っていて丁度いい。一息ついて思い出すと急に震えがきた。あれは人間に似てい...

  • 尾を噛む惑星

    陽炎のように炎立つ現実は砂漠のように乾き不毛の砂が一面を覆い尽くしている生命溢れるオアシスは空中に消えたここは滑稽な収容惑星、誰もがウロボロスのように自分を喰らっている自分が夢見た快楽も、絶望も、恐怖も、憎しみも過去に、そして未来に今もこの惑星の隅々で起きているまるで惑星ソラリスのように人の夢見る天国と地獄をこの星は出現させる僕たちは永遠に傷ついた被害者で呪わしい加害者だ自らの尾を噛み、その痛みに...

  • 昼と夜のモノローグ

    楡の葉の鱗のようにひらめく下を行きて帰りて道は続く営みの振幅が心を振り切ろうとも独楽のような一日は回り続ける黄昏のランプは赤々と街を包み今日もまた日は落ちぬ表象の風の世界の右左何処より来りて、何処へと到る手の届く現実も時には底すら見えず得体も知れぬ不可思議さ筋肉の経験、また肌の印象よりも血流は心臓の寿命を縮めたモノクロのエピローグモノローグとダイアローグの昼と夜月の見下ろすタールの夜は一面の漆黒に...

  • 日常

    人は商品のように流される手から手へ、檻から檻へあなたは何になりました堂々巡りもいいところでしょうそうやって働くのも税金を払うためなんです本当に封建政治も賢くなりました年貢が税金に変わるなんて税金もいつかは嗜好品に変わるでしょう抜け目なく、際限なく心理に寄り添って人生に意味を見つけるのですモノに意味を付加するのです人は商品のように廃棄される福祉国家などと言いますが言葉が化生して誤魔化すばかり本質では...

  • ギフト

    死の闇がぼくを包み込むその時こよなく愛したあたりまえの世界が地上に過ぎているように営みも生態も大気の頃もに包まれて揺りかごのように揺られている家路は遠い我が胸の中雲が口笛を吹いて空が笑っているその下ですべてのひとときが光に満ち輝いているように死の闇は世界をいっそう美しく染め上げる憎しみよりも強く 暴力よりも深く突き刺さる杭の底で夢見た明日は今日の空の下で別れを告げるただ一度に燃え盛り西方浄土に沈む...

  • 夜の虹

    墨絵の空に星もなくうねるような筆使い宇宙はさらに墨を吐き夜の底は排気炎夜を抜けて、夜へと至る昼の儚さ、淡き虹ぼくは夢を見ていたようなぼくは過去を追っていたような明かりはそこらにあるけれど今はどこぞと知れぬ場所ぼくは何処を走るのか何時から走っているのかすべてが歪む四次元時空妖しき虹は環をなしぼくは走るぐるぐると終わりなき時空連続体一つに連なった空の下をあぶくのようなビルの影黒く並んで勢揃い風切るカー...

  • バンシーが泣いている

    白壁赤々と燃え急ぐ深く静かに忍び寄る森の息に、道走る遠吠え市庁舎前の広場の足早の人々アコーディオン弾きはもういない噴水の周りを走った子らはどこへ行ったもう… 花の色も数えられないほら! 聞こえる?バンシーが泣いているもう夜警の歌も聴こえてきたよいそいで家まで走ろうバンシーが飛び回るその前に家の玄関に飛び込もう追いかけられないうちに連れ去られないうちに見つかったら終わりだよ彼女は家にもやってくる闇を...

  • 道の真ん中で想像する

    道の真ん中で想像する想像する時はいつも頭のスイッチを入れる誰かさんのようだねと きみはいったでもその誰かさんのことは知らない知っているのはせいぜい両手で数えられるくらいそこから先は想像なんだって…ときどき思い出す顔も人が呼び合う名前も想像だけだったら問題はないだからいっぱいを過ぎたら想像するきみは想像じゃない十一番目で覚えたきみはおじさんがいなくなったから十番目だ人はいなくなると想像になるぼくのキ...

  • ふたいろ惑星 三、Beyond reality(彼方に)- 2

    墓は一基だけではなく何十とあった。…いや何百かもしれない。横並びに六列あって、その六列を基にして後ろに延々と続いている。その奥は見えない。凄い数だ。ここに住んでいた者たちが亡くなったのだろうか。いまは誰もいないのだろうか。見回してみても人影らしきものはない。右手には小高い丘が連なり、ブッシュはあるが大きな木の影はなく、左手にはあの奇妙な細い木が森をなしている。ちなみに背後には切り立つ崖と山々があ...

  • 僕たちの季節

    きみにはきみの生と死があり僕には僕の生と死がある会社には会社の、国には国の興亡がある陸には陸の 山には山の 惑星には惑星のはじまりと終わり 合成と分解 そして愛と孤独とがある愛を怖れるのは死ゆえに愛に執着するのもまた死ゆえに僕らは重力の揺りかごに揺られた立てない赤子歩けない老人気持ちだけが未来を走っている、いつか時間の渦に飛び込んでいく過去の祝祭の時間にあるいは呪われた時間に未来には老獪な死が待ち...

  • 晴れ上がった空を渡る

    晴れ上がった空を歩いていこう明日に嵐が待っていようと先に道が失われていようとぼくはぼくの生と死と一体だ今日に生き、明日に死ぬその素晴らしい昼に踊りその素晴らしい夜に眠るぼくは野生の鳥風に乗って飛び、落下するように死す褥はこの大地、体は地球に返してしまおうぼくは名を変え、姿を変えてずっと旅してきた人間になる前も、その後も遠い時間を旅をする繰り返される同じ旅でもたぶん経験によって理解によってきっと違っ...

  • 足下に落ちる影

    忍びよる目覚めの皮膚のその下でひときわ熱く心の臓は動いている無心に、ただ正直にここにある意識は日常と苦しくとも 虚しくとも自己と格闘しているのに道に立つ陽炎は夏の誘惑激しく 切なく短い時間に向かい合っている……のに幾多の挫折に行き詰まり落つる葉は焼ける思いに焼ける悔いに焼ける社会に焼き爛れ煙となって立ち昇るビルの上から見た世界靴音高く今日を踏むどこまでも…響きあって心ハ遠ク置キ去リノ河原ニ積ンダ石ノ...

  • ふたいろの惑星 三、Beyond reality(彼方に)- 1

    「カナ、どうかした。今日変だよ。いつもの輝きがない。なんか元に戻った感じがするけどわたしの勘違い?」晴海にそう言われたのは登校時の挨拶を交わした後「えっ、いつもと変わりないよ」と言ってはみたものの、クラスでは美織に同じようなことを言われた。「あら、もう恋も終わり。まあ短い間だったわね。あたしはね…」話の続きを聞いていなかった。その日の朝は目覚めた時から変だった。身体は気味が悪いほどうつろで、生ぬ...

  • sounds in the evening

    太陽のhornが白壁に反響し鳥達を東の空へと吹き飛ばす耳を澄ませば群衆のpercussion 車のtrumpet胸に響くは bass drum夕風に旗がひらめく下をビルのデッキからお前は地に降り立つ昼の船が西へ下る前に自分自身と共有するこのひととき耳に囁く evening song静かに醒めて美しく黄昏の街には光の矢が刺さっている見えぬ棘が疼いている血の流れる内側で盲目の瞳は闇をさ迷っているこの現実に光を探っている昼も夜も 寝ても醒めてもb...

  • ふたいろの惑星 二、Lovers (親愛) ー 3

    「あら、今日はおひとり」ヒルダ夫人はにっこりと微笑んで現われた。伽奈子は意味もなくほっとする自分に驚いた。ここへ来ることには少なからず葛藤があった。晴海にナイショで来たこともそうだが、カラコンを外すことを決心したこともそのひとつ。ヒルダ夫人と直にありのままの姿で語りたいと思ったのだ。不思議なことにわたしの分身である巧も落ち着きがない。いや、これはわたしに落ち着きがないということか。「どうもいやだ...

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