〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(7)
まなざしとまなざしの交錯 精神保健福祉センターで話を聞いてもらっている人がいた。もはや味方は、その人しかいなかった。 精神科のシンラツ先生は、こう教えてくれた。ふんぞり返って、声のシャワーを浴びせかけるように、奔放にしゃべるが、すこしも傲慢を感じさせない口調で。 「こういう状況を理解できる人は限られている。受け取るには勇気と力が要る。もっている人はごく一部。みんな嫌がる。重い? 暗い? そりゃそうだよ。ただ一般の人でも、心開かれる人はいる」 「私、誰も読まないかと……」 「一般の人は反応がないのが当たり前。理解できるわけない。できるもんならしてみろ! 詩集で一部でもわかってくれた人がいた、って…
2021/09/23 01:13