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  • 三国志 第九巻

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 399ページ 曹操の傑人ぶりを見たあとでは、曹丕の矮小さがめだってしまう。劉備の破天荒さに比べると、生真面目な諸葛亮では英雄的事業はまず無理と思える。孫権は年老いてますます老獪没信義に。総じて人物が小物化し魅力が感じられなくなってきた。時代がある程度落ち着いたせいだろう。...

  • 三国志 第八巻

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 397ページ 関羽の死。曹操の死。張飛と劉備の死。ここからは曹丕と諸葛亮と孫権の時代。...

  • Lightyear(バズ・ライトイヤー)

    ★★★★2022年 105分 ネットで視聴 英語字幕原題:Lightyear邦題:バズ・ライトイヤー制作:米 監督:アンガス・マクレーン先月、タイから帰る途中の飛行機で見ていたら、半分をすぎたあたりで福岡空港到着になってしまった。こころ残りだったのをようやく見ることができた。最初から見直してみたのだが、デキとしては標準的だと思う。ただし待ち遠しかった分だけ、満足度が高くなった。...

  • Spider-Man: No Way Home(スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム)

    ★★★ 2021年 148分ネットで視聴 日本語字幕 (amazon prime)原題:Spider-Man: No Way Home邦題:スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム制作:米監督:ジョン・ワッツ出演 トム・ホランド ゼンデイヤ ベネディクト・カンバーバッチネタばれになるので話さないけれども(といっても下のポスターを見ればすぐわかってしまう)、これまで数々のスパイダーマンシリーズを見てきた当方にとっては、この展開は驚きだし、嬉しい。...

  • Once Were Brothers: Robbie Robertson and the Band(ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった)

    ★★★2019年98分ネットで視聴 日本語字幕 (amazon prime)原題:Once Were Brothers: Robbie Robertson and the Band邦題:ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった制作:カナダ監督:ダニエル・ロアー出演 ロビー・ロバートソン リック・ダンコ レヴォン・ヘルム ガース・ハドソン リチャード・マニュエル マーティン・スコセッシ、ブルース・スプリングスティーン、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ヴァン・モリソン実...

  • はじめてのタイ旅行 七日目

    7時30分出発日曜日なので、車はスイスイ。8時前には空港着。だがすごい人出。チャイナエアラインの台北経由で帰るのだが、どこが列の最後尾かわからない。荷物をあずけて、手続を終えてターミナルに入るのに1時間以上かかった。搭乗手続きのとき、日本ではコロナワクチンの接種状況を確認されたが、タイではなし。免税店を見てみるが、どこも高い。デパートの方が安いらしい。円も弱くなっていし。10年前は1バーツ約3円が今は4円...

  • はじめてのタイ旅行 六五日目

    3月18日(土)9時15分出発今日はワントーンラーン区へ。バンコク中心街から西へ車で15分ほど。土曜なので渋滞はあまりない。午前中で仕事は終わり。昼食はラマ9ガイヤーンというミシュランの星を獲得した店。ガイヤーンというのは鳥のもも肉を炙り焼きしたタイ料理。帰りにサイアム・パラゴンという巨大なデパートに行っておみやげ品を物色。土曜日とあって猛烈な人出。アジアやヨーロッパやいろいろな国の人々が行きかっている。...

  • はじめてのタイ旅行 五日目

    タイでもマスクをしている人が多く、日本とそんなに変わらない感じ。手の消毒も頻繁だし、除菌のウェットシートも使うし。ただし、体温を図ることはしない。午前中は会議で、建物内で軽くランチが出る。午後も会議に出席。夕食はクルア・クルンテープという店。きれいだし、ごちゃごちゃしていない。むかしのブログに、2014年5月にタイに行く予定だったのが、軍事ク―データーで中止になったと書いてあった。「タイのクーデター」...

  • はじめてのタイ旅行 四日目

    8:30出発午前中会議で、お昼は軽食を出す店で、先方と一緒に中華系の食事。シューマイ系をいくつか食べる。午後は遠出でカンナーヤーオ区へ。先方でも食事が出た。6時ごろに帰ってきて、今日は夕食を取らずに胃を休ませることに。といっても、テレビも映らず暇なので、セブンイレブンに行ってシンハービールとカッパエビゼンを買ってくる。それとコーヒーがなかなか飲む機会がないので、スティックコーヒーも。カッパエビセンはな...

  • はじめてのタイ旅行 三日目

    7時45分出発昼食は相手側の招待で上品そうなレストラン。ルンピニー公園の近く。店の名前は不明。午後は別な相手を訪問。シリラート博物館を案内されてかけあしで1階の絵画や刀剣類の展示を見て回る。解剖死体などが飾ってあることで有名なシリラート死体博物館は別の建物。ラーマ5世の肖像画。明治天皇と同じ時期、タイの近代化に貢献した名君。夕食。チャオプラワー河畔のロングロス(Rongros)というタイレストランで関係者と会...

  • はじめてのタイ旅行 二日目

    3月14日(火)朝8時半ごろ出発昼まで仕事。昼食はMethavalai Sorndaeng(メッターワーライ・ソンデーン)という店。ミシュラン獲得の老舗のタイ料理レストランで、窓の外に民主主義記念碑が見える。関係者との会食なので、食事の内容は覚えていない。そのあと時間調整をかねて、市内観光。ロハ・プラサート・ワット・ラチャナダラムに行く。タイ国政府観光庁のHPから大略を引用すると、「1846年にラーマ3世が建立した寺院で、バン...

  • はじめてのタイ旅行 一日目

    3月13日(月)チャイナエアライン。福岡空港から台北経由で、バンコクのスワンナプーム国際空港まで。朝8時半から並ぶ。すごい人出。中国人が多いのは、台湾からの福岡観光の帰りかな。10:55 福岡発12:30 台北着ほとんど寝ていた。機内食はチキンとライス。まずくはないが、年取った身にはコッテリしすぎ。ほとんど寝ていた。13:50 台北発16:45 スワンナプーム国際空港着機内食はチキンとライス。昼と同じようなもの。コッテ...

  • 博多駅周辺

    コロナ禍もようやく落ち着いた感じで、博多駅周辺の人出がすごい。外国人の数も多いが、たいていは韓国からのようで、中国語も聞こえるのは台湾からだろうか。コンビニに入ると、レジはベトナム人のカタコトの日本語で、並んでいるのは韓国の若い男女という風景があたりまえ。ちょっと前、古くからある落ち着いた感じの喫茶店に入ったら、日本人は自分一人で、韓国人の客の言葉がゆったり行きかっていた。福岡の穴場の店を訪ねてき...

  • 人類の起源

    柿崎一郎 中央公論社中公新書294ペ-ジ次世代シークエンサという最新のDNA解読技術を用いることにより、30万年前にアフリカに出現したホモ・サピエンスが、ユーラシア大陸を経て、日本へ、アジアへ、アメリカ大陸へ広がっていく様子を詳細に把握できるようになり、過去のさまざまな学説が覆され、書き換えられつつある。活況を呈する古代DNA研究の最新の成果を紹介する本。...

  • 一冊でわかるタイ史

    柿崎一郎河出書房新社213ペ-ジはじめてタイに出張することになり、「一日でわかるタイ史」と「物語タイの歴史」を購入。どちらも同じ著者。まずは簡単な方の本書から読みはじめる。滞在中に読み終えたのですが、はじめての国の歴史をはじめて読むには格好の本。2022年の11月に出版されただけあって、新型コロナウイルスの時期まで触れてあるのがありがたい。コラムも含め、たいへん役に立ちました。コラムの一つに、第二次世界大...

  • 2035年の世界~失われる民主主義・破裂する資本主義~

    エマニュエル・トッド他朝日新聞社朝日新書251ページ新型コロナ感染症とウクライナ紛争により世界はどう変わったのか、どう変わっていくかについて、エマニュエル・ドット、マルクス・ガブリエル、ジャック・アタリ、ブランコ・ミラノビッチという著名知識人へのインタビュー記事をまとめたもの。東浩紀など日本人論者による対談記事も収録。...

  • 三国志 第7巻

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 392ページ 劉備の荊州奪取。入蜀。合肥の戦いと張遼の活躍。...

  • 三国志 第六巻

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 389ページ 三顧の礼赤壁の戦い。江陵攻防戦。特にこの巻では、甘寧と曹仁が詳しく描かれる。...

  • Top Gun: Maverick(トップガン マーヴェリック)

    ★★★ 2022年 131分 ネットで視聴 英語字幕原題:Top Gun: Maverick邦題:トップガン マーヴェリック制作:米 監督:ジョセフ・コシンスキー出演   トム・クルーズ マイルズ・テラー ジェニファー・コネリー ヴァル・キルマー前作の設定を踏まえた巧みな構成。この作品も面白い。前作に引き続き大ヒットしたのもうなずける。...

  • Top Gun(トップガン)

    ★★★ 1986年 110分 ネットで視聴 日本語字幕 (amazon prime) 原題:Top Gun邦題:トップ・ガン制作:米 監督:トニー・スコット出演    トム・クルーズ ケリー・マクギリス ヴァル・キルマーいまから36年前の映画だけれども、なかなか面白い。艦内でもおかまいなしにタバコを吸うのが最近の映画とちがうところ。Take My Breath Away(愛は吐息のように)という曲が、この映画からというのを思い出した。...

  • 九響 第410回定期演奏会 名匠スダーンが紡ぐドイツロマン派

    2023年2月11日(土)15:00~ アクロス福岡シンフォニーホール 指揮:ユーべル・スダーン①ブラームス ピアノ協奏曲第一番②シューベルト 交響曲第8番「グレート」①は初めて。ほとんど寝ていた。②も初めてのはず。シューベルトの曲ではじめて良いと思った。というか、リズムとメロディーがはっきりしていて聴きやすい。指揮者の動きも説明的で、聴くのを手助けしてくれる。熱演でした。...

  • 三国志 第五巻

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 393ページ官渡の戦いと袁尚一族の滅亡まで。三国志はここらあたりから山場が続く。作者は正史を元に、ことさら煽った書き方をしてないが、それでも面白いこと抜群。...

  • 三国志 第四巻

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 390ページ董卓誅殺さる。賈詡の登場。曹操と袁術の戦いと曹操の勝利。陶謙の曹操の父殺害曹操の復讐戦。大殺戮。劉備と陶謙。呂布と陳宮対曹操。程昱、荀彧、夏侯惇らの活躍で、本拠地である兗州喪失の危機をからくも脱する。...

  • 三国志 第三巻

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 387ページ董卓の王朝奪取と暴虐。諸侯の挙兵。孫堅の躍動。曹操の挙兵にあたって、衛茲と鮑信が重要な役割を果たしたことが描かれる。二人とも、特に衛茲はごく初期に戦死してしまうので、ゲーム等ではあまり目立たないが。...

  • 三国志 第二巻

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 385ページ第二巻目に入っても外戚の梁冀(りょうき)の悪行が続くが、次代の桓帝に打倒される。曹操、孫堅、劉備が生まれ、党錮の禁を経て、第二巻の巻末でついに黄巾の乱が勃発する。宮城谷昌光の三国志は、三国志演義ではなく、陳寿の三国志に基づいて描かれている。無能な官軍将軍と思っていた皇甫嵩が、じつはかなり有能な武将であることをはじめて知った。...

  • 三国志 第一巻

    宮城谷昌光文藝春秋文春文庫378ページ「天知る。地知る。我知る。子(なんじ)知る。」の「四知」を語った楊震の父である楊宝からはじまる宮城谷昌光の三国志は、なんと前漢末期までさかのぼる。第一巻の前半は、ぎこちなく堅苦しさが感じられるが、曹操の祖父である宦官曹騰が登場してから、がぜん面白くなる。後半は、政権を牛耳る外戚の梁冀(りょうき)の悪行がこれでもかと描かれて少々げんなりする。...

  • 窓辺の風~宮城谷昌光 文学と半生~

    宮城谷昌光中央公論社中公文庫261ページタイトル通りの内容の本。淡々と述べられていて著者の小説のような面白味はないが、真面目な人柄のゆえだろう。競馬とカメラが趣味だとか、小説からはうかがえない一面を知ることができる。...

  • 赤と黒(上)

    Le Rouge et le Noir スタンダール 1830 桑原武夫・生島遼一=訳 岩波書店 岩波文庫 376ページ スタンダールは新潮世界文学全集で約40年前に読んだことがある。乾いた小説という印象が残ったが、おもしろかったかといったら、そうでもなかった。 世界的に有名な作品なので、いま読んだらどんな感じなのだろうと思って、バルザックに引きつづき読んでみた。 本書の初版は昭和33年。翻訳は当然古い。長さの単位に「尺」が使...

  • All Quiet on the Western Front (西部戦線異状なし 1930年)

    ★★★ 1930年 136分 ネットで視聴 英語字幕 原題:Im Westen nichts Neues(All Quiet on the Western Front) 邦題:西部戦線異状なし 制作:米 監督:ルイス・マイルストン 出演   リュー・エアーズ   ルイス・ウォルハイム 第三回アカデミー賞受作品。 第一次世界大戦はそれまでの戦争とはまったくちがって、総力戦と塹壕戦の実も蓋もない殺し合いであったため、騎士道的・英雄的な活躍を思い描いて出かけ...

  • 1月おわり

    令和5年になってボヤボヤしていたら、あっというまに1月も終わり。映画も見なければならず、本も読まなければならないのに、まずい。いい年なんだから、余裕をもってのんびり過ごせばいいのに、こんなふうにあせるのは貧乏性だからだな。リゾート地でゆったり過ごすということができない質。そうしたいと思ってもそんな金もないが。...

  • All Quiet on the Western Front (西部戦線異状なし)

    ★★2022年 147分 ネットで視聴 日本語字幕原題:Im Westen nichts Neues(All Quiet on the Western Front)邦題:西部戦線異状なし制作:独・米監督:エドワード・ベルガー出演  フェリックス・カメラー  アルブレヒト・シュッフ戦場の悲惨さを愚直に描こうとした力作だが、退屈。兵士の貧困ぶりと将軍や指導者層の贅沢ぶりを対比させようという意図がわかるが、何回も繰り返すのは芸がない。見ているこちらは飽きて...

  • The Tomorrow War(トゥモロー・ウォー)

    ★★★ 2021年 138分 ネットで視聴 日本語字幕 (amazon prime)原題:The Tomorrow War邦題:トゥモロー・ウォー制作:米 監督:クリス・マッケイ出演   クリス・プラット   イヴォンヌ・ストラホフスキーあまり期待していなかったけれども、意外にも、かなり面白かった。イヴォンヌ・ストラホフスキーという女優が、知的で、きれいで、かなり気に入りました。...

  • Bullet Train(ブレット・トレイン)

    ★★★2022年 126分 ネットで視聴 英語字幕 原題:Bullet Train邦題:ブレット・トレイン制作:米、日、スペイン監督:デヴィッド・リーチ出演 ブラッド・ピット ジョーイ・キング アーロン・テイラー=ジョンソン ブライアン・タイリー・ヘンリー アンドリュー・小路 真田広之 サンドラ・ブロック 福原かれん 原作は伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』。作者も作品もまったく知らなかったのだが、海外でも...

  • Black Adam(ブラック・アダム)

    ★★★★ 2022年 125分 ネットで視聴 英語字幕 原題:Black Adam邦題:ブラック・アダム制作:米 監督:ジャウム・コレット=セラ出演 ドウェイン・ジョンソン サラ・シャヒ オルディス・ホッジ ノア・センティネオ クインテッサ・スウィンデル(英語版) こちらは「DCエクステンデッド・ユニバース」のシリーズ。スーパーヒーローもの。見ているあいだはそれなりに楽しいのでまあいいかという作品。...

  • Doctor Strange in the Multiverse of Madness(ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス)

    ★★★2022年 126分 ネットで視聴 英語字幕 原題:Doctor Strange in the Multiverse of Madness邦題:ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス制作:米 監督:サム・ライミ出演 ベネディクト・カンバーバッチ エリザベス・オルセン ベネディクト・ウォン ソーチー・ゴメス マーベル・シネマティック・ユニバースの28作品目の作品。そのほとんどを見てきたので、さすがに飽きてきた。手を変え品を変えで...

  • Everything Everywhere All at Once

    ★★★★2022年 140分 ネットで視聴 英語字幕 原題:Everything Everywhere All at Once邦題:-制作:米監督:ダニエル・クワン出演 ミシェル・ヨー ステファニー・スー キー・ホイ・クァン ジームズ・ホン ジェイミー・リー・カーティスこれはすごい。どぎもを抜かれた。こんな映画が出てくるんだから、人間の創作力には限りがないんだと思わされる。終盤の石コロのシーンは驚き。こんなこともできるんだ。あるいは、こんな...

  • 28 Days Later(28日後...)

    ★★★★2002年 114分ネットで視聴 英語字幕原題:28 Days Later邦題:28日後...制作:英 監督:ダニー・ボイル出演 キリアン・マーフィ ナオミ・ハリス ダニー・ボイルは「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年)の監督。破滅ものSFは、アメリカよりも英国のほうが、地味だけどもリアリティがあって好い小説や映画が多い印象があるが、これもその一つ。はじめのほうに出てくる荒廃したロンドンの風景が印象的。...

  • 九響 第409回定期演奏会 ロマン派からの脱却 シェーンベルクの音世界

    2022年12月10日(土)15:00~アクロス福岡シンフォニーホール 指揮:小泉 和裕①シェーンベルク 清められた夜(弦楽合奏版)②ブラ―ムス ピアノ四重奏曲第一番(管弦楽版)聴いてから一週間後にこのエントリを書いているのだが、①はなんだか良かったような気がする。②はまるで覚えていない。今回も、コンサートのほとんどの時間を寝ていた。疲れていたせいもあるだろうが、どうも、クラシックのコンサートには向いていないようだ...

  • 九響 第408回定期演奏会 カーチュンが魅せる バルトークとブルックナー

    2022年11月5日(土)15:00~ アクロス福岡シンフォニーホール 指揮:カーチュン・ウォン①バルトーク/弦楽器, 打楽器とチェレスタのための音楽 ②ブルックナー/交響曲 第4番 変ホ長調「ロマンティック」(ハース版)指揮者のカーチュン・ウォンという人は、昨年9月、サンパレスの定期演奏会で、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と、バルトークの管弦楽のための協奏曲で聴いて、若いけれども実力派の指揮者なのだろうと思った...

  • 夏姫春秋(下)

    宮城谷 昌光講談社講談社文庫295ページいくつか読んだ司馬遼太郎の初期の娯楽作品を含め、性的な要素を読者を引き付けるためのツールとして使うのは、あまりいいやり方ではないと思う。こういうジャンルの小説は、いまでもそうなっているのだろうか。だとするとあまり読もうという気は起こらないし、将来の見込みもないのではないか。ともあれ、作者が水準以下の作品で直木賞をとったということは、それ以降、続々と現れる作品は...

  • 夏姫春秋(上)

    宮城谷 昌光講談社講談社文庫285ページ出版されている作者の中国ものはほとんど読んだので、最後に、「夏姫春秋」。直木賞受賞作だが、正直、最初に候補となった「天空の舟」より劣る。他の作品群と比較しても平均以下のできだと思う。たぶん最初の候補作「天空の舟」が衝撃的過ぎて賞を与えそこなったので、次のこの作品でということになったのではないか。選評を読むとちがうようだけど、そう思わせるぐらいの差はある。大衆作...

  • 風神の門(下)

    司馬遼太郎新潮社新潮文庫451ページ面白くないことはないのだが、完全に暇つぶし用だな。作者初期のころの作品で、そういう目的で書かれたんだろうから、それはそれでいいんだろうけれども、だったらゲームの方が楽しい。ゲームとちがうのは、無駄な時間を過ごしたという罪悪感が湧かないところかな。しかしなぜその違いが生じるのかはわからない。そういう違いを感じるのがわたしだけで、いま若い人には生じないとすると、早晩、...

  • 風神の門(上)

    司馬遼太郎新潮社新潮文庫488ページ真田十勇士の一人、霧隠才蔵が主人公。主人公はモテモテだが、濡れ場はあっさりで、クールな感じで物語は進む。娯楽を目的に書かれた小説なので、退屈はしない。...

  • 韃靼疾風録(下)

    司馬遼太郎中央公論社中公文庫556ページ最後までサラサラっと読んでしまったけれども、2冊で1000ページ以上のこの作品を読むというのは、暇つぶしということでいいのかな。いわゆる大衆小説なので、読み捨てでいいということなのかな。再読するような内容でもないけれでも、司馬遼太郎はビッグネームなだけに、その最晩年の作品を読んでいると、考えてしまうところがある。...

  • 韃靼疾風録(上)

    司馬遼太郎中央公論社中公文庫542ページ司馬遼太郎の最後の小説。清朝の成立した時代を背景にしている。秦や漢の成立時の物語はよくあるけれども、清というのはこれまで読んだことはなかった。長い物語だが、すらすら読める。ただし、あとになにか残るかと思うと、たぶんそうでもない。そもそもそんなつもりで書いてはいないと反論されてしまうかもしれない。...

  • 外国人介護教育にかけた我が半生

    中村政弘文芸社117ページ著者は現在82歳。長男の遺志を引き継ぎ、高齢化問題に関するアジアと日本の交流の一環として、外国人介護人材の養成に取り組む。(株)インターアジアの経営、外国人介護人材向けの教室開催、通所介護施設開所、介護テキスト開発。それに本書の出版。すべて60歳過ぎてからの活動というから驚きだ。といってシャカリキというわけではなく、余裕綽綽でこなされている様子。80をすぎても元気でエネルギッシュで...

  • 長城のかげ

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 319ページそれぞれ漢の高祖劉邦と関わりを持つ人物を主人公にした短編5編を収める。といってもテーマは多岐にわたる。この手法を使えば、どんなテーマでも書けるにちがいないとおもわせる。作者の腕力をみせつける作品集。...

  • 花咲ける上方武士道

    司馬遼太郎中央公論社中公文庫687ページ「梟の城」につづく長編。江戸末期を舞台にした、緩い武家もの娯楽小説。ひまつぶしにはちょうどいい。おもしろいし、よみやすい。でも、それでいいのだったら、こういう娯楽形態は、ゲームやYoutubeには負けてしまうだろうな。...

  • 華栄の丘

    宮城谷昌光文藝春秋文春文庫318ページ春秋時代。小国・宋の宰相、華栄の物語。昔の宰相は、命がけだ。権力を失ったら、あとは引退して悠々自適というわけにはいかない。権力を失うことは死を意味する。あるいは命からがらの亡命だ。そういう時代だから、政治家の生涯を描いても、これだけスリリングで面白いのだろう。...

  • 梟の城

    司馬遼太郎新潮社新潮文庫659ページ司馬遼太郎の長編第一作。直木賞受賞作品。受賞して当然の完成度の高さ。...

  • 子産(下)

    宮城谷昌光 講談社講談社文庫378ページ子の子産の生涯。他の作品に比べても丁寧に描かれている印象が強い。それは著者あとがきに述べられていた事情が反映しているのだろう。しかしこれは作者の代表作のひとつではないだろうか。宰相の生涯を描くにあたっては、政治と外交にふれないわけにはいかない。ことに超大国晋と楚にはさまれた鄭のような小国にあって、改革派の宰相を描くとなればなおさらだろう。しかしそれを無理に現在...

  • 子産(上)

    宮城谷昌光 講談社講談社文庫 372ページ 春秋時代。晋と楚にはさまなれた小国「鄭」の宰相子国と子産親子の物語上巻は小国を描く。...

  • ゴリオ爺さん

    Le Pere Goriotバルザック1835平岡篤頼=訳 新潮社新潮文庫p523前にも言ったが、宮城谷昌光の小説をずっと読んでいて、とつぜんバルザックを読むと、その獣じみた濃厚さに圧倒される。日本人と西欧人のちがいなのか。バルザックが35歳のときの作品だから、若さの持つエネルギーに圧倒されるのか。ゴリオ爺さんは三度目だが、そのつど内容を忘れている。そこがドストエフスキーとちがうところ。今回は、フランス貴族の結婚生活観が...

  • 九響 第407回定期演奏会 マーラーここに極まる 小泉=九響「復活」

    2022年10月7日(金)19:00~ アクロス福岡シンフォニーホール指揮:小泉和裕 ソプラノ 安井陽子 アルト 福原寿美枝 九響合唱団、九州大学男性合唱団コールアカデミー、久留米大学附設高等学校合唱部ほか①マーラー 交響曲第2番「復活」8月26日にあった第406回演奏会を忘れていて行けなかった。ニーノ・ロータの「道」とかで、あまり興味なかったから、まあいいか。アクロス福岡シンフォニーホールの改装がおわり、天神に戻...

  • ヴァイオリン・チェロ・ピアノ TRIOの響き

    2022年9月22日(木)19:00~ あいれふホール ピアノ 畑瀬由美子 チェロ 木越洋 バイオリン 八尋祐子エルガー ①威風堂々 ②チェロ協奏曲第1楽章のテーマより ③エニグマ協奏曲からニムロッド ④夜の歌 ⑤愛の挨拶ベートーヴェン ⑥チェロ・ソナタ第5番 ニ長調 ⑦ピアノ三重奏曲 変ホ長調九響の第405回演奏会のアンコールで、佐藤晴真によるバッハの無伴奏チェロ曲サラバンドを聴いて、他のチェロ曲も聴こうと思ったのだ...

  • 九響 三大交響曲の夕べ

    2022年8月10日(水)18:45~ 福岡サンパレス ホテル&ホール 指揮:鈴木優人①ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」②シューベルト 交響曲第7番「未完成」③ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」①はよく聞いててなじみ深いし、③もなかなか良かった。②はあいかわらずよくわからない。...

  • 九響 第405回定期演奏会 アルミンク初登場! ツェムリンスキーの誘惑

    2022年7月21日(木)19:00~ 福岡サンパレス ホテル&ホール 指揮:クリスティアン・アルミンク①アントニン・ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調 チェロ 佐藤晴真②アレクサンダー・ツェムリンスキー 交響詩「人魚姫」指揮者の人がコロナの陽性反応が出たということで第404回が来年3月に延期になったので、1回跳んで第405回の定期講演会。演奏会の開催もほんとうに大変だ。①は有名な曲。②は初めて。アンコールはバッハの...

  • 晏子(四)

    宮城谷昌光 新潮社 新潮文庫 404ページ「重耳」と、その次の作品となる「晏子」を較べると、前作の方が面白い。前作の場合は、重耳の生涯そのものがドラマチックなので、本作品が地味になってしまうのはしかたがない。それでも、権力闘争の中を名臣として生涯をまっとうした晏弱・晏嬰を描いて、読者を最後まで引っ張っていく作者の力量はすごいものがある。...

  • 晏子(三)

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫443ページ晏嬰の活躍というよりも、本人は喪中なので、その周辺の血で血を争う権力闘争が主に描かれる。登場人物が多いので、ちょっと油断すると、誰が誰やらわからなくなる。それでもスラスラ読めてしまうのは、作者のストーリーテラーとしての才能が抜群だからということに気づいた。...

  • 晏子(二)

    宮城谷昌光 新潮社 新潮文庫 380ページひきつづき晏弱の活躍を描く巻。その子晏嬰も登場。押しつけがましくて余計なあとがきは、どうやら全巻続くらしい。びっくり。...

  • 晏子(一)

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫430ページ春秋時代。太公望の国、斉の晏弱、晏嬰父子を描く。第一巻は晏弱の活躍。晏弱が仕える斉の高官、高固の人物像が面白い。ところで、この長ったらしい「あとがき」はなんなんだろうか。...

  • 重耳(下)

    宮城谷昌光 講談社 講談社文庫 374ページ上巻の曲沃の君主「称」が印象深い。前期の傑作というのはまちがいない。そのうち、もう一度読んでみたくなるかもしれない。文庫のあとがきで良いものにめぐり合うことはめったにないが、本書の秋山駿はよかった。...

  • 重耳(中)

    宮城谷昌光 講談社 講談社文庫 350ページ「草原の風」を読み終わって、さすがに宮城谷昌光は飽きたと思って、バルザックの「ゴリオ爺さん」を読みはじめたら、その動物臭の強さに辟易。宮城谷作品の清涼さにほっとする。...

  • 重耳(上)

    宮城谷昌光 講談社講談社文庫 354ページ 以前読んだのはハードカバー。二十数年ぶりに読むので、内容はまったく忘れてしまっている。しかし面白い。著者が活躍しはじめてわりと早い時期の作品。前期の代表作のひとつ、といっていいと思う。...

  • 草原の風(下)

    宮城谷昌光中央公論社中公文庫413ページ劉秀と更始帝との戦いを描く。終わりはハッピーエンド。こういうのどかな終わり方というのは珍しい。ここ二、三ヶ月、宮城谷作品をずっと読んできたけれども、いずれも面白い。面白くて止まらないので、最後まで読みつづけてしまう。しかしさすがに飽きてきた。それと、物語の中身が意外と記憶に残っていない。それが悪いというわけではないけれども、ちょっと不思議な感じだ。...

  • 草原の風(中)

    宮城谷昌光中央公論社中公文庫341ページ中巻は、決起後の戦いを描く。次の時代に向けた覇権争いが中心。というと、ドロドロしてきこえるが、作者の描く劉秀像はさわやか。物語も風通しがよくて、タイトルどおりの印象。...

  • 草原の風(上)

    宮城谷昌光中央公論社中公文庫339ページ後漢の始祖、光武帝・劉秀の物語。200年間続いた前漢王朝が王莽によって簒奪され滅びてしまった時代。上巻では、主人公が28歳で決起するまでを描く。...

  • 香乱記(四)

    宮城谷昌光新潮社 新潮文庫 308ページ 本作品を読むと、これまでの英雄たちののイメージが一変する。項羽と劉邦についてもそうだが、特に張良、韓信でそれが大きい。いわれてみればまあそのとおりなのだが。後にかれらを襲う運命も、そういう見方からすれば、納得できるような気がする。...

  • 香乱記(三)

    宮城谷昌光新潮社 新潮文庫 247ページ第4巻のあとがきで著者が書いているように、秦末の動乱は、項羽と劉邦の二人に収斂させて描かれるのが常でるが、実際は本作品のように、多様な英雄豪傑が活躍し、秦の威力もまだ強かったというほうが実情に近かったのではないか。作者は本作品によって、そういった既成概念を覆えすとともに、歴史を扱う作品のための新たな舞台を提供することになったのではないかと思う。これからこの時代を...

  • 香乱記(二)

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫317ページ始皇帝が亡くなり、陳勝・呉広の乱が勃発。秦の崩壊がはじまる。項羽と劉邦の出現直前までの田横の活躍が描かれる。...

  • 香乱記(一)

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫261ページ秦末、項羽と劉邦の時代に、斉の国で活躍し田横を描く。とにかく「田」がつく人物が多くて紛らわしい。著者のこれまでの作品とちがってやや無味乾燥なのは、時代の情報がはっきりしてきて空想の余地が少なくなったのか、書かなければならないことが多すぎてこのボリュームでは紙数が足りないのか、あるいは意図的に書き方を変えたのだろうか。...

  • 花の歳月

    宮城谷昌光講談社講談社文庫206ページ漢の時代を背景にした中編。物語性が見事で、まるでお伽噺のようだ。著者の傑作のひとつにちがいない。...

  • 孟夏の太陽

    宮城谷昌光文藝春秋文春文庫345ページ短編集。春秋時代の大国・晋の中枢にいた趙一族をめぐるクロニクル。「孟夏の太陽」「月下の彦士」「老桃残記」「隼の城」の4編を収める。「沙中の回廊」ではどちらかといえば敵役だった趙盾(ちょうとん)が主人公の「孟夏の太陽」からはじまるのだが、ここでは肯定的に描かれていて興味深い人物となっている。中短編は切れ味が鋭く、長編よりも印象が強く残る。...

  • 沙中の回廊(下)

    宮城谷昌光文藝春秋文春文庫358ページ士会が晋の筆頭宰相になるまでを描く。まわりの大国や小国とひっきりなしに戦争や政争があって、そのなかで順次序列が上がっていくわけだが、歴史小説のこういう描き方も面白い。...

  • 沙中の回廊

    宮城谷昌光 文藝春秋文春文庫371ページ春秋時代の晋の宰相、士会の物語。時代的には、名君と呼ばれた重耳の次の世代の宰相となる。この小説ではじめて名前を知った。...

  • 青雲はるかに(下)

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫500ページ何人か印象的な女性が出てくるが、なかでも原声が南芷は印象的。ふたりとも架空の人物だが、彼女たちの登場によって物語がより劇的で深みのある内容になっている。難点をあげるとすれば、主人公があまりにもモテすぎで、またかと思わせてしまう点か。...

  • 随想 春夏秋冬

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫166ページ短文集なのであっというまに読んでしまった。これといった感想はなし。裏表紙に「著者の文学的刻む傑作随想」と書いてあるが、それはおおげさすぎる。...

  • 青雲はるかに(上)

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫507ページ秦の宰相范雎(はんしょ)の生涯を描く。生きることについての所感が透明度が高く語られ、若い男女の恋愛が美しく描かれていて読むのが楽しい。著者の作品のなかではいちばん好きかも知れない。...

  • 介子推

    宮城谷昌光講談社講談社文庫482ページ苦難の末、晋の国王となり、春秋の五覇のひとりに数えられる重耳(晋の文公)の従者であった介子推を描く。この作者の重耳を読んでからずいぶん経つので、その内容はまったくおぼえていないが、そのころに読んだ方が時代背景がわかってよかったのかもしれない。わりと理念的な作品のように思った。...

  • 王家の風日

    宮城谷 昌光文藝春秋文春文庫533ページデビュー作。といっても完成度は非常に高い。商末期の宰相箕子を描く。最後の方はどうしても紂王と太公望に叙述の中心が移り、後年の作品「太公望」とも重なってくるのだが、それはそれで面白い。...

  • 沈黙の王

    宮城谷昌光文藝春秋文春文庫351ページ「沈黙の王」「地中の火」「妖異記」「豊饒の門」「鳳凰の冠」を収める。長編は、そのあいだにいろいろな用事がはいってくるので、集中力が欠けたり、ダレたり、前の内容を忘れたりといろいろなことがあるけれども、中編だとまとめて一気によめるぶん、あざやかな作品はそれがストレートに伝わってくる。作品のできがよくないとそうはならないが、ここに収められた作品はいずれも見事で、作者...

  • 韓国 行き過ぎた資本主義ー「無限競争社会」の苦悩

    金 敬哲講談社講談社現代新書214ページ韓国の文化や制度や人々の言動は日本人と似ているところが多いけれども、振幅の幅が極端に大きくて、日本社会のカリカチュアっぽい。受験戦争はその最たるものだろう。少子化もそう。先鋭化はますます進んでいるようだ。ということは日本社会を考えるとき、韓国のいまの姿はけっこう参考になるにちがいない。...

  • 侠骨記

    宮城谷昌光講談社講談社文庫264ページ侠骨記、布衣の人、甘棠の人、買われた宰相の4編を収める。著者は長編の人かと思ったら、中編でも面白さは変わらない。初期の作品だが、完成度は非常に高い。...

  • 太公望(下)

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 513ページ最終巻は、歴事上有名な「牧野の戦い」に至る商と周と周辺諸国の複雑な駆け引きと闘争のなかでの主人公の活躍を描く。この巻は、上中巻とちがって記述がそっけない。人物や風景の描写がすくなく、ストーリー進行に必要な事項を書いているだけという感じになっているのは、物語が長くなりすぎたので早く終わりにしたいという作者の願望のあらわれだろうか。こちらとしては、この巻の部分...

  • 太公望(中)

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 497ページこの作品の登場人物は、主人公の「望」以下、漢字一文字が多い。上中下巻の長編なので、登場人物がだんだん増えてくるのだが、だんだんキャラクターがわからなくなってくる。わかってやっているのだろうが、そうとうなチャレンジだ。有名な紂王、妲己、炮烙の刑も出てくるが、これまで抱いていたイメージとちがっていて興味深い。...

  • 太公望(上)

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 490ページ殷(商)を滅ぼし、周建国の中心人物となった太公望の物語。いまから三千年前の中国が舞台。主人公の望は、商の受王(紂王)の襲来を生き延びた六人の子供のリーダーとして、あちこちを放浪する。ところどころに風景描写が出てくるのだが、そこにまったく違和感が感じられないのは不思議と言えば不思議だ。三千年前の現場の景色を見ることができるはずがないし、作者はそもそも中国に行...

  • 天空の舟 小説・伊尹伝(下)

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 404ページ後半もやっぱりおもしろく、最後まで一気読み。この著者の作品は、出だしが印象的で、最後のほうで少々ダレを感じること多いのだが、この作品ではそういうこともない。著者の代表作の一つだと思う。...

  • 天空の舟 小説・伊尹伝(上)

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 422ページ実在が確認されている中国最古の王朝である殷(商)建設の中心人物であった伊尹を描く。紀元前1600年頃、いまから約3600年前の中国が舞台なので、資料もあまりないはず。逆にそのほうが作者の想像力が自由に羽ばたけるようで、物語はのびのびと展開。最初期の長編だが、これまで読んだ宮城谷作品のなかのベストのひとつといっていい面白さ。...

  • 管仲(下)

    宮城谷昌光 文藝春秋 文春文庫 333ページ管仲が亡くなったのは紀元前645年だから、いまから2600年以上前になる。日常生活や、人々の意識や、身の回りのこまごました物や事柄はまったくわかるはずがないのに、その時代を舞台に物語をつくり、リアリティを持たせて面白く読ませるというのは、よく考えれば相当至難なことのはずだ。にもかかわらず、いつもそうやって読ませてしまう宮城谷昌光という作家は、いったいどういうマジッ...

  • 管仲(上)

    宮城谷昌光文藝春秋文春文庫315ページ「管鮑の交わり」で知られる春秋時代の宰相、管仲と鮑叔。管仲は、諸葛亮公明が尊敬する人物として、楽毅とともに挙げた人物。前に読んだ「楽毅」では、斉は秦と並ぶ二大強国として描かれるが、それをもたらしたのが管仲と鮑叔で、本書は二人の出会いから不遇と苦闘の時代を描く。...

  • 日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義

    デービッド・アトキンソン東洋経済新報社323ページ日本復活のための処方箋。コロナ前に書かれた本だからどうなのかなと思ったけども、有効性と説得性は変わらないようだ。自民党政府から最低賃金引き上げを言い出すのはなんかヘンだなあと思っていたけれども、福祉施策ではなく、経済対策としての意味と実例があるらしいんですね。はじめて知りました。...

  • 楽毅(四)

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫517ページ楽毅の最大の武功を描く巻。韓魏趙斉燕楚秦に宋も加えて、合従策と連衡策がぶつかりあう当時の国際情勢は複雑で、理解するためには説明の部分を二度読まなければならなかった。二千年も前からこんなことをやってきた中国という国との交渉は一筋縄ではいかないのは当然だろう。久しぶりに歴史長編小説を満喫しました。...

  • 楽毅(三)

    宮城谷昌光 新潮社 新潮文庫 409ページ中山国をめぐる楽毅の戦いは終わる。楽毅の宿敵というべき趙の君主の後継者争いの描き方は独特。中心人物を登場させず沈黙を守らせるという手法で、こういうやり方もあるのかと興味深かった。...

  • 楽毅(二)

    宮城谷昌光 新潮社 新潮文庫 408ページ中山(ちゅうざん)国の首都霊寿の陥落。滅亡を防ぐための楽毅の絶望的な戦いを描く。それにしても面白い。なにげなく読みはじめたのだが、途中でとまらなくなってきた。...

  • 楽毅(一)

    宮城谷昌光新潮社新潮文庫418ページキングダムの時代より約50年前の戦国時代が舞台。諸葛良孔明が尊敬していたという二人の先人のうちの一人(もう一人は春秋時代の管仲)。中山国という小国の宰相の子として生まれた主人公が当時の強国である斉に学問のために出てきたところから始まる。楽毅の生涯についてはまったく知らないが、キングダムと時代が近いこともあって、ちらほらと聞いたことがある名前と地名が出てくるのが嬉しい...

  • 世界のリアルは「数字」でつかめ!

    バーツラフ・シュミル栗木さつき、熊谷千寿=訳NHK出版356ページこれも新刊を買ったけど、去年の暮れのことで、どうして2200円もする本を買ったのか覚えていない。たしかに根拠ある数字をもとにいろいろな事柄が取り上げられているけれども、最初は面白いが、だんだん物知り君の解説を延々と聞かされているような気がして飽きてきた。だからどうなのと言いたくなってくるので、これも借りて読むぐらいにしとけばよかったなあと...

  • アフターバブル:近代資本主義は延命できるか

    小幡績東洋経済新報社253ページ2020年9月の出版。2020年3月のダイヤモンド・プリンセス号のニュースのあとなので、コロナ関連の政策へのコメントや提言が含まれている。それはそれで興味深い。最近では新刊書は買わず、図書館で借りたりアマゾンの中古品で読んでいるが、これは珍しく新刊書。しかしそこまでしなくてもよかったな。...

  • すべての経済はバブルに通じる

    小幡績光文社光文社新書244ページ気になっていた著者の一冊。証券化というのがよくわからなかったが、本書を読んで理解することができた。あとはそれほど。タイトルの付け方はうまいと思う。...

  • 知らないと損する年金の真実

    大江英樹ワニブックスワニブックスPLUS新書269ページ年金制度が破綻しないことを丁寧に、理論的に解説してくれる本。そういった不安をあおることを商売している政治家やマスコミの罪は重い。制度についてはある程度知っているつもりだったが、教えられることが非常に多かった。本書の中で紹介されている権丈善一教授の本ももちろんいいのだが、本書はさらにわかりやすい。...

  • 第三次世界大戦はもう始まっている

    エマニュエル・トッド大野舞=訳文藝春秋文春新書206ページわれわれが属しているのは欧米、とりわけ米国の陣営なので、新聞・テレビ・ウェブを通じて垂れ流される膨大な情報はそちらの側のものしか入ってこない。ときにはそれ以外の視点、ロシアとまではいわなくても、インドとか南米とか東アジア諸国がとどうなっているのか知りたいと思うが、言葉のハンディがあるので思うにまかせない。そういう意味ではエマニュエル・トッドの...

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