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地底の声 https://amanekouko.hatenablog.jp/

世の中からズレてる人の書いたもの。詩、エッセイ、日記、小説など。

甚だ異形なる感受 異端の言葉難解と 我も違和感抱きたり 暗い暗いはリアリズム それゆえ望み見えぬとて どうやら我が詩不評なり 然れどままよ筆を執り 刻む足跡いしぶみに 誰ぞ一人と解き放つ

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2017/06/18

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  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(7)

    まなざしとまなざしの交錯 精神保健福祉センターで話を聞いてもらっている人がいた。もはや味方は、その人しかいなかった。 精神科のシンラツ先生は、こう教えてくれた。ふんぞり返って、声のシャワーを浴びせかけるように、奔放にしゃべるが、すこしも傲慢を感じさせない口調で。 「こういう状況を理解できる人は限られている。受け取るには勇気と力が要る。もっている人はごく一部。みんな嫌がる。重い? 暗い? そりゃそうだよ。ただ一般の人でも、心開かれる人はいる」 「私、誰も読まないかと……」 「一般の人は反応がないのが当たり前。理解できるわけない。できるもんならしてみろ! 詩集で一部でもわかってくれた人がいた、って…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(6)

    私に大通りは似合わない ところが今度は、「マジョリティに向けて広く、わかりやすく!」という理想を目指すミカンさんと、決裂していくことになる。 ミカンさんには、発達障害の家族がいる。その人のことが「わからない」という。だからこそ、同じ事情を抱えている私の〈特殊〉事情を、〈一般〉に「わからせる」ことに、こだわるのだ。 ミカンさんが「わからない」のは、〈特殊〉事情のある人の問題ばかりではなく、彼女の問題であると、私は思った。ミカンさんのアイデンティティは、〈特殊〉な感覚を失い、〈一般〉の感覚に同化しているように思われた。そんな自分の心を、自分で見ることができないと。 そのような人が、〈特殊〉な人を理…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(5)詩「ゆるして」

    ゆるして 私の命は許されていない。社会からも。自分からも。 「もう、許してほしい」と、神に祈った――。 【ゆるして】 ゝ ひとひらの風が 窓枠に触れる ゝ 部屋を撫で さらう波が ゝ 沈殿する波と 絡まり合い ゝ 揺蕩いひらく ありのままに ゝ 巻き上がり 生まれる灯の ゝ 零れ光り 渦巻く流れを ゝ ゆるして ゆるして 偶然、加藤諦三の本を読んで、気づいた。「理解してほしい(するべき)」という願望や必要性を、私はマジョリティに押し広げ、外化していた。そうすることは非現実的であると。 マジョリティは、私にとってマフィアだ。だからこそ「マフィアの権力をやり過ごす」「マフィアを避けて生きる」のが大…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(4)詩「打ち下ろす槌に」

    燃え尽きて 命を賭けていた。森口さんが命を賭けて書いたように。失われた人間の尊厳を取り戻し、社会で生きる権利を確立するために。 人間の尊厳、命の尊厳とは何か? 社会的に抹殺された人の存在が、私には支えだった。裁判をする人の気持ちがわかった。ハンセン病や、いじめでPTSDになった人の記事をよく読んでいた。 〈特殊〉の魂を持った私が、〈特殊〉のまま――自分のまま、〈一般〉に通じる。それは、険しいいばらの道だった。 逆流性胃食道炎になった。膠原病になった。ストレスが内臓を攻撃して、身体中にできものができたのだ。 どんなに命をかけて『マイノリティ・センス』を書いても、社会に訴えても、無視されるのではな…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(3)

    〈自分の部屋〉を〈通路〉の一部にしたくない 『マイノリティ・センス』がおおかたできあがった時、下読みした人の評価はさんざんだった。重い。暗い。わかりにくいと。読んでもらえない人が半数いた。そもそも「読めない」というのだ。 本の内容自体に関しては、それなりの自負はあった。なにせ、聴覚過敏に関して、世の中にはない秘密を、自分で解き明かした。世の中にないメソッドを、自分で築いた。世の中にない思想を、自分で編み上げた。世の中にない治療法を、自分で確立した。 しかし、とにかく〈一般〉向きではないことを、私は思い知った。 本の重要人物として登場する、一緒に推敲してくれた人(仮にミカンさんとする)がいた。ミ…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(2)

    オーダー・メイド 私が直面している発達障害の問題もそうである。 私の問題と需要を解決できる情報が、世の中にはない。世の中の問題と需要を解決できる情報が、私の中にはない。私の問題と需要は、世の中の問題と需要とは重なり合わない。“ちょっと”はあるかもしれないが、微々たるものである。 だから私は、何を書いても「所詮、自分のオーダーメイドにしかならない」という虚しさを、たびたび感じる。自分の問題とその解決策が〈特殊〉すぎて、ほかの人に「使えない」。ほかの人の問題とその解決策が、私の〈特殊〉な問題に合わず、「使えない」。 社会のあらゆる場所で、私はそう言われてきた。「〈特殊〉なあなたに合った場所は、情報…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(1)

    〈特殊〉vs〈一般〉 文芸社の講評を読んで、まず目に飛び込んできたのは、「全国流通を目指していただける内容」という文字だった。 「無理」だと思っていた。「それを目指しては私が潰れてしまう」と思っていた。 その理由を整理してみる。 〈特殊〉vs〈一般〉。この構図に引きずり回されてきた。 ざっくり書くと、私は〈特殊〉な感覚〈マイノリティ・センス〉のために、社会の中で生きる場所を失った。重い後遺症に苦しめられた。だから命の尊厳を賭けて、〈マイノリティ・センス〉を社会的に認めてほしいと訴えたのが、自家製本『マイノリティ・センス』である。 自閉症者の森口さんは、最初の著書を半年かけて書き、半年かけて推敲…

  • 日記「『マイノリティ・センス』の講評に”言葉を失う”ほど震撼した」 詩「ただ一人の観客へ」

    東京オリンピックが閉幕し、新型コロナウイルス第5波が落ち着き始めた2021年初秋。一通のレターパックがポストに入っていた。文芸社から届いた、聴覚過敏手記『マイノリティ・センス』の講評だった。 この春、文芸社主催の自分史大賞「人生十人十色大賞」に応募し、先月、落選した。理由と講評が知りたいと電話したところ、担当者が送ってくれたのだ。 講評には、作品を評価する言葉が連ねられていた。 その時受けた私の衝撃を、どう表現すればよいだろう? いつも無視ばかりされる私にふさわしくない、過分なる現実。これは夢か? 心のあまりに深い部分が震撼した。言葉にならない歓喜が爆発した。講評に「読み進めながら言葉を失う」…

  • 詩「花吹雪」

    遠い故郷を浮かべ 群青を帯び輝く細面が 水中に揺らぐように 潤む月は 夜闇に光沢を湛え ぴんと張ったしずかな冷気が 月の無言を呑んでいる しやめかな夜空に 散る 散る 熟れてゆく樹幹から離れ 透き通る白い花弁が 裸体のままひらき 無数の歌になって Good bye Good bye 一生分の準備を乗せ 旅立つ花吹雪 樹幹を搾りきるように 夜空をいっせいに昇ってゆく 遠い月に向かって Under the same sky If you are happy… 満ちる 樹幹から千切れて―― (2021.初春 蒼炎浪漫 Vol.19 収録)

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