百年を経て妖になった面々 〜「つくもがみ貸します」畠中恵
私たちが日常に使う道具類、百年の年月を経ると魂が宿って妖(あやかし)になるという。これが付喪神(つくもがみ)です。 茶碗なんてすぐ割れるし、木製品だってガタがくる。たいていの道具、器物はとても百年持ちません。しかし一方で、精巧な細工を施した文机とか、名工の手による香炉とか、何百年も使用、もしくは保存されている道具も珍しくありません。 いやそんな銘品でなくても、何世代かにわたって稗や粟や、正月くらいはお米を盛った薄汚れた茶碗も、奇跡的に百年使い続けると付喪神が宿るのです。ふだんは静かにしているけれど、人目がなくなると悪戯を始める...。 長い年月を経たモノに魂が宿るという精神文化が、日本固有なの…
2024/07/26 00:42