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ことばを食する https://www.whitepapers.blog/

私の主観による書評、ブックレビューです。小説のほか美術書、ノンフィクションなど幅広く扱います。ベストセラーランキングもチェックします。

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2019/05/27

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  • あの人はわたしのすべてだった 〜「冷静と情熱のあいだ」江國香織

    純粋、切ない、優しい、強い。弱い、かたくな、そして残酷。 どれも、「冷静と情熱のあいだ」(江國香織、角川文庫)の主人公<アオイ>について考えたとき、思い浮かんだ言葉です。そして全部、だれしもが持つ人の本性かもしれません。 単行本帯のキャッチコピーによれば「今世紀最後の、最高の恋愛小説」。1999年刊行なので25年前、20世紀の終わりですね。 <アオイ>は、イタリアのミラノに暮らし、ナイーブなアメリカ人と付き合っています。舞台はおしゃれだけれど、小説の雰囲気は冒頭からさみしげで、イタリアというより北欧の静かな短調の調べ。当時、すでに普及し始めていたメールは出てこなくて、手紙の世界です。 読み進み…

  • 「レダと白鳥」〜レオナルド・ダ・ヴィンチの失われた傑作

    空き部屋になった2階の子供部屋に、春から画材を運び上げ、画集など絵画関連の書籍もすべて移してアトリエにしました。いま、とてもお気に入りの空間です。 絵筆を持つと集中力が必要で、30分前後描くと限界に達するので、中入りの休憩を3、40分。その繰り返しになります。で、休憩時間には軽い読書や画集を眺めてリラックスします。 きょうたまたま、「世界素描体系」(講談社、全6巻)のイタリア編めくっていて、15世紀後半に活躍した画家・彫刻家、ヴェロッキオのデッサンに目が留まりました。なんだか見覚えがあって。ルネッサンス期イタリアのヘアースタイリスト?が、腕を振るったのであろう女性の頭部像です。 ところで。 天…

  • Curry カレー 〜食の記憶・file5

    昭和は子供から大人まで、日本の国民食の一つがカレーライスでした。わが家では母が、わたしの好みに合わせて「ジャワカレー」(ハウス食品)の中辛を作ってくれた。 なにしろ田舎。フレンチやイタリアンは当然、和食という高級料理などつゆ知らず、カレーと日清の即席麺「サッポロ1番」が、腹を空かせた少年の王道でした。 そんなわたしにとってレトルトの「ボンカレー」や「カップヌードル」の出現は、大いなるカルチャーショックでした。「鉄腕アトムの21世紀が確実に近づいている!」みたいなわくわく感があって。 1970年代後半、大学生になって東京で下宿生活を始めたわたしは、近所の肉屋さんでトンカツを買い、部屋のガスコンロ…

  • 壮絶な記録文学 300余の人柱 〜「高熱隧道」吉村 昭

    壮絶な記録文学です。北アルプスの黒部峡谷は、峻厳な地形や豪雪が人の侵入を拒み続けてきた秘境。その峡谷に水力発電のダムを建設するため、人や資材を運ぶ隧道(トンネル)の掘削が始まりました。 ところが地下火山の影響で、掘り進むと岩盤温度は160度を超え、熱湯が絶えず吹き出してトンネル内は灼熱地獄になります。 「高熱隧道」(吉村昭、新潮文庫)は丹念に工事記録を調べ、現場責任者である技師の視点から、自然と人間の闘いを描き出した作品です。 あまりの高温に、発破のダイナマイトが自然発火して、人夫たちは逃げる間もありません。坑道の最深部、バラバラになった肉塊を抱き上げてトロッコ3台に積み、外に出してムシロに並…

  • 食い道楽 日の丸お粥に中華そば 〜食の記憶・file4

    ふと、ある食べ物が思い浮かび、無性に食べたくなる...こと、ありませんか? 若いころは洋食に中華、和食、創作料理、B級グルメまで、いろいろ情報を見て食べくなったものです。思い浮かべるだけで、口にじわっと唾がたまる感じ。体が、食物を求めていたのだと思います。 けれど、年齢とともにそんなことは少なくなった。だから、なにかを食べたいという欲求自体、じじいになった今はけっこう新鮮です。 昨夜。炊飯器の残り飯を見ているうち、無性に朝のお粥を食したくなりました。冷蔵庫にある、塩が効いて酸っぱい自家製梅干をのせて。かみさんにその旨を告げ(=わたしの朝食は準備しなくていいと伝える必要がある)、珍しくわくわくし…

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