瑞々しい成長と旅立ち 〜「かんかん橋の向こう側」あさのあつこ
小説の舞台は前作同様、中国地方の山あいにある寂れた温泉町・津雲。自然豊かで、水が美味しく、流れる川に石造りのかんかん橋が架かり。言葉を変えれば『ど田舎』。人は老い、町も老い、歯が抜けるように店が消えて。しかし現代の「故郷」の普遍的な姿とは、ひっそりと老いていくこの温泉町ではないでしょうか。 食堂「ののや」は、津雲のヌード劇場(すでに倒産)のダンサーだった奈央さんと、血の繋がらない高校生の娘・真子が営む食堂です。常連さんは近所の魚屋夫婦、妻に先立たれた元公務員、潰れそうな温泉宿で働く元不良少年、などなど....。 個性豊かな面々が「ののや」に毎日のように通い、奈央さんの手料理を楽しみ、飲んで、た…
2020/03/10 19:07