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ことばを食する https://www.whitepapers.blog/

私の主観による書評、ブックレビューです。小説のほか美術書、ノンフィクションなど幅広く扱います。ベストセラーランキングもチェックします。

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2019/05/27

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  • 能登の絵師 震災から1年の大晦日

    あと数時間で、2025年を迎えます。1年前の元旦夕方、能登半島地震が起きました。わたしが暮らす地は能登に近く、震度5強。初めて体験する強い揺れが長く続き、直後に津波警報が出ました。自宅は海岸線から4、5キロ離れていますが、近くを川が流れ、海抜は1メートルほどしかありません。 外に出ると、ふだん見ることのない海鳥が飛来して、鳴きながら夕空に乱舞。「これはまずい」と、浮き足立ったのを思い出します。 能登の被害は甚大でした。復興が進まない中、9月には豪雨災害に襲われました。わたしは夏以降2度、能登へ行きました。七尾市では潰れた家、ひび割れた街中の道路がそのままでした。 尾張国で織田信長が生まれた5年…

  • 絵に夢を託した画家たち 〜「近代絵画史」高階秀爾

    年末になり、たまたま見ていたテレビ番組で、指揮者の小澤征爾さん、詩人の谷川俊太郎さんら2024年に亡くなった著名人を取り上げて1年を振り返っていました。個人的には、美術史家で評論家の高階秀爾さんも忘れられません。10月17日、92歳の生涯を閉じられました。 「近代絵画史 ゴヤからモンドリアンまで」(高階秀爾、中公新書上下2冊)は、半世紀前に刊行され、今なお名著だと思います。 普通の通史ではなく、印象派をはじめ次々に生まれた運動は、どんな必然性があって現れ、画家たちがどんな苦闘をしたのか。そしてやがて、抽象絵画につながっていくまでの面白さ。分かりやすく分析、解説され、まるで近代絵画をテーマにした…

  • 信仰ということ 〜「沈黙」遠藤周作

    祖母だったかほかのだれかだったか、確かな記憶はないけれど、子どものころこう言われました。 「隠れて悪さをしても、ののさまは見ていらっしゃる」 仏様のことを、わたしが暮らす地方では子ども言葉で「ののさま」と呼びます。「見ている人がいないからといって、悪いことをしてはいけません。仏様は全てご存知です」と、諌められたのです。 ませた子だったからか、真に受けませんでしたが、以来、何かよからぬことを考えると、どこか上の方から人を超えた眼に見つめられている気がしたものです。ののさまとは、どんな方なのか。毎日仏壇に蝋燭を灯し、お経を読む祖母のイメージが浮かびました。最初で、たぶん最後の、ささやかな宗教体験で…

  • 本についてのあれこれ

    初代iPadが日本で発売されたのは2010年5月です。発売初日、銀座のアップルストアには開店前から長い列ができ、ニュースになりました。 同じ日の午前中、田舎に暮らすわたしの自宅には宅配便でiPadが届きました。アップルの公式サイトで、事前に購入予約していたのです。タブレット端末というものが、日本で初めて世に出た日でした(アメリカでは一足早く発売されていた)。 事前予約までしてiPadを求めたのは、わたしが筋金入りのアップルファンだったことに加え、「これで本を買わなくてもいいのではないか」という希望を抱いたからです。iPadを読書端末にし、新刊本も電子書籍で買えばいい。 当時すでに、狭い部屋は本…

  • 河の流れとうたかた 〜「方丈記」鴨長明

    長く生きると、次第に「若さ」をまぶしく、うらやましく思うようになります。もし自分に再び若さが与えられたなら、ああするだろう、こうするだろう...と思い。しかし、それは後出しじゃんけんと同じで、実に身勝手な夢想にすぎません。 仮に若返ったとしても、また歳月を経て行き着いた先にきっと大差はないでしょう。苦い思いを噛み締め、再び「若さ」を求めるだけで。わたしという人間の器はその程度です。 一方、もう「若さ」は真っ平だという思いもあります。夢に振り回され、傷つきやすくて傲慢で、だから人も傷つけ、あれほどしんどい時期は人生1回きりでたくさんだ!ーと、だれかが言えば、わたしは深く頷きます。 こんな愚にもつ…

  • 無力な人 寄り添う人 〜「イエスの生涯」遠藤周作

    これは評伝なのか、小説なのか。「イエスの生涯」(遠藤周作、新潮文庫)を読めば、だれもがそう思うでしょう。紀元前3年に生まれ、ナザレの町で貧しい大工として働き、短い生涯の晩年に弱きものへの愛を説き、33歳ごろ十字架の磔になって刑死したイエス・キリスト。 評伝であれば、イエスという神格化された存在を地上に引き戻し、一人の生身の男としてとらえなければ成立しません。 できる限り死までの事実や証言を調べ、真偽を確定する必要がありますが、ベースにできる史料は極めて限定的です。主に、イエスの死後に使徒がまとめた4つの福音書を中心とした新約聖書。しかし聖書には、「事実」と、「宗教的な真実」、もしくは後世の信者…

  • 蕎麦 飛騨路と剣客商売 〜食の記憶・file7

    特段、蕎麦にこだわりはないけれど、あの歯触りと淡白で微妙な味、喉越しはうまいと、60歳を過ぎてから知りました。十割、八割、それぞれの風味があります。 地元の駅の立ち食いだって捨て難い。これは立ち食いが激務だった人生のさまざまな記憶と結びついているからで、「おいしさ」にはそんな要素も大きいと思います。 うどんだって好きで、特に寒くなってくるこれからは、天ぷらと玉子を割り入れて、ぐつぐつ煮立っているのが運ばれてくる鍋焼きなんてのが実にいい。冷えたビールと。 しかし年々、うどんより蕎麦を食べることが多くなってきました。 思うに、わたしは蕎麦の味の奥深さを、年齢を重ねることでようやく分かったのか。エネ…

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