「華氏451度」(レイ・ブラッドベリ、ハヤカワ文庫)は、1953年に書かれたディストピア(=ユートピアの反対語)小説の名作。アメリカのSFの大家、レイ・ブラッドベリの代表作といえばこれか、「火星年代記」でしょう。 書物を読むこと、所持することを禁止された近未来社会が舞台です。あらゆる図書館は破壊されて本は焼き払われ、大学などの高等教育機関も閉鎖されています。家では室内の壁が巨大なスクリーンになっていて、人びとはそこに流れる映像や音に慰めを見い出して生きています。 民衆を愚民化するための、徹底した管理社会。 密かに本を隠し持つ人がいると通報され、即座に<ファイアマン>が出動して犯罪者を拘束、有無…