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長らく「白村江」をテーマにつづってきたが、その間、感慨深いニュースがあった──遠山美都男氏『大化改新』の30年ぶりの改訂だ。旧版は、当時(1993年)、新書レベルでは初めて「乙巳の変」の孝徳(軽皇子)主犯説をぶちあげたと思う。学会でどういう評価を得たかはともかく、巷の古代史ファンにはかなり話題になったのではないだろうか。私にとっても衝撃的な出会いとなった本の1つだ。ただ、新版のはしがきで遠山氏が触れている...
(前回からの続き)『大化改新』新版で、旧版から大きく変わった2点目、「(B)7世紀半ばのこの時期に生前譲位が必要とされた背景」についてみてみよう。旧版では、6世紀の欽明天皇以降に確立した世代内王権(王位)継承のシステムにおいて、それに内在する危険性(同一世代に属する有力な皇子が複数存在するときに、大王死後に不可避となる紛争)を未然に抑止する「安全装置」として考え出されたのが、大兄と大后の制度であり、大...