ノラの聖パウリノ司教St.PaulinusaNolaE.記念日6月22日313年かのコンスタンチノ大帝が自らもキリスト教に帰依すると共に、有名なミラノの勅令を以て聖教信仰の自由を与えてからは、国民も先を争って受洗し、聖会は一時に隆盛に赴いた。しかしそれは量的に見ての話で、質的には遺憾な点のある信者も少なくなかった。というのは、真に心の要求から出たのではなく、ただ流行を追うような浅薄極まる気持ちで、十分教理も研究せず入信した人々も多数あったからである。殊にその弊は上流の人士に甚だしく、今語らんとする聖ポンチオ・メロピオ・パウリノの両親もそうした仲間であった。即ち身元老院議員にして貴族なる父も母も、名こそ信者ながらその日常には異教徒にも劣りかねぬひんしゅくすべき生活ぶりが見いだされたのである。聖パウリノは35...ノラの聖パウリノ司教St.PaulinusaNolaE.