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ことばを食する https://www.whitepapers.blog/

私の主観による書評、ブックレビューです。小説のほか美術書、ノンフィクションなど幅広く扱います。ベストセラーランキングもチェックします。

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2019/05/27

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  • 百年を経て妖になった面々 〜「つくもがみ貸します」畠中恵

    私たちが日常に使う道具類、百年の年月を経ると魂が宿って妖(あやかし)になるという。これが付喪神(つくもがみ)です。 茶碗なんてすぐ割れるし、木製品だってガタがくる。たいていの道具、器物はとても百年持ちません。しかし一方で、精巧な細工を施した文机とか、名工の手による香炉とか、何百年も使用、もしくは保存されている道具も珍しくありません。 いやそんな銘品でなくても、何世代かにわたって稗や粟や、正月くらいはお米を盛った薄汚れた茶碗も、奇跡的に百年使い続けると付喪神が宿るのです。ふだんは静かにしているけれど、人目がなくなると悪戯を始める...。 長い年月を経たモノに魂が宿るという精神文化が、日本固有なの…

  • いちまいの絵

    40年近く前、1週間ほどパリを訪れました。ガイドブック片手に、移動手段は地下鉄の回数券を買い、バスに乗り、郊外へは駅からフランスの国鉄で。あとは徒歩。旧ルーブル美術館は朝から夕方まで費やしてとても回り切れなかったり、アポリネールの詩「ミラボー橋」を渡り、学生街カルチェラタンのカフェでサンドイッチ齧ってビールを飲んだりしました。 そしてモンマルトルの画廊で、水彩を1枚買いました。確か、当時の日本円で1万円ほどだった。 日本の古本屋さんみたいな雰囲気の画廊で、一角に何十枚もの水彩画やスケッチが裸で平積みされていていました。100円均一本のような扱いで、さすがに100円ではなかったけれど。 推測です…

  • 長い逃亡劇の果て 彼女が見つけたもの 〜「ヒロイン」桜木紫乃

    「ヒロイン」(桜木紫乃、毎日新聞出版)は、23歳から17年間にわたる逃亡の物語です。華やかなタイトルと裏腹に、殺人罪の指名手配写真を気にしながら、次々と別人になりすまして世間を欺く長い旅。そこにも男との出会いと死があり、最後にようやく、ヒロインは自らを縛る過去の呪縛から抜けることができます。 生きるとは何か。幸せはどんな姿をしているのか。逃亡の生き様を描くことで、わたしたちの普段の生き方に裏側から光を当て、問いかけているようでもあります。 1995年3月、新興カルト教団による白昼テロが発生しました。実際の事件と教団をモデルにしていることは、だれにも分かります。当日、何も知らされないまま、ただ教…

  • ああこんな夜 また酔ってゐる 〜「続・吉原幸子詩集」など

    梅雨入りし、蒸し暑い日が続きます。 最近処方された薬の副作用に、「眠気」があります。そのせいなのか、寝る前に飲むと深く眠れて朝寝坊になりました。本来の効能より、そちらに感謝したいくらい。 そして明け方によく夢を見ます。幸いにも、いい夢であることが多い。幸せな夢を見たときは、目覚めてしまうのが悔しい。窓から朝陽が射す布団の中で、半覚醒の自分のバランスをもう一度、眠りの海底に沈めたいと願います。 結局は、流木かごみのように、現実という砂浜に打ち上げられてしまうんですけど。やがて「もうこんな時間か」と、わたしは経年劣化が進んだ上体を起こします。 よっこらしょ。う、腰が... 目覚めて しばらくは 夢…

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